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<インタビュー>「定まっていないことが強み」――今市隆二が語る三代目 J SOUL BROTHERSの10年間
三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEがベストアルバム & ニューアルバム『BEST BROTHERS / THIS IS JSB』を11月10日にリリースする。2020年にデビュー10周年を迎え、ライブツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2021 "THIS IS JSB"』とともに駆け抜けてきた10周年イヤー。その区切りとなる11年目のデビュー記念日にリリースするスペシャルなアルバムには、どんな思いが詰まっているのだろうか。メンバーの今市隆二に10年間を振り返りながら、たっぷり語ってもらった。
こういう状況だからこその学び
――10周年を迎え、まもなく11年目に突入することに対して、まずは率直な心境をお伺いさせてください。
今市隆二(以下:今市):昨年コロナ禍になり、予定していたライブや10周年イヤーを行うことができませんでした。今年に入り感染症対策を行いながら、やっと有観客でのライブの開催することができて、10周年の節目を感じることができています。10年って、小学1年生が高校生になる長い期間。それだけの年月をメンバー、そしてファンの方と過ごして、いろんな事に挑戦をして夢を叶えさせてもらって、とても感謝しています。
――昨年はコロナ禍で思い通りに活動できなかったことも多かったですよね。
今市:そうなんです。LDH全体で334公演が中止や延期になりました。僕たちも最初は『三代目 J SOUL BROTHERS PERFECT LIVE 2010▷2020』という名前でツアーをやろうと思っていました。もう構成も作り上げていて、あとは本番をやるだけっていう状況だったのですが、できなくなってしまって。この状況がいつ好転するか誰もわからないし、できる限りのことをやって常に準備をしておこうという1年間でした。
――「できる限りのこと」とは、どんなことだったのでしょうか。
今市:一番最初の緊急事態宣言の時は、リモートで楽曲制作をしていました。はじめの頃こそ何をするべきかわからなかったのですが、だんだん「できることって何だろう」って考えるようになって。僕たち、デビューをしてから立ち止まることなくずっと走ってきて、休みもほとんどありませんでした。だから今回初めて納期に縛られずに楽曲制作をすることができました。それは良かったことの一つです。グループ全体としては、リモートで打ち合わせを重ねてアイデアを出し合っていました。オンラインライブはそこで出た案。全部で4回、短いスパンでオンラインライブを開催しましたが、曲も演出も変えて4つのツアーを作り上げたイメージです。結構ハードでした。
――自粛期間中も精力的に活動されていたんですね。
今市:そうですね。普通、ツアーって1つ構成を決めたらそれで全国を回るじゃないですか。だけど、オンラインだと1回やったらお終い。意外と大変でした。
――というと、我慢を重ねてやっと今ライブができているという感覚ではない?
今市:もちろん、有観客でライブをやりたいというストレスは溜まっていました。ただ、こういう状況だからこその学びもあって。約1年半ぶりに有観客ライブができたことで、当たり前のことが当たり前じゃなかったと気付けたのは大きかったです。
リリース情報
- 2021/11/10 RELEASE
- <3CD+5DVD)>
- RZCD-77447~9/B~F 11,000円(tax in.)
- <3CD+5Blu-ray>
- RZCD-77450~2/B~F 11,000円(tax in.)
- <3CD>
- RZCD-77453~5 6,600円(tax in.)
『BEST BROTHERS / THIS IS JSB』
関連リンク
取材・文:高橋梓
写真:辰巳隆二
三代目 J SOUL BROTHERSとして、そしてソロとして
――そんな中で待望のアルバムが発売、と。
今市:10周年イヤーの節目で想いが込もったベストアルバムを出せるのは、すごく嬉しいこと。実は、ファンの方の投票制というアイデアは、コロナ前から出ていました。本当は昨年リリースしようとしていたので、どういう内容にするかは一昨年の時点で大体決まっていました。長い時間がかかったからこそ、実際にファンの方々が作ったランキングをセットリストにして、ベストアルバムという形にできたことが嬉しいですね。僕たち7人だけで作っていたら、こういうセットリストにはなっていないですし。佐藤可士和さんにアートディレクションしていただいたジャケットも、ファンの方と一緒に作ったという思いがなかったらあの形にはなっていないと思います。
――9月に配信されていたメンバー会議でも、「意外なセットリスト」という話は出ていましたね。今市さん個人から見ても意外な曲が多いですか?
