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BIGMAMA メジャー1stシングル『Strawberry Feels』インタビュー ~フロントマン金井政人が語る



インタビュー

 [Alexandros]やthe telephones、THE NOVEMBERSらを輩出した老舗音楽レーベル<UK.PROJECT>に所属し、常に国内ロック・シーンの最前線を走ってきたBIGMAMA。そのメジャー1stシングルとなる最新作『Strawberry Feels』が、3月7日にユニバーサル ミュージックジャパンよりリリースされた。


 収録されている3曲すべてが“食べ物”の名前を冠している本作に見る、バンドからリスナーへのメッセージ。メジャー移籍の真意やアーティストとしての変遷、さらには昨年の10月に行われた日本武道館公演と対になるような全国ツアー【TRANSIT MAMA TOUR 2018】初日公演を終えての感想など、バンドのフロントマンである金井政人に話を訊いた。

下手したら朝起きて学校行きそうになる

――1stフルアルバム『Love and Leave』からの約10年間、BIGMAMAは音楽シーンにおける存在感や立ち位置をすでに確立しているように思えます。そんな中で、メジャー移籍を選んだ理由を教えてください。

金井政人:バンドって寿命が不確定な生き物だと思ってるんですけど、例えば人間に例えると、BIGMAMAって直立不動で立てるだけの背筋をすでに身につけていると思うんです。なら、どこへ行ってもいいなと思ってるし、どこに出て行っても誰に見られても恥ずかしくないなと思ってるんです。自分たちに何が似合って何が似合わないか、もう感覚的に分かるようになったし、逆にどこへ行ってもよかったんですよ。で、心拍数が上がるほうに歩いていくだけだった。

――バンドに芯がしっかり通ったところで、何か新しい刺激を求めたかった?

金井:そうですね。場所の名前ではなく、誰と仕事をしたいかだと思うんです。仮に別の会社でも、その人に声をかけられていたらその人を選んでいたと思います。僕はいまだに仕事をしている感覚がなくて、下手したら朝起きて学校行きそうになるんです。でも、それってすごく幸せなことだと思っていて、ずっと遊んでいるような感覚を誇りにも思っています。

――その感覚はメジャーのレコード会社に移籍しても変わっていないと。

金井:曲を作ることにも、こうやってインタビューでお話しさせてもらうことにも、義務感を感じることはないです。自分がしたくてこの場所にいる。その感覚を維持するための延命装置、って言うとすごく大袈裟ですけど、でもまた一つ自分たちにとって栄養素になるような、何か活力のある飲み物を飲ませてもらったような感覚かなぁと。

――それって凝り固まる恐怖みたいなものがあったりもしたのでしょうか?

金井:あぁありますね。何も考えていないと混雑して拗れていくものだと思っているので、どこかで排気する必要がある。でも何かを減らすには何かを忘れるしかないと思うんです。基本的には蓄積して、良くも悪くも積み重なっていってしまうもの。モノを作る時、選択肢が多くなることで逆に難しくなってしまうことってありますよね。

――たしかに。

金井:“こういう曲を作れる”っていう選択肢が増えたことって、すごく喜ばしいんだけど、それだけ悩ましいというか。10年分の振れ幅の中で一番真ん中のところを自分たちで確かめ合うのが今作のシングルだったと思うし。今思うと、これを作ってる時は、そんな振れ幅の真ん中にくる瞬間をずっと狙っていたかなと思います。

――ずっと遊んでいる感覚でやってこれた理由って何だったと思います?

金井:人に期待されることとか、何かを背負う重みが心地よかったんじゃないですかね。大学3年生の時に初めてCDを出したんですけど、全国のショップにそれが並んだ瞬間ってすごく覚えてるんですよ。ライブハウスに行ったら待っててくれる人がいる。当時の僕はミュージシャンになるとは思ってなかったので、そういうことがにわか信じ難くて。でも、誰かに期待されている、誰かに待たれているってことを自分の中でやめることができなかった。だから自分はこれを続けよう、イコール、ミュージシャンになるんだっていう。今思ってもその時の決意ってすごく危ういし、危ない橋を叩かずに渡ってると思うんですけど。

――でもそれが功を奏したわけですよね。自分がそういう感動を味わうことができる職業がミュージシャンだったわけで、だからこそ、これまで肩肘張らずに音楽活動をしてこれた。それってバンドの他のメンバーも同じ感覚だと思いますか?

金井:あー、分かんないですけどね。でも、何かモノを作ったり、人の期待に応えるって悪くないなって。例えば、その曲を良いねと言ってもらえたら、もっと良い曲を作れるかもしれない。そういうのって誰かと会話することじゃなくて、たぶん18~19歳くらいの時の自分と一生会話してることだと思うんです。

――当時の自分がいまだにずっと自分の中にいるってことは、先程おっしゃっていたバンドの背筋にも繋がるものなのかなと思います。

金井:そうですね。いまだに学校に行きたくなるのは、当時の自分が自分の中で生きてるからかもしれない。鏡だけは正直ですけど、でも心の中では楽器持ってスタジオに行く学生となんら変わらない気持ちの自分がいるんじゃないかなと思います。

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BIGMAMA「Strawberry Feels」

Strawberry Feels

2018/03/07 RELEASE
UPCH-5935 ¥ 1,320(税込)

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Disc01
  1. 01.Strawberry Feels
  2. 02.POPCORN STAR
  3. 03.Donuts killed Bradford

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