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<対談インタビュー>“あいみょん”という現象について 金子厚武×柴那典が振り返る



 2020年を間近に控えた今、各所では2019年、ひいては2010年代の音楽シーンを振り返る機運が高まっている。複数のデータを組み合わせたビルボードジャパンの総合チャートにおいても、2019年の年間集計が終わり、先日その結果が発表されたばかり。ソング・チャートとアルバム・チャートを合算し、アーティスト別にランキングした【Billboard JAPAN TOP Artist of the Year 2019】では、あいみょんが見事首位を獲得した。

 ストリーミング・サービス上で「マリーゴールド」が大ヒットし、2018年末には『NHK紅白歌合戦』初出演も果たしたあいみょん。1995年生まれ、兵庫県西宮市出身、浜田省吾やスピッツらの影響を公言する彼女は、いかにして新世代音楽シーンを牽引する“一大現象”となったのか。ビルボードジャパンでは、彼女へのインタビュー経験も豊富な音楽ライターの金子厚武、そして『ヒットの崩壊』の著者で、音楽ジャーナリストの柴那典による対談インタビューを実施。その躍進の軌跡を振り返る。

ヒットの予感はまだなかった

――今や国民的アーティストとも言える存在となった“あいみょん”ですが、お二人が彼女に注目し始めたのはいつ頃からですか?

金子厚武(以下、金子):最初に存在を知ったのは、タワレコ限定シングル「貴方解剖純愛歌~死ね~」(2015年3月)の時でした。YouTubeでMVを見て、歌詞のインパクトがスゴイなって思ったんですよね。でもその時はまだ、なんとなく「面白い子だな」ぐらいの認識でした。

柴那典(以下、柴):LINEのトークルームを使ったリリック・ビデオのイメージが大きかったですしね。

金子:そうそう。ちゃんと注目するようになったのはメジャー・デビュー・シングル「生きていたんだよな」(2016年11月)からで、その時のコンベンション・ライブでパフォーマンスを初めて生で見たんですけど、まず「歌がうまいな」と。なおかつ、言葉に関してもより繊細な描写になっていたし、サウンド・プロダクションもグッと良くなっていた。そこで「あ、これはイイな」と思ったんです。取材もこの頃からさせてもらうようになりました。



あいみょん「貴方解剖純愛歌 ~死ね~」LINEで作ったリリックムービー


:僕は「貴方解剖純愛歌~死ね~」が出た時、当時編集で関わっていたメディアがあって、そこのチームと「この子、スゴくない?」って盛り上がっていたんです。取材はミニアルバム『tamago』(2015年5月)の時に初めてやらせてもらったんですけど、それに「ナウなヤングにバカウケするのは当たり前だのクラッ歌」が収録されていて、「え、この年でその感性!?」みたいな話をした覚えがあります。

――いわゆる“死語”がたくさん散りばめられた歌詞ですよね。

:実はあれ以降、対面でインタビューさせていただく機会がなくて。それでも情報は追っていましたし、特にメジャー・デビュー以降は「どんどん洗練されていくなぁ」とは思ってましたけど、正直に言ってしまうと、あの当時は「これは売れる!」みたいなヒットの予感はまだなかった。

金子:たしかに、彼女が大ヒットした2018年あたりは「ここまでなるとはね」みたいな会話がけっこうあった気がする。ただ、2017年5月にリリースされた2ndシングル「愛を伝えたいだとか」を聴いた時も「あ、やっぱりスゴいわ」みたいな衝撃があって。というのも、「生きていたんだよな」は彼女の歌謡的なルーツが表れている曲だけど、次の「愛を伝えたいだとか」はフリッパーズ・ギターあたりの影響というか、ちょっとファンクっぽい素養も出てるじゃないですか。普通だったらメジャー1枚目からの2枚目って、アーティストのイメージを浸透させるためにも似たタイプの曲を出しがちだと思うんです。

――たしかに。

金子:彼女自身も「イメージが定着してしまうと、それが制約になって、自分の好きなことをやれなくなってしまうから、早いうちに“私は色んなことをやりたい人なんです”とアピールしたかった」と言っていて。それを聞いて「この子、めちゃくちゃ賢いな」と思ったんです。

:ヒットの予兆で言えば、僕が最初に感じたのは「君はロックを聴かない」かも。僕の彼女に対する第一印象って、昭和の歌謡曲やニュー・ミュージックを受け継いでいるミュージシャン、みたいな感じだったんですけど、それを古臭く聴こえさせない、ある種の優れたバランス感覚を感じたのが「君はロックを聴かない」だった。この曲を聴いた時、彼女がとても強い言葉の力を持っていて、なおかつそれを特定の層ではなく、世代や性別を越えて届けることができるアーティストなんだということに気づき始めたというか。

