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キャンディス・スプリングス 最新アルバム『インディゴ』来日インタビュー

来日インタビュー

 生前のプリンスにも絶賛された歌声を持つシンガーソングライター/ピアニストのキャンディス・スプリングスが、この9月に2年ぶりとなるセカンド・アルバム『インディゴ』を発売し、来日した。今回Billboard Japanでは彼女に今回のアルバムへの手ごたえや、彼女の故郷であり今も音楽活動の拠点としているナッシュビルでの思い出についても話を聞くことができた。

自分の成長を見せられたアルバムになっているはず

−−ジャズやソウル色の強い楽曲が多かったファースト・アルバム『ソウル・アイズ』から一転、このたびリリースとなったセカンド・アルバム『インディゴ』では、カリーム・リンギスをプロデューサーに迎え、雰囲気もかなり異なる作品になったと感じました。実際に制作をしてみてエキサイティングだったこと、前回と比べて最も変わったと感じていらっしゃることを教えていただけますか?

キャンディス・スプリングス:ファーストは非常にオーガニックであり、アコースティックベースで制作しました。私のアーティストとしての基本であるジャズに対する熱意のようなものを非常に感じ取っていただきやすいアルバムだったと思います。対して、今回のセカンド・アルバムは、自分の違う側面を見せていきたいと思っていました。私が強く影響を受けているニーナ・シモンもそうだったと思いますが、いろんなタイプ、ジャンルのハイブリッドであること。そういう部分を出すために、前作とは異なるアプローチをしていった、という。

−−ハイブリッドであると同時に、素顔のキャンディスの大きな魅力であるカジュアルな雰囲気も前面に出てきているのかな、と思ったりしました。リード曲「ドント・ニード・ザ・リアル・シング」や「ラヴ・サックス」などのような曲が印象的です。

キャンディス:「ラヴ・サックス」については「エイミー・ワインハウスを彷彿とさせる」といろいろな方に言われます。それはまさにその通りで、彼女へのオマージュのような意味合いを強く持った1曲です。片や「ドント・ニード・ザ・リアル・シング」や「ピース・オブ・ミー」は、シャーデーをチャネリングしたような曲です。ふわっと空間があり、シンプルで、どこか違うところへ連れて行ってくれるような曲たちじゃないかなと自分でも思っています。



▲ 「Don't Need The Real Thing」MV


−−キャンディスのバックグラウンドにあるのはジャズだけではない、ということがよく伝わってきます。

キャンディス:私自身はショパンとかラフマニノフといったクラシカルなピアノ曲もすごく好きです。そして、ニーナ・シモン、シャーデー、ローリン・ヒル、エリカ・バドゥ、エヴァ・キャシディ、ロバータ・フラック、エラ・フィッツジェラルドなどもそうですけども、今まで聴いてきたすべてのアーティストが私自身を形作っていて、それをさらに発展させ、自分の成長を見せられたアルバムになっているはずです。

−−ちなみに『インディゴ』に収録された楽曲はすべて最近作ったものでしょうか?

キャンディス:いいえ、本当にいろいろですね。私の父であるセッションシンガーのスキャット・スプリングスをフィーチャリングした「シンプル・シングス」という曲を今回収録していて、これは今から12年前、私が17歳の頃、前作に入れた「レイン・フォーリング」と同時期に書いた曲です。父が脳梗塞になり歌えなくなってしまったので、歌の部分だけ当時とったものを取り出して、今回の新作に入れたというわけです。だから父の声も当時のままですね。「ラヴ・サックス」は6~7年前、「ブレイクダウン」は今年の曲です。今ももちろんたくさん書いていますし、曲のストックはすごくたくさんあるんです。これまでのものも、将来的にリリースできればいいなと思います。



▲ 「Breakdown」MV


−−カバーについても聞かせてください。今回はロバータ・フラック「ザ・ファースト・タイム・エヴァー・アイ・ソー・ユア・フェイス」やスタイリスティックス「ピープル・メイク・ザ・ワールド・ゴー・ラウンド」をカバーされていますが、これらを選んだ理由はありますか?

