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中川翔子 『空色デイズ』インタビュー
しょこたん 歌手としての殻を破る!?
2月にシングル『ストロベリmelody』、そして5月に敬愛するアニソンのカバーを収録したミニアルバム『しょこたん☆かばー ~アニソンに恋をして。~』を発売と、2007年は歌手としての活動も精力的な中川翔子が三度、降臨!
アニメ「天元突破グレンラガン」のオープニングテーマとして既に好評を博し、満を持して6月27日に発売されるシングル『空色デイズ』を中心に、バラエティ、アニソン、コスプレといった彼女ならではのトークから、歌手としての成長や現在と過去の自分の対比まで。余す事なく深く、真剣に語ってもらいました。
ブルマになればベジータ様と結婚できる
--前回インタビュー時に、今年は「キョドらない」が目標だと言ってましたが、最近はいわゆる大御所の方々との共演も増えてきましたね。
中川翔子:キョドらないようにあらかじめ胃薬を飲んだりもするんですけど、気を張り詰めすぎて気持ち悪くなったりしてます(笑)。
--先日も、とある番組でダウンタウンの浜田雅功さんと共演していましたが、やっぱり緊張する?
中川翔子:あの時はブルース・リーのコスプレで映画「死亡遊戯」の再現ビデオを撮ったんですけど、ブルース・リーへの愛が浜田さんに緊張する気持ちを超えました。コスプレさえしちゃえば大丈夫なんです(笑)。
--そういえば昨年、ある番組でアスカに扮して和田アキ子さんに「あんたバカァ!?」と言い放ったのは、今でも語り草になっています(笑)。
中川翔子:いやいやいや・・・。でもバラエティって形に残らないモノだから、みんな忘れちゃうだろうって思っていた所もあったんですけど、あの時の事を言って下さる方がたくさんいるんですよ。もう二度と言えないですから(笑)。
--また、【MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2007】にプレゼンターとして出演し、レッド・カーペット上にアゴたんまで登場しました。
中川翔子:そうなんですよ!でも何かひとりだけ浮いてたし、「何で私、ココにいるんだろう!?」くらいの感じだったんですけど、しっかりレッド・カーペットの上でブログの写真を撮ったりしました。
--そういえばブログでは最近、“おヨネたん”なる新キャラクターも登場しました。
中川翔子:本当はある大御所俳優の方のモノマネを、誰が一番上手にやれるかっていうのを試していたら、米○さんっていうメイクさん(「ヨネ」が付く苗字)が一番上手かったんです。 完成までには色々条件があって難しいんですけど、何とかできるようになって、嬉しくなってずっとやってたら、今度はやりすぎて顔が戻らなくなっちゃった(笑)。
--なるほど。そして5月2日に発売したミニアルバム『しょこたん☆かばー ~アニソンに恋をして。~』では、またひとつ夢が叶いましたね。
中川翔子:言い続けてきた「アニソンを歌いたい」っていう夢が実現しちゃった1枚というか、ずっと大好きだった歌をうたわせてもらって、しかもみんなに聴いて頂けて。5月5日が誕生日だったんで、最高のプレゼントになったなって思います。
しかも誕生日に名古屋で行ったイベントにも3,000人くらい集まって下さって、若い子から「原曲も聴いてみたい。アニメも観てみたい」って言ってもらえたのが嬉しかったです。--何より原曲と似ているというか、細部までしっかり歌い込んでいた点に驚きました。
中川翔子:10年以上、毎日のように聴いてきて、伴奏まで歌えるんじゃないかってくらい大好きですから(笑)。だから「覚えなきゃ!」とか「どうやって歌おう?」って心配が無かった分、気持ちをぶつけられました。
--さらに『ロマンティックあげるよ』のPVも、ブルマになりきった映像に仕上がっていましたよね。
中川翔子:「ブルマになればベジータ様と結婚できるし、冒険できる。ドラゴンボールの世界に行きたいッ!」っていう願望があったんで、衣装からカット割からアングルまで、なるべく近づけて頂きました。 撮影はもの凄く寒い中で行われたんですけど、スタッフの皆さんが頑張って下さったお陰で、本当に素晴らしいPVになりました。
--結果として、しょこたんのアニソンに対するこだわりがぎっしり詰まった1枚になりました。
中川翔子:発売する前は「(選曲が)マニアックすぎる!」って言われたんですけど(笑)、「良かった」って言って下さった方が多かったのが嬉しかったです。 それに「パート2は?」って声もたくさん頂いたので、また形にできたらいいなって思います。
--おお!それは楽しみですね。ではもしあるとして、次はどんな歌をうたってみたい?
