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【再掲】japan(finds) vol.1: Robert Glasper Experiment ~ロバート・グラスパー来日記念!2013年の日本探求企画記事を発掘
来日アーティストに様々なものを日本で探求、発見してもらう新企画、japan(finds)!記念すべき第一弾は、ジャズ、ゴスペル、ヒップホップ、R&B、オルタナティブ・ロックなどのエッセンスを取り入れた革新的なスタイルで各方面から高い評価を得て、【第55回グラミー賞】2部門ノミネートされたピアニスト、ロバート・グラスパー率いるロバート・グラスパー・エクスペリメント。2013年1月の来日時に、レコード・カルチャーの聖地・渋谷で“音楽”を探求しながら、ファンの為にレコードをセレクトくれました。様々なジャンルを操る彼の音楽が溢れる日常を垣間みれる貴重なオフショットと共にどうぞ!(※2013年2月1日初出)
渋谷へ到着するやいなやバスを降り、コンビニに向かうロバート。手にしたのは女性ものストッキング、リップスティック、そして裁縫用ハサミ(!?) 「えー…とこれは誰のために??」 「For me .」 いきなりそうきましたか! デリックもロバートのギャグに加わる。ライブ中にも幾度か見せた茶目っぷり。しばらくふたりのコントが続くが、仕切り直してLet's go!
Disc Jam 渋谷シスコ店
まずメンバーが最初に訪れたのは、世界中の著名DJが訪れるDJ機材専門店Disc Jam渋谷シスコ店。店内ではピート・ロックなど顔見知りのアーティストの写真を発見して大はしゃぎ。メンバーの中で唯一DJをするのはサックスを担当するケイシー・ベンジャミンのみで、グラスパー自身はDJをしていないが、近いうちにぜひ始めてみたいと言う。名物店長阿部氏によるKaossilator 2のデモンストレーションに一同興味津々。ロバートが即興でライムを披露、店内に響くグルーヴに大興奮。最新の機材を手にし、超ハイテンション&ゴキゲンな彼を温かく見守る控えめなマークとデリックの姿が印象的だった。
▲Billboard JAPAN japan(finds) vol 1: Robert Glasper Experiment
NEXT RECORDS
次に訪れたのは、同ビル3Fにある12インチ・アナログ・シングル盤専門店。メンバー全員、真剣な眼差しでレコードを物色し、レアなものは写真に収めていた。ここではドゥービー・ブラザーズ、ルース・エンズなどのアナログをファンの為に購入した。
Mothers Record
わずか8畳ほどの店内に所狭しと積み上げられたタイトルの数々に目を輝かせ、収録曲をチェック。セロニアス・モンク・カルテットのライブ盤やブートレグと思われるハービー・ハンコックのカナダ公演を収録したライブCDを購入。セロニアス・モンクの「Think of One」は'トリオ'で、ハービー・ハンコックの「Butterfly」は'エクスペリメント'でカバーをしており、それぞれの時代を切り開いてきた巨匠のライブ盤は外せないといった様子だ。「コレ・クダサイ」と、覚えたての日本語で愛嬌を見せた。
ちょうどその頃、下の階ではDJ来日中(前日代官山AIRでのDJを終えたばかり)、15年来の友人のクエストラブが同じく、手持ちシンセサイザーに釘付け。その姿を見つけたグラスパーが、すかさず背後から茶々を入れ挨拶を交わす。1月16日 に発売された『ブラック・レディオ・リカヴァード・ザ・リミックス』では、ソランジュとザ・ルーツを迎えたクエストラブによる「トゥワイス」のリミックス も収録されており、ザ・ルーツの流儀をもって優れたプロデュース力を証明してみせたクエストラブ。そのふたりが期せずして東京・渋谷の同じスポットで再会するという、その場に居合わせたファンにとっても嬉しいサプライズとなった。
MANHATTAN RECORDS
そして渋谷レコード・カルチャーの聖地マンハッタン・レコードでは、2Fのアナログ・コーナーにてレコードを物色。店内のDJが刻むビートに合わせ、ノリノリでレコードを選択していく。中でも一番の発見は、90年代にアメリカで一世風靡したR&BグループTroopによる「Spread Your Wings」のアナログで、発見した時のロバートの表情はプライスレス。即座にアカペラで曲を披露、「今夜のショーで演奏したい!そんなに難しい曲じゃないし。」と他のメンバーに懇願するほど予想外の発見だったよう。他にも、ファンの為にSWVのアナログをセレクト、そしてトレードマークとも言えるニット帽もハイエンド・ファッション・ブランド、コム・デ・ギャルソンを文字ったものへ新調、当日のライブで着用していた。
DIGOT
最後にKing Of Diggin'ことMUROがプロデュースするセレクトショップに。センスのいいセレクトはケイシーもお気に入りの様子。グラスパーは"WOW!"と手に取ったアディダスオリジナルスのデニムジャケットを合わせてみるものの、サイズが合わず残念な表情。日本での買い物は難しいようである。
公演情報
ロバート・グラスパー・トリオ with DJ ジャヒ・サンダンス
Robert Glasper Trio with DJ Jahi Sundance
ビルボードライブ大阪
2019年1月9日(水)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