キャンディス:スタイリスティックスの曲はとてもクールですし、私は、若い頃のマイケル・ジャクソンがこれをカバーしたバージョンがお気に入りでした。楽しい曲で、ライブでやるのにも適していますし、自分たちでアレンジしてみようとなってできあがったのが今回のアレンジです。ロバータ・フラックのこの曲は、本当に素晴らしい1曲ですし、私のライブのラストソングは常にこの曲なんです。プリンスも好きだった曲で、彼の『パープル・レイン』30周年アニバーサリーライブの時に、是非パフォーマンスしてほしいと依頼を受けたのもこの曲でした。自分のショーの後に多くの人に「感動した」と言ってもらえる、つまり人々との繋がりのようなものが生まれる曲だと感じていて、私にとって特別なんです。なので今回は必ずレコーディングしようと思っていました。

−−アルバムのタイトルである“インディゴ/Indigo”という言葉に込めた意味合いについても教えていただけますか?

キャンディス:インディゴ(藍)という色も好きですし、エキゾチックな花の名前でもあります。そういったムーディーな雰囲気が、ちょっと違うところへ連れていってくれるように思っていて、アルバム全体の雰囲気とマッチしたのです。そして何より、私が20代はじめの頃に演奏していたクラブがあったのがナッシュビルの「HOTEL INDIGO」という場所でした。1週間に一度そこで演奏をしていたことで、エヴァン・ロジャースとカール・スターケンが私を発見し、世に出してくれるきっかけとなったんです。つまり私にとってその「HOTEL INDIGO」はランドマーク的な存在で、非常に感謝している場所でもあります。

−−『インディゴ』のアルバムジャケットは、今日のキャンディスのカジュアルでスポーティな雰囲気からは想像できないほど、とてもオーセンティックでゴージャスな印象ですね!

キャンディス:サンキュー!いろんな衣装を試して、写真をたくさん撮ったんです。そして、その中から最終的にドン・ウォズ(ブルーノートのトップ)が選んだのが、この1枚でした。



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−−ちなみに、キャンディスはいつ頃から音楽活動を始めたのでしょうか?

キャンディス:10歳でピアノを始め、13〜14歳くらいで歌い始めました。それと同時期くらいから曲作りも始めたはずです。元々はピアニストになりたくて、コンサートなどでピアノを弾けたらいいなと思っていました。でも父がナッシュビルでセッションシンガーをしていたので、父のセッションなどに連れて行かれて無理やり歌わされたりしました(笑)。その頃は「全然歌いたくなんかない!」と拒絶していたんです。自分で歌いたいなと思えるようになったのは父からノラ・ジョーンズ、ニーナ・シモン、ロバータ・フラック、ダイアナ・クラールなどのCDをもらって聴いてからでした。みんな、自分で演奏もして歌う方たち。それがちょうど13〜14歳の頃です。

 といっても、10歳まで、じつはピアノも家には無かったんですよね。父の友人が、持っていた古いピアノを家庭の事情で手放すことになり、我が家にピアノがやってきたんです。そこで「なんだろう?」と興味を持ちつつ始めてみました。ベートーヴェンの「月光」の“ゲットーバージョン”というのを自分なりにプレイしていたのを覚えています(笑)。そのあと、レッスンも受けるようになりました。

−−今でも曲作りはシンプルにピアノで?

キャンディス:私のソウルメイトといえる1925年型のボールドウィンのピアノが家にあります。それはたぶん一生使っていくだろうと思うような存在ですが、それが我が家のリビングルームの大半を占めています。そこで作るときもありますし…まあいろいろですね!いろんな人と共作もしていますし、ロジャース&スターケンとは常に一緒に作っています。

−−彼らのスタジオに行くことが多いのですか?

キャンディス:ええ。現在の私はナッシュビルに拠点を構えているので、彼らと制作をする際は彼らが住むニューヨークへ行きます。2012年頃は私も、ロサンゼルスとニューヨークにも拠点を持ち、ずっと行ったり来たりしていたものの…ナッシュビルが自分の場所だなと思い、2014年末に本格的に戻ってきました。

−−―やはり、ナッシュビルは音楽活動や制作がしやすいですか?

キャンディス:実家もあるし、私は車もたくさん所有しているので、郊外のほうが過ごしやすいと感じています。近くに住む人が飼っているロバがうちの庭に遊びに来たりするようなところなんです(笑)。

−−車をたくさん所有している、というのは?

