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Takamiy(高見沢俊彦(THE ALFEE))『薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles』インタビュー
「今の時代、こんな大仰の曲をシングルリリースする人はいない」
THE ALFEEが結成45周年を迎えた2018年。このタイミングで強烈なソロシングル『薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles』をリリースした高見沢俊彦が今作についてはもちろん、日本武道館との歴史や、東京五輪やビートルズ来日以降の音楽、デビュー小説『音叉』や「まだまだ引退は出来ない」という45年目の音楽への想いを語ってくれた。全音楽フリークにご覧頂きたい。
THE ALFEEと武道館の歴史「ジミー・ペイジもこのへんに立ったのかなぁ」
--昨年末、THE ALFEEがクリスマスイブ30年連続となる日本武道館公演を開催。30年目の武道館でのライブにはどんな感慨を持たれましたか?
2018.7.25リリースTakamiy 「薔薇と月と太陽~TheLegend of Versailles」3年ぶりの新曲プロモーション映像を公開。
--そもそも日本武道館で毎年ライブをやることになった経緯は?
Takamiy:初の武道館公演は1983年なんですけど、前年の1982年にバンド改革をしたんですよね。ドラムを入れてロック色を強めて、その年の夏に初の野外コンサートを所沢航空記念公園でやったときに「来年で結成10年です!」とかステージ上で言ったんだよね。それで「結成10年の夏、何かやるよ」ということを公言したんです。何にも決まってないのに。そこで案として出たのが武道館だったんですよ。当時の僕らにはヒット曲がなかったので「無謀だ」という意見もたくさんあったんですけど、であれば「来年の夏までにヒット曲を出そう」と。そういう気合いを込めて「武道館でやってみよう」となったんです。自分たちとしては高嶺の花だったんですけどね。そこで「暁のパラダイス・ロード」という楽曲を作って「武道館へ向けてパラダイス・ロードが続くぞぉ!」みたいなテンションで臨んで、結果としては続かなかったんですけど(笑)。ヒットしなかったんです。でも武道館公演を発表しちゃってる。--シナリオ通りにパラダイス・ロードを進めなかったけど、武道館はもうやるしかない状況だったんですね。
Takamiy:そこは上手くいかなかったんですが、当時アルバムを作っていて。その中からシングルカットって言うのかな? 8月の武道館直前、6月ぐらいにディレクターの要請により「メリーアン」を出したんですよね。で、出した当初はそうでもなかったんですけど、だからヒットなしでの武道館というものをやって、その武道館が終わったあとにじわじわと逆に曲が売れ出してきたんですよね。だから武道館を軸に「メリーアン」が売れてきたというか……9月にヒットチャートに入ってきましたから。そう考えると、武道館というのはすべての始まりだったような気がしますね。ただ、最初は「戦略としての武道館」というものを掲げていたんですが、それが上手くいかなかったので(笑)「メモリアルなイベント」ということで武道館をやって。だから「どうしてもそこでやらなきゃいけない」ということはなかったんですけど、一度やっちゃったもんですから「二度目もあるだろう」ということで、そうやって「翌年も、翌年も」と続けていたらここまで続いてきた感じです。--でもその武道館によってTHE ALFEEの風向きは変わったんですね。
Takamiy:そうなんだよね。だから皆さんが武道館を目指すのもよく分かるんだけど、そこが終わりじゃないから。僕らの場合はそこが始まりだった。で、やっぱり「ビートルズが立った場所」ということもあるし、僕にとっては高校時代にレッド・ツェッペリンを観た場所でもあるんですよ。のちに僕も武道館の上手に立ったので「ジミー・ペイジもこのへんに立ったのかなぁ」とか思ったりして、最初の武道館は感慨深いものがありましたね。そういう意味では、終わりじゃなくて始まり。おかげさまで今でもね、武道館公演が続いていますから。現役である限りは、拘っていきたい場所ではありますよね。たぶん、バンドではいちばん多いんじゃないかな。武道館に立っている回数は。--その日本武道館が東京五輪に向けて改修に入ります。よって連続記録が更新できなくなるかもしれない。
Takamiy:来年改修工事に入るんだよね。だから今年までは武道館でやって、来年は違うところで考えなきゃいけないかな。で、また武道館に戻れればなと思っています。--ちなみに、五輪と言えば開催国を代表するアーティストがセレモニーに登場したりしますが、高見沢俊彦やTHE ALFEEとして関わっていきたい気持ちはありますか?
