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The Biscats『Teddy Boy (feat. TeddyLoid)』メンバー全員インタビュー



The Biscats『Teddy Boy (feat. TeddyLoid)』メンバー全員インタビュー

「世界的に見ても、今僕らが体現しているロカビリーは他にない」

 BLACK CATSやMAGICのメンバーとして日本ロカビリー界を牽引してきた久米浩司の娘であり、2020年代に新しいロカビリームーヴメントを起こすべく奔走中のMisaki。そんな彼女のもとに集まった稀少な同世代のロカビリーミュージシャン、Kenji、Suke、Ikuoの4人から成るThe Biscats。TeddyLoidをフィーチャリング・アーティストに迎えた勝負作のリリースに合わせて、「The Biscatsのロカビリーが世間に受け入れられる=音楽シーンの革命となる」そんな使命を背負った彼らの音楽人生にフォーカスしつつ、その革命を成す為の狼煙となるEP『Teddy Boy (feat. TeddyLoid)』について語ってもらった。

The Biscatsメンバー
Misaki(Vocal)
Kenji(Guiter)
Suke(W.Bass)
Ikuo(Drums)

飯を食っていくには難しいジャンルだったんです

--前回のインタビューは、Misakiさんと今作『Teddy Boy (feat. TeddyLoid)』をサウンドプロデュースしたTeddyLoidさんの対談でしたが、今回はThe Biscatsのメンバー4人揃い踏みということで、このバンドのストーリーについてもお話を伺わせてください。

【MV】The Biscats「Teddy Boy feat. TeddyLoid」
【MV】The Biscats「Teddy Boy feat. TeddyLoid」

Misaki:この4人が初めて会ったのは、2016年。そこからThe Biscatsとしての活動スタートに至るまで3年かかったんですけど、元々は私がソロでロカビリーを歌っていたんです。それでライブをする為に演奏してくれるメンバーを探していて、でもロカビリーをやっている人ってどうしても年齢層高めだったりするので、同世代でロカビリーを演奏できる人ってなかなか居ないんですよね。なので、結構探し回っていたんですけど、彼らが関西でロカビリーバンドをやっていると知って、すぐ連絡して「東京に来て一緒にライブしてもらえないかな?」と誘ったんです。

Kenji:僕とSukeが同じバンドで活動していて。

Ikuo:で、僕とKenjiくんは昔バンドを組んでいて。

Misaki:なので、私が初めて呼んだときは、KenjiくんとSukeと別のドラマーがいたんです。そこから一緒に活動していくうちに、そのドラマーの人が辞めることになって、そしたら「前に一緒にバンドをやっていた奴がいるんだけど」ってKenjiがIkuoを呼んでくれたんです。

Ikuo:その時点で僕は就職していて、普通にスーパーで働いていたんですけど(笑)。

--そういう経緯で4人が揃ったんですね。では、その男性メンバー3人のルーツも辿らせて頂きたいのですが、Kenjiさんはどんな経緯でロカビリーに目覚め、The Biscatsのメンバーとして活動するに至ったんでしょうか?

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▲Kenji

Kenji:小さい頃に『ポンキッキ』を観ていたら、ビル・ヘイリーの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」が流れていたんですよ。そのサウンドがずっと自分の中に残っていて、でも子供だから当時は誰のなんて曲かも分からなくて。で、そのうち兄弟の影響でギターを始めて、親父がよくフォークソングを聴いていたので、自分も弾き語りがやりたいと思っていたんですけど、たまたま家でエルヴィス・プレスリーのビデオを見つけて「これがロックンロール、ロカビリーというモノか!」と衝撃を受けるんです。中学3年生ぐらいの頃ですかね。そこからオールディーズのCDを聴いていくうちに「ロック・アラウンド・ザ・クロック」と再会して、「あ、これが『ポンキッキ』で聴いていた曲だったんだ。自分は子供の頃からハネたシャッフルのリズムが好きだったんだな」と。

--生まれながらに好きだったんだと気付くんですね。

Kenji:あと、オールディーズのオムニバスに何故かストレイ・キャッツが入っていて、それでネオ・ロカビリーというモノを知って「俺はロカビリー・ギターを弾きたい」と思うようになり、どんどんハマっていきましら。その中で「日本にもロカビリーがある」と知り、まずは『日劇ウエスタン・カーニバル』から始まり、BLACK CATS、MAGICと聴いていくんです。それで「自分もロカビリーバンドを組みたい」と思ってから今日までずっとロカビリーバンドをやり続けています。

