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2018年11月度FM802ヘビーローテーション・アーティスト ReiにDJ・竹内琢也がインタビュー!



Rei インタビュー

大阪で1989年に開局したFM802。同局が誕生以来続けるヘビーローテーションは、今も変わらず毎月おすすめの音楽をリスナーにプッシュし続けている。そして2018年、開局30周年を迎えた記念の年、11月の邦楽ヘビーローテーションに選出されたのは関西出身のシンガーソングライター・Reiのナンバー「Silver Shoes」だ。11/7に発表された待望の1stアルバム「REI」に収められたこの曲の……そして彼女の音楽の背景を、FM802・DJの竹内琢也がインタビューで明らかにする。

FM802 10月のヘビーローテーション Official髭男dismインタビューはこちらから>>>

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クラシックは一番の自分のルーツと言っても過言ではない

--ではプロフィールからお聞きします。生まれは伊丹市で4歳頃にNYへ。そしてクラシックギターを始められたと……。

Rei:そうです。テレビでギターを弾いている女性を見て“私にもあれを買ってください”って、おねだりしてギターを買ってもらったのがきっかけです。

--その女性が誰だったかは覚えてない?

Rei:覚えてないです。残念です。でもきっとすごく楽しそうに演奏していたんじゃないかなって思うんですけどね。自分もギターを持ちたくなるくらいだったので。

--そしてブルーズに出合ったのは5歳。

Rei:当時通っていた学校にビッグバンドがあったんです。なので、お兄さん、お姉さんに交じってジャズ、ブルーズを演奏してました。

--帰国したのは小学生になってから?

Rei:低学年ぐらいだったと思います。それから関西のインターナショナルスクールに通っていました。

--帰国してすぐはクラシックギター奏者を目指してたんですよね?

Rei:そうです。小学校3・4年生の頃に3ピースロックバンドを組むことになったんですけど、それまではクラシックギタリストになりたいなって思ってました。

--そのバンドはなぜ組むことに……?

Rei:同級生の男の子がドラムを叩いていたんですけど、私がギターを弾いているっていうのを聞きつけて、バンドやらない?って誘ってくれて……。彼にとってギターはエレキギターのイメージが強かったみたいです。そんなこんなで、エレキとドラム、そして私の幼なじみのピアノを弾いていた女の子にキーボードで入ってもらい、バンドを組むことになりました。

--FM802のすぐ近くの天神橋筋商店街にはブルーズの箱(ライブハウス)がいくつかあるんですけど、そこでライブをしていたと聞きました。それはそのバンド?

Rei:ではないですね。そのバンドを始めたことをきっかけにして、60年代のロック……ザ・ビートルズやレッド・ツェッペリンやザ・フーを聴くようになり、カバーするようになったんですけど、そこからより音楽を深掘りして、ジョージ・ハリスンと仲がよかった、エリック・クラプトンが所属していたクリームも聴くようになったんです。

--つまり60’sロックからブルーズの深いところに入っていったんですね。

Rei:そうですね。ただ、クラシックはいまだに基礎として続けています。そしてバンドで歌に出会ったことで、歌詞を紡いで歌を人に届けたいっていう気持ちがだんだん芽生えていきました。

--やっぱりクラシックは今も重要な要素として存在してるんですか?

Rei:一番の自分のルーツと言っても過言ではないかなと思います。奏法だったり譜面を読んだり、そういう技術的な面はクラシックギターで養われたと思います。

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変化を恐れずに挑戦するアーティストでいたい

--そして2015年から3部作(ミニアルバム「BLU」、「UNO」、「ORB」)をリリース。僕はその1作目を聴いて好きになって番組のゲストにお迎えしたんですけど、現在それからの3年を振り返ってみてどうですか? やりたいことや表現したいことは変化してますか?

Rei:変化してます。「BLU」を作った時になぜ3部作にしようと思ったかというと、私の中では作品というのは、その時々の自分を丸写しにするもので。当時から1年後、2年後と、20代前半で自分がどんどん変わっていくだろうなって予想できたので、その時に感じていることを如実に映し出す、そんな作品を3作で作りたいなっていう構想からでした。

--変わっていく自分が予想できていた?

Rei:そうですね。昔から好奇心旺盛で、いろんなジャンルを聴いたり弾いたりしたいという欲望が強いので、きっとどんどん変わっていくだろうなって思ってました。

--あと、お聞きしたいのが、ポップをどう考えているか?ということ。Rei ちゃんの音楽は遊び心があるポップさもいいところだと思うんですよね。

Rei:ポップっていう言葉は私にとって、とても愛おしくて同時に憎くてっていう言葉なんです。ルーツ音楽をたくさん聴いてる方が、フォローしているアーティストを“ポップになったね”って言うのは、必ずしも褒め言葉じゃなかったりもしますよね。その一方で、ポップっていう言葉に別の解釈を持つ方が“ポップになったね”って言うのは褒め言葉。なので、結構主観的な言葉で人によってとらえ方が違うのかなって思います。でも自分にとっては、ポピュラーミュージックっていうニュートラルなジャンルで、その時代に一番フォロワーが多いプレイスタイル、ないしジャンルなのかなと思ってますから、いつか自分の音楽が世の中のポップになればいいなと思います。

--Reiちゃんは好きなアーティストとしてベックやセイント・ヴィンセントを挙げているんですけど、僕、ベックはポップスターだと思うんですよね。

Rei:そうですね。ベックは温故知新と言いますか、ルーツに根ざしたものをたくさんやっていますけど、ミクスチャー感というか最新のものとのフュージョンは、彼なりのあんばいで調合していて、それによって音楽的な構造はめちゃくちゃクラシックなんだけど……。

--……クラシックだと感じるんですね。

Rei:音楽理論で解剖していくと、とてもベーシックなことをやっているけど、ミックスやアレンジで最新の音にしていて、ポップスターとして成り立っているっていう印象を受けますね。

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“今”の価値観や考え方が反映されたセルフタイトル作

--さて、今作はセルフタイトルということで、自己紹介的なテーマもあったと聞いているんですけど、それはどんな風に……?