Takamiy:うーん……別にそこは考えてないかな。自分たちより影響力があるアーティストはたくさんいますから、そういう方々がやればいいんじゃないですかね。自分たちが「どうしても何かやりたい」という気持ちはないです。そうすると、そこが目標になっちゃうからいろいろ崩れてしまう。やっぱり自分たちには自分たちのペースってあるじゃないですか。そこを間違えなければ長続きするので。でも個人的には楽しみにしてますよ。だって、生きているあいだにまた東京五輪が開催されるとは思っていなかったから。前回の東京五輪は、僕が小学校4年生のときだからね。そう考えると面白いよね。--小学校4年生の高見沢さんが体感した東京五輪は、それだけ特別感があった?
Takamiy:国を挙げての最初の事業というか……昭和39年、1964年ですからね。戦争が終わって、高度経済成長に突入する寸前じゃないですか。それに弾みをつけようとする気概というのかなぁ。明らかに街が変わっていくし、子供ながらにそういったモノは感じていたような気がしますけどね。ウチもあのタイミングでカラーテレビにしたのかな? で、戸田ボートコースが実家のすぐそばにあったんだけど、東京五輪のコースだったんで「観に行けよ!」って言われたりして。僕は、行かなかったんだけど(笑)。でもバレーボールが優勝したりしてね。東洋の魔女なんて呼ばれて。なので、戦後、国を挙げてやった一大イベントじゃないですか。そんな感じはあったよ。みんなで頑張っていく、みたいな。- 東京五輪やビートルズ来日以降の音楽~デビュー小説『音叉』出版
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リリース情報
薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles
- 2018/07/25
- 通常盤[TYCT-30078(CD)]
- 定価:1,080円(tax in.)
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関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
東京五輪やビートルズ来日以降の音楽~デビュー小説『音叉』出版
--街並みが変わるということは、文字通り世界が変わっていく訳じゃないですか。そのタイミングで音楽の在り方みたいなモノも大きく変わったんでしょうか?
THE BEATLES「A HARD DAY'S NIGHT」 トレーラー(Blu-ray2014)
--高見沢さんも大きな影響を受ける訳ですよね。
Takamiy:影響受けましたね。8つ上の兄貴が聴いていたもんだから、その影響が大きいですよね。ビートルズの映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』も兄貴に新宿まで連れて行ってもらって観ちゃったから、小学生のときにソレを観たというのはすごく大きかったですよ。今でも憶えているけど、スクリーンに向かってみんなキャーキャー叫んでるんだよ? だから最初はビックリしたけど、映画が始まるとどんどんその世界に引き込まれていって「ビートルズ、格好良いなぁ」と思って。そういったモノも含めて、兄貴の影響は大きかったですね。常に兄貴の聴いている音楽とか、身につけてるファッションとか、乗ってる車とか、そういうモノに興味津々だったので。--その流れでGSにもハマっていったんですか?
Takamiy:スパイダースがデビューして、ブルーコメッツが売れてきて、そこにタイガースが出てきてブレイクするんですけど、それでGSバンドがブームになってアイドル的存在になっていく。そこはもう完全にハマっちゃたね。初めてのバンドへの憧れはGSだったかもしれない。ベンチャーズ含めて。その辺から音楽も随分変わったし、レコード会社も専属制度というのがあって、そこに所属している先生に曲を書いてもらわない限り、邦楽としてはレコードを出せない時代だったんですけど、GSがその壁を壊しちゃったんだよね。それは新しい波でしたよね。それで新しい作曲家……井上忠夫(井上大輔)さんなんかは自分で作っていましたけど、筒美京平さんや村井邦彦さん、橋本淳さんも出てきて。そういった部分では、GSは音楽シーンにおける革命だったのかな。--THE ALFEEはそのネクストジェネレーションになる訳ですけど、今年で結成45周年を迎えるほどの、今名前の挙がったどのバンドより長いキャリアを積んでいくことになりました。『第4回プラチナエイジ』の「ベストプラチナエイジスト」に選出されたり……
Takamiy:それはオマケみたいなモノだけど、いちばん感慨深いのは……まぁ比べるのもおかしいんだけど、KISSと僕らはデビューが同時期なんですよ。で、クイーンは1年先輩なんだよ。そう考えると「THE ALFEEって凄いな」って(笑)。僕らは日本だけで向こうはワールドワイドだけどさ、THE ALFEEはそれぐらい長くやっているってことですよね。それも休みなく続けてきての45年だから。途中で活動停止しているわけでもないので、そこだけは誇りですね。「やり続けてきた」ってことだからさ。だから「45年やってるんだ」って外国の方が知るとみんなビックリするみたい。「そんなにやってんの? 今いくつなの?」「64」「えぇー!」みたいな。スタッフ:リュック・ベッソン監督もビックリしてましたよね。(※THE ALFEEは、リュック・ベッソン監督によるSF超大作『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』にて声優に初挑戦した)
Takamiy:そうだね。俺からしたらリュック・ベッソンが年下ということが信じられないんだけど(笑)。本人も「えっ? 年上なの?」って驚いてましたね。--同じく2018年のトピックとしては、髙見澤俊彦 デビュー小説『音叉』が出版されました。出来上がった本を見てどんな感慨を持たれましたか?