--ただ、さっきもMisakiさんが言っていたように、いわゆる他のロックバンドと違って、簡単にメンバーが見つかるジャンルではないわけですよね。

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▲Misaki

Kenji:なかなか見つからなかったですね。中学時代とか、みんなはORANGE RANGEさんとか流行っている音楽を聴いていたので、誰も僕の好きな音楽に共感してくれなくて(笑)。高校に行っても、みんなはグリーン・デイとか聴いていて、そこで「いや、バディ・ホリーが……」とか言っても「誰?それ」じゃないですか。

一同:(笑)

Kenji:なので、幼馴染みに強制的に「ウッドベースをやってくれ」と。でも、その前に自分が演奏できなきゃいけないと思って、自分でウッドベースを買って、ストレイ・キャッツのリー・ロッカーの教則DVDも買って、それを観ながら練習してから幼馴染みに教えたりして。で、吹奏楽部でドラムを叩いている奴がいたので、そいつに「好きやろ!? こういうの!」と刷り込んで(笑)。自分は和歌山県出身で田舎に暮らしていたんですけど、そこで行事とかある度に「ライブやろうぜ!」って無理やり一緒にやったりしていました。IkuoやSukeとは自分が大阪に出て行ってから出逢うんですけど、Ikuoは対バンで逢ったんやっけ?

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▲Ikuo

Ikuo:共通の知り合いがいて、対バンしたときに出逢って。ちょうどそのときにKenjiくんの組んでいたバンドがメンバーチェンジするタイミングで「ドラムを探している」と聞いて、僕もKenjiくんのバンドに対して「格好良いな」と思っていたので、一緒にやることになったんです。僕にとっては、それがロカビリーの入り。僕が18歳ぐらいの頃ですね。

--Ikuoさんはそこに至るまでどんな音楽ストーリーを歩んでいたんですか?

Ikuo:僕は中学生の頃にブラスバンドをやっていて、高校では軽音楽部に入ってドラムをやり始めるんですけど、そこまで真剣にやっていたわけじゃなくで、あくまで学校の部活レベル。でも、卒業したあとに「真剣にバンドをやってみたいな」と思って、いろんなバンドに入ったりしていた時期にさっき話した対バンで、ロカビリーバンドを初めて観て「なんやこれ? 凄いな」と。で、Kenjiくんのバンドに入ることになったときに、まず最初にストレイ・キャッツを聴いたんですけど、立ったままドラムを叩く姿がすごく格好良く見えて「これは面白いもん見つけたな!」と。そこから50年代のバディ・ホリーやらエルヴィスやらいろんなロカビリーを聴くようになって、ジャパロカも掘り下げて、自分自身もロカビリーをどんどん叩いていくことになるんですけど、でもそれで飯を食っていくには難しいジャンルだったんですよね。

--その道一本で生きていくのは厳しいですよね。

Ikuo:生活のことを考えたときに、普通の職業に就いたほうが良いんんじゃないかと思ったんですけど、それで就職して普通に働いていても、やっぱり「あのとき楽しかったな」と思ったり、バンドのみんなでひとつの目標に向けて一生懸命何かやる、その面白さを忘れられないでいたんです。そしたらちょうどThe Biscatsになる前のこのバンドから声がかかって、最初はバックバンドみたいな感じだったんですけど、「もう1回頑張ってみようかな」と思って東京に来て、練習しながら感覚も取り戻したりしているうちにメンバー同士の気も合ったりして、新しい夢に向けてThe Biscatsとして活動していくことになった感じですね。

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  1. 天才としか言いようがない。お父さんの血をちゃんと受け継がれている
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インタビュー写真

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天才としか言いようがない。お父さんの血をちゃんと受け継がれている

--一度は諦めた世界だったけど、このバンドなら続けていける実感があった?

【MV】The Biscats「ハートのエース」
【MV】The Biscats「ハートのエース」

Ikuo:最初に話を頂いたときに楽曲を聴かせてもらったら、もちろんロカビリーなんですけど、今までのロカビリーにないポップさがあって、そもそも女性が歌うロカビリーバンドってこれまで全然いなかったから、他にはない色気もあるし、その時点で「これは勝負できるな」って。もっと言っちゃえば、売れそうだなって(笑)。今、なかなか売れるロカビリーってないと思うんですけど、このバンドならそれが叶えられると思いました。

