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大塚 愛『フレンジャー』 インタビュー
3度目となる今回のインタビューでは、新曲『フレンジャー』の話はもちろんなんですが、大塚愛の音楽性、人間性の確信に迫るインタビューを試みました。とは言え、お相手はスマイルを絶やすことを知らない大塚愛です。堅苦しい内容にはなっていません。
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--今日はニューシングル『フレンジャー』の話を聞かせていただく前にですね、現在もロングヒット中のサードアルバム『LOVE COOK』についても、来月から全国ツアーが始まるということでお話を聞かせていただきたいんですが、僕はあのアルバムを聴かせてもらって、全面的に“エンターテインメント性”は高い作品でありながらもアーティスティックな一面を強く打ち出した作品だとも感じていて、それを一曲目『5:09a.m.』から早くも感じさせられたんですが、あの楽曲は自分の中ではどんな楽曲だったりしますか?
大塚愛:光が生まれる瞬間の曲ですね。光が射したときって、一本線の光がバッて広がっていくの時間がすごく早くて、その感じと“恋が生まれる瞬間”を重ねて歌ったものです。タイトルの『5:09a.m.』に関しては、朝の5時って、暗いのか、明るいのか分からない微妙な時間じゃないですか。6時だともう朝、早朝って感じがしちゃうんですけど、5時ってそういう意味で「ドキッ」とするんですよね。あと9分にしたのは、9がラッキーナンバーなので(笑)。
--(笑)。確かに『5:09a.m.』からはその瞬間に生まれる凄まじいエネルギーが感じられたんですが、ああいった種類のエネルギーっていうのを爆発させながら歌う曲って、今までの大塚さんの曲にはなかったものですよね。
大塚愛:そうですね。結構“静”と“動”の切り替わりが一瞬にして行われる感じが、気持ちの揺れ具合を現すのにすごく面白くって。その夜から朝に変わる瞬間ていうのを表現するために、フワフワした世界からすごくうるさいっていうか、ああいう感じにしたくなって。歌う感情的には、その世界に溺れていく感じで。
--また二曲目の『羽ありたまご』もこれまで大塚さんが見せていなかった世界観を持つ楽曲でしたよね?あの楽曲はどんなイメージを膨らませながら作られたものだったりしたんですか?
大塚愛:実は元々得意とする分野の曲で。でも今までだったら、もしかしたら詞の内容が「飛べたね」っていう方向に傾いたかもしれませんね。でも今回は敢えて、このままでは落ちることを分かっていながらも落ちた人みたいな。それでも飛べることをまだ信じてるっていう、そういうなんか、幸せなのか、不幸なのか、分かんない感じの曲にして。すごく完成度の高い曲になったなと思いますね。
--どういう心境がそういうストーリーというか、詞を書かせたんでしょう?
大塚愛:(笑)。正直、落ちてもいいなと思ったんですよね。上から下を見たときに吸い込まれそうな感じがして、「もしかしたら今ここからジャンプできるかも?」って思った出来事があったんですよ(笑)。
--それは物理的な“落ちてもいいな”だったんですか?それとも気持ち的なもの?
大塚愛:気持ち的なものでもあったり、実際に上の方から下の方へ。それは「死んでしまいたい」とかそういうことではなくて、なんか「ジャンプできるかも!」って思ったんですよね。高いところから下に。そんな感覚ですね。
--落ちてもいいから飛びたいと?
大塚愛:うん。
--『LOVE COOK』は今触れた1,2曲目のインパクトがとにかく強烈で、大塚さんの中でも特別な意味合いを持ってる二曲なんじゃないかなと思って、今日はいきなりこの二曲について触れさせてもらったんですけど。
大塚愛:私が本当にやりたい音楽はそこにあって。それで「そろそろ出してもいいかな」っていうタイミングでもあったし、自分を極限まで突き詰める扉になった二曲でもあって、すごく居心地がいいですね、あの二曲は。
--あの二曲っていうのはいつ頃作られた曲なんですか?このアルバムに向けて作っていった曲なんですか?