Takamiy:いやぁー、これはやっぱり感慨深いよ。高校時代に密かに憧れていた職業が小説家だったんで、当時はミュージシャンになろうと思ったことは一度もなかったぐらいだったんですよ。だから子供の頃からたくさんの本を読んできたけど、読むと書くのは大違いということは自分でも分かっていたので、なかなか書く機会もなかったんですよね。でも今回ご依頼頂いて書くことになって、夢のカタチや在り方って年齢で決めるモノではないなと身を持って証明できた感覚はあります。この歳で小説を書くということが出来ましたからね。だから「ひとつ出来たんだったら、次も出来るだろう」という気持ちもありますし、「新しい表現方法を見つけた」というのは自分にとってすごく嬉しいことですね。自分の書いた小説が本屋に並ぶなんていうのはね……ちょっと嬉しいよね!--子供の頃からの夢が叶ったわけですもんね。
Takamiy:雑誌の表紙とかは慣れてますけど、やっぱり小説の単行本というのはね、自分の中で別モノだね。自分が書いた楽曲がレコード屋さんに初めて並んだときの喜びももちろんありましたけど、それに匹敵するぐらいの気持ちかな。感慨深いものがあるなあ。--その喜びを今得られたというのも大きいですよね。
Takamiy:大きいよね。これって次に繋げていけるじゃない? ソロ活動はTHE ALFEEの延命の為にというか、バンドを長続きさせる為にやっていると公言していますけど、小説を書くということは、逆に自分の創作活動を長続きさせる為にやっているようなものなので、小説を書いた後に今回のシングル『薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles』を作ってみたら、物凄く新鮮だったんですよ。リリース情報
薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles
- 2018/07/25
- 通常盤[TYCT-30078(CD)]
- 定価:1,080円(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
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関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
禁断の恋がテーマの新作~45年目の音楽への想い「まだまだ引退は出来ない」
--その新シングル『薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles』は、高見沢さんの中でどんな作品を目指して制作されたものなんでしょう?
Takamiy:禁断の恋がテーマで、ベルサイユ宮殿で起きた奔放な貴族たちの恋を描いているんですけど、禁断の恋というモノは時代が変わってもどうしても陥る人が多い。妄想の世界だけで済む人もいるけど、そこが男と女の面白いところかなと思っていて。時代を超えてもそういうことが起き得る。今の時代は炎上したりしますけど(笑)、そういった男女のラブソング。時代を超えた、時空を超えた、禁断の恋をこの歌で表してみたかったんです。あと、イメージとしてはタイトルもサウンドも含めいちばん自分らしい、Takamiyらしい楽曲にしようと心がけましたね。どこから聴いてもTakamiy。そういった楽曲になったんじゃないかなと思います。--イントロから最後まで隙間なくTakamiy。他の誰にも作れないし出せない楽曲になっていると思います。
Takamiy:そうでしょ? 今の時代、こんな大仰の曲をシングルリリースする人はいないと思いますよ。こんなヒップホップ全盛の時代にね(笑)。だから「面白いんじゃないかな」という気持ちはありましたね。自分のスタイル、自分の見せ方の中では、今の自分が出来る最大限のハードロックがこの曲ですね。--ちなみに「禁断の恋」というテーマや今作のサウンドの世界観のベースにあるのは、オスカルとアンドレの『ベルサイユのばら』における恋愛だったりするんですか?