--続いて、Sukeさん。

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▲Suke

Suke:僕も親父がフォークソングを聴いていたり、ビートルズとかストーンズとかのロックの世代でもあったので、しかもめちゃくちゃ好きでオタクだったんですよ。だから、家の中にずっとそういった音楽のレコードが流れている環境で育ったから、その影響は大きかったと思うんですけど、決定打になったのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公マーティが「ジョニー・B・グッド」(チャック・ベリーの名曲)を演奏するシーン。あれに衝撃を受けて、まずはギターを初めて自分も「ジョニー・B・グッド」のリフとかを練習して遊んでいたんですけど、そこからどんどん深掘りしていって、ストレイ・キャッツとかBLACK CATSに出逢ってウッドベースの存在を知るんです。

--それがウッドベースとの運命の出逢いだったんですね。

Suke:「これ、格好良いな」と思って、当時18歳ぐらいだったんですけど、「同世代でウッドベース弾いている奴おらんし、これはチャンスなんちゃうか?」と思って、独学でウッドベースを弾くようになりました。で、メンバーと出逢うんですけど、最初はお客さんとして彼らのライブを観ていて、何回か通っているうちに仲良くさせてもらって、そのバンドのベースが抜けるタイミングで声をかけてもらったんです。で、その抜ける人にウッドベースの基本をイチから教えてもらってから加入して、気が付いたらここにいます。

一同:(笑)

--Misakiさんは、久米浩司さんの娘ということもあって、ロカビリーシーンのサラブレットじゃないですか。そういう人と一緒にバンドを組むってどういう感覚だったんですか?

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▲Ikuo

Ikuo:お父さんのことは当然存じていましたし、その娘さんと一緒に音楽を作っていけるというのは凄いことだなと思いました。僕からしたら「雲の上の存在から声をかけてもらった」みたいな感覚でしたね。だからすごく嬉しかったし、断る理由はなかった。

Suke:自分は、最初は「可愛いし、歌上手いし、一緒にバンドやったら楽しそうやな」ぐらいにしか思っていなかったんですけど(笑)。

Misaki:そうだったんだ(笑)。

Kenji:僕は、自分と真逆のタイプの性格だったんで、最初は「おーっと、どえらい女の子が来たでぇ!」と思いました(笑)。僕はあんまり「いぇーい!」みたいな感じじゃないんですよ。でも、初対面のときに彼女は仲良くしようと気負い過ぎて、明るく「いぇーい!」みたいな感じで現れて。それに対して自分は「あ、どうも」みたいな。

--困惑の初対面だったんですね。

Kenji:でも、ちゃんと話してみたらすごく優しい人でした。

Ikuo:無理やり綺麗にまとめた(笑)。

Misaki:なんでそんな感じになっちゃったかと言うと、急にPVの撮影で初対面することになったからなんですよ。その状況下で、2人ずつ絡むシーンがあったから、その場で距離を縮めようと思って「いぇーい!」って(笑)。私も普段はグイグイ行くタイプじゃないんですけど、みんなが大人しい雰囲気だったから……

--頑張って明るく振舞っていたんですね!

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▲Misaki

Misaki:「明るくしなきゃ!」と思って。でも、空回りした結果、最初に「ミサミサと呼んでください」って急に話しかけちゃって(笑)。

Ikuo:それはキツい(笑)。

--で、ミサミサと呼んでもらえたんですか?

Misaki:いや。

Suke:僕だけ「ミサミサ」と呼んでいたんですけど、3日ぐらいでやめました。

Misaki:あと、3人とも関西人で、自分だけ関東の人間だったからノリについていくのが大変でした。ツッコミを入れられることに慣れてなくて、しばらく「私、怒られてんのかな?」って(笑)。でも、今はもう良い感じに乗っかれるようになって、どんどんボケられるようにもなりました!

--バンドのフロントマンや歌い手としてのMisakiさんには、どんな魅力や個性を感じていたりしますか?

Misaki:すぐ答えて、ここは!

Ikuo:えーっと……

Kenji:いったん、向こうで打ち合わせしてもいいですか?

一同:(笑)

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▲Kenji

Kenji:Ikuoも言ってましたけど、新しい感じもするし、歌も上手いし、あと、一緒にスタジオとかで演奏していく中で思ったのは、ロカビリーのノリでの歌い方がものすごく上手で「これは誰にもマネできないだろう」と。普通だったらドラムの上に乗っかって歌ったりすると思うんですけど、逆に我々が彼女の歌に乗っかっていく感じで成立する歌い方なんですよね。ロカビリーの転がっていく感じがちゃんと出ていて、そこはもう天才としか言いようがない。お父さんの血をちゃんと受け継がれているんだなと思いました。本当に凄いから、羨ましいぐらいです。

--では、Misakiさんから見たお三方は?

