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椎名慶治(ex.SURFACE)『凹凸』(よみ:おうとつ)インタビュー
「僕の人生そのもの。今でもSURFACEというものがデカいです」
来年2018年にSURFACEでのデビューから20周年を迎える椎名慶治。このタイミングで彼にとってSURFACEはどんな存在だったのか、解散後のソロ活動をどんな想いで送ってきたのか、そして「自分を代表する1曲になると思う」と自ら語る感涙必至のバラードシングル『凹凸』、20周年への意気込みについて赤裸々に語ってもらった。
SURFACEとソロ「あんまり区切っていない。未練があるんでしょうね」
--SURFACEでのデビューから来年で20年。これだけ長く音楽活動を続けられていることには、どんな感慨を持たれていますか?
椎名慶治:先々のことを考えて「俺は長くやっていくぞ」と思ったことは一度もないんです。デビュー当時、10年続けられるとも思っていなかったし、10周年を迎えたときも20年続けられると思っていなかった。でも気付けば19年、よくもこれだけしぶとく……自分のことこんな風に言うのもアレなんですけど、ターミネーターみたいだなと思って。--生命力的な話ですよね(笑)?
椎名慶治:うん。ターミネーターみたいな奴だなと(笑)。--では、これだけ長く続けられないと思っていた?
椎名慶治:歌は好きだし、歌い続けたいと思うけど、自分が「歌っていたい」で続けられるほど甘い世界じゃないことはもちろん分かってるんです。自分が行動を起こすことによってお金がマイナスになれば、もう辞めるしかないじゃないですか? なので、みんな辞めたくなくて辞めてると思うんです。動いても利益が生まれない、CD作っても売れずに赤字になる、ライブやっても赤字になる、それで辞めていく人は本当に多いと思う。そういう意味では、僕はどうにかこうにか利益が生まれているからこその19年だと思うので、そこはイヤらしくちゃんと考えています。ビジネスとしてあたりまえのことはしなきゃいけない、CDを作ったらちゃんと売らなきゃいけない、ライブをやれば動員しなきゃいけない、動員した上でグッズも売らなきゃいけない。っていうあたりまえのことだけを19年ずっとやっていたんじゃないかなと思います。--その意識もあってか、椎名さんには相当数のコアファンがついてきているじゃないですか。SURFACEの解散からしばらく経ちますが、離れないファンがしっかりいる。この状況はどうして作れたと思いますか?
椎名慶治:やっぱり1人ずつ抱いたからじゃないですかね?--だとしたら本当に凄いですけどね!
一同:(笑)
椎名慶治:だったら面白いんですけど、そんなことしていたら大変なので(笑)。自分で言うのもアレなんですけど、どこか「ほっとけない」と思わせないとアーティストってダメだと思うんですよ。「自分が居る事によって、この人はやっていけるんだ」と思わせることって大事だと思うんですけど、僕は多分どっかでそれが出ているんじゃないですかね? 意識的にそうしている訳ではないし、計算高くそう思わせようとしている訳でもないんですけど、冷静に分析するとそう思わせる感じが出ちゃっているんだろうなって。実際にみんなのおかげだし、間違いないんですけど、そう思ってくれている人が多いんじゃないかなって感じます。--椎名慶治の音楽人生を大きくふたつに分けると、SURFACE時代とソロ時代になると思うんですが、本人的にはそれぞれ全く違う活動になっている感覚はあるんでしょうか?
椎名慶治:単純に2人組だったものが1人になっているので、ビジュアル面は変わっているじゃないですか。そこは変わりたくなくても変わるしかなかったところ。でもそれぐらいですね。楽曲のクオリティとか質って言うんですかね。肌触りとか耳触りは変わっていないんじゃないかな。「SURFACEのときはこうだったけど、ソロではこうするぜ」とかもなかったので、だから俺の曲をSURFACEの曲かソロの曲か言い当てられなくなってきていると思います。すごくコアなファンは分かりますよ。でも街行く人に曲聴かせて「誰ですか?」と聞いたら「SURFACEですよね、これ」と答えてしまうと思うぐらい、似てるなと思う曲はあります。でもそれは全然イヤじゃなくて「敢えて寄せてます」という曲もありますし、それぐらい僕の中ではあんまり区切っていない。未練があるんでしょうね。2人組だった頃に全然イヤな思い出がないというか、お客さんもそういう俺だからこそ応援してくれているところもあると思うんですよね。ちゃんとSURFACEの匂いがするから。--「未練」というワードが出てきましたが、具体的にはどういう想いなんでしょう?
