中川翔子【超貪欲☆まつり in 幕張メッセ】

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中川翔子

中川翔子【超貪欲☆まつり in 幕張メッセ】ライブ写真

2010.11.13（土）・14（日） at 幕張メッセ｜ライブ写真＆セットリスト

　ライブ開演に先立ち、会場屋外の展示場を利用して擬似文化祭“楽翔祭”を催すという。もちろん、その様子も取材した私は、様々なコスプレを身に写真撮影に応じてくれた方々の健やかな佇まいと輝かしい笑顔に、何だか嬉しくなってしまった。ファンや企業が計35店舗ものブースを出し合い、DJブースで踊ったり、ライブ定番曲の振り付けを練習したり……。ショートムービー上映会や、寄せ書き可能なビッグフラッグもあったりと、本当に多くの方々が能動的にライブをより楽しもうとしているのだ。“超貪欲”の冠に偽りなし。そんな笑顔の花を目の当たりにしながら私は、「そういえば今日、雨降ってないな……」とまたひとつ嬉しくなった。

　各6000人の観衆を動員する初の2DAYS公演となる今回は、オリジナル楽曲のみの構成でそれぞれ違うセットリストにするという。“BLUE STAR”と冠された初日、最新シングル『フライングヒューマノイド』のロックサウンドを背に、ピンクとブルーが基調の“ボカロ風”ドレスで登場した中川翔子が、「5周年記念ライブだー！」と拳を突き立てる。心境的には初めて開催したライブの時に近いと笑うが、ロックチューンの畳み掛けで一瞬にして熱狂を生み出してしまう展開なんて、あの頃には本人すら想像できなかっただろう。続いてキュートな黄色いドレスに衣装を替え、ど真ん中アイドルソングを凝縮した“ロマンティック・メドレー［BLUE STAR］”を繰り出せば、08年のナンバー『To Be Free』のライブ初披露も。コアなファン歓喜のステージが続いていく。

　中世貴族を思わせる荘厳な衣装が印象的な中盤は、『千の言葉と二人の秘密』など優しい響きのバラードナンバーを情感豊かに披露。無数の花びらが舞い落ちる美しい演出の『涙の種、笑顔の花』で、包み込むような世界観を創り上げた後は、恒例のダンスコーナーへ。ディスプレイに登場したお笑い芸人ザブングルの加藤が、初参戦の方も踊れるよう振り付けをレクチャーする。モノトーンストライプの衣装にブルーのリボンをあしらうキュートな姿で現れたしょこたんは、4名のステージダンサー＋計21名ものダンスチーム“ネギ”を率いて、会場を華やかに扇情。最新アルバム収録の衝撃作『TYRANT too young』では、何本もの火柱が立ち上がる中、モニターアンプに片足を乗せてハイトーンを振り絞るなど、駆け抜けるようにラストまで全開のアクトを披露するのだった。

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　“楽翔祭”で寄せ書きされたフラッグを掲げたステージ。2日目［PINK STAR］をデビューシングル『Brilliant Dream』からスタートさせたしょこたんは、「今日は今日という日しかありません！」と胸を張る。また、過去ライブの軌跡を紹介するビデオが上映される一幕は前日にもあったのだが、その最後に初日の映像がしっかり加えられていたりして、現場スタッフも“超貪欲”ぶりを発揮。中盤にはリスナー投票による“リクエストランキング”の結果が発表されるのだが、6～10位を発表した前日のナレーションがベジータ様（CV：堀川亮）だったのに対し、この日は「天元突破グレンラガン」のカミナ（CV：小西克幸）が担当。名言の連発に、「鳥肌止まんねー！」としょこたんも歓喜の声を上げた。

　初の2DAYSということもあっただろう。徐々に声がかすれ始めてしまったしょこたんだが、終盤は前日同様に迫力のアクトを振り絞るように披露する。さらに、『続く世界』『calling location』と続くアッパーチューンの連続に奮起したのか、“リクエストランキング”で不動の首位を獲得した代表曲『空色デイス』で、突き立てた人差し指を先端に天元突破！　後方からの強烈なライトに客席まで照らし出される中、「みんな、貪欲の真実を掴んだなー!?」と銀テープが降り注ぐ感動のクライマックスへ。前日のオープニングを務めた『フライングヒューマノイド』で本編を締め括ると、アンコールではこちらも前日同様、煌びやかなBOX CARに乗って会場を周遊。『Ivy』の曲中で使用したカズーを客席に投げ込むという、男性ファン大興奮のプレゼントもと、ハッピーなヴァイブスに溢れる2日目を贈り届けてくれた。

　……と、感動の2日間を駆け足でレポートしてきた訳ですが、通して最も印象的だったのは、初日の本編ラストに「私の曲は、この曲から始まりました」と披露された『Brilliant Dream』だ。同曲でCDデビューした当時を思えば、“楽翔祭”も含めたこの【超貪欲☆まつり in 幕張メッセ】は奇跡と呼んで相違ないほど素晴らしい一時だったからだ。その歌詞が今になってまた違う意味を持ち始めていることに、多くのリスナーが気付いただろう。
　日々貪欲に生きた5年の歳月の中で大きく成長し、12000人もの観衆と共に最高の瞬間を創造できる存在へ。子供の頃から抱き続けた夢の数々は、螺旋を描くように現実～過去へと変わり、まばゆい明日を光差す。感動の大団円にも涙を見せなかったのは、達するのが目標ではなく、続いていく未来が目的に変わったからだ。そこには共に夢を描くスタッフが、支えてくれる大観衆がいる。大切な宝石と言うべき楽曲たちがある。次の舞台は2011年春、新たなツアーが決定した。5周年イヤーを締め括る輝かしい夢が、その眼前に広がっている。