Takamiy:それは後からだね。まず「ベルサイユ」をどうしても使いたかったんだよ。で、ベルサイユと言うとどうしても……薔薇が出てくる!--そうですね(笑)。
Takamiy:そうすると、池田理代子さん(※漫画『ベルサイユのばら』作者)がフッと出てきて、「池田先生にお願いできたらいいなぁ」と恐る恐るお願いしたら、今作のジャケットカバー(初回限定盤A)を描いて頂けたんですよね。先生とは以前から懇意にさせて頂いていますので、そういった部分ではお話が通じやすかった。池田先生とパリの話とかしているとすごくタメにもなるし、面白いんですよ。『ベルサイユのばら』を描いていたとき、一度もパリに行ったことがなかったらしくて! 連載が終わってから初めてパリに行ったという話を聞いて「やっぱりアーティストだな」と思いましたね。あの世界を想像で描けちゃった訳ですから。素晴らしい才能ですよね。--また、今作のストリングスアレンジには、西本智実率いるイルミナートフィルハーモニーオーケストラとのコラボコンサート【INNOVATION CLASSICS】からの影響も顕著に感じました。
高見沢俊彦 - INNOVATION CLASSICS 2017 TOMOMI NISHIMOTO x TOSHIHIKO TAKAMIZAWA
--そんな生涯攻めの姿勢を崩さない高見沢さんですが、現在の音楽シーンにおいてどんな存在で在りたいと思っていますか?
Takamiy:「どんな存在で在りたいか」ということよりも、存在としては現役で在りたい。現役でツアーが出来るアーティストで在りたいし、そういうバンドでいたい。1年でも長く3人でステージに立っていたい。その為にこういうソロ活動があったり、小説があったりするんだと自分では思っている。これだけ長くやっているバンドが……ツアーも今年の春で2690本、秋には2700本になるんですけど、この時点で初めて行く場所がまだまだたくさんあるんですよ。その地元の方はそこで初めてTHE ALFEEを観るわけですよね。だからまだまだ引退は出来ないですよね。--高見沢さんが音楽を続けていく理由はこれまでも語って頂いていますが、これだけ長く続けて来れている要因は何なんでしょうね?
Takamiy:それは音楽好きだからじゃない? 音楽が好きだから、すべてそこに捧げちゃってるって感じ。だからその為に余計なモノは作らなかったでしょ? 友達には家庭を持っている奴もたくさんいるしさ、それはそれでしあわせかもしれないけど、僕は僕でしあわせなんだよね。音楽に自分の人生を懸けたという部分も含めて。これは後悔していないですからね。そういう意味では、モチベーションとして自分の音楽とか創作活動を求め続けているんだろうね。そこに邁進する為に現役を続けているようなものだから。それで1年でも長くやっていればさ、またその年の新曲が生まれるわけじゃない? それを続けていきたいというのはあるね。おかしな話だけど、今って新曲がなくてもコンサートは出来ちゃうんだよね。でもそれだと現役を続けているイメージが自分の中で希薄になるんで、新曲は作り続けていくし、アルバムも作っていく。自分たちでも「来年はどんな新曲が生まれるんだろう?」っていう興味もあるしさ、去年辞めていたら『薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles』は出来なかった訳だし。だから続けていきたい。そういう気持ちの結果が45年なんだと思う。--そして、今「どんなライブになるんだろう?」と興味津々な公演の開催が決定しております。9月1日と2日にパシフィコ横浜で開催されるソロコンサート、どんな公演にしたいなと思っていますか?
Takamiy:またスペシャルゲストに鳥山雄司(Guitar)くんを呼ぶんですが、タイトルは【Takamiy 2018 Metal of Renaissance】ということで……一体何が【Metal of Renaissance】なのかは来てみないと分からない(笑)。でも自由度満載で披露したいなと思っています。2018.7.25リリースTakamiy「薔薇と月と太陽~TheLegend of Versailles」3年ぶりの新曲プロモーション映像を公開。
Takamiy アーティスト写真
髙見澤俊彦(小説家)アーティスト写真
ジャケット写真
リリース情報
薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles
- 2018/07/25
- 通常盤[TYCT-30078(CD)]
- 定価:1,080円(tax in.)
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関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles
2018/07/25 RELEASE
TYCT-39079 ¥ 1,210(税込)
Disc01
- 01.薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles
- 02.恋愛Gigolo
- 03.霧に消えたロゼレア (BONUS TRACK)
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