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デュラン・デュラン最新作『FUTURE PAST』に秘めた想いをロジャーとサイモンが語る
1980年代の「ニュー・ロマンティック」サウンドを筆頭に、時代ごとに色を変えながら、常に革新的なサウンドを展開している英国発のバンド、デュラン・デュラン。前作から6年ぶりとなるオリジナル・アルバム『FUTURE PAST』は、グレアム・コクソンやジョルジオ・モロダー、マーク・ロンソン、そして日本のCHAIなど多彩なミュージシャンとタッグ。バンドの華やかな歴史に想いを巡らせながらも、未来に向けてさらなる進化を遂げようと歩みを止めない彼らの「現在」を刻んだ、ポップでダンサブルかつスケールの大きな仕上がりになった。アルバムに込めた想いをロジャー・テイラー(Dr)とサイモン・ル・ボン(Vo)が語る。
アンディ・テイラー以来? 革新的なギタリストとの仕事に久々の充実感
━━6年ぶり通算15作目のスタジオ・アルバム『FUTURE PAST』が完成しました。バンドにとってこの6年はどんな時間でしたか?何が起こっていたのでしょう?
ロジャー:ツアーに出て(特に前作は非常に成功して)、2年間まわったね。家に帰ってから少しずつ次は何をしようかと考え、またレコーディングをしようと思ったんだ。 サイモン:人によっては早くレコーディングスタジオに戻りたいという人もいる。だけど、ニックはツアーが終わるとすぐに次のショーへ行きたがった。私は、どこかで船に乗って長い休暇を過ごしたいと思っていたんだけどね、いつも少し早く戻りすぎているような気がしていたから。━━グレアム・コクソンとのコラボレーションはどのようにして決まったのですか?
サイモン:エロルがグレアムに声をかけてくれたんだ。彼は「私の親友でスタジオの近くに住んでいるから、2、3日中に来てくれると思う」って。そしてグレアムがスタジオに現れると、すぐにその気になってくれた。本当にすぐにね。プロジェクトに本気で取り組んでいると、良いアイデアを持ってきたり素晴らしいギターを弾いたりするものなんだけど、彼は本当にそれを嗅ぎ取り、献身的に曲作りに取り組んでくれたことが伝わった。我々も革新的なギタリストと一緒に仕事ができた充実感に満ち溢れたよ。こんな感覚は長い間味わっていなかったね。ここ10~20年くらいはなかった気がする。もしかしたら(80年代に在籍していた)アンディ・テイラー以来かもしれない。- マーク・ロンソンは今後も何らかの形で関わってくれるはず
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デュラン・デュラン プロフィール
メンバーは、サイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ジョン・テイラー(B)、ロジャー・テイラー(Dr)。1980年にデビューしてからこれまでに1億枚のレコード・セールスをあげ、アメリカでは18曲のヒット・シングル、イギリスでは21曲のトップ20ヒットを放つなど、さまざまな記録を持つバンド。常に独特の感性で、音楽だけでなくアートやファッションにも影響を与えている。今後バンドの長期にわたる輝かしいキャリアを祝う多数のプロジェクトやライヴ・イベントが開催予定。ちなみに、最新アルバムのアートワークは、かねてよりリスペクトしていたという日本人アーティストである横田大輔氏の写真とコラボレーション。
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マーク・ロンソンは今後も何らかの形で関わってくれるはず
━━ちなみに。エロル・アルカンとはどういうきっかけで作業をすることに?
サイモン:私は今回のプロデューサーとして名前が挙がるまで彼のことをあまり知らなかった。素晴らしいDJであると同時に、素晴らしいダンスフロア・プロデューサーでもあることにね。 ロジャー:彼がリミックスしたThe Killersの「The Man」をメンバー全員気に入っていたから、制作当初から明らかにポジティブな雰囲気があったね。だけど、彼が我々にどんなエネルギーをもたらすのかは分からなかった。結果、彼は若々しい活力を与え、それはアルバムにとって非常に重要な要素になったと思う。━━本作では、ジョルジオ・モロダーともセッションをしています。
ロジャー:彼とはデビュー初期の頃から一緒に仕事をしたいと思っていた。だけど、なかなかタイミングがあわずに実現しなかったんだ。でも、ある時ロンドンで開催された音楽賞で会って、とてもフレンドリーで穏やかな人だったから、ぜひ仕事をしたいとオファーしたんだ。彼とのセッションはものすごく刺激的だった。ジョルジオにしか出せないキーボードの音を持ってきてくれて、それがまた我々を奮い立たせてくれた。━━レジェンド繋がりで、デヴィッド・ボウイのコラボレーターとして知られる、マイク・ガーソンも参加しています。
ロジャー:我々はボウイの大ファンだし、マイクが彼と遺した楽曲はどれも本当に素晴らしい。だから一緒に仕事ができたことは夢のようだった。彼は、我々の心を揺さぶる美しいピアノアレンジを施してくれたよ。アルバムに新たな一面を与えてくれたと思う。━━また、マーク・ロンソンともタッグを組んでいますね。前作などでも彼とは共演していますが、バンドとの相性が良いのでしょうね。
ロジャー:マークとの相性は本当に良いよ。彼と一緒にやってきたプロジェクトはすべて素晴らしいものだった。そして、彼がいつでも我々の電話に出てくれることはわかっている。波長があうからね。今後も我々の創造的な仕事に何らかの形で関わってくれるはずさ。━━パンデミック(ロックダウン)は、アルバム制作に何か影響をもたらしましたか?
