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<インタビュー>SOMETIME'Sが語る自身のルーツ ブラックミュージックとJ-POPを織り交ぜたニューEP『Slow Dance EP』



 2017年、SOTA(Vo.)とTAKKI(Gt.)によって結成された音楽ユニット、SOMTIME'S。彼らの2nd EP『Slow Dance EP』がIRORI Recordsよりリリースされる。ユニット編成でありながら音源やライブではさまざまなサポートミュージシャンが参加し、ブラックミュージックをはじめオンタイムなサウンドプロダクションにJ-POP然としたポピュラリティも織り交ぜた楽曲を鳴らす。SOMTIME'Sの立ち上がりから『Slow Dance EP』の内容について二人に語ってもらった。

曲ごとに一緒にやりたいミュージシャンを呼んだほうが楽しいんじゃないか

――お二人はもともとそれぞれが前に組んでいたバンド時代からつながりがあったとのことですが、この二人で音楽ユニットを組もうと思った最大の理由はなんだったんですか?

TAKKI:一番の理由はやっぱりSOTAが前に組んでいたバンドが解散したことですね。僕が先に前に所属していたバンドを辞めてギタリストとして活動していたんですね。変な話、バンドってお金が出ていくばかりじゃないですか。でも、サポートミュージシャンは仕事を受けた分だけギャラをいただける。ギタリストとしてサポート仕事をやっていく中で、音楽でお金をもらえてることが自分にとって一つの心の栄養になったんです。

――音楽を生業にできているという。

TAKKI:そうですね。音楽で生活していけるかもしれない、みたいな。ちょうどそのころにやっぱりもっと主体的に音楽をやりたいという気持ちが強くなって。サポート仕事で恵比寿のLIQUIDROOMのステージに立ったときに、お客さんもいっぱいいて、自分の音楽キャリアの中では最大の動員数の中でライブをやったんですよ。そのときにこのままいったら、サポートミュージシャンとして武道館に立つようなこともあるな、それはちょっと違うな、自分の中で誇れなくなる気がすると思ったタイミングでSOTAのバンドの解散が決まって。SOTAは気心も知れてるし、テクニックもあるし、彼の歌が好きだったので「一緒にやろうよ」って誘ったんです。音域も広いし、音楽性としてもやれることが多いと思ったのが大きいですね。英詞も上手く歌えるし。

SOTA:英詞で歌うのが好きなだけで、英語を話せるというレベルではないんですけどね(笑)。

――SOTAさんも前のバンドを解散してから、また誰かと組みたいと思っていたんですか。

SOTA:バンドをやりたいという気持ちは正直あまりなかったです。それでも音楽は続けたかったので、TAKKIと組むとなったときに必然的に「ドラムとベースはどうする?」という話になりました。二人の周りにいるミュージシャンの名前を挙げながら「あいつもいいし、あいつもいいなぁ」という話になって、「選べないならもう、二人でいいだろ!」ってなったんです(笑)。曲ごとに一緒にやりたいミュージシャンを呼んだほうが楽しいんじゃないかと。

――音源を聴いてもブラックミュージックを基軸にしつつ、サウンドのバリエーションがかなり豊富だし、バンド編成で録ってる曲もあれば、打ち込みメインで構築している曲もあって。ユニットとして活動していこうとなったときにどんな音楽像をイメージしたんですか?

TAKKI:ユニットを組んだ時点である程度年齢を重ねていたし、自分のサポートミュージシャンで得た経験からも漠然と「ロックではないな」という感覚があったんですね。SOTAが前に組んでいたバンドがロックにラップが入ってるようなスタイルで、僕はそれを見ていてSOTAのボーカリストとしてのポテンシャルをもっと活かせる音楽性でありグルーヴがあるなと思っていたんですね。ユニットを組んだときにSOTAが最初に持ってきたデモがブラックミュージック寄りのものだったので、「そうそう、その感じ!」と思って。そこはすり合わせすることなくスタートできた感じがありました。

SOTA:もともと個人的にずっとやりたいと思っていたのはブラックミュージックに寄った音楽だったので。自分の音楽のルーツとして、Queenにはじまり、スティービー・ワンダーからどんどんブラックミュージックが好きになって、その前は親父の影響でMr.Childrenやユーミン(松任谷由実)をずっと聴いていたので。最初からグッとくるメロディを歌いたいという気持ちが強くありました。

