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<インタビュー>クリス・ハートが語る活動休止からカムバック、そしてこれから



クリス・ハート インタビュー

 豊かな声量と多彩な表現力、日本の情緒を描き出す歌心によって、音楽ファンの心を掴んできたクリス・ハートが、ビルボードライブツアーを開催する。
 アメリカ・サンフランシスコ出身のクリスは、2012年にカラオケ番組で優勝したことをきっかけに日本デビュー。1stアルバム『Heart song』のヒットによりブレイクを果たした。2013年、14年にNHK紅白歌合戦に出演、16年に日本武道館公演を成功させるなど、順調にキャリアを重ねてきたが、18年に活動休止。約2年間のブランクを経て、昨年、アーティストとしての活動を再開させた。
 今回のインタビューでは、活動休止中からカムバックまでの道のり、現在制作中の新作、そして横浜を皮切りに東京、大阪でも開催されるビルボードライブ公演の展望などについて語ってもらった。

子供たちもずっと「I LOVE YOU」を口ずさんでいて、その姿を見ていたら歌いたいと思いました。

――まずは活動を休止していた2018年から2年間のことを聞かせてください。2012年のデビュー以来、順調な活動が続いていましたが、なぜ休止したのでしょうか?

クリス・ハート(以下、クリス):2016年に初めて47都道府県ツアーをやらせて頂いて、そのファイナルが日本武道館公演で。ちょうどそのタイミングで息子が生れ、いろんなことにチャレンジしていこうと思っていたんですが、実は2度目の47都道府県ツアーのときに耳のトラブルがあったんです。子供のことも考えて、しっかり治さないといけないと思ったし、改めて音楽の勉強をし直したいという気持ちもあって。健康のため、子どものため、音楽の勉強のために、活動休止を決めました。

――なるほど。音楽の勉強というと?

クリス:バークリー音楽院のオンラインコースを受講して、作曲、編曲、プロデュースを学びました。じつは休止している間も、ディズニーの公式アカペラグループ(ディカペラ)の日本語楽曲歌唱をプロデュースしたり、コリー・ハートの楽曲(ポール・ヤングとのデュエット曲「ヤング・アット・ハート」)の作曲を手がけたり、いろいろな仕事をさせてもらってました。ショートムービーのサウンドトラックを担当したり、スキルアップにもつながりました。


▲Young at Hart

――家族との時間もたっぷりあった?

クリス:そうですね。今は子供が3人いるんですが、ずっと一緒に過ごして、みんなの成長を目の前で見ることができたのはとても良かったです。家族の時間を大切に過ごしているうちに耳の調子も治ってきて、「また歌いたい」という気持ちになりました。ちゃんと、子供たちにパパが歌っているところを見てもらいたいという思いもありました。ただ、活動休止中は全然歌ってなかったんですよ。

――え、そうなんですか?

クリス:はい。川嶋あいさんの楽曲(「For one’s smile feat.クリス・ハート」)のレコーディングで歌ったのが最後で、1年半はまったく歌ってなくて。カラオケにも行かなかったし、正直、歌えるかどうか不安でした。勉強のためだったり、仕事のときは音楽を聴いてましたが、それ以外のときは音楽に触らないほうがいいかなと思って。なぜかというと、デビューしてからの5,6年はずっとインプットしてたんですよ。いろんな曲をいろんな場所でカバーさせてもらっていたので。ただ、アウトプットする機会がなかなかなくて。活動休止中はいったん音楽から離れて、0からスタートしたかったんです。


▲For one’s smile feat. クリス・ハート

――もう一度歌ってみようと思ったのはどうしてなんですか?

クリス:きっかけは、May J.さんが僕のオリジナル曲「I LOVE YOU」をカバーしてくれて、その楽曲を自身でプロデュースを担当したことです。その曲を通じて子供たちもずっと「I LOVE YOU」を口ずさんでいて、その子供たちの姿を見ていたら歌いたいと思いました。「I LOVE YOU」自体もランキングに上がっていたし、新しいバージョンを作りたいと思い、久しぶりに歌いました。

――「I LOVE YOU(2020 Ver.)」ですね。久々に歌ってみて、ブランクは感じませんでしたか?

クリス:思ったよりも大丈夫でした。歌い方、歌のアプローチも変えたんです。ハイトーンが必要なメロディだし、以前は力強く歌わないようにしていたんですけど、新しいバージョンではサウンドも変わって、よりパワフルに歌っていて。声自体も、活動休止前よりも強くなった感じがしました。


▲クリス・ハート「I LOVE YOU 2020 Ver.」元NMB48女優太田夢莉出演・リリックビデオ

――「I LOVE YOU(2020 Ver.)」のシンセを活かしたアレンジも新鮮でした。原曲とはかなり違うイメージですね。

クリス:全然違いますね。シンセを使った曲がもともと好きなんですよ。アメリカの80年代、日本だと80年代後半から90年代前半くらいのレトロなサウンドに興味があって、活動休止中にアナログシンセを何台か買いました。いま制作している楽曲も、そういうテイストの曲があります。

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