Rei:例えば「My Name is Rei」という曲は、自分はどういう人なんですってことや、どういうところに行きたいんですっていうことを改めて語りつつ、曲は軽快にシリアスな部分とバランスを取ってできたらいいなと思った曲です。そういう感じで、今の私の価値観や考え方は歌詞にすごく反映された作品になったかなと思います。

--そして収録曲「Silver Shoes」が11月のヘビーローテーション。この曲は幸せがテーマになっていますが、幸せって何やろう?ってわかんなくなることもありますよね。

Rei:あると思いますね。もし幸せを見失ってしまいそうな方がいらっしゃったら、まず手放す時間を作るのが重要だと思います。それはライブへ行くでも映画を見るでも何でもよくて、自分をがんじがらめにしていることをすべて手放す。その時間がもう一回、均衡を保つために大切かなと思います。



▲ Rei - "Silver Shoes" Music Video


--そういう経験はありますか?

Rei:そうですね。例えば今作もこれまでで収録曲が一番多くて達成感もあるんですけど、一方で自分の技術のなさや器の小ささ、情報量の少なさにガッカリしているところもあるから……。ここからまた、たくさん吸収してもう一回音楽を作れる人に戻りたいなっていうことで言うと、ちょっと今からそういう期間に入るのかなと思います。

--インプットですね。そして「Silver Shoes」の話に戻りますが、Silver Shoes=銀の靴ですが、これは何がモチーフになっているんですか?

Rei:実は「CRY」っていう作品で、衣装としてシルバーの靴を履いていたんです。そこから着想したんですけど、この靴に自分をよりステキな場所へ連れて行ってほしいなっていうのがありまして……。特に「CRY」が自分を含め、くじけたり挫折した人に向けて作った作品だったので、そこからまた上昇しようという気持ちが強かったんです。それで、その靴をモチーフに曲を作りたいって思いつきました。

--でも普通はなかなか一つの物からそう(曲にしようと)思わないですよね?

Rei:実はその靴には思い入れもあって……。以前、セイント・ヴィンセント(アニー・エリン・クラークの活動名義)に対談させてもらったんです。そこでアニーが“私も同じような靴を持ってるわ。すごくステキな靴ね”って言ってくれたんです。彼女は私の憧れでもあるから、そこで(銀色の靴が)自分のなかで大事なモチーフになりましたね。

--そうなんですね。大好きなスターが褒めてくれた靴。確かにどこかに連れてってくれそう。いい話が聞けてよかったです。ありがとうございます。では、ここで過去のヘビーローテーションの話を……。今、そのリストがあるんですけど、ReiちゃんはもともとFM802をよく聞いてくださっていたということですね。

Rei:Hiro-T(ヒロ寺平)さんがザ・ビートルズの英語講座をやっていたのも聞いてましたし、シャーリー(富岡)さんも、マーキーさんも、山添まりさんも、浅井博章さんも愛聴していました。小学生の頃から今に至るまでたくさん音楽を教えてもらいました。

--ヘビーローテーションで覚えているのは?

Rei:植村花菜さん(2009年2月「ありがと。」)とか、宇多田ヒカルさん(1998年12月「AUTOMATIC」)。ステイシー・オリコの「STUCK」(2003年8月)とかスキマスイッチさんの「view」(2003年7月)とか。邦楽を聴き始めたのは洋楽のあとだったんで、邦楽のアーティストを(ヘビーローテーションで)教えていただいてました。私的にラジオは音楽発掘の一番いい方法ですね。移動しながら聞いて、気になる曲はスクリーンショットして、あとでその作品を買うとか結構やってます。

--自分が普段聴かない音楽が耳に入ってくるからおもしろいって言ってくださるアーティストもいます。

Rei:はい。だからこそ好きなラジオ局とか番組とかがあったら、そのテイストは(自分と)合ってるので、よく聞きます。

--サブスク(リプション)とはまた違う音楽との出合い方になるんですかね?

Rei:やっぱりDJさんが言葉を添えてくれることによって全然違いますよね。一緒かはわかんないですけど、例えばライブで遠征して、その地元の話題を一つ出してあげるだけで、少し身近に感じていただけたりするんですよね。それと同じようなことだと思うんです。曲にちょっと紹介する人の思いがのっかってるって思うだけで、聴いてみようかなってなります。

--そう言われると我々もありがたいです。ぜひ今後ともよろしくお願いします。今日はありがとうございました。

Rei:ありがとうございました。

Rei「REI」

REI

2018/11/07 RELEASE
UCCJ-9217 ¥ 3,960(税込)

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