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尾崎裕哉、石崎ひゅーいとのコンサートを語る
「billboard classics」の新シリーズ、二人のアーティストによるオーケストラとの共演 "Grand Duo"。その第1弾として、尾崎裕哉と石崎ひゅーいによるコラボコンサートが開催される。2013年の尾崎豊トリビュート・コンサートで初めて共演して以来、親交を深めてきた2人。2018年に開催された初の2マンライブ「双発機」では、「I LOVE YOU」「15の夜」といった尾崎豊の名曲をギター1本で披露するなど、観る者の記憶に刻まれる内容となったが、今回オーケストラを率いて繰り広げられる2人の共演は一体どんなものになるのだろうか。期待が高まる中、尾崎裕哉にコンサートへの意気込みや父・尾崎豊への思い、コロナ禍で考えていたことなどじっくりと訊いた。また石崎ひゅーいへも、メールでのインタビューを敢行。それぞれの公演への思いを語ってもらった。
Interview:黒田隆憲
石崎ひゅーいとの出会い
ーーお二人の出会いのきっかけは?
尾崎裕哉:確かキネマ倶楽部で開催された彼のライブを観に行って、そこで挨拶したのがきっかけでした。彼が尾崎豊をリスペクトしていることを聞いてすぐに意気投合して。それからは事務所でも顔を合わせることが多かったし、そのたびに「いつか、何か一緒にできたらいいね」みたいな話はしていたんです。ツーマンイベント『双発機』は、音楽監督の須藤晃さんが企画してくれたのが全ての始まりですね。タイトルの『双発機』(左右の主翼に1基ずつのエンジンを搭載した航空機)も、須藤監督がつけてくれました。
ーー尾崎さんから見た、石崎さんの印象は?
尾崎:最初に彼のライブを観たのは『集まれOZAKI』という、尾崎豊のトリビュート・コンサートで、僕はその時まだ大学生だったんですけど、彼が「十七歳の地図」をカヴァーしたときに尾崎豊のステージを完コピしていて。それがものすごく強烈なインパクトだったんですよね。「俺にはできないな」って。一方で、彼の楽曲を聴くとすごく繊細なところもある。言葉のチョイスや、その表現方法など、エモーショナルな中にも機微があるというか。
ひゅーいくんの曲で好きなものはたくさんあるんですけど、例えば「夜間飛行」という曲だと歌詞の中に“冷蔵庫の中のチンパンジー”というフレーズが出てくるんです。意味がわからな過ぎて逆にすごいなって(笑)。きっと彼の中には、僕には想像できないストーリーがあるのだろうけど。とにかく一人のアーティストとして尊敬していますね。
▲ 石崎ひゅーい「夜間飛行」
ーー尾崎さんはこれまでにもBillboardでオーケストラライブを行っていますが、普段のライブとはどんな違いがありましたか?
尾崎:普段は完全に一人ぼっちの弾き語りなので、大きなステージで大人数と一緒に曲を奏でるのは単純に気持ちいいですよね。そのぶん、一人の時みたいな自由が利かないし、他人に委ねる部分が多くなる。相手に寄り添ったり、逆に自分が引っ張ったりすることの醍醐味があります。何より、フルオーケストラって見栄えがいいじゃないですか。そこに立っている自分を見てみたいなという気持ちもあるし、そこでどう振る舞えばカッコいいステージになるかを考えていますね。
ーー以前、石崎さんとの対談で「オーケストラライブをやるときは、玉置浩二さんのライブを参考にしている」とおっしゃっていましたが、どんなところを参考にしているのですか?
尾崎:玉置さんのステージは参考にするところが本当にたくさんあって。例えばオーケストラをバックに歌う時、「入りが少しタメ過ぎたかな?」と思ったときの巻き返し方が、玉置さんの場合は尋常じゃないんですよ(笑)。あたかも最初からそういうメロディであったかのように見せてしまう、その説得力の作り方に唸らされます。しかも、エモーショナルなようでいて熱くなり過ぎない。マイクの使い方や声の出し方を、常にコントロールしているし。そういう玉置さんのパフォーマンスを、僕は常に意識しているところはありますね。できているかどうかはわからないけど。
ーーオーケストラライブをやったときの、尾崎さんファンの反応はいかがですか?
尾崎:生のオーケストラを耳にする機会ってあんまりないと思うんですよ。その迫力に皆さん驚かれていますね。「迫力」って、音が大きければ出せるものではなくて。ダイナミクスだったり響きだったり、マエストロの動作だったり演奏者の一糸乱れぬ所作だったり。様々な要素が複合して生まれるものだと思うんですよね。お客さんがそれを楽しんでくれているのと同じように、僕自身もそこに身を置くことに喜びを感じていますね。
▲ 尾崎裕哉×billboard classics 「卒業」
ーーでは、Billboardにて開催される『石崎ひゅーい×尾崎裕哉 ~双発機~』についてお聞きしていきます。こちらはどのような内容になりそうですか?
尾崎:ひゅーいくんと僕が、それぞれの楽曲を歌い、最後に2人でデュエットするという意味ではこれまでの『双発機』の延長線上の内容ではあるのですが、お互い「シンガー」としてステージに立つことってなかなかないと思うので、そんな2人の様子だったり、僕らの仲の良さだったりが見せられるといいかなと思っています。
ーーコンサートアレンジを施したことで、特に大きく変わった曲というと?
尾崎:今回、オーケストラアレンジで初めて披露するのが「Awaken」なんですけど、普段は打ち込みのビートで演奏しているこの曲が、オーケストラだと「こんな感じになるんだ!」というのが僕的には面白かったですね。もちろん「Glory Days」や、ひゅーいくんと一緒に歌う予定の「15の夜」などのオーケストラアレンジも、すごく壮大で迫力のある仕上がりになっているので楽しみにしていて欲しいです。
ーー石崎さんにはどんなことを期待しますか?
尾崎:とにかく、泣かせにいってほしいですね(笑)。俺はしれっと歌って「イエーイ!」みたいに終わらせるつもりなんで。
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