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<インタビュー>LE VELVETS~結成13年目にして「まだまだ創世記」と語るユニットが最高のステージを目指し続ける想い



インタビュー

 メンバー全員がミュージカルやソロのステージで活躍するスター・シンガーであり、4人集まると最強のユニットとして輝き出すLE VELVETS。音大卒の正統派の歌唱テクニックを基礎に、クラシックからポップス、ジャズ、アカペラまで広く歌いこなす彼らが、10年ぶりにビルボードライブ東京に帰ってくる。大規模なホールでのコンサートも行う4人が、ピアノ一台の伴奏で歌い、語る親密なライブはファンにとっても至福の時間だ。2日目の2ndステージは生配信となり、会場へ来ることが叶わなかったファンも自宅で彼らのパフォーマンスを楽しめる。

明日を生きる勇気を与えるために歌って生きたい(宮原浩暢)

佐賀龍彦(テノール):もともとクラシックの出身ではありますが、これまでミュージカルのアルバムも作ってきましたし、ポップやアカペラなど色々なものを歌ってきました。幅広いジャンルをひとつにつなげて聴いていただくのが僕らのコンサートのスタイルです。本当に久しぶりに来ていただくお客様に、最新のLE VELVETSのステージをお届けしたいです。

佐藤隆紀(テノール):ピアノ一本でのコンサートは歌をシンプルに伝えられますが、逆にいうと誤魔化しがきかない。そのままの僕らが出るんです。自分たちとしては、より歌に集中出来るのではないかと思います。

日野真一郎(テノール):逆にクラシカルなものはピアノだけのほうが声が活きるので、これから曲を選んでいくのですが、声が活きる曲をプログラムに入れていこうと思っています。ビルボードという空間で、後ろのカーテンが開いていくときの感動もあります。あれをいつ開こうかと(笑)。前回はお客さんをステージに上げたりもしました。そういうシーンを思い出しています。


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――コロナ禍で多くの音楽・演劇関係のイベントが影響を受けた2020年以降、LE VELVETSの4人にとっても試練の季節だった。

佐藤:県をまたぐ移動が出来なくなったり、こちらに来ていただくことが申し訳ない気持ちになったり…それぞれのメンバーの地元を回るコンサートというのも行いませんでした。ファンクラブのバースデーイベントもなくなりましたね。

日野:中止になったり延期になったりした催しも多く、開催できたとしても客席の50%以下しか入場していただけなかった。

宮原浩暢(バリトン):今回のステージも、一日二回の開始時間が早くなっているんですよね。繰り上がっている。

佐賀:ステイホームが厳しかった頃は、家にいながら何とか活動できないかと模索していました。最終的にはライヴのコンサートには勝てないと思っていたけど、配信でのコンサートもさせていただいて。そこでファンの皆様とつながれるのはやっぱり音楽なんだ、と実感したんです。配信で喜んでくださるお客様がいる限り、これを絶やしてはいけないと思いました。本当に自分を磨く時間にしようと、発声も一から見直しました。そのおかげで新しい自分と出会えたかも知れません。見方を変えると、とても有難い時期でした。自分とこれだけ向き合えた時間はなかった。この1年で変われた自分を皆さんに見ていただけるのが嬉しいです。『こんなに進化したんだな』と思われたい。

日野:僕は個人的に何か出来ないかと思ったとき、Youtubeで自分の音楽を発信するということをやってみたんです。一方的な発信なのでものすごくもどかしいんですが…ビルボードでソロのライヴをやったときは、こんなにお客さんがいることが有難くて仕方なかったですね。

宮原:自分たちの在り方について『何も出来なくなっちゃった』と感じたのは辛かったです。まだ先が見えない状況ではありますが、お客さんに明日を生きる勇気を与えるために歌って生きたいと思っています。


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お客様が何を求めていて、何を聴きたくて、どんなときに感動するのか、それがすべてだと思えるようになった(佐藤隆紀)

