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シーナ・イーストン来日記念特集 ~時代を超えて輝く「2019年のシーナ・イーストン」
80年代ポップスを語るのに欠かせないスーパー・スター、シーナ・イーストン。4年ぶりとなるビルボードライブでのステージを前に、約40年の時間を超えて、今も輝く彼女の魅力と、その芯にあるエンターテイナーとしての挑戦のヒストリーを再確認する。
シーナ・イーストンといえば、80年代の洋楽ファンなら誰でも耳にしたことがあるはずだ。1980年のデビュー曲「Modern Girl」と2ndシングルの「Morning Train (Nine to Five)」が全英チャートに2曲同時にトップ10入りすると、その勢いは世界的に拡がって大ヒットとなり、一躍トップ・シンガーの仲間入りを果たした。日本でも早くから人気があり、「Machinery」やプリンスとコラボした「Strut」など、CMに使われた曲は少なくない。何より、「Telefone (Long Distance Love Affair)」のようにイントロからわかりやすく、口ずさみやすいのが彼女の歌の特徴だ。デビュー当時のヒットチューンを聴くと、メロディやサウンドの雰囲気から“イギリスからのマドンナへの返答”のような印象があるけれど、実際はシーナ・イーストンの方が早いデビューで、全米チャートも先に1位に輝いていた。
正統派ポップ・スターのイメージがあったものの、調べてみるとシーナ・イーストンはチャレンジ精神旺盛のエンターテイナーだ。10歳の時に父親を亡くし、6人兄弟の末っ子なりに母親を助けてきた彼女は、スターを目指すドキュメンタリーTV番組から人気が出る一方で、スコットランド王立音楽院で音楽や演劇について学び、演劇学教師の資格を修得。輝かしいデビューの翌年1981年には、早くも007シリーズの主題歌「For Your Eyes Only」を担当した。渡米後も勢いは止まらず、活躍は周知の通り。早い時期にグラミー賞で最優秀新人賞や、ラテン部門でルイス・ミゲルと共に受賞したが、他にもケニー・ロジャースやデイヴィッド・フォスター、L.A.&ベイビーフェイスといったジャンルを問わない数多のミュージシャンやプロデューサーとコラボし、自ら曲作りにも積極的に参加するようになった。
また、『Miami Vice』をはじめとする人気TVドラマからブロードウェイやラスベガスといった舞台でも大活躍し、2017〜18年にはミュージカル『42nd Street』で大絶賛されている。結婚生活は4回とも長くは続かなかったが、それだけエンターテイナーとしての自分を重視して生きてきたのではないだろか。デビュー当時は、マドンナやシンディ・ローパーなどの個性派シンガーが台頭してきたこともあって、シーナ・イーストンには強いキャラクターを感じることはそれほどなかったものの、実際これだけ第一線で息の長い活動をしている彼女は変幻自在なステージこそが生き甲斐なのだろう。
その40年にもわたる長いキャリアのなかで、彼女は80年代のポップス全盛期を語るのに欠かせないシンガーの1人としても、今もなお愛され続けている。ヴィジュアル面での注目度も高く、MTVという時代の潮流にも乗りながら、ポップスという音楽性豊かなジャンルの中で、さまざまなタイプの曲を一服の清涼剤のような美声で歌い上げてきたからだ。エレクトロニック・サウンドを使ったダンス・ミューミュージックにポップ・ロック、チャートを席巻したラヴ・バラードに加えて、AORもファンクもR&Bも歌えてしまうのが彼女の強味。特にバブル世代にとっては、ディスコ・ナンバーとして馴染みのある曲も多いのでは。しかも、親しみやすいメロディに加え、心躍るような明るい曲調は、彼女の性格によるのだろうか。今、聴き直しても、どんな曲も大衆に好まれるポピュラー・ソングになっているのは、シーナ・イーストンの生来の歌唱力からだろうし、つい繰り返し聴いてしまうのは、あの時代が懐かしいだけではなく、自然と身体が踊り出してしまうような、背中を押してくれるパワーが彼女自身の中から湧き出ているからだと思う。
ビルボード・ライブ東京では2015年以来となるステージ。エンターテイナーとして百戦錬磨の彼女は、ここでホームのような温かさを感じながらハッピーなパフォーマンスを披露するのを心待ちにしているはずだ。
公演情報
シーナ・イーストン
ビルボードライブ東京:2019/3/26(火)- 3/27(水)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30
2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
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Text: Natsumi Itoh
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