Special
<コラム>加速するSixTONESの成長、意外性=振れ幅を詰め込んだ4thシングル『僕が僕じゃないみたいだ』
王道ポップ・ソングの意外性
SixTONESの快進撃が止まらない。2020年のデビューから「Imitation Rain」「NAVIGATOR」「NEW ERA」と3枚のシングルを立て続けにチャート1位に送り込み、待望のデビュー・アルバム『1ST』ももちろん初登場1位。初週だけで50万枚に迫るセールスを記録した。歌番組にCM、ドラマにバラエティ、そしてSNSや動画配信での積極的な発信と、彼らを目にしない日はないほどだし、SixTONESのグループとしての活動に加えて、メンバー6人の個人仕事もますます充実している。
中でも俳優としての活躍が目覚ましいのが松村北斗だ。現在放送中のドラマ『レッド・アイズ 監視捜査班』では飄々としたイマドキの天才ハッカーを好演している彼だが、2月19日にはついに初主演映画『ライアー×ライアー』も公開された。『ライアー×ライアー』は松村と森七菜のW主演で“ウソから始まる、ありえない恋”を描いたラブコメディで、SixTONESにとって『1ST』リリース後の初シングルとなる「僕が僕じゃないみたいだ」は、その『ライアー×ライアー』の主題歌に抜擢されたナンバーだ。
SixTONES - 松村北斗W主演「ライアー×ライアー」メンバーだけで鑑賞会
SixTONESの楽曲には、ざっくりと二つのパターンがある。一つには、彼らのずば抜けた音楽スキルとセンスが活かされた、「これぞSixTONES!」という勢いを感じさせるナンバー。そして、もう一つが「SixTONESはこんなこともできるのか!」という意外性、彼らの新たな可能性が発掘されたナンバーだ。いずれにしても確かな実力を持つ彼らだから可能な振れ幅であって、SixTONESはそうやって自分たちを揺さぶりながら、“らしさ”の及ぶ範囲をガンガン広げてきたグループだとも言えるだろう。
今回の「僕が僕じゃないみたいだ」は後者のパターン、SixTONESとしては意外性のあるナンバーだ。何が意外かと言えば、とにかく驚くほど“まっすぐに”ポップなこと! 直球ど真ん中のリリカルなメロディと、ヴァース→ブリッジ→コーラスと王道の曲展開。もちろん彼らはこれまでもポップな曲をたくさん歌ってきたが、これまでのSixTONESのポップの多くがエレクトロニクスを駆使したものやラウドなノイズ、ガツガツと圧も強めに攻めるタイプのそれだったのと比較すると、「僕が僕じゃないみたいだ」の瑞々しい生音を生かしたサウンド・メイクや、ボーカル・エフェクトを極力抑えたクリーンな歌声は、一周回ってすごく新鮮に聞こえる。
SixTONES - 僕が僕じゃないみたいだ (Music Video) [YouTube Ver.]
多様なカップリング曲も聴きどころ
SixTONESの強力な武器でもある田中樹のラップ・パートはお休みで、胸キュンな歌詞をこれまたまっすぐ伝えるボーカル・チューンに徹した「僕が僕じゃないみたいだ」は、ストリングスとホーンの華やかなオケとも相まって、ラブコメ映画の主題歌として最高最適な仕上がりになっているのだ。この曲の前にMVが制作され、大反響を呼んだのが“あの”「うやむや」だったことを思えばすごいコントラストだが、そのジェットコースターのような落差を常に体感できるのも、SixTONESの音楽の楽しさでもある。ちなみに彼らは「僕が僕じゃないみたいだ」のMVを2本制作していて、「“another”Music Video」と題された2本目のMVはリリック・ビデオになっている。「聴いてくれたら嬉しい、歌ってくれたらもっと嬉しい」と彼らもコメントを寄せているが、たしかにこれまでの4枚のシングルの中でも飛び抜けてシンガロングが楽しそうな曲だ。
SixTONES - 僕が僕じゃないみたいだ (”Another” Music Video) [YouTube Ver.]
主演映画の主題歌ということもあって、冒頭が松村のソロで始まるのも新鮮だ。ちょっと屈折した男子のナイーヴさの中に甘やかな余韻を残す彼の歌声は絶品で、「君といるときの自分が好きなんだ それが本当の僕だ きっと」と歌い上げる中盤の見せ場は、『ライアー×ライアー』で彼が演じた透の心境そのものだ。松村とメイン・ボーカルであるジェシーと京本大我の個性の違いや、6人のハモリの美しさも存分に楽しめる「僕が僕じゃないみたいだ」を聴くと、SixTONESはつくづく才能の層の厚さとバラエティに富んだグループだと思うのだ。
初回盤A、初回盤B、通常盤にそれぞれ収録されたカップリング曲についてもご紹介しておこう。「Strawberry Breakfast」は、コンサートで6人が花道を練り歩く様が今から眼に浮かぶような、ゴージャスなファンク・チューンで、ドライブ・ミュージックとして最高に盛り上がりそう。「Call Me」は、いかにもSixTONESらしい浮遊感のあるチルなR&Bチューン。3rdシングルの「NEW ERA」をリアレンジした「NEW ERA (Japanized Rearrange)」はその名もズバリ、イントロから一気にジャポニズム! 三味線、それに篠笛だろうか、彼らは大胆な和アレンジを余裕で乗りこなしている。そして、SixTONESらしい攻めの1曲が「Bella」だ。ここで彼らはラテン・ミュージックとヒップホップを融合させた、いわゆるレゲトンをやっている。ラテン・ミュージックの空前のブームが続くUSポップ・シーンの現在形をきっちり反映した上で自分たちのものにしているのが最高だし、ピュアで奥手な男子の恋心を歌った「僕が僕じゃないみたいだ」と「I wanna see you shake your bon bon」とセクシーに煽る「Bella」が1枚の中にしれっと同居しているあたりも、まさにアイドル=SixTONESの醍醐味かもしれない。
SixTONES – 僕が僕じゃないみたいだ nonSTop digeST
カップリング曲がカップリング曲の枠を超えて個性を主張し、全5曲がそれぞれ全く別の方向に成長している。『1ST』のリリースからわずか1か月、SixTONESは最初のピリオドを打つ間もなく、もっとずっと先にいっているのだ。
僕が僕じゃないみたいだ
2021/02/17 RELEASE
SECJ-25 ¥ 1,100(税込)
Disc01
- 01.僕が僕じゃないみたいだ
- 02.Call me
- 03.NEW ERA (Japanized Rearrange)
- 04.僕が僕じゃないみたいだ -Instrumental-
関連商品