――今年で結成13年目。「音大卒で、身長180センチ以上」というオーディションをクリアした4人は、出身地も出身大学もバラバラの初対面だった。

佐藤:僕自身、グループに入ったときは滅茶滅茶頭が固かったと思います。クラシックの声楽を勉強してきて、それを崇高なものだという考えがどこかにあったし、技術至上主義みたいな感覚もありました。それが壊されたのは自分にとってはいいことで、「俺、これだけ歌えるんだぞ」ではなくて、お客様が何を求めていて、何を聴きたくて、どんなときに感動するのか、それがすべてだと思えるようになった瞬間があったんです。昔は「このCの音をどう出すか」みたいなところにこだわっていたんですが、それを全く考えずに「この気持ちを届けよう」と歌ったときに「今日の歌、ものすごくよかったです」と言っていただけたんです。


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日野:オペラのような芸術は、どれだけいい声を聴きに行くかという世界だから、それはそれでいいと思います。そういえば、この間昔の自分の歌を聴いたんですが…なんかね。BGMみたいで感情がない。あのときはあれがいいと思ってやっていたんだけど、時間が経ってみると、心を動かしていくものがまだまだ足りなかったんだと思います。お客さんの心を動かすものを作るのは難しいけれど、今はそれを探しています。

佐藤:結成当時を振り返ると、昔ほどわちゃわちゃした雰囲気はないですね。落ち着いてきたような気がする。

宮原:昔は本当にみんなで集まって朝から夜まで練習していましたから。最初の1~2年は毎日自分たちで練習して、たまに先生がやってきて指導を受けて、そのあとみんなで筋トレをやったり。

佐賀:宮原さんと日野さんが料理作ってきてくれたりして。

宮原:パスタとかたくさん作っていましたからね(笑)。

佐賀:筋トレしたあとに、なぜか体重が増えている(笑)。

日野:大学のグリークラブで最初から仲良しでやってきたら、違うテイストだったかも知れません。みんなオーディションで出会って、プライドもあったし、それぞれ個性もあったし。そこはぶつかり合いました。

佐賀:色々乗り越えてきましたよね。


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――今回のビルボードライブでの公演は、配信も行われ、より幅広い層の音楽ファンがスマホやPCでコンサートを楽しむことが出来る。

日野:客席ならではの良さもあるけれど、自分がリラックスできる環境で見て楽しめるのはメリットですね。どこでも見られるというのはすごいと思う。普通のチケット代より安く見られるし、ちょっと僕らに興味があるという人も、気軽に見られますよね。

佐賀:前回の配信コンサートでは、今まで一度もコンサートに行かない旦那様が僕らの姿を初めて見たという話を聞きました。家族の中で奥さんだけがコンサートに来ていて「最近やけにグッズが増えたが…」と疑問に思っていた旦那様が配信で一緒に見てくれた(笑)。 コンサートには適わないけど、そこの一歩手前にある楽しさですね。

宮原:自分の部屋でも、スマホでも大きいスクリーンでも見られるのは便利だと思う。安心してリラックスしながら見られますし。


――ビルボードライブ東京で歌を楽しむお客様には、メンバーが考案したメニューが4品並ぶ特別プレートも見逃せない。

佐賀:彩り豊かなサラダを楽しんでいただきます。ビルボード・サラダという定番のサラダにアレンジを加えて、ビネガーのチップやナッツ、スパイスも入っています。

宮原:美味しそう。ソーヴィニヨンブランやシャブリに合いそうだよね。

佐藤:僕のピザはどうしてもチーズを乗せたいとリクエストしました。大学時代にアンチョビのピザを初めて食べて滅茶苦茶ハマったんです。大学時代にこんなのが好きだったのか、と思いながら召し上がって欲しいです(笑)。

宮原:メインは牛ホホ肉の赤ワイン煮です。ワインがすごく好きなので。(宮原さんはワイン・エキスパートの称号を持つほどのワイン好き。宮原さんセレクトのワインもあります)

日野:デザートはシャイン・マスカットと、アールグレイを練り込んだクリームで、食後にアールグレイのスッキリ感が残ります。最初、葡萄と言われたんですが、お願いしてシャイン・マスカットにこだわりました。


――結成13年目にして「ユニットとしてはまだまだ創世記」と語るメンバー。つねに最高のステージを目指して冒険を続けるLE VELVETSに、勇気と元気をもらえる貴重な時間となるはずだ。


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LE VELVETSからビデオメッセージが到着

▲LE VELVETS Video Message for Billboard Live TOKYO 2021


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