金子:まずタイトルに「何だろう?」って思わせる力がありますよね。「生きていたんだよな」も「愛を伝えたいだとか」もそう。彼女はよく「自分は作家だ」ということを言っているけど、この3作品の時点でその性質はよく表れていると思います。



あいみょん - 君はロックを聴かない【OFFICIAL MUSIC VIDEO】


――その3作品から1stフルアルバム『青春のエキサイトメント』(2017年9月)にかけて、どんどん熱心な音楽リスナーが彼女を評価し始めましたよね。Spotifyの新人発掘プレイリスト『Early Noise』に選出されたのも2017年でした。

:この年の『Early Noise』のラインナップって、今思うととても象徴的ですよね。yahyel、STUTS、RIRIなんかはちょっとオシャレで先鋭的で、現代のカルチャーやファッションに対して敏感なアンテナを張っているような人が聴くタイプのアーティストじゃないですか。今の立ち位置を踏まえればこそちょっと異質に見えるけど、この当時はあいみょんもそういう位置づけだったわけで。

――海外音楽シーンの文脈を敏感にキャッチしていたアーティストが多いラインナップですよね。一方、あいみょんは日本歌謡のオーセンティックな部分を歌い継いでいる。

:ただその視点でいうと、2017年ってエド・シーランが日本でも流行っていたし、ああいうフォーキーな音楽の再解釈って世界的な流れでもあったと思うんです。実際あいみょんって、ルーツは日本のフォークやニュー・ミュージックにあるけど、サウンドの感触はエド・シーラン以降というか、最新のポップ・ミュージックのエッセンスも取り込んで、ちゃんとモダナイズされている。

金子:シングル表題曲に関しては、デビュー作から一貫して田中ユウスケ(agehasprings)さんがプロデュースを担当していますからね。agehaspringsというコレクティブ自体、海外の最先端を吸収しながら、そのうえでJ-POPと正面から向き合い続けてきた人たちの集まりだと思うし、田中ユウスケさんのJ-POPシーンへの貢献度も大きい。だから、あいみょんのサウンドのモダンな部分に関しては、やっぱり田中ユウスケさんの存在が大きかったはず。

:そのサウンド・プロダクションの現代性を顕著に感じたのは4thシングル「満月の夜なら」(2018年4月)かもしれない。あの歌とビートで構成されたイントロで「お!」って思った。

金子:あの曲、演奏はYasei Collectiveのメンバーが担当しているんですよね。あれで「あいみょん、攻めてるなぁ」って思った音楽好きの人もたくさんいたと思う。

:うん。『青春のエキサイトメント』以降、最初の一手としての「満月の夜なら」も大きかった。



普遍的なJ-POPの魅力は時代を越えて繋がっていく

金子:あと、2017年から2018年にかけてのあいみょんって、『関ジャム 完全燃SHOW』とか『ミュージックステーション』とか、地上波の音楽番組をはじめとするメディア露出が増え始めた時期ですよね。年末年始だけでも音楽番組に3つぐらい出演していた。そこで彼女は「生きていたんだよな」「愛を伝えたいだとか」「君はロックを聴かない」をそれぞれの番組で歌っていて。普通だったら推し曲を決めて売り出していくものじゃないですか。でも、あいみょんはデビュー当初からカラーの異なるシングルを出していたから、そうやって歌い分けることも可能だったわけで。

――特に年末特番はアピールの場として重要ですからね。普通だったら代表曲、あるいは最新曲で統一して、その曲の印象を少しでも強めようとするのがプロモーションの定石でもあるかと思いますが。

金子:「私はこの曲が好き」「僕はこの曲が好き」っていう口コミがバイラル化して、ストリーミングで色んな曲が聴かれる、っていう状況はこの時点ですでに生まれていたのかなって思います。

:1st「生きていたんだよな」から4th「満月の夜なら」までの流れの通り、特定のジャンルに限定せず、色んな曲を歌っていきたいっていうデビュー当初からのスタンスは、結果的に布石にもなっているわけだ。

――そうして5thシングル「マリーゴールド」(2018年8月)の大ヒットに繋がっていくと。お二人はこの曲のヒットをどう捉えていますか?