キャンディス:車を買っては改造して売って、というのを趣味でやっています(笑)。ちなみに車は、今は5台あります!

−−車の改造もされるし、キャンディスは、絵も描かれるんですよね?

キャンディス:そうなんです!車に色をつけたり、整備したりも自分でやりますし、実は、最初に自分が才能を発揮したのが絵でした。3歳の頃からずっと、絵は描いています。YouTubeに「The Beautiful Ones」というプリンスのカバーが載っていて、その映像では、彼の肖像画を私が描いています。じつはこの映像をプリンスが見てくれて「この絵と曲に、僕は泣かされた。是非、『パープル・レイン』のアニバーサリーライブでパフォーマンスをしてほしい」と言われたんです。この絵と音楽がセットできっかけになったんですよね。その肖像画はもちろん彼にプレゼントしましたし、今も彼のスタジオのペイズリー・パークに飾ってあります。



▲ 「Beautiful Ones」MV


−−素晴らしいエピソードですね!絵と音楽の両方があったからこそ届いたというわけですか。

キャンディス:そう思います。絵はもっと描いていきたいと思っていますね。もしかしたら3枚目のアルバムでは自分の描いたものをジャケットに使うこともあるかもしれません!

−−キャンディスの多才さがよくわかりました。ジャンルにくくられないほうが、やはり嬉しいですか?

キャンディス:結局そういう意味で私が目標としているところで最も近いのは、やはりニーナ・シモンです。彼女はクラシックのピアノを弾き、そこにジャズ、あるいは、ビートルズの曲を乗せる手法でありながらも、彼女なりの味付けになっています。私の場合はベースにジャズがあるので、逆にこれからブルーノートスペシャルとして、ジャズのスタンダード曲集、デューク・エリントンの曲集のようなものも将来的に出したいな、とも思っています。

−−楽しみにしています。さて、いよいよ秋から米国でのツアーが始まり、日本でも11月に単独公演がありますね!意気込みを是非、教えてください。

キャンディス:今回も素晴らしいバンドになると思います。そして何より、ライブ会場も前回のブルーノート東京から、今回はホールへと大きくなりますし、新しい音楽も、ジャズのスタンダードも、あとは「Human」という少しロックっぽい曲もやったりする予定です。

−−最後にひとつ。今後、共演してみたいアーティストはいらっしゃいますか?

キャンディス:やっぱり…ノラ・ジョーンズと共演したいですね!そしていつか、もしも叶うのならば、スティーヴィー・ワンダーと共演してみたいです!

キャンディス・スプリングスのサイン入りポラロイド写真を抽選で2名様にプレゼント!

写真

応募〆切:2018年10月7日(日)23:59までに、Billboard JAPANの公式twitterアカウント(@Billboard_JAPAN)と洋楽専用アカウント(@BillboardJP_INT)を両方フォロー&ハッシュタグ#Kandace_BillboardJPでツイートした読者の中から抽選で2名様に取材時に撮影したサイン入りポラロイド写真をプレゼント!下記注意事項を必ず確認の上、ふるってご応募下さい。

・写真は選べません。予めご了承ください。
・応募締め切りは、2018年10月7日(日)23:59となります。
・当選者の方には、@Billboard_JAPANよりDMを送ります。当選時に@Billboard_JAPAN@BillboardJP_INTをフォローされていない場合、当選は無効となります。
・当選は発送をもって代えさせて頂きます。

キャンディス・スプリングス「インディゴ」

インディゴ

2018/09/07 RELEASE
UCCQ-1087 ¥ 2,750(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.ドント・ニード・ザ・リアル・シング
  2. 02.ブレイクダウン
  3. 03.フィックス・ミー
  4. 04.インディゴ (パート 1)
  5. 05.ピース・オブ・ミー
  6. 06.6 8
  7. 07.インディゴ (パート 2)
  8. 08.ピープル・メイク・ザ・ワールド・ゴー・ラウンド
  9. 09.アンソフィスティケイテッド ft.ロイ・ハーグローヴ
  10. 10.ブラック・オーキッド
  11. 11.ラヴ・サックス
  12. 12.ザ・ファースト・タイム・エヴァー・アイ・ソー・ユア・フェイス
  13. 13.シンプル・シングス ft.スキャット・スプリングス
  14. 14.コールド・サマー (日本盤ボーナス・トラック)

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