サイモン:我々全員が経験した感情が、楽曲に何かしらの影響を与えているのは確かだけど、正直なところ、それを特定することはできない。ただ、アルバムのリリースが1年遅れた影響はあるね。実は延期が決まってから、私は少なくとも半年間はレコードを聴いていなかった。でも再び聴き始めたら、まったく新しい視点で聴くことができたというか…改良すべき多くの点がより明確になったんだ。結果、一歩下がって遠くから眺めて、それから再び作業に入るという贅沢な時間を得られた。ロックダウン後のアルバム再制作は、やるべきことがよりはっきりしていたので、それ以前よりずっと簡単だったように思うね。デュラン・デュラン プロフィール
メンバーは、サイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ジョン・テイラー(B)、ロジャー・テイラー(Dr)。1980年にデビューしてからこれまでに1億枚のレコード・セールスをあげ、アメリカでは18曲のヒット・シングル、イギリスでは21曲のトップ20ヒットを放つなど、さまざまな記録を持つバンド。常に独特の感性で、音楽だけでなくアートやファッションにも影響を与えている。今後バンドの長期にわたる輝かしいキャリアを祝う多数のプロジェクトやライヴ・イベントが開催予定。ちなみに、最新アルバムのアートワークは、かねてよりリスペクトしていたという日本人アーティストである横田大輔氏の写真とコラボレーション。
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FUTURE PAST=すべての瞬間(今)が将来的には振り返ることのできる過去になる
━━アルバム・タイトルを『Future Past』にした理由を教えてください。
サイモン:生きているすべての瞬間(今)が、将来的には振り返ることのできる過去の瞬間になるという意味をこのタイトルに込めた。タイトル・トラックでは「二度と繰り返せないようなことをしてしまっても悲しまないで。未来では、この瞬間を振り返って、過去になるのかもしれないのだから。だから、今を生きて」と訴えている。この楽曲では『Future Past』という言葉に欠けている「Present(現在)」を伝えているんだ。━━「INVISIBLE」の歌詞についても教えてください。「見向きされない存在」について綴った内容だと思いますが。
サイモン:この曲は、ある人間関係について書いたのが始まりさ。片方が見落とされている関係についてね。その人の声は聞かれず、透明人間のような存在なんだ。曲を書いていると、意味を考えずに書き留めることが時々訪れる。でも、終盤の「a voiceless crowd isn’t backing down(声なき群衆は後退しない)」という歌詞で、曲全体の幅が一気に広がったというか、社会的なステイトメントになった。昨今起きているExtinction Rebellionやblack lives matterなどのムーブメントなどを鑑みると、この曲は深い意味を持つものになったと思う。でもそこを意識してはなかったから、ムーブメントが後からついてきたという感じさ。今では、世界が経験していることすべてに関連する曲のように思えるけどね。━━また、本作では日本のバンドCHAIとコラボした「MORE JOY」も収録しています。
サイモン:このロックダウン中に存在感を示したり、自分を退屈させないために始めたラジオ番組を通じて出会ったバンドのひとつが彼らだった。実はこの楽曲は最後までアルバム収録候補に挙がっていなかった。でもニックが、アジア人の女性の声が入ればより良くなると言って、思い浮かんだのがCHAIの存在だった。その後、日本にいる知り合いを通じてコンタクトをとり、リモートでセッションをしたんだ。すると、とてもエキサイティングな音に仕上がり、アルバムに収録することを決めたよ。 ロジャー:この楽曲の素晴らしいところは、光と闇を兼ね備えているところにある。デュラン・デュランには、常に明るい面と暗い面があって、ジョンのベースがこの曲に暗さをもたらしているんだけど、コンピュータゲームのようなポップな電子音が加わり、とてもいいコントラストを描けた。この曲には美しい光と影があり、彼らが歌ってくれたことで、より良いものになったと思う。━━そして「Anniversary」という楽曲は、バンドのこれまでの道のりに想いを巡らせてしまう楽曲ですが。
サイモン:みんなこの曲をバンドの40周年を記念した楽曲だと思っているようだけど、自分たちのこれまでを表現したつもりはないんだ。すべての人を祝うための曲を書きたかった。この曲を通じて、バンドの道のりに想いを巡らせてくれるのも良いし、長い間一緒にいたカップルの個人的な経験として楽しんでくれても良し。もしくは、家族やチームでも。誰でもこの楽曲で<祝う>ことができるのさ。━━これまでのバンドの道のりは、とても華やかなものです。それに違和感を抱いて、一時期ロジャーはバンドを離れたのですか?
ロジャー:確かに、自分には無理だと思った時期があった。バンド加入当初は、こんなに大きな存在になるとは思っていなかったからね。自分達を照らすスポットライトの眩しさを想定していなかったんだ。だから、最初の数年間は正直言ってちょっとクレイジーだなって思っていたよ。 サイモン:私が加入した時には、すでにバンドは栄光への道を歩んでいたから、その道を進めば良いという感覚が強かった。どのように行動し、操作し、働くべきかを本能的に知っていて、ここまで辿り着けたような気がするね。デュラン・デュラン プロフィール
メンバーは、サイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ジョン・テイラー(B)、ロジャー・テイラー(Dr)。1980年にデビューしてからこれまでに1億枚のレコード・セールスをあげ、アメリカでは18曲のヒット・シングル、イギリスでは21曲のトップ20ヒットを放つなど、さまざまな記録を持つバンド。常に独特の感性で、音楽だけでなくアートやファッションにも影響を与えている。今後バンドの長期にわたる輝かしいキャリアを祝う多数のプロジェクトやライヴ・イベントが開催予定。ちなみに、最新アルバムのアートワークは、かねてよりリスペクトしていたという日本人アーティストである横田大輔氏の写真とコラボレーション。
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