Misaki:まずKenjiくんはギターの音色がめちゃめちゃエロいんですよ。他のギタリストには出せない音色だから、それはThe Biscats的にも強い武器だなと思っていて。あと、リーダーなので、基本的に楽曲制作面でみんなを引っ張っていってくれる存在。かと言って、上から物申したりはせず、優しくみんなをまとめてくれる。

--Sukeさんは?

Misaki:Sukeは感覚が凄いなと思います。どんなことを伝えても、頭で考えずに感覚で理解できちゃうタイプ。あと、ロカビリーの音楽性だけじゃなくファッションとかインテリアにも詳しいので、The Biscatsの衣装を決めるときとかに率先して動いてくれる。そこもすごく助かっています。

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ロカビリーブームをもう一度起こしたい

--では、Ikuoさんは?

【MV】The Biscats「take away」
【MV】The Biscats「take away」

Misaki:2016年にKenjiくんとSukeと会って、Ikuoが合流したのはその2年後ぐらいだったんですけど、溶け込み方が尋常じゃなくて! 来た瞬間から仲良し!みたいな。そういう愛される能力がすごくあって。あと、ドラムの練習を延々としてる。ストイックなんですよ。朝から夜まで4人でレコーディングして「あー、終わった。帰ろう」っていうタイミングで、Ikuoだけは「ちょっと、僕、スタジオ入ります」ってそのまま練習しに行っちゃう。

Suke:Ikuoは僕と真逆のタイプなんですよ。

Misaki:感覚じゃなく頭でしっかり考えるタイプ。腕の角度とかまで研究してる。

Ikuo:僕は頭でっかちなんで、理屈が大好きなんですよね。

Misaki:なので、4人とも性格はバラバラなんです。でも、不思議とぶつかることはなくて、すごく良いバランスで活動できているなって思います。

--そんな4人がThe Biscatsで体現していきたい音楽、ロカビリーって言葉にするとどんなモノだったりするんでしょう?

Kenji:The Biscatsに加入する前から、自分らと同年代や年下にもロカビリーの良さを広めたいと思っていて、今はそれが出来るチャンスを頂いたと思っているんです。なので、僕らは最先端の音楽も取り入れつつ、でもロカビリーのサウンドは崩さない。そういう二刀流的なアプローチをどんどん続けていって、いろんな人に聴いてもらいたいと思いますね。

--今回のEP『Teddy Boy (feat. TeddyLoid)』に収録された3曲は、まさにそのコンセプトを体現していますよね?

The Biscats『Teddy Boy (feat. TeddyLoid)』メンバー全員インタビュー
▲『Teddy Boy (feat. TeddyLoid)』ジャケット写真

Kenji:そう思います。ロカビリーと今のダンスミュージックって年代が違うだけで、どちらもその当時の最先端のダンスミュージックであって、よくよく聴き比べてみると、8ビートであっても、4つ打ちでも、シャッフルでも、バスドラの位置とかはそんなに大差なくて。ということは、ロカビリーが今の時代に受け入れられても全くおかしくないんですよね。で、今回、TeddyLoidさんのお力でソレを体現することが出来た。あと、これはTeddyさんも言ってくれていたんですけど、こういう作品をゆくゆくは世界に発信したいなと思っています。

Misaki:日本人で、ロカビリーで海外でも評価されたら凄いことだもんね。

Kenji:海外のロカビリーアーティストとセッションしたり、レコーディングした人はいるんですけど、海外でツアーまわったりしている人たちはいないので、そこの枠をモノにしたいんですよね。

Ikuo:今回のTeddyさんとの曲もそうなんですけど、世界的に見ても、今僕らが体現しているようなロカビリーは他にないと思っているんです。すごく格好良い曲を作っているし、海外でも全然通用する曲だと思っている。日本人らしさもあって、なおかつロカビリーマナーは全く失われていない、新しいロカビリーだから、日本ではもちろん、海外にも発信していきたいですね。

--そこへ向けた狼煙を上げた作品が『Teddy Boy (feat. TeddyLoid)』だと思うんですけど、仕上がりにどんな印象を持たれていますか?