中川翔子:男の子向けの歌も女の子向けの歌もあるし、最近はガンダムにハマってるんでその辺も歌いたいし、やっぱり『ムーンライト伝説』とかも・・・。って、それを考えるとワクワクして夜も眠れなくなっちゃうんですよ!
--しょこたんが歌う『シャアが来る』とか聴いてみたいですね。
中川翔子:アハハ、いいですね!「それかよ!?」みたいな曲も入れてみたいですよね~。
Interviewer:杉岡祐樹|Photo:齋藤卓侑
本当に大切に、大切に歌わなきゃ
--では続いて6月27日に発売となりますニューシングル『空色デイズ』について伺っていきたいと思います。この楽曲は2007年4月よりスタートしたアニメ「天元突破グレンラガン」のオープニングテーマです。このアニメはGAINAX制作という事もあって、作品にも相当思い入れがあると思うのですが?
中川翔子:アニメから受けた影響っていっぱいあるんですけど、特に『新世紀エヴァンゲリオン』からはたくさんの影響を受けました。コスプレもたくさんしたし、色んな意味で思い入れが深かったので、最初は信じられない想いでいっぱいでした!
--またアニメのオープニング映像も素晴らしいクオリティですね。
中川翔子:嬉しかったですね~! まだ歌う前、本編の2話まで見させて頂いたんですけど、「ココに今から歌うモノが入るのか!」って思うと本当に一言一句が大切だと思えて。作品のクオリティも高かったし、ただ歌うだけじゃなくて、ちゃんとグレンラガンの色にもならなければいけない。本当に大切に、大切に歌わなきゃって意識がありました。
ロックな激しい楽曲だったんですけど、主人公のシモンの気持ちを綴った歌詞は、自分にも共感できる部分がいっぱいあったので、「よし、嬉しい!歌おう!」って、不安はすぐに抜けました。
--暗くふさぎ込んでいた過去の自分や、その殻から突き抜けようとする意志など、しょこたんのこれまでの人生や想いにシンクロした歌詞なんですよね。
中川翔子:最初はロックが分からないし、ギターも持った事がないのに大丈夫かな?って思ったし、周りの方も「これは中川には歌えないんじゃないか?」って感じだったらしいんです。だけど本当に歌詞に共感できて心が震えましたし、真っ白な気持ちで歌ってみたらその気持ちがまた膨らんで。こんな気持ちになったのは初めての事だったし、激しい曲なんだけど、ちょっと切ない歌詞が乗っているのもかっこいいですよね!
あと、こうやってお腹から声出して歌うのも初めての事だったんですけど、緊張とかを忘れて「気持ち良い!」って思えたのも嬉しかったです。
--その想いは歌にも表れていて、結果として今まで以上に芯のある楽曲に仕上がりました。
中川翔子:今までの自分の歌はどこか恥ずかしい想いもあって、照れてしまう部分があったんですけど、『空色デイズ』はより深い思い入れもありますし、「歌う事って楽しい!みなさんの前でも歌ってみたい!」っていうポジティブな気持ちがどんどん出てきたりしています。
家でも毎日歌っちゃってたりするし(笑)、自分の曲だけどiPodで聴いちゃう。アニメで流れてきても「ちゃんと合ってるぜ!」って思えるくらい大好きな曲なので、この歌、この曲に出会えて本当に幸せです!
