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<インタビュー>「夢はグラミー賞」クリスティーナ・アギレラに憧れ、演歌からR&Bへ yukaDD(;´∀`)が語る21年間の歩み



インタビュー

 2020年1月にシングル「Carry On」を発表し、ワーナーミュージック・ジャパンからメジャー・デビューしたyukaDD(;´∀`)が、ついに1stアルバム『21x21』を完成させた。プロデュースは、彼女をオーディションで見つけ出して以来、その活動を支え続ける音楽プロデューサーのJin Nakamura。作詞はyukaDD(;´∀`)自身が主導した。現在21歳の彼女のリアルなパーソナリティとメッセージを真摯に綴ったリリック、パワフルで伸びやかな歌声、そしてグローバル基準のR&Bマナーに則ったサウンドが詰め込まれた、計10曲入りだ。

 夢はグラミー賞の舞台。グローバルな活動を見据える彼女のルーツやモチベーション、1stアルバムに至るまでの道のりと今後について、話を訊いた。

クリスティーナ・アギレラを聴いて世界を夢見た幼少時代

――まずはyukaDD(;´∀`)さんが音楽の道を志し始めたきっかけについて教えてください。

私は幼い頃から演歌を歌っていたんですけど、8歳のときにクリスティーナ・アギレラを初めて聴いて、すごく衝撃を受けたんです。英語も分からない状態で、耳コピでアギレラの真似をして歌ったりしていたぐらい、彼女に憧れてしまって。その頃から洋楽にハマり出して、グローバルに活躍できるようなアーティストになりたいと思い始めました。それが小学校2年生のときぐらい。

――最初のルーツは演歌なんですね。

そうです。最初は演歌歌手になりたかったんですよ。亡くなったおじいちゃんが演歌が大好きで、入院してるときに歌をうたってあげるとすごく喜んでくれて。それがきっかけで歌を始めたんです。それで最初は習い事の一環というか、歌うのが楽しいぐらいの気持ちでやっていたんですけど、アギレラに出会って、本格的にアーティストを目指すようになりました。



Christina Aguilera - Genie In A Bottle


――アギレラ以外に聴いたアーティストは?

セリーヌ・ディオンとかマライア・キャリーとかホイットニー・ヒューストンとか。今でも好きなんですけど、当時は自分もこれぐらい歌えるようになりたいなと思って練習したりしていました。

――80~90年代を代表するディーヴァたちですね。彼女たちのどんなところに魅力を感じたのでしょう?

声がパワフルな人が多くて、フェイクもすごい。アドリブも本当に上手で、衝撃を受けました。あんな歌をそれまでは聴いたことがなかったので衝撃的でしたね。ソウルフルなところに心を動かされたというか、当時幼いながらにすごく魅力的に感じたんです。

――演歌から洋楽へ。きっと歌に対するアプローチも全く違いますよね?

違いますね(笑)。一気にシフトチェンジしました。演歌は特有のこぶしがあるし、最初は大変でした。ずっとやってきたことだったので、ちょっと癖がついちゃったりしていて、もっとナチュラルに歌えるようになりたいなと思って練習しました。




――なるほど。一方でダンスもやっていたんですよね。これはいつ頃から?

ダンスはもう少し早くて、3~4歳の頃に始めました。昔は私、すごく体が弱かったんです。数か月に5~6回は40度近い熱を出す子だったんですよ。それを心配した祖母が、体を強くするために運動させたほうがいいと思ったらしくて、それで選んだのがダンスだったんです。

――ダンスはそれ以降もずっと続けていた?

はい。演歌をやっていたときもずっと続けていました。

――歌にしろダンスにしろ、ずっと続けていたということは、何かを表現することが根本的に好きだったということなんですかね?

好きでしたね。1~2歳の頃の私も「アンパンマンのマーチ」を踊っていたらしくて。母が言っていたんですけど、けっこう自然に体を動かしていたみたいです。

――今のyukaDD(;´∀`)さんもその延長線上にいるんでしょうね。Jin Nakamuraさんのオーディションはどんなきっかけで受けようと思ったんですか?

その当時はオーディションを受けるようなレベルじゃないと自分で勝手に思っていたので、そういうのを避けていたんですよ。それを心配した先生が「絶対に受けたほうがいいから」と勧めてくださって、それで受けたら合格したんです。




――そこからプロのアーティストへの道が開けていったと思うんですが、周囲のリアクションはどんなものでした?

