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<インタビュー>宮本笑里、この1年のこと、そしてライヴへの思い



宮本笑里インタビュー

 「こんな宮本笑里もいますよ」、そんな思いで制作したEP『Life』は、初めて自作曲を中心とする編成で、ナオト・インティライミのプロデュースによるポップに弾む曲など、確かに新しい宮本笑里に触れられる作品。アルバム全体として期待感を煽るものだったので、発表直後に予定されていたコンサートが本当に楽しみだった。
 だが、コンサートは中止せざるを得ない状況となり、これまでに2回の延期を経て、遂に『Life』リリース・ツアーが開催されることになった。彼女自身にとっても待ちに待ったライヴ。この1年のこと、そして、ライヴへの思い、どんなステージになるのか、お話をうかがった。

――今の率直な思いをまず聞かせてください。

宮本笑里:去年のツアーの予定がこれまでに2回延期されて、パフォーマンスが出来ないという経験を経ているので、今回こそはやりたいという思いは、やはり強くありますね。もちろん延期されるなかで、状況は誰もが同じなので、自分だけ焦っても仕方ないし、無理してやってもいい結果にならないというか、ここはみなさんの健康を第一に考えなくてはいけないとわかっていたので、「絶対にいつかは演奏できるだろう」という希望を持って、延期という残念な事態を乗り切ろうと思っていましたね。

――そうは思っても、精神的にきつかったというか、モチベーションを保つのが大変だった、というようなことは?

宮本笑里:アーティストの方であれば、誰もがこの悲しい気持ちをどこにぶつけたらいいのか、という感情を少なからず抱えていた1年だったと思います。私もそうでしたが、でも、ヴァイオリニストは、結構おウチに籠って練習するタイプの人が多いんですよね。だから、反対に今は「練習期間ですよ。だから、練習に集中しなさい」と神様に言われていると思い、ステイホームをしながら、あらためて楽器と向き合ったり、練習も毎日のルーティーンとしてやっていました。ヴァイオリンもスポーツと同じで、指を動かしていないと退化してしまうので、常に練習をして動かすことが大事なんですよ。そういう日々のなかで、家族と過ごす時間がすごく増えたので、変わってきたところもいろいろありました。

――具体的に変わったところは?

宮本笑里:どうしても忙しいと、子供と向き合う時間が減ってしまうところがあったんですが、家でずっと一緒に過ごす時間を持てたので、そこがまず良かったです。ちょうど今成長期にあるので、こんなことを考えているんだなとか、事細かく理解してあげることができるのが母親としては本当に良かったなと思っています。また、音楽活動の面では普段時間に追われる生活をしていると、乗り気になれないというか、作曲するのにちょっと腰が重くなってしまうのですが、他にやれることがなかった時期は、作曲に取り組むなど、チャレンジする時間が圧倒的に増えましたね。

――どれくらい曲はできましたか?

宮本笑里:頑張って2曲という感じです。作曲はあくまでも気分転換、違うことを考えようという意味もあったので、時間が出来たから書かないといけない、といった感じであまり神経質というか、真剣になりすぎないようにしようという思いで曲を書いていたので。だから、完成した2曲は、サラッと出来上がったという感じでした。

――お子さんと向き合う時間が音楽に与える影響というのは?

宮本笑里:結構反映されていると思います。やっぱり人生経験って、音色につながるなと思っているので。子供が生まれた時も最初は子育てが大変で、自分が追いつかないところがあったけれど、徐々に自分なりのリズムがつかめるようになると、ヴァイオリンの音色もより深みを追求できるようになったところがあったんですよね。

――なるほど、そのステイホーム中もインスタライヴなどでいろいろ発信されていましたよね。

宮本笑里:今回コロナ禍で、みんながしんどい、つらい、苦しい思いをしているなか、私達はどうにかして、何かしらを発信すべきじゃないかと思ったんですね。動画だったり、インスタライヴだったり、つながる瞬間に、直接顔を見ることがなくても、喜んでくださっている反応がチャットなどの文字で見られたことは、私自身うれしくて。そういう思いが積もり積もって、それがまたヴァイオリンにいい影響をすごく与えていると思います。


――インスタライヴを始めたのはつながるためでしたか?

宮本笑里:そうですね。去年初めてインスタライヴをやりました。これまでSNSをそれほど得意としてこなかったのですが、インスタライヴだと、拍手は聞こえないけれど、弾き終わった後に文字で“パチパチ”とか反応してくださる人がいる。また、私が発信することで、元気になってくださる人もいる。お顔は見えなくても、それがうれしくて、いい時間になっているのかなぁという風に思いましたね。

――配信ライヴもやっていましたよね。

宮本笑里:無観客のなかでの演奏、スタッフさんが一生懸命に拍手をしてくださったりしたのですが、いつもはお客様の笑顔だったり、なんか空気感でパワーをもらっているのがわかっていたので、それがないと、ちゃんと届いているのかなという不安は、すごくありました。最初は不慣れで、全然コツがつかめなくて。でも、その難しさが自分のいい勉強になりました。

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