今市:そうですね、意外な曲の方が多かったです。「Go my way」や「LOVE SONG」、「最後のサクラ」など、デビューして2、3年目の頃の曲が結構入っているんですよ。かなり初期の曲。アルバムランキングの方も初期の楽曲が入っていたり、シンプルにびっくりしました。逆にライブのテッパン曲が入っていなかったり。デビュー当初から応援してくださっている方々がちゃんと投票してくれて、しかもずっと曲を聴いてきてくれたんだなと思いました。
▲三代目J SOUL BROTHERS メンバー会議_210915
――確かに。聴き続けていないと選べないセットリストです。
今市:このアルバムを経てライブをやる時は、セットリストの選び方も変わりそうです。グループとしては「今がベスト」と思って頑張ってきていたので、あまり過去の曲を掘り下げないできました。それに「R.Y.U.S.E.I.」前後で曲の雰囲気が少し変わっているんですよね。「R.Y.U.S.E.I.」がヒットして「三代目 J Soul Brothers=EDM」というイメージになりましたが、それ以前の曲はもう少し落ち着いてる曲が多くて。だからライブ構成を考える上でも、曲調が違うため昔の曲を選びづらかったという部分もありました。でも、そういう考えも変わっていきそうです。
――やはりグループとしてのターニングポイントは「R.Y.U.S.E.I.」になるんでしょうか。
今市:絶対そこですね。「R.Y.U.S.E.I.」でいろんな方にグループを知ってもらえて、レコード大賞をいただけて。メンバーそれぞれの意識も変わって来て、垢抜けたような気がします。
▲三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I.」
――三代目 J SOUL BROTHERSとして知名度が上がる一方で、ソロ活動をスタートされたメンバーも多いです。活動する上で気持ちの切り替えなどは意図的にされていたのでしょうか。
今市:そうですね、まず三代目 J SOUL BROTHERSはダンス&ボーカルグループで、ソロの時は1人のボーカリストという違いがあります。グループの時はやはり「7人で三代目」ということをすごく考えますね。「三代目ならこの曲はありだけど、ソロは無理だな」とか。アーティストって楽曲を決めたり作ったりするのがある種のゴールだと思っています。だからグループとソロでどういう曲をやっていくか棲み分けを考えることや音楽を作っていくことは、音楽人として一生のテーマだと感じます。
リリース情報
- 2021/11/10 RELEASE
- <3CD+5DVD)>
- RZCD-77447~9/B~F 11,000円(tax in.)
- <3CD+5Blu-ray>
- RZCD-77450~2/B~F 11,000円(tax in.)
- <3CD>
- RZCD-77453~5 6,600円(tax in.)
『BEST BROTHERS / THIS IS JSB』
関連リンク
取材・文:高橋梓
写真:辰巳隆二
スタイルが確定していないことの強み
――ソロ活動を含め、様々な楽曲をやってこられた10年間が詰まったベストアルバムと同時に、オリジナルアルバム『THIS IS JSB』もリリースされます。こちらはどんなアルバムなのでしょうか。
今市:ここ2年くらいの僕たちを象徴する曲が詰まっているアルバムです。僕たちはライブが軸となっているグループで、今も【三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2021 "THIS IS JSB"】をやらせてもらっています。ファンの方も10周年を祝おうという気持ちで会場に来てくれているので、素晴らしい空間になっています。そんなツアーがこのアルバムのコンセプト。『BEST BROTHERS』と合わさることで、過去と現在、未来全てが詰まった作品になっています。
――新曲「Honey」も収録されていますね。聴きどころを教えてください。
今市:めちゃくちゃR&Bですね。少し前だったらリード曲には選ばれていないかもしれません。ファンの方は意外な曲って思うかも。表向きはラブソングになっているのですが、コロナの影響やSNSの発展などで自分に自信がなくなってしまっている人たちの背中を押すような歌詞になっています。「あなたにしかできないことが必ずある」ということをこの曲を通して伝えられたら良いなと思っています。
――三代目 J Soul Brothersの新しい面が見えてきそうですね。
今市:楽曲性やメッセージ性の他に、MVにも新しい点があります。今回、自分たちよりも下の世代のクリエイターに監督をしてもらっていて。色合いも特徴的で、R&Bなのですが映像は結構ポップだったりするんですよね。そういうギャップも楽しんでもらえると思います。自分たちにとっては新しい表現の仕方になっているので、未来に繋がる今の三代目 J SOUL BROTHERSを感じてもらえると思います。