金子:この曲について取材した時、あいみょん自身がリリース前から「この曲を私の代表曲にします」って言っていたんですよね。さらに言うと、それ以前からも「すごく良い曲ができたから早くリリースしたい」みたいなことをずっと言っていて。あれは今でも印象的ですね。「マリーゴールド」以前の代表曲って、やっぱり「君はロックを聴かない」だったわけじゃないですか。あいみょんって、いわゆる“王道のJ-POP”というものを一番大事にしているんだなって改めて思ったんです。もちろん「愛を伝えたいだとか」みたいな曲もちゃんと彼女の一側面ではあるんだけど、勝負のタイミングは“ド真ん中”なんだなって。それを「マリーゴールド」では再確認したというか。

:『青春のエキサイトメント』のインタビューで「良いアルバムができましたね。次はどうしますか?」みたいなことを訊かれていた時、スピッツとMr.Childrenの名前を挙げて、「良い曲を書けば残っていくし、そうやって残っていく曲を書きたい」みたいなことを言っていたんですけど、「マリーゴールド」を最初に聴いた時の印象は、まさしくそういう“長く残っていく曲”だったんですよね。

――実際ストリーミング・サービスでは記録的なロング・ヒットになりました。

:「マリーゴールド」ってCDは8月発売だったけど、先行配信は7月からスタートしていて、すでにその時点でチャート・アクションは良かったんですよね。タイアップ曲ではないから、ドラマや映画の主題歌みたいに世間に対して大々的に露出できる機会があったわけでもない。そういう曲があそこまでチャートを上昇していくことって、なかなかないじゃないですか。曲はずっと聴いてきてはいたけど、何か大きな現象みたいなことが起こり始めていると感じ始めたのは、ストリーミング・チャートでの動きからでした。



あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】


――2018年7月23日~29日を集計期間としたビルボードジャパン・チャートでは、すでにストリーミング指標で12位にまで達していました。

金子:「マリーゴールド」がCD発売される1週間前には【ROCK IN JAPAN FESTIVAL】に出てましたよね。その時が初出演だったわけですけど、これも象徴的だなと思っていて。インディーズ・デビューが2015年なので、もっと早くに出ていてもおかしくないじゃないですか。実際ステージは入場規制になったわけだし。しかも、2010年代半ば以降、音楽フェス全盛の時代が続いていて、“ライブで売れていく”っていう一つのヒット・モデルも確立されていた。でも、あいみょんはそうじゃなく、もっと純粋に“良い曲を作って、それを世に届けていく”ことで売れていくんだっていうスタンスだった。それがストリーミング・サービスの普及とマッチしたというか。ちょうど時代の転換期だったんだなって思います。

:「マリーゴールド」のヒットに関しては、Mr.Childrenがストリーミング配信を始めたことも大きいと思っていて。ストリーミング・サービスって、2017年頃までは洋楽を中心にカッティング・エッジな音楽を好むユーザーが多かったイメージだけど、2018年5月の“ミスチル解禁”以降、日本のメインストリームでヒットしている音楽を中心に聴くユーザーが一気に増え始めた。そのタイミングと「マリーゴールド」の配信はけっこう重なっているんですよね。もちろん曲そのものの良さが大前提ではありますけど。

金子:なるほど。じゃあその“曲そのものの良さ”に関して言うと、まず柴さんも仰った通り、Mr.Childrenやスピッツといった90年代J-POP、もしくは浜田省吾さんのようなフォーク、歌謡曲の世代にとってもグッとくるメロディという、“世代や性別を問わない普遍的な魅力”があるという点が一つ。あと、これも「マリーゴールド」に限った話ではないけど、彼女の歌詞は若者らしい承認欲求だったり、ありがちな応援歌的メッセージを含むものではなく、物語や心理描写を繊細に描いて、なおかつ解釈の余白を持たせるという、やっぱり作家的な書き方がされているんですよね。そういう曲って聴くシチュエーションを限定しないと思うんですよ。ストリーミングで何度も聴かれるのにはそういう要因もあるのかなって思います。

:彼女はよくスピッツの名前を挙げますけど、「ロビンソン」がリリースされた1995年って小室哲哉さんの全盛期だったんですよね。なので、当時のCDランキングでは1位になっていない。でも、結果的には1990年代にリリースされた曲の中で初めてYouTube再生回数1億回を突破した曲になった。それだけエバーグリーンな魅力があるんですよ。「マリーゴールド」もそういうタイプだなと感じました。




金子:「ロビンソン」のアルペジオも印象的ですけど、「マリーゴールド」のイントロもインパクトありますよね。冒頭で聴き手の耳を掴む、っていう作り方は時代性なのかなって思います。