--そうしたポジティブな気持ちを持ちつつも、より切なく歌い上げているのがカップリングのM-02『happily ever after』です。
中川翔子:大切な仲間と二度と会えなくなってしまった哀しみを、シモンたちは乗り越えていかなければいけない。と残酷に、でもその現実を受け止めた上で前向きにならなきゃと歌っている歌詞なんですけど、この曲も衝撃を受けました。
・・・私も身近な人を亡くした時の事を重ねてしまって、「うわー!!!」ってゾクゾクして。何度も読み返してしまったし、「ちゃんとに歌いたい!」って思いました。
--しょこたんはそうした辛い経験や体験を、ポジティブな力に変える事ができますか?
中川翔子:以前は「考えないようにしちゃおう」って逃げちゃうというか、背中を向けちゃってた所が凄くありました。 でも『happily ever after』の歌詞を読んで、それも現実なんだって受け止めて、哀しんだ上で前に進まなければいけない。向き合わなければいけないって知る事ができて、ビックリしました。
Interviewer:杉岡祐樹|Photo:齋藤卓侑
褒める事ができなかった過去の自分を
--しょこたんは様々な活動や経験の中で、籠もっていた殻をどんどん突き破って活躍し、今では周囲から憧れられる存在になり始めていますよね。
中川翔子:(かなり恐縮して)いやいやいや・・・(笑)。でも私もピンクのお姉さんになりたくて、昔は徹夜で手紙書いて握手会に行って・・・。って、戦隊モノの追っかけをしていたんですけど、今、私も握手会をやらせて頂いたりすると、中学生くらいの女の子も来てくれるんです。
そういう方を接していると5年前の自分と被るというか、凄く不思議な感覚になります。昔はネガティブで憧れ一直線だった私の握手会に、同じ女の子が来てくれるって事が本当に嬉しいです。--例えば今年の春に発売した写真集「しょこれみかんぬ」の時も、蜷川実花さんは「(中川翔子を)撮ってみたかった」と語っていました。しょこたんは同姓にも好かれる魅力を持っていますよね。
中川翔子:女の子大好きだから嬉しいです!・・・でも、男の人からは「色気がない」って言われ続けるんで、それもどうしたものか、と(笑)。
握手会やイベントには女の方も男の方も同じくらいの割合で来て下さりますし、コスプレイヤーさんやけっこう年配の方、親子で来て下さる方もいたりと、幅が広くて本当に嬉しいです!
--そうやって幅広く愛されている所も、しょこたんの魅力ですよね。
中川翔子:色んな方が色々な視点で見て下さっていると思うんですけど、最近「しょこたんって何なの!?」って言われる事が多くて、「グラビアアイドルです」っていうと「えっ!?」って言われちゃうんです(笑)。
確かにグラビアの数は少ないし、「じゃあ何だ?」って言われると困っちゃうんですけど、色んな所に憧れの場所がたくさんあるので、そのひとつひとつをちゃんとにやっていきたいです。
それは本当に難しいんですけど、毎日色んな勉強ができるし、家に引きこもっていた昔の自分を思うと奇跡だと思います。
--で、私は『空色デイズ』と『happily ever after』を聴いていて、しょこたんの自信みたいなモノを感じたんですよ。そして、殻に閉じこもって引きこもっていた自分、今までは褒める事ができなかった過去の自分も、肯定し始めているのかなって。
中川翔子:確かに歌入れの時、今まではオドオドとしていたのに今回は堂々と、「ココはこう歌おう!」とか「ここを伝えたい!」とか、貪欲にマイクに向かえました。
それに『空色デイズ』の、「憧れに押しつぶされて あきらめてたんだ」けど「走り出す」っていう歌詞を読んで、落ち込んでばっかりだった10代があるから、今、その反動で余計に前向きになれたんだって気付いて。
それを取り返すためにも今、「前向きになろう!」って気持ちに変われたっていうのもあるし、その頃は趣味だった事がお仕事に繋がったりして。それは幸せだし「良かったんだ!」って気づけたんで・・・。そうですね、肯定でき始めてると思います、この曲のおかげで!
