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<インタビュー>與真司郎(AAA)、アーティスト活動休止前にリリースするアルバム『THIS IS WHERE WE PROMISE』にかけた思いとは
アルバム『THIS IS WHERE WE PROMISE』のリリース、全国で開催するトークショーとアリーナツアー、AAAとしてのドーム公演の振替をもってアーティスト活動の休止を予定しているAAAの與真司郎。これまでの人生のほとんどをAAAの一員として過ごしてきた彼にとって、AAAは人生そのものと言っても過言ではない存在であったようだ。それ故か、AAAについて話す時の表情はどこか名残惜しそうでもあった。けれども彼は今、前を向いている。取材中、彼の目の輝きが一段と増した瞬間があった。
「初めて来年のスケジュールが決まってないんですよ!」
コロナで失ったものはあまりにも大きい。しかし一方で、コロナで得たものも少なからずあるだろう。言うなれば、彼は自由を手に入れたのだ。ひとところに収まらない好奇心旺盛な彼を、ある意味コロナが解き放ったのかもしれない。
アーティスト活動休止に至った経緯と、これからやってみたいこと
――今も日本とアメリカを行き来する生活ですか?
與真司郎:そうですね。この前も行ってきたばかりで。ただコロナ禍になってからは今までほどは行けてなくて。
――去年はどうでしたか?
與:去年はほぼ日本にいました。行き来できる状態ではなかったので。向こうにも家はあるんですけど。
――今年ようやく行ける状況に。
與:でもまあ……日本に着いたらまず2週間は隔離期間が必要なので、仕事が溜まる溜まる。リモートの打ち合わせぐらいしかできなくて。
――隔離期間が必要なのは大変ですね。
與:なかなか難しい状況です。
――そんな中で昨年、アーティスト活動を休止すると発表されましたが、改めてその決断に至った経緯をお聞かせください。
與:AAAが活動休止を決めた時から色んなことを思うことがありました。14歳でavexに入って、15歳で親元を離れて、16歳でデビューして、もう今年で33歳になります。それを考えると人生の半分以上を”AAAの與真司郎”としてやってきたんですよね。なんかやっぱり、AAAがない中で他のメンバーみたいにソロで何かをやっていきたいという目標が、特に見つからなかったというのが理由としては大きいですね。
――AAAがあってこその與真司郎だったと。
與:AAAがあるからソロ活動ができているっていうマインドでソロライブもさせてもらってたので。それとあの時(ソロデビューした時)はファンの方が「他のメンバーがやってるから真ちゃんもやってほしい」ってすごい言ってくれたので、それだったらやってみようかってなって。
――ファンの声が後押しになったんですね。
與:それでソロアルバムを出したり、ソロライブもやらせてもらって。それはそれで達成感がありましたし、ファンの皆さんには感謝してます。やって良かったなって。でも、やっぱりそれもAAAっていう帰れる場所がちゃんとあったからだし、そこがあっての自分だって思ってたのがすごく大きくて。だからAAAが活動休止すると決まった時から自分的には「(ソロ活動は)なんか違うな」っていうのがあって。そうやってモヤモヤしながら活動するのはファンの皆さんにとっても違うんじゃないかなって思うし。
――なるほど。
與:でも今年は目標があって、ファンの皆さんが今まで応援してくれた分、恩返しをしたいと思ってるんです。何もしないっていう選択肢もあったとは思うんですけど、15〜6年ずっと応援してきてくれた方々に対してそれは自分勝手だと思ったんです。AAAは昔から応援してくれる方が多いので、そういう人たちにアーティスト活動休止前にちゃんと感謝を伝えて、アルバム制作やソロツアーを達成したいという目標が今はあります。
――この発表をされた時の與さんの「人生経験をもっと積みたい」「人生の勉強がしたい」という言葉がすごく印象に残ってます。
與:僕は結構やりたいことはやらないと気が済まないタイプなので、色々トライしてきた方ではあると思うんですけど、でもやっぱり14歳から芸能界にいたので、普通に大学行って就職してっていう一般的な生き方はしてこなかった。バイトも一度もしたことないですし。
▲「This Is Where We Promise」
――ロサンゼルスへの留学はされましたよね。
與:5年前、AAAが10周年になる前くらいからメンバーがソロ活動を始めるっていうのを聞いて、自分的に当時はソロっていう感覚はなかったので、空いた時間に海外に住みたいなと思ったんです。前から海外は好きでしたし、英語の勉強もしてたので。それとやっぱり日本では会う人会う人に”AAAの與真司郎”として見られてしまって。
――確かに、日本だと何をするにも窮屈かもしれないですね。
與:若いなりに自分の視野も狭くなってるなと感じてたのもあります。なので、メンバーのみんながソロ活動で忙しい間にロサンゼルスの大学に2年通ったんです。もともと外国人の友達は何人かいたんですけど、留学してからはもっと深い友達ができるようになって、それで考え方もどんどん変わってきました。向こうには色んな友達がいるんです。その人たちの思考や考え方を聞いてると、僕ももっと色んなことをしたいなって思うようになってきて。それがああいう(人生経験や人生の勉強という)表現に繋がってます。
――アーティスト活動休止中の予定は決まってますか?
