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傳田真央 『泣きたくなるけど』インタビュー

傳田真央 『泣きたくなるけど』 インタビュー

 前作『Bitter Sweet』が引恋(いんれん)ソングとして、かつての恋が忘れられない女の子たちから絶大な支持を受け、復帰第1作目としては異例のヒットを記録した傳田真央。あの現象は一体なんだったのか? 今回のインタビューでは「今、なぜ傳田真央が熱いのか」をフォーカスしながら、新曲『泣きたくなるけど』に込められた想いを訊いた。パッション溢れる彼女の一語一句に注目です!

今が私の人生のハイライトかと思うぐらい

--先日、家に帰ってテレビ付けたら「Future Tracks→R」がやってて。番組の8割ぐらい傳田真央の曲が流れてて「こりゃすげぇ」って驚いたんですが、前作『Bitter Sweet』のヒットによって素敵な状況になってますね、今の傳田真央。

傳田真央:やっと自分のアーティストとしてのポテンシャルと、街の皆さんの中での傳田真央という存在が融合されてきたんじゃないかなって。対等に自分も向き合えるようになったし、ファンの皆さんも傳田に対して昔よりリアルに歌詞の世界とか感じてくれるような実感があるんですよね。だから今は楽しくてしょうがない。今日も朝からプリプロして来たんですけど、アーティストでいられることの面白さをすごく感じながら日々を過ごせてます。

--自分が発信しているモノに対して、分かりやすくリアクションが見えるようになったのが大きいんでしょうね。

傳田真央:私がデビューした10年近く前と今では、人と音楽の接し方も時代の流れで変わってると思うんですよ。で、今って携帯で着うたをダウンロードして音楽に触れたりして、すごくスピード感がある。曲を出してからの反応がすぐにあるんですよね。だからそのリアクションを通してリアルタイムで次の曲を作っていくことができる。昔はライブで感じたモノを持ち帰って曲を作ったりしてたんですけど、今はもっともっと早いスピード感の中で、曲を聴いてもらってその反応があって、また次の曲でその反応に返していく。っていう流れの中で音楽を作っている感じがします。

--電車に乗ってて、隣に座ってる人のイヤホンから『Bitter Sweet』が流れてきたときは「ようやく時代が傳田真央に追い付いた」と一人嬉しくなったりもしたんですが(笑)。

傳田真央:本当ですか(笑)!?

--10年前のデビュー当時も近い状況がありましたが、今の盛り上がりの方が喜びの実感は大きいんじゃないですか?

傳田真央:昔は若くてボーッとしていた部分があるので。天然ちゃんだったもんですから。まぁ今も多少その名残りはありますけども(笑)。でも今は意気込みが違うというか、あの『Bitter Sweet』を世に出してから、更にパッションが激しくなっていて。私は街の女の子たちのために歌いたいし、作りたいっていう想いがすごく強くなってるんで、曲を評価してもらったときの喜びも全然違いますね。ただ楽しく歌っていたあの頃とは。今はある意味「命削って歌ってます」みたいなところもあって、だから歌ってないプライベートな時間でさえも、そのとき作ってる曲とか歌ってる曲に振り回されていたりもするし。ガールズトークとかしてても、いろいろ問題が勃発してたり(笑)。それは「歌詞の中で表現したい」って思ってることに常に心がフォーカスしちゃってるから、そういうドラマを引き寄せちゃうのかもしれないんですけど。そんな痛い想いをしながらも「良いな」って思ってる自分もいますし。昔に比べて辛いことも増えましたけど、それも含めて今の年で歌をうたうっていうのはこういうことなんだなって感じています。そういう人生を神様に頂いてるような感じはしますね。

--簡単に言うと、生きてる実感が漲っていると。

傳田真央:そうですね。今が私の人生のハイライトなのではないかと思うぐらい。

--さっきの「ようやく時代が傳田真央に追い付いた」じゃないですけど、先日の「Future Tracks→R」でも放送されていたように今は“切なさ”を感じさせる女性ボーカルの歌が非常に流行っています。で、次から次へとそこに照準を絞ったアーティストがデビューしていってる訳なんですが、傳田さんの場合は何が素晴らしいって10年前から切なかったっていうね。

傳田真央:なるほど。キャッチコピーで使わせてもらいます(笑)。

--その説得力ってとても大きいと思うんですが、自分ではどう思いますか?

傳田真央:デビュー当時は若かった……今も若いですけど!心も見た目も!

--更にもっと若かった頃ね(笑)。

傳田真央:更にもっと若かった頃は(笑)単純に歌詞がもうちょっと爽やかだったりとか、ある意味ファンタジーな、綺麗なところで表現していた部分があったと思うんです。ただ、コアな傳田ファンはその綺麗な表現の中からも孤独感や愁いを感じ取ってくれていて。だから“切なさ”だったり“涙”だったり“笑顔の裏の涙”っていうテーマ自体は今も昔も変わらない。でも今はそれを綺麗に表現するんじゃなくて、もっと切り込んでいく感じ。そういう術を身に付けたんですよね。心の深いところを描いたり、そこに傷があるなら「傷だよ」って言ってしまえるような毒々しさも今はある。

--ちょっと照れくさいこと言いますけど、僕は切なさの熱量って愛おしさの熱量と比例していると思っていて。どれだけそこに愛情があるかで切なさの度合いも変わる。そういう意味では、傳田真央の歌が今も昔も泣けるぐらい切ないのは、それだけあなたが愛情深いってことだと思うんですが、実際のところはどう?

傳田真央:それが相手に伝わってるかどうかはともかく、嫌になるぐらい情深い(笑)。年々激しさが増しています。恋愛の相談を受けることがどんどん増えていて、私は「オーラの泉」をまねて勝手に「マーオの泉」をプライベートでやってるんですけど(笑)最近は年下のアーティストと知り合う機会も多いので、毎日たくさんメールが来るんですよ。で、みんなリアルな悩み事や重い心の叫びを綴ってるんですけど、そのひとつひとつに情が入ってしまって「がんばれぇ!」って感じでメールを返したり、夜な夜なガールズトークをしたりしちゃうんです。でもそれによって絆が深まったり、歌詞が生まれたりしているのが有り難くて。

--その「マーオの泉」がフル回転してしまうほどの愛情深さ、生き方が今すごく歌においても機能してますよね。

傳田真央:そうですね。活かされてるところはあると思います。だから今は自分の体験じゃなくても曲ができるし。昔はそういうのができなくて、1曲ずつ「これはあの恋愛」みたいな感じで、そのときの自分の気持ちを書いていたことが多かったんですけど、今は渋谷のセンター街を歩いている娘を見ただけで、すぐその娘になれる。「私が代わりに涙流します!」みたいな。そういう心のフォーカスでアーティストをしていますね。

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傳田真央「泣きたくなるけど」

泣きたくなるけど

2009/07/01 RELEASE
UPCH-5598 ¥ 1,257(税込)

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Disc01
  1. 01.泣きたくなるけど
  2. 02.Lights and Shades
  3. 03.Bitter Sweet -Bedtime Version-

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