⇒詳細はこちら
ビルボードライブ東京
2019年1月12日(土)- 14日(月・祝)
1stステージ開場15:30 開演16:30
2ndステージ開場18:30 開演19:30
2019年1月15日(火)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
⇒詳細はこちら
<メンバー>
ロバート・グラスパー / Robert Glasper(Keyboards)
ヴィセンテ・アーチャー / Vicente Archer(Bass)
ダミオン・リード / Damion Reid(Drums)
DJ ジャヒ・サンダンス / DJ Jahi Sundance(DJ)
関連リンク
渋谷に向かうバスの中ではスティーリー・ダンを爆音で流し、スティーヴ・ガッド vs. ヴィニー・カリウタについて熱弁、ロバートが現在携わっているチャカ・カーンの新作、さらにはウェイン・ショーターの新作についてなどプライベートでも音楽の話を和気あいあいとするメンバーたち。そんな彼らがファンのために選んでくれたのは、この3つのアナログ・レコード。
ファンの為に購入したアナログ
「Right Here / Human Nature」/ SWV(アナログ)
「このシングルは、9年生(中学3年)の時によく聴いた名曲中の名曲だ。アナログはレアなはずだし、ぜひファンの皆にも聴いてほしい1枚だよ。あの頃の思い出が甦るな。」
「Hangin' On A String」/ Loose Ends(アナログ)
「80年代に作られた曲で、ジャズ、R&B、ファンク、ディスコとかとにかく様々なジャンルが融合された作品。その当時の"ブラック・レディオ"(笑)に大いに貢献した1枚だと思う。」
「What a Fool Believes/Don't Stop To Watch The Wheels」/ Doobie Brothers(アナログ)
「ドゥービー、そしてマイケル・マクドナルドの大ファンなんだ。この曲自体既に最高だけど、アナログで聴いたら格別だと思うよ。」
自分の為に購入したCD
「Herbie Hancock with The Calgary Philharmonic Orchestra in Canada 2011」
「なんだかフォントも変だし、これはいかにもブートレグって言う感じだけど(笑)。でも最近のライブを収録したものだから聴いてみたくて、購入したよ。ハービー・ハンコックは偉大なピアニストで、アーティスト。ピアニストとしてはもちろん、人としても尊敬できる存在だね。」
「Chick Corea Trio featuring Christian McBride, Brian Blade London Jazz Festival 2012」
「同じく偉大なピアニスト、チック・コリアの作品。これも近年の作品だね。」
「Avery Fisher Hall 1975」/ Thelonious Monk Quartet
「これもライブ盤だけど、かなり古いものだね。彼にはアーティストとても大きな影響を受けていて、トリオ作の『Double Booked』では彼の曲をカヴァーしているよ。」
「Spread My Wings」/ Troop
「この曲!本当に懐かしいな。ラジオでよくかかっているのを聴いたよ。まさかこんなところで見つけるとは思わなかったね。これは、ファンにあげようか最後まで迷ったけど、僕用で(笑)。」
「ジャズを演奏するけど、同じようにヒップ・ホップも演奏する。」と本人がいうように、ジャズ・ピアニストといえどプライベートでも常にヒップ・ホップと隣り合わせ。スウィングするジャズの中にヒップ・ホップのノリや空気感を吹き込むロバートの感性は、その両方を熟知しているからこそなせる技であり、サンプリングの緻密なサウンドを、ピアノで表現できるアーティストなのである。アコースティック志向のトリオとヒップ・ホップ志向のエクスペリメントとをうまく使い分け、自らの音楽観を昇華させるグラスパー。ジャンルを超越したサウンドで現代ミュージック・シーンに新たな価値観を生んだ彼の活躍と今後のジャズ×ヒップ・ホップの可能性に大いに期待したい。
公演情報
ロバート・グラスパー・トリオ with DJ ジャヒ・サンダンス
Robert Glasper Trio with DJ Jahi Sundance
ビルボードライブ大阪
2019年1月9日(水)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
⇒詳細はこちら
ビルボードライブ東京
2019年1月12日(土)- 14日(月・祝)
1stステージ開場15:30 開演16:30
2ndステージ開場18:30 開演19:30
2019年1月15日(火)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
⇒詳細はこちら
<メンバー>
ロバート・グラスパー / Robert Glasper(Keyboards)
ヴィセンテ・アーチャー / Vicente Archer(Bass)
ダミオン・リード / Damion Reid(Drums)
DJ ジャヒ・サンダンス / DJ Jahi Sundance(DJ)
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