大塚愛:そうですね。『LOVE COOK』の制作に入って最初に出来た曲たちです。
--じゃあ、正にあの二曲が出来たから完成したアルバムと言っても過言ではない?
大塚愛:そうですね。
Interviewer:平賀哲雄
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--なるほど。あと『LOVE COOK』は、あの二曲以外にもライブでやり甲斐がありそうな楽曲が目白押しなわけですが、実際にツアーでの各曲の見せ方、聴かせ方は、早い段階から相当妄想されていたんじゃないですか(笑)?
大塚愛:(笑)。ものすごく楽しんでいただけたらいいなと、ものすごく思ってます。
--昨年のツアーはそれまで大塚さんがやってみたかったことをとことん盛り込んだイメージなんですけど、今回のツアーもかなり見どころ、聴きどころ、盛りだくさんの内容になるんでしょうか?
大塚愛:もうちょっと良い意味で気が抜けた感じになると思います。前回のツアーはとにかく一生懸命だったんですけど、ちょっと人の目を気にしすぎた部分があったので。それは悪いことではないし、むしろ気にしないのも良いこととは言えないけど、もうちょっとインに入っちゃってもいいことあるんじゃないかと思ってます。歌の世界に入っちゃうと、どうしてもお客さんを放ったらかしにしてしまうとか、そういうことを懸念してたんですけど、それはそれで、お客さんも寄り添って私も寄り添えばいいんじゃないかなってところに今達してますね。
--でもドッキリ仕掛け的なものはやりつつって感じなんですかね?
大塚愛:どうなんですかね?こっちはそう思ってても、お客さんはドッキリしないかもしんないし(笑)。変なところでみんな驚くこともあるし。
--そのツアーでも重要な盛り上げソングになってくれそうな『フレンジャー』がニューシングルとして4/12にリリースされますが、この曲はいつ頃手掛けられた楽曲なんですか?
大塚愛:元々はシングルにする予定は自分の中では一切なかったんですけど、意外に『フレンジャー』という言葉の強さに惹かれた人がいて「これはシングルだ!」って決まって。その時点では中身をちゃんと作らずに放ったらかしてたんですけど、もう一度その曲を立ち上げて、シングルにふさわしくなるように作って。でもこの曲の雰囲気がもう“あんまり力入れずに頑張ろう”っていう感じなので、制作もあんまり頑張りすぎずに頑張ろうっていう感じで(笑)。で、実際に完成したものを聴いてみたら、なんか、気が抜けてるというか、弱っちぃし。でもすごくあいくるしい感じの雰囲気が出てるので、面白いなって思いましたね。
--歌詞に関しては?
大塚愛:「毎日なんとなく頑張れる要素を自分で探しながら、これぐらいの意気込みで頑張ろうかな」っていう感じを出してますね。
--僕の勝手なイメージなんですけど、すごく女性の衝動的に出てくる素直さが軽快に綴られたナンバーなのかなと。あれ食べたい、もっと飲みたい、チューしたい、駆けつけちゃう!みたいな(笑)。自分ではどう思います?
大塚愛:そうですね。女性は基本的に男性が持っているプライドは一切なくて、違うところでプライドを使ってるので。そういうことは思ったら「やればいいじゃん」「すればいいじゃん」ていう(笑)。だから早いですよね、頭の回転が。
--ちなみに『フレンジャー』ってどういう意味なんですか?
大塚愛:味方でいてくれる友達っていう感じ。
--じゃあ、使い方としては、「今日から俺たちフレンジャー」みたいな(笑)。
大塚愛:(爆笑)。そうですね!