オーディションに受かったあと、すぐにロサンゼルスでレコーディングすることが決まったので、母は「え?」みたいな感じで。でも、「あなたが行きたいんなら行ってきて。私は応援してるから」と背中を押してくれました。友達も「頑張ってきてね」とずっと応援してくれていて。

――周囲の後押しもあって。

そうですね。私の中ではけっこう挫折の時期もあって。中学から高校に進学しようというタイミングで、周りが就職したり、同じスクールの子がデビューしていったり、自分以外の子が確実に道を決めていく中で、自分は歌が何にも繋がってないという焦りがあったんです。それで、このままじゃ歌自体、諦めたほうがいいかなと考えた時期があって。私がそうやって悩んでいたことに気づいた母が、「ママは、あなたにはまだ頑張る力が残っていると思う。その力を使わずに諦めてしまうのはもったいないと思うよ」と励ましてくれたんです。その母の言葉を聞いて、「お母さん、そんな風に思ってたんや」と衝撃を受けて、もう一度、歌と一から向き合って頑張ってみようと思って、大阪スクールオブミュージック高等専修学校に進学したんです。なので、母にはすごく感謝しています。


愛に溢れた1stアルバム『21x21』

――そして2020年1月10日、メジャー・デビュー・シングル「Carry On」がリリースされました。この曲をデビュー作に選んだ理由は?

テーマとしては“別れ”を描いている楽曲ではあるんですけど、“Carry On”には“続ける”とか“進み続ける”という意味があって。誰もが一度は“別れ”を経験したことがあると思うんです。そういう人たちに向けた曲でもあるし、まだそういう経験がないという人たちにもきっと共感してもらえるんじゃないかなと思いました。



yukaDD(;´∀`)メジャーデビュー1st Digital Single「Carry On」Music Video【Full ver.】


――「Carry On」のリリースから数か月後、世界中がコロナ禍に見舞われました。yukaDD(;´∀`)さんも思い描いていたアーティスト活動がなかなかできず、戸惑いを感じたりなどは?

ありましたね。ライブもしたかったけど、なかなかできるような状態じゃなかったし。動きたいけど動けない。もどかしさがありました。いまも厳しい状況ですけど、今年こそはライブできたらいいなと思っています。

――社会全体が鬱屈したムードに包まれる中、yukaDD(;´∀`)さんがメンタルを健康的に保つためにしていたことはありますか?

おうち時間が多かったので、歌とダンスはずっとイメトレしていました。あと私、ゲームが好きなので、ゲームをプレイして気分を落ち着かせたり。ほかにも自炊とか、自分なりの楽しみ方をしていたと思います。ひじきが大好きなので、よく食べていました(笑)。




――ひじきは「blackboard」の歌詞にも出てきますね。ゲームというと?

マリオが好きなんです。けっこう昔からやっていて、ソフトも色々持っています。

――マリオといえば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに『スーパー・ニンテンドー・ワールド』が……

できますよね。絶対行きます。

――そういう意味でも、早く気軽に外出できるようになるといいですよね(笑)。音楽の話に戻りますが、作詞と作曲はどのような分担で行っているのでしょう?

作曲はJinさんにお任せしているんですけど、作詞は私も携わらせていただいていて。なので、自分自身について描いた楽曲が多いです。特に「blackboard」なんかは素というか、普段の自分をありのまま表していますね。



yukaDD(;´∀`) 「blackboard」


――その「blackboard」も収録されているアルバム『21×21』ですが、どんなコンセプトで作り始めましたか?

この21年間を振り返ってみて、それこそお母さんとか友達とか、たくさんの人たちから愛情や励ましをもらえたからこそ、私は辛いことや悲しいことがあっても、自分の夢に向かって突っ走ってくることができたと思っていて。なので、今度は私から愛情を持って接していきたいなという想いがあって、そんな愛が溢れたアルバムになっていると思います。

――オープニングは表題曲でもある「21×21」で、いま仰った通り、愛情や友情を分けてくれた人たちへ贈る愛の歌になっています。

まさしく21年間、私が生きてきた中で感じた感情をテーマにしているんです。歌詞は分かりやすい表現がいいなと思ったので、素直にありのまま書きました。楽曲を初めて聴いた人でも聞き取れて、なおかつポジティブになっていただけたらいいなと思って。



yukaDD(;´∀`) 「21×21」Music Video


――2曲目の「Diamonds」ですが、タイトルはyukaDD(;´∀`)の“DD”の語源でもありますよね。やはり特別な思い入れがあるモチーフなんでしょうか?

