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【特集】TikTokバズをバネに今後さらに注目拡大!? 謎のユニット“IGLOOVY”とは



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 2021年、ネット発のヒット曲が音楽シーンをざわめかせる時代となった。なかでも、作品という“火種”に適したリスナーをマッチングすることでバズを“着火”するショートビデオ・プラットフォームTikTokは、表現者とリスナーを結びつける最も影響力をもつメディアとなったのだ。

 かつて、昭和~平成時代、その役割を担っていたのはテレビやラジオの音楽番組、音楽雑誌、そしてCS放送で放送されるミュージックビデオだった。誤解を恐れずにいえば、既得権益であるトップダウン式な情報の伝え方であったのが、インターネットやスマホの浸透の結果、民主的なリスナー評価の連鎖が“再生回数”や“いいね数”というデータとして可視化される時代となり、新しい才能がボトムアップ式に世に広がるようになった。とはいえ、今もなお音楽番組も雑誌もミュージックビデオも、アーティストの魅力を伝えるツールとして重要な存在だ。しかし、インターネットの普及以降、情報が伝わる順番に変化が起きたことは間違いのない事実だ。

 そんななか、現在進行形でTikTokでバズっている謎めいたユニットIGLOOVYに注目をしたい。

 2021年1月に初めてTikTokに投稿した、たった20秒のオリジナル曲「サック」が、904K超再生、106.2Kいいね、さらにリスナーが楽曲を活用して制作する“歌ってみた”“弾いてみた”“踊ってみた”など二次創作動画=UGC(ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツ)投稿が2,300を超え、フォロワーも28.9K人と右肩上がり状態となっている(※2021年6月18日現在)。

@amaryllis.ruf

初めまして、TikTok初投稿です。よろしくお願いします。 ##オリジナル曲 ##おすすめ ##music ##song ##original

♬ Suck - ÄmaRi

 オリジナル曲「サック」における、90年代末のR&Bサウンドセンスを感じるサウンドメイク、どこか耳覚えあるコード感。すでにTikTokコメント欄でも“椎名林檎 meets宇多田ヒカル”と評されるなど人気が高まっているのだ。

 今の時代でいえば70’s~80’sリバイバル、都会的に洗練したサウンドを持つシティ・ポップ感も重要な要素となっているかもしれない。一度聴いたら忘れられない憂いを持つ歌声。ラップで加速する小悪魔めいた妖しいライムの響き。タイトルからも派生する“ショットグラス”などバブル時代なワードが登場する考察したくなるストーリーテリング。まさに、TikTok発で盛り上がりを見せた、もさを。、和ぬか、Adoに続く才能として、リスナーによる“見つけてしまった感”という熱量の連鎖が止まらない。

 そう、このリスナーが感じる“見つけてしまった感”こそが、TikTok時代に大切なヒットの重要要素となっている。リスナー、自分だけが知っている宝物のような距離感。アーティストと直結するワクワクする共犯関係。そこに、いわゆるセンスのズレた宣伝やオトナ感、無理な仕掛けは必要とされてはいない、ということなのだろう。

 そんなIGLOOVYが、2021年6月16日にファン待望のデジタル・シングル「サック」のフルサイズを配信リリースし、メジャー・デビューを果たした。初のオリジナル曲を投下してからたった5か月。しかも1曲で、だ。このスピード感、まさにTikTok以降のアーティストの在り方を体現した次世代スターの誕生に僕らは居合わせているのかもしれない。


 いまだ謎めいた存在感を解き放つ、IGLOOVYのプロフィールについて解説しよう。

 2020年秋に結成した北海道在住の2人組ユニット、IGLOOVY(イグルービー)。ヴォーカルや歌詞、イラストを手がける天縫七里(あまぬい ななり)と、作曲・アレンジ・Mixを手がける武石飛景(たけいし ひけい)による20代前半の男女ユニットで改名前はÄmaRiとして活躍していた。ふたりとも、YouTubeやTwitterで呼吸するかのように精力的な活動を報告し続けているSNSネイティヴなアーティストだ。

 天縫七里は、歌い手としてキャリアをスタートしたAdo以降の次世代ボカロ文化圏を牽引するボーカロイド・プロデューサーのsyudou、すりぃ、煮ル果実、てにをは、Kanariaなどによる作品を、YouTubeで歌ってみた・カバーしていた歌い手として知る人ぞ知る存在だ。


 天縫がトラックメーカー武石飛景とともに結成したIGLOOVYは、ボカロ文化圏、TikTok文化圏、YouTube文化圏において重ね合わさるポイントに存在している。歌謡テイスト、そして90年代R&Bテイストも世代を超えてアプローチできる有効なタグとなっている。タグの掛け合わせの妙こそがオリジナルとなる時代なのだ。

 コロナ禍のいま、ライブハウスやフェスから次世代スターが生まれづらい現代。おうち時間は続き、2021年の下半期も間も無くスタートしようとしている。是非はともかく、ネット発アーティストの躍進は止まることを知らない。そんななか、突如現れた新しい才能、IGLOOVYの活躍に期待したい。その歌声と楽曲センスに注目すべきだ。

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