--歌詞の中にも出てきますけど、“いつだってそこにいてあげるんだ、駆け付けてあげる”っていうのが『フレンジャー』の定義なんですかね。
大塚愛:そうですね。でもやっぱり頑張りすぎないので、出来る限りっていう感じで。約束もしないみたいな(笑)。
--お互い無理してしまう感じになっちゃうと、ちょっと違うというか。大塚さんの周りにもそういったフレンジャーはたくさんいるんですか?
大塚愛:はい。約束守らない奴ばっかりなんで(笑)。
--それでもお互い変な関係にはならない?
大塚愛:そういうのは一切ないです。「あ、ハイハイ」みたいな(笑)。
Interviewer:平賀哲雄
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--ただこの『フレンジャー』のプロモーションビデオには、明らかに戦隊モノをイメージした5人組が出てきますけど(笑)。
大塚愛:私の中では出す予定はなかったんですけど、でもスタッフが「出したい」という強い希望があったので、出してしまいました(笑)。
--そういったものも含め、大塚愛は、そういったギャグを上手く取り入れたりもできるアーティストというイメージがあるわけですが、結構自分の中でそこっていうのはいつまでも取り入れていきたい要素だったりするんですか?
大塚愛:そうですね。人生はやっぱり頑張ることも必要だし、遊びほうけることも大事かなってところで。やっぱりフザけることはすごく大事にしてます(笑)。
--デビューする前からそういったものを考えたり、やったりするのは好きだったんですか?
大塚愛:はい。真面目なんだけど、真面目すぎるのは嫌いだし。そういった感じはありましたね。
--楽曲に関してもそうですが、そういった人の心を躍らせるものというか、どこまでも人の気持ちを明るくしていくことは大塚さんの中ですごくやっていきたいことのひとつだったりしますか?
大塚愛:そうやって人の心を明るくするのってすごく大変なことだと思うんですよね。それがもし出来るんだとしたら、それはぜひやっていきたいなって思うんです。
--そういった音楽、エンターテイメントを大塚愛に作らせる原動力って何だったりするんでしょうか?アーティストによってそれが誰かに楽しんでもらえるよろこびだったり、いわゆるナンバーワンになってやるっていう競争心だったりすると思うんですけど、大塚愛さんにとってはそれが何だったりするのか聞かせてもらってもいいですか?
大塚愛:絡み。
--絡み!?
大塚愛:(笑)。笑いの絡みもあるし、会話の絡みもあるし、あとは、裸と裸の絡みもあるし、そういったあらゆる絡み合いじゃないですかね。
--そういった絡み合いが不足して、精神的に落ちちゃうこともあったりします?
大塚愛:めちゃくちゃあります。基本的には体ひとつですし、体と頭を繋がってるので、落ち込むことがあれば仕事もうまくいかないし、嬉しいことがあれば仕事頑張れるし。
--音楽でそこから救われることは?
大塚愛:ありますね。曲が出来上がったときに、やっぱり「やり切った」っていう達成感もあるし。でも曲が形になったら、自分がどうやってここまで作り上げたのか分かんないんですよ。なんでこうなったのかも分かんないし。ただそうやって自分が「よしっ!」って満足できるものを作ったんだって思えることは、「また作ろう」っていう意欲みたいなものに繋がっていきますよね。
--では、最後になるんですが、そんな大塚愛さんが手にしたい、理想的な自分の未来とはどんな未来なのか、聞かせていただきたいんですが。
大塚愛:素晴らしい女。いつまでも女でいたい。で、女ができることは最低限したい。ですかね。
--大塚さんの中での素晴らしい女というのは?
大塚愛:いつまでも可愛らしい人でありたいし、いつまでも目を惹く女でいたいし、いつまでも色気のある女でいたいし、母性的な女でありたいし、癒やせる女でもありたいし、おばさんのようなパワーを持つ女でもありたい。
--それはずっと大塚さんの中にあるテーマだったりするの?
大塚愛:そうですね。愛し愛される女でいたいかなと思います。
Interviewer:平賀哲雄
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