椎名慶治:「僕たちのことを、SURFACEが解散することを許さないでくれ」と解散するときのメッセージに書いているんですけれども、「辞めたくて辞めるんじゃない」というところがちょっとあって。だから引きずっているんですよね、解散するときも。具体的には、もちろん多くは語らないですけど、結局いろんなしがらみがある中で解散せざるを得ないような状態だったから解散しただけで、永谷喬夫(g)という元相方と「もうやってらんねーよ、おまえとは」みたいなケンカ別れをした訳でもないし、音楽の方向性の相違で解散した訳でもない。だからこそ僕の中で引きずっている部分がある。「なんで解散しなきゃいけないんだろう?」という気持ちがあって、それにずっと後ろ髪を引っ張られているというか……。なので、今でも「SURFACEっぽい曲良いな」と思うし、過去のSURFACEの曲を聴いても良いなと思えるし、それを二文字に置き換えると「未練」という言葉になる。--では、極論を言うと、ひとりでSURFACEをやっている感覚が今ある?
椎名慶治:本当に極論ですけど、その通りだと思います。--実際、今回のバラードシングル『凹凸』からもSURFACEは感じました。いわゆるJ-POP的な音楽はずっと続けていきたい想いは強いですか?
椎名慶治:やっぱり僕は歌謡曲が元々好きなので。洋楽のロックも好きですけど、そこは「洋楽のロックは作るんじゃなく聴こう」と思うタイプなんです。自分がやるんじゃなくて、体現しようなんて思わないで。それはやっぱり餅は餅屋じゃないけれども……いるじゃないですか? すごく悪く言うと、洋楽みたいな人たちっていっぱいいるじゃないですか。でも僕は「だったら洋楽を聴いたほうが良い」と思うんです。僕は日本人で英語より日本語のほうが得意な人間なので、日本語で勝負がしたい。日本語でみんなに何か伝わるものを歌いたい。その気持ちはデビュー当時から変わってなくて、だから変な信念があるんでしょうね。自分からそれをプライドとして掲げたことはあんまりなかったですけど、今こうやって話してみると意外と頑固なのかもしれないですね。曲げずにやってきたということは。今「全く違うことやってください」と言われたら「No」と言うかもしれない。--バンドやユニット時代にJ-POPをやっていた人が、解散してソロになったらエッジの利いたことをやり出すパターンって多いじゃないですか。でも椎名さんはそっちに行きたいとすら思わなかったということですよね。
椎名慶治:俺はファン心理もすごく持っていて。で、元々TM NETWORKが好きで、小室哲哉さんが作るサウンドが好きだったりとか、大黒摩季さん、B'z、T-BOLAN、WANDS、ビーイング系と言われる人たちも好きで、米米CLUBもすごく好きで石井竜也さんに憧れて「面白いこと言わなきゃ」と思うようになったり、いろんな日本人のアーティストに影響を受けている訳ですよ。そんな中で、解散した後に方向転換しちゃってビックリしたアーティストがいるんですけど、そのときにファン心理として裏切られた感があったんですよね。「あ、ビジネスとしてやっていただけで、本当はあの音楽やりたくなかったんだ」と思っちゃうじゃないですか。それがすごくイヤで、僕は「やりたくてSURFACEをやっていましたよ」ということをすごく提示したいというか、今でも僕は自信を持って「良い」と言えるし、「ソロからSURFACEまで遡ってもらっても良いものを作っているから、ぜひどっちも聴いて」って言えるようなものを作り続けたいと思いますね。- 「宇多田ヒカルが1位で俺たちが2位だった」という結果
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ツアー情報
【Yoshiharu Shiina 20th Anniversary TOUR「タイトル未定」】
<Musicians>Vocal:椎名慶治 / Drums:かどしゅんたろう / Bass:伊藤千明 / Guitar:友森昭一 / Keyboards:村原康介
<ツアー日程 2018年>
・6月30日(土)福岡・DRUM Be-1
OPEN 16:30 / START 17:00
・7月7日(土)福島・郡山Hip Shot Japan
OPEN 16:30 / START 17:00
・7月08日(日)埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
OPEN 16:30 / START 17:00
・7月14日(土)大阪・心斎橋JANUS
OPEN 16:30 / START 17:00
・7月15日(日)大