特別ですね。私は4月生まれで、誕生石がダイヤモンドということもあるんですけど。この「Diamonds」という曲は、たとえ日常の中に溶け込んでいても、自分自身で輝いて人生を歩んでいけるんだということを歌っています。

――個人的には「Jealousy」から「Changes」への流れ、すごくドラマティックに感じました。

本当ですか。ありがとうございます。「Jealousy」は王道の失恋ソングなんですけど、大好きな人が離れていってしまって、立ち直れなくて嫉妬心に苦しんでいる感情を表した楽曲です。自分はまだそういう恋愛を経験したことはないですけど、歌っているだけで切なくなっちゃいます。


夢は大きく、グラミー賞の舞台

――「I am a wonder woman, Supergirl」と力強く歌う「Superhero」は、TWICEのMOMOさんが出演されたミュージック・ビデオも話題となりました。

“Superhero”というテーマで歌詞を書くにあたって、「自分にとってのスーパーヒーローって誰やろう?」と考えたときに、それが小さい頃から憧れてきたMOMOさんだったんです。それでMVに出ていただけないかなと思ってお願いしたら、本当に出演していただけることになって。めっちゃびっくりしたんですよ。MOMOさんは、通っていたダンススクールが同じだったんです。

――ステージで共演したこともあるとか。

あります。私が歌をうたっていて、ダンサーで踊ってくださったのがMOMOさんで。その繋がりもあって、絶対にMOMOさんに出てもらいたいと思っていました。

――当時から気になる存在でした?

そうですね。自分がいたクラスの次にレッスンしていたのがお姉さんクラスで、そこにMOMOさんがいて。当時から本当にダンスが上手だったんですよ。いつも「あんな風にかっこよく踊れるようになりたいな」と思いながら見ていました。

――まさしくヒーローだったんですね。

そうですね。この曲でコラボするなら、MOMOさん以外考えられないぐらいでした。



yukaDD(;´∀`) 「Superhero (Special Version) [with MOMO]」Music Video


――作詞をする際は普段、どんなところからインスピレーションを受けますか?

そうですね。私はけっこう人の話を聞く側なので、友達のリアルな恋バナを聞いたり、あとはドラマや恋愛リアリティーショーを見たりして「たぶんこういう気持ちになるんだろうな」と想像します。それで、舞い降りてきた言葉をメモしたり。

――意識的に日常の中で探すというか。

それは意識していますね。「これは歌詞にできそうやな」って。ラブソングに関しては、友達の話からインスパイアされることが多いかもしれないです。

――それでも行き詰る瞬間はあると思うんですけど、そういうときはどうしますか?

音楽とは全然関係ないこと、普段なら絶対しないようなこと、例えば嫌いなものを食べてみるとか、何かにチャレンジしてみますね。あとは、普段見ないような怖いテレビを見たり。それで、どういう気持ちになるんだろうって試してみます。




――普段は作詞と作曲、どちらが先ですか?

曲が先です。Jinさんからデモをいただいて、そこからイメージを膨らませて歌詞を書いていくことが多いですね。

――曲から作詞のインスパイアを受けることもある?

ありますね。曲から思い浮かぶイメージや風景とか。あと、Jinさんに作っていただいた楽曲を歌うと、めっちゃアドリブしたくなるんですよ。意識してるわけじゃなく、勝手に出ちゃうんですよね。「HIGH SCHOOL FUNK!!!」や「21×21」の最初のフェイクとか。

――シングルのデビューから1年が経った今、yukaDD(;´∀`)というアーティストを客観的することはできますか?

歌詞は分かりやすく表現していて、歌はソウルフルで。なおかつ、グローバルな活動を視野にして動いている。そんな本格的なアーティストに見えていればいいなと思います。

――では、描いている理想のアーティスト像は?

それはもうクリスティーナ・アギレラですね。夢は大きいですけど、いつかグラミー賞を狙えるようなアーティストになりたいと思っています。あのステージで歌うことが目標です。なので、日本語だけでなく英語と中国語でも楽曲をリリースしていますし。

――最後に、満を持してのアルバム・デビューとなりましたが、この作品のリリース後に楽しみにしていることは?

たくさんの方に私の音楽を聴いていただきたいですし、ライブもできたらいいなと思っています。ビルボードライブ東京でやらせていただいた関係者向けのコンベンション・ライブ以来、ステージに立っていないので。あれも久しぶりのライブだったので、もちろん緊張もしましたけど、すごく楽しかったです。やっぱりライブっていいなと思いました。



yukaDD(;´∀`)『HIGH SCHOOL FUNK!!!』2020/11/26 @Billboard Live TOKYO




Interview by Takuto Ueda
Photo by Yuma Totsuka

yukaDD(;´∀`)「21x21」

21x21

2021/03/17 RELEASE
WPCL-13272 ¥ 3,080(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.21×21
  2. 02.Diamonds
  3. 03.#goals
  4. 04.Jealousy
  5. 05.Changes
  6. 06.blackboard
  7. 07.Bubble Up
  8. 08.Carry On
  9. 09.Only Have Love For You
  10. 10.Superhero
  11. 11.FIGHT FOR YOU [Remastered]
  12. 12.HIGH SCHOOL FUNK!!! (English Ver.) [Remastered]

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