――実際に楽曲からはブラックミュージックやトレンドのサウンドを意識しつつ、J-POP然としたポピュラリティも高く担保するという意識を感じます。

TAKKI:そうですね。僕とSOTAの音楽的なルーツはそこまで被ってないんですけど、僕の役割としてギタリストでありバランサー的な立ち位置にいるつもりでいて。黒くなりすぎないように意識したりとか。あとは基本的にトラックメイクやアレンジに関しては藤田道哉という第三のメンバーと言っていい存在がいて。彼の力がかなり大きいです。彼はYMOや80年代の音楽がすごく好きなうえでトレンドのテイストも取り入れるのも上手い。そうやっていろんなリファレンスを共有しながら3人でやり取りしてます。なので、SOMETIME'Sは僕ら二人のユニットとしてフォーカスしてもらっていますが、自分たちとしては藤田をはじめレコーディングやライブに参加してくれるサポートミュージシャンも含めて一つのプロジェクト、チームだという感覚が強いんですね。

▲「Slow Dance」

――この2nd EP『Slow Dance EP』は、1曲目の表題曲はルーツミュージック的なフィーリングもありつつポップに開けていて、2曲目の「Never let me」はEDMっぽい展開があって、4曲目の「Raindrop」はインディR&B感がありつつメロディはスティングの「Englishman In New York」のようなムードもある。そして、ラストの「シンデレラストーリー」はゴージャスなサウンドで踊らせるポップナンバーでかなり多面的な音楽性を打ち出していますけど、どういうEPを目指して作り上げていったんですか?

TAKKI:もともとこのEP自体が2曲目の「Never let me」を除いて自主制作音源をリアレンジして録り直したものなんですね。そういう意味でも1曲1曲をパワーアップさせるためにリアレンジに集中した感覚が強くて。自主制作盤を作ったときから若干トレンドも移り変わるし、今ならこういうアプローチができるなというイメージもあって。あとは当時、生で管楽器を入れるお金もなかったので、それを叶えられる環境を用意してもたえたので、管楽器を生で入れられたのもすごくうれしかったです。

SOTA:まず、IRORI Records(所属レーベル)から自主制作時代の音源を出していいと言ってもらえることがうれしかったんです。ボーカル的にも自主制作盤はSOMETIME'Sを始めて最初にレコーディングした作品だったので、そこには当時の初期衝動的なニュアンスが残っていて。そのよさを新しい歌録りで活かすのが意外と難しかったですね。

▲「シンデレラストーリー」

――現時点では歌詞の内容も含めてラブソングとして着地している曲が多い印象ですが、今後サウンドのアプローチも含めてどんなところを押し進めていきたいですか?

TAKKI:去年はコロナ禍ということもあって、制作にほとんど時間を費やしたんですね。今作の次にリリースする予定の楽曲制作も始まってるし、歌詞と向き合う時間が圧倒的に増えたんです。その中でこういう歌詞を書きたいというビジョンもどんどん明確になってきていて。ラブソングが多いとよく言われるんですけど、自分の中では同じラブソングでもシーンが違えばその核にあるテーマも変わってくるので。いろんな状況やテーマを描けるラブソングを書けるようになりたいと思ってます。サウンドに関しては、僕は直近に聴いた音楽を吸収するタイプなので、ソウルにハマったらずっとソウルを聴くし、その反動で一日中SUPER BEAVERとかエモいギターロックしか聴かない日もあって(笑)。そうやってソウルっぽいサウンドにロック的なアプローチをしてポップに成立させたら面白そうだなと考えてます。

SOTA:僕がまだ自分が思い描いているボーカリスト像がもっと先にあるので。そこに向かいつつ、やりたい音楽性の幅が広いユニットなのでいろんなサウンドのアプローチに全部対応できるようにボーカリストとしての厚みを増していきたいと思ってます。

SOMETIME’S「Slow Dance EP」

Slow Dance EP

2021/05/26 RELEASE
PCCI-5 ¥ 1,650(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Slow Dance
  2. 02.Never let me
  3. 03.interlude
  4. 04.Raindrop
  5. 05.HORIZON
  6. 06.シンデレラストーリー

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