:たしかに、あのイントロは勝ちにいっていますよね。

――そして年末には『NHK紅白歌合戦』に初出演、お茶の間にまで知名度が一気に広がりました。

:それこそビルボードジャパンのチャートではロング・ヒットが可視化されやすいじゃないですか。中でも年末年始のチャート・アクションって、紅白の影響を大きく受けるので、僕はすごく注目しているんですよ。『NHK紅白歌合戦』をその名の通り“合戦”として見るのであれば、勝敗はそこで決まると言ってもいい(笑)。

金子:赤と白ではなく、アーティスト単位でのね(笑)。

:そう。で、結果として2019年初頭に最も大きなチャート・アクションを起こしたのは米津玄師の「Lemon」とあいみょんの「マリーゴールド」だった。

金子:米津くんもメロディに関しては歌謡的なエッセンスをすごく大事にしている人だし、その年の紅白をサザンとユーミンが締めくくったのも、言ってみればですけど、通じるものがあるのかなって思います。普遍的なJ-POPの魅力は時代を越えて繋がっていくものなんだなぁと。

:日本の音楽のミドル・オブ・ザ・ロードですよね。

金子:うん。そのうえでプロダクションはちゃんと更新されている。


繋がりと広がり

――そんな“紅白特需”もあって、2019年2月にリリースされた2ndアルバム『瞬間的シックスセンス』も大ヒット。ちょうどONE OK ROCKの新作と同じリリース週だったこともあり、その週のストリーミング・チャートは2組が上位9曲を独占する形となりました。

:このアルバムに関しては、タイトルやジャケットも象徴的ですけど、まさしく“瞬間”のパッケージなんだっていう印象でしたね。特に「ひかりもの」はこの時点で彼女が発する一番正直なメッセージだなって感じました。彼女自身、それこそ浜田省吾さんやスピッツのように20年、30年と歌っていく未来を目指している。世の中は自分を持ち上げるけど、そんな今も“瞬間”でしかないんだっていう。




――ちょっと皮肉めいた示唆でもありますね。

:小沢健二さんの言う“刹那”に似た意味合いですよね。そしてアルバム発売の5日後、あいみょんは初めての日本武道館公演を【AIMYON BUDOKAN -1995-】と銘打って開催して、そこに1995年に初めて武道館でライブをした小沢さんも見に行っていた。

――繋がっている感じがしますね。こうしてあいみょんの話をしていると、彼女に影響を与えたであろう色んなアーティストの名前がしっかりエピソードとして挙がってくるのが凄いなと。

:年齢は違っても、上の世代のアーティストに音楽家としてちゃんと認められているんですよね。吉田拓郎さん、浜田省吾さん、桜井和寿さん、草野マサムネさん、そして小沢健二さん。いや、錚々たる面子ですよ。

金子:そして最近は菅田将暉くん、RADWIMPS、DISH//、さらには吉岡里帆さん、小松菜奈さん、門脇麦さんといった女優の方々とのコラボも。特に2019年は同世代の連帯が可視化されてきているんですよね。

:あいみょん自身、オープンな方ですしね。これだけブレイクしたアーティストだったら、もっとガードを固くしていてもおかしくないじゃないですか。会社のマネジメントやプロモーションも含めて、“あいみょん”というブランドを確立していくために、外部との繋がりを必要最低限に抑えていくやり方もあったと思う。でも、全然そんなことなくて。

金子:そこはやっぱり彼女自身が“自分は作家である”と認識している部分が大きいと思う。自分の曲を作るのと同じぐらい、ある種の作家仕事として他の人に曲提供していくことに喜びがあるんじゃないかな。

:今年開催したライブハウス・ツアーも対バンでしたからね。ロック・バンドならまだしも、シンガー・ソングライターが対バンで全国を回っていくのってなかなか珍しくないですか? それこそ「ひかりもの」の歌詞じゃないけど、世の中からの注目を一身に浴びたタイミングだからこそ、2019年は繋がりと広がりを大事にしてきたんだろうなって思います。



菅田将暉 『キスだけで feat. あいみょん』


金子:さっきも言ったように、彼女はとにかく良い曲を作り続けることでリスナーを増やしてきたのであって、ライブハウスで叩き上げてきたタイプのアーティストじゃないから、いきなりホールやアリーナでツアーをやるのではなく、ライブハウスで経験を積んでいくことは、これから長く歌っていくためにも大事だったのかもしれないですね。

:だから、あえて言ってしまえば、今後の活動において“「マリーゴールド」を超える曲を書かなきゃいけない”っていうプレッシャーを感じる必要はないと思う。そんなことより、もっとたくさんの繋がりを作って、歌詞やサウンドの幅も広げていく。そういうクリエイティブのほうが健全だと思うんです。