--読者の中には、10代の時のしょこたんのような悩みに、今も苦しんでいる人がたくさんいると思います。もしひとつ、アドバイスできる事があるとしたら?
中川翔子:翔子はずっと「どうせ自分なんか・・・」とか「他人と話すのは怖い」って、ネガティブな想いでいっぱいだったんですけど、どこかに「こうしてやるぜ!」っていう気持ちがあって。今はふさぎ込んでしまいがちでも、そういう気持ちがあれば、いつか変われるから・・・。
翔子はブログに楽しかった事を書いていったら前向きな気持ちに変われたんですけど、何がきっかけで変わるかは分からないですよね。
不思議だなあ、とも思うんですけど、毎日嫌で仕方がなかったモノが、今は「それで良かったんだ」って思えるようになった。その時を取り戻したくて、今は毎日やりたい事だらけでたまらないです。
さっきも田原俊彦さんから「自分がやりたい事だけはやり続けたまま、10年は寝ないで頑張れ!」ってアドバイスを頂いたんですよ。あんまり寝るのって好きじゃなかったんですけど、寝ない方がいいのかって(笑)。
Interviewer:杉岡祐樹|Photo:齋藤卓侑
ファンから“だら尻”って呼ばれてる
--そしてもうひとつのカップリング曲、M-03『みつばちのささやき』は今までのしょこたんのイメージに近い楽曲になりました。
中川翔子:80's アイドルの夏ソングみたいなアイドル歌謡曲ですよね(笑)。
歌う時にも「もっとブリッコに歌って」って言われて「い、いいんですかぁ!」って。本当に気持ちよかったですし、完成した曲を聴いたら、これまた歌謡曲的な匂いを感じさせる「フッフー♪」っていう男性コーラスが存分に入っているし(笑)。
--さらに今作はCD+DVD盤の初回限定盤とCDのみの通常盤に加え、“グレンラガン盤”という写真集が付いたバージョンも同時発売となります。
中川翔子:『みつばちのささやき』が入ってない分、グレンラガンに出てくるヨーコのコスプレしたミニ写真集が付いてくるんです。ただ、コスプレは趣味だし大好きなんですけど、ヨーコは本当にスタイルが良いキャラなんです!(笑)
翔子はファンの方から“だら尻”って呼ばれたりしてるし(笑)、そんなに身体を出すコスプレはした事はなかったので、「ヨーコだけはちょっと・・・」って思ったんですけど、“COSPA”っていう有名なコスプレブランドさんが、クオリティの高いぴったりサイズの衣装を作って下さったんで、成りきっちゃいました!
まあ事前に頑張ってロデオボーイにも乗って半身浴もやったんですけど、・・・やっぱり付け焼き刃ではダメでしたね(笑)。
--結果として今作も100%、もう120%くらいしょこたんのやりたい事が詰め込まれた作品になりました。
中川翔子:今までは緊張や不安が大部分を占めていたんですけど、今回は凄い気持ちよく歌えたし、今までにはない歌声になっていると思うので、もしライブができるのであれば来て欲しいと思います!
--今後、イベントなどでリスナーやファンの方々の前で歌う機会もあると思います。やってみたい事などありますか?
中川翔子:生バンドの演奏をバックに、『空色デイズ』と『happily ever after』を歌えたら、めちゃくちゃ気持ち良いんだろうなって思います! 前だったら「そんな恐ろしい!無理です無理です!」って自分から引いちゃってたと思うんですけど、今はそれを目標にやってみたいです。本当にこの曲を歌わせてもらった事で、前向きに進んでいける気持ちをもらえたんですよ!やりたい事がまた増えました。
--では最後になりますが、しょこたんのこれからの野望を教えて下さい。
中川翔子:アニソンカバーもパート100まで出したい!って思うんですけど(笑)、まずは自分の曲でオリジナルアルバムを完成させたいです!あと、もっとアニメの歌もうたっていきたいし、演技の世界にも挑戦してみたいです。
Interviewer:杉岡祐樹|Photo:齋藤卓侑
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