與:今まで時間がなかったので、スノボとかサーフィンとかスポーツもしたいですし、読書もしたい、勉強もしたい、料理もしたいし、やりたいことがたくさんあって。
――たくさんありますね(笑)。
與:今までは毎年ツアーがあったので、怪我したりするとみんなに迷惑かけてしまうのでできなかったんです。来年からは時間があるし、最悪怪我してもどうにかなるんで(笑)。この16年間、ずっと今まで2年後くらいまでのスケジュールが大体決まってたんです。でも今この仕事を始めてから初めて来年のスケジュールが決まってないんですよ。その感覚がいまだに慣れなくて。でも全然不安はないです。待ってくれるファンのために、また違った形でポジティブなメッセージを届けられたらいいなって思ってます。
――アーティスト活動休止と聞いて少し不安でしたが、なんだかお話聞いてるととても前向きな印象を受けて安心しました。コロナで世の中に暗いムードが漂うなかで、與さんのような姿勢には救われる人も多いかもしれないですね。
與:僕基本明るいポジティブ人間なんです。趣味が多いタイプなので、一分でも多く人生を楽しんで、笑いながら生きていけたらと思ってます。
リリース情報
『THIS IS WHERE WE PROMISE』
2021/8/11 RELEASE<初回生産限定盤(CD+DVD)>
(スマプラ対応)
AVCD-96689/B / 4,400円(tax in.)
<通常盤(CD)>
(スマプラ対応)
AVCD-96691 / 3,300円(tax in.)
関連リンク
Interview:荻原 梓
Photo:辰巳隆二
アルバム『THIS IS WHERE WE PROMISE』への思いと、理想のアーティスト像
――それでは今回のアルバム『THIS IS WHERE WE PROMISE』ですが、この作品に込めた思いを率直に教えていただけますでしょうか。
與:これがアーティスト活動休止前の最後のアルバムになりますけど、アルバムのタイトルを直訳すると「ここが僕たち私たちの約束の場所」という意味で、AAAが帰ってきた時にライブ会場だったり音楽だったりを通して、またここで会いましょうねっていう思いを込めました。今回はとにかくファンの皆さんを頭に想像した状態で作ったアルバムで。ライブでファンのみんながこれを聴いたら喜んでくれるかなとか、こういう曲だったら嬉しいんじゃないかなっていうのを常に考えながら作りました。
――先ほどライブというお話がありましたが、アルバムには「Say My Name」や「HONEY」など、ライブ映えするアップテンポな曲が多い印象を受けました。何か理由はありますか?
與:AAAの頃からそうなんですけど、自分たち基本はライブ中心のグループだったんです。一番最初はストリート、次にライブハウス、ホールと来て、アリーナ、そしてドームに駆け上がってきたので、基本的にライブを中心に考えて楽曲やアルバムを制作します。だからライブを念頭に置いてアルバムを作るのが自分的には普通だし、それがベストだと思ってるんです。
――これまでの活動を通してファンの方の言葉で心に残っていることはありますか?