金子:今年リリースされた「ハルノヒ」(『映画クレヨンしんちゃん新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』主題歌)、「真夏の夜の匂いがする」(ドラマ『Heaven?~ご苦楽レストラン~』主題歌)、そして「空の青さを知る人よ」(映画『空の青さを知る人よ』主題歌)の3枚のシングルが全部タイアップなのは、ちょうど外の作品からの刺激をもらって曲を作るタームだった、ということなのかもしれないですね。

:そうですね。例えば「真夏の夜の匂いがする」は、彼女の中では変化球に属するタイプだと思うし。というか、3曲とも“ヒットを狙いにいった”というより、彼女自身の幅の広さも生かしつつ、“外からの刺激によってグッド・ミュージックを作った”みたいなイメージが個人的にはありますね。

金子:分かります。2018年は間違いなくあいみょんにとって激動の1年だっただろうし、2019年もたくさん曲作りしていただろうから当然大変ではあっただろうけど、でも状況としては2018年の盛り上がりを引き継ぎつつ、あいみょんという現象を瞬間で終わらせず、スタンダード化させていったのが2019年だったのかなって思います。タイアップ・シングルにしろ楽曲提供にしろ、投げられたボールを的確に、その時の最大限の力で打ち返してきたというか。

:今後の活動においてはヒットや飛躍ではなく、いかに押し潰されず、歌い続けていくかが大事だと思います。個人的にあいみょんは、次々と話題を席捲していくような形ではなく、後になって振り返ってみたら「この曲も、この曲もいいね」って言われるようなタイプであってほしい。ヒットって、ある意味でサステナブルではないんですよね。世の中の強烈なスポットライトを浴びると、アーティストは目が眩むし、どうしても負荷がかかってしまう。

金子:それこそビルボードジャパンの2019年アーティスト・ランキングで1位になったり、ストリーミング再生回数が1億回を突破したり、もうこれ以上ないぐらいの飛躍を経験しているわけで。僕、今年あいみょんが携わった曲だと、菅田くんの「キスだけで feat. あいみょん」が一番グッときたんですよね。あれはやっぱり菅田くんとの化学反応があったからこそ書けた曲だと思う。だから、今後もさらに色んな人との繋がりが増えていって、まだ表出していない彼女の作家としての側面が見られるのが楽しみだなって思います。

――そうですね。いい感じでオチもついたところなので、ほかに言い残したことがなければ終わろうと思いますが。

金子:うーん、でも僕、なんだかんだ「君はロックを聴かない」がすごく好き(笑)。

――(笑)。それではせっかくなので、最後にお二人のお気に入りの曲を教えてください。

:僕は今年の曲だと「ひかりもの」と「from 四階の角部屋」、あとは「キスだけで feat. あいみょん」ですね。

金子:今年の曲じゃないけど、僕は「君はロックを聴かない」と「満月の夜なら」かな。「マリーゴールド」ってノンタイアップではあったけど、それこそ紅白をはじめ色んなところで歌われてきたから、代表曲として最初にストリーミング1億回再生を突破するのは当然と言えば当然だと思う。で、その次に1億回再生を記録したのが、同じくノンタイアップの「君はロックを聴かない」なのは凄いなと。やっぱり名曲なんですよね。ライブでは途中のコーラスをお客さんに歌わせるところがあるんですけど、あれ、いつも泣いちゃう(笑)。

――ストレートな名曲としての破壊力ってありますよね。

金子:その一方で、「満月の夜なら」はアレンジ的にけっこう攻めた曲で、ああいうのも今後聴いてみたいって気持ちもあります。

:たしかに。楽しみですね。




Interview by Takuto Ueda
Photo by Yuma Totuka

あいみょん「AIMYON BUDOKAN -1995-」

AIMYON BUDOKAN -1995-

2019/10/02 RELEASE
ENBT-1/2 ¥ 4,950(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.マリーゴールド
  2. 02.愛を伝えたいだとか
  3. 03.わかってない
  4. 04.満月の夜なら
  5. 05.風のささやき
  6. 06.恋をしたから
  7. 07.○○ちゃん
  8. 08.ハルノヒ
  9. 09.貴方解剖純愛歌~死ね~
  10. 10.憧れてきたんだ
  11. 11.今夜このまま
  12. 12.ふたりの世界
  13. 13.どうせ死ぬなら
  14. 14.GOOD NIGHT BABY
  15. 15.いつまでも
  16. 16.生きていたんだよな
  17. 17.1995
  18. 18.君はロックを聴かない

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