The Biscats『Teddy Boy (feat. TeddyLoid)』メンバー全員インタビュー
▲Ikuo

Ikuo:表題曲「Teddy Boy (feat. TeddyLoid)」は王道のネオ・ロカビリーというか、ほんまに格好良いネオロカ曲だと思うんですけど、さらにTeddyさんの近未来的なサウンドアプローチも加わっている。「これが格好良いネオロカや。70年代、80年代でも通用するネオロカ」と言われたらその通りだし、EDMの要素もあるから「今のダンスミュージックや」と言われてもその通りなんですよね。そういう二面性を持った曲って他にないと思うんですよ。それを形にしてみせたTeddyさんの凄みも感じるし、ロカビリーの懐の深さも感じられて、それこそいろんなところで勝負していける曲になったと思いますね。

--革新的なナンバーですよね。

Ikuo:2曲目「Hot and Cool」はハッピーな曲なんですけど、これこそ絶対的なロカビリーだと思います。ロカビリーって音楽だけじゃなくファッションとかアンティークとか含めて、どこからどう見てもハッピーなジャンルなんですよ。すごく楽しいもの。それを完全に音楽化できた楽曲だと思いますね。あと、もう1曲「magic hour」は3連のスローバラードなんですけど、ギターやウッドベースの音色でロカビリー感がすごく出ている。みんながイメージするロカビリーではないんですけど、バラードのロカビリーという普通のバラードとは違う良さが出せている曲でもあり、歌詞の世界観と演奏の世界観がしっかりマッチングしている。

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▲Misaki

Misaki:「magic hour」は、Nintendo Switch専用ゲーム『キューピット・パラサイト』のエンディングテーマなんですけど、日没前と日没後のあいだの空が金色になる時間=マジックアワーを題材にしていて。それを一緒に見ながら愛し合う2人が未来を描いていく、そんなイメージで歌詞を書かせて頂いたんですけど、いざ歌ってみたら目頭が熱くなっちゃって! 私は曲の中の主人公になりきって歌うタイプなので、感動して泣きそうになっちゃいましたね。

--今回のEP『Teddy Boy (feat. TeddyLoid)』には、三者三様のロカビリーが収録されている。そういう意味では、2020年のロカビリーの教科書的な作品とも捉えられますよね。

Ikuo:そうですね。どんな楽曲であってもロカビリーになっている。

Kenji:Teddyさんのアプローチが加わった新しいロカビリーサウンド、ゴリゴリの従来のロカビリーサウンド、その両方が同時に聴ける作品になっているので、まさに教科書だと思いますね。あと、聴き込んでくれれば分かると思うんですけど、普通のシャッフルじゃないんですよ。8ビートの曲も「ロカビリーの8ビートはこういうノリなんだ!」と面白がってもらえると思う。

--The Biscatsが世間に受け入れられることが、そのままロカビリーシーンはもちろん、音楽シーンでの革命になる。そこがイコールになっているバンドってなかなかいないから、今回のEP『Teddy Boy (feat. TeddyLoid)』も含めて今後が楽しみですよね。

Kenji:The Biscats以前にもロカビリー界の知り合いから「もう高齢化社会になっているジャンルだから、おまえらが何とかせぇ!」と言われ続けてきたんですけど(笑)、それを実際に何とか出来るかもしれない状況へと一歩一歩近づけているのは嬉しいです。

Misaki:物凄く期待してもらっているバンドなので、その期待に応えたい。

Kenji:まわりでロカビリーやっている人たち、親とそんなに年齢変わらないんですよ。そういう人たちから期待されているので、僕らが何とかしたい想いは強いですよね。

--高齢化が進んでいる世界で若手が革命を起こす。これって将棋界における藤井聡太的なポジションですよね。例えが極端すぎるかもしれませんが(笑)。

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Suke:なるほど。僕たち、藤井聡太や!

--すぐ受け入れた(笑)。

Ikuo:ちゃうよ! 全然ちゃうよ(笑)!

Misaki:でも、私の場合は父親がロカビリーで名を残している人なので、自分がロカビリーをやると決めたときから「絶対に追い越さなきゃいけないな」と思っているんです。だから、The Biscatsのみんなと一緒に偉大なる先輩たちを追い越していって、ロカビリーブームをもう一度起こしたいなと思っています。

Interviewer:平賀哲雄

【MV】The Biscats「Teddy Boy feat. TeddyLoid」
インタビュー写真

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The Biscats TeddyLoid「Teddy Boy feat.TeddyLoid」

Teddy Boy feat.TeddyLoid

2020/10/14 RELEASE
TMER-20003 ¥ 1,500(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Teddy Boy feat.TeddyLoid
  2. 02.Hot and Cool feat.TeddyLoid
  3. 03.Teddy Boy
  4. 04.Hot and Cool
  5. 05.magic hour
  6. 06.magic hour <instrumental>

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