與:「人生色々あるけど真ちゃんがいてくれたから頑張れました」とか「AAAがあったから今の自分がいます」っていう言葉かな。今回のアーティスト活動休止についてスタッフさんや会社の人と相談する中で、芸能活動自体を休止するっていう選択肢もあったんですけど、でもやっぱりそういう声を聞いたりすると、簡単には100から0にはできないなって思ったんです。自分の存在が誰かの生きる理由になってるんだってことを知ると、なにも芸能活動まで辞めなくてもいいかなって。だったら音楽ではない何かしら別の方法で、ファンの方にメッセージを届けられたらと思って、こういう(音楽活動を休止する)形になりました。
――アルバムジャケットの花も印象的です。何か意味は?
與:特に隠された意味とかはないんですけど、あんまりカッコつけた感じは避けたくて。ふんわりした雰囲気で、全体的に柔らかいイメージにしたいなと思って。
――聴いてくださる方へのプレゼントみたいな?
與:まさにそうですね。
――今作には「Bye Bye」や「好き好き好き」など、ご自身が作詞に参加した楽曲がいくつかあります。特に「This Is Where We Promise」はアルバム全体のテーマそのものを象徴してる曲かと思いますが、どんな思いを込めて書きましたか?
與:たとえば「This Is Where We Promise」の歌詞の「また巡り会うとそう信じてる」「サヨナラは言わないよ またここで会えると」あたりは、AAAが帰ってきた時にはまたアーティストとして戻ってきたいっていう思いを込めて書きましたし、今回は本当にファンの皆さんを思って、ずっと考えながら書きましたね。昔のDVDも観たりしましたし、自分のiPhoneに入ってるみんなの笑顔だったりとかを見ながら、ああこういうことあったなあ、ああみんなに本当に感謝だなあと思ったりしながら。
▲「Say My Name」
――與さんは理想のアーティスト像はありますか?
與:好きなアーティストさんとかはいますけど、こうなりたいっていうアーティストさんはいないかも。自分が好きなことをやって、それをシェアして生きていけたらっていうタイプなので。たぶん僕みたいなタイプってあまり他にいないと思うんですよね。ファンの方ともすごい距離が近いですし。
――ということは、ファンと距離の近いアーティストでいたい、みたいな?
與:本当それですね。ファンと距離を置きながら作品を作り続けるタイプでは全然ないので。そういうアーティストさんがいてもそれは全然良いと思うんですけど、自分の性格には合わない。僕の場合はファンのみんなとコミュニケーションを取りながら、みんなと楽しいことを共有していくスタンスですね。ファンと一番距離の近いドームアーティストって自負してます。
――トークショーも頻繁に開催してますよね。ファンの方を大事にしている印象を受けます。
與:トークショーはここ10年くらいずっとツアーの間にやらせていただいてて。僕は絶対にトークショーは続けたいと思っていて。常に家族、友達、恋人感覚で僕に会いに来てほしいと思ってそういう環境を作ってきました。
――とても與さんらしいなと思います。
與:喜んでくれるファンが多いんですよね。逆に自分も元気をもらってますし。ドームだと何万人とかの規模ですけど、トークショーなら何百〜何千人なんです。そういうところでもみんなを楽しませる自信があって。ただのアーティストとファンの関係以上の関係は築けていると思います。
――SNSでの発信は続けていくんですよね。
與:そうですね。AAAが活動再開した時は戻ってくるので、それまではテレビかもしれないし、雑誌かもしれないし、SNSとか、音楽以外の形で色々とアウトップできたらと思っています。
リリース情報
『THIS IS WHERE WE PROMISE』
2021/8/11 RELEASE<初回生産限定盤(CD+DVD)>
(スマプラ対応)
AVCD-96689/B / 4,400円(tax in.)
<通常盤(CD)>
(スマプラ対応)
AVCD-96691 / 3,300円(tax in.)
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