▲三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「Honey」
――様々な魅力を持つ三代目 J SOUL BROTHERSですが、今市さんから見て今あらためて感じる三代目 J SOUL BROTHERSの良さとはどんなものでしょうか。
今市:ロックバンドならロック、シンガソングライターならその人が作りそうな曲のように何かしらイメージがあると思います。でも、三代目はどのジャンルをやっても三代目らしさが出せる。振り返るとロックからR&B、ヒップホップ、ポップス、本当にいろんなジャンルをやってきました。最初は「自分たちにはどんなスタイルが合うんだろう」と模索していたのですが、今となっては定まっていないことが強みだと感じますし、長く続けられている秘訣だとも思います。
――あえてジャンルを決めない強み。
今市:そう。海外のアーティストを見ていても、長くアーティスト活動をされている方は1つにこだわっていないというか、楽曲のジャンルを変えている人も多いですよね。
――確かに。そんな三代目 J SOUL BROTHERSは今市さんにとってどんな存在なのでしょうか。
今市:自分のグループではあるのですが、7人だけでできているグループじゃないんですよね。たくさんの人たちの想いが乗っている場所であり、幸せになれる場所。自分たちにとっても必要だし、ファンの方にとっても必要な存在だと思います。そういう存在でありたいなと思います。
――次の10年で目指すべき姿はありますか?
今市:正直、未来がどうなっているかはわからないですけど、やれていないことがたくさんあると思うんですよね。ライブの規模を大きくするとか、世界に挑戦するとか。そういうやっていないことにシンプルに挑戦したいです。あとは……メンバーと相談ですかね。何が一番ベストかは難しいところではあるんですけど、「三代目っていつまでもかっこいいね」と言われるグループでは居続けたいですよね。もし、グループじゃなくなったとしてもメンバーそれぞれがそういうスタンスで生きていってほしいです。
――壮大です!
今市:でも、本当にそういう感じ。外見も中身もかっこいいって思ってもらえる人間、グループでありたいかな。個人としては歌えるところまではずっと歌い続けたい。アーティストとして現役でやりながら、様々なプロジェクトをやったり、自分の会社を持ったり、いろいろやってみたいですね。同時に長く続けることの大切さも最近すごく感じているので、ベストを尽くしていきたいです。
――グループとしてもソロとしても、夢が広がりますね。では最後にこのアルバムを聴く方にメッセージをお願いします。
今市:「この曲の時のイベントに行ったな」、「この時のライブってこうだったな」みたいに、10年を一緒にこのアルバムで振り返れたらいいなと思っています。三代目 J SOUL BROTHERSの名前は知っているけどライブには行ったことがないという方など、このアルバムで興味を持ってくれる方もいれば嬉しいですし、このアルバムがあれば僕らの10年を感じ取れると思います。そして、未来に繋がる楽曲もあるので存分に楽しみながら聴いてみてください。
リリース情報
- 2021/11/10 RELEASE
- <3CD+5DVD)>
- RZCD-77447~9/B~F 11,000円(tax in.)
- <3CD+5Blu-ray>
- RZCD-77450~2/B~F 11,000円(tax in.)
- <3CD>
- RZCD-77453~5 6,600円(tax in.)
『BEST BROTHERS / THIS IS JSB』
関連リンク
取材・文:高橋梓
写真:辰巳隆二
三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2021 “THIS IS JSB”
2021/12/22 RELEASE
RZXD-77494/6 ¥ 10,978(税込)
Disc01
- 01.JSB IN BLACK
- 02.TONIGHT
- 03.LET’S PARTY
- 04.1st Place
- 05.Feel So Alive
- 06.SCARLET feat.Afrojack
- 07.Waking Me Up
- 08.J.S.B. DREAM
- 09.J.S.B. LOVE -NAKKID Remix-
- 10.SOUTHSIDE
- 11.花火
- 12.Eeny, meeny, miny, moe!
- 13.線香花火
- 14.君となら
- 15.Always
- 16.LOVE SONG
- 17.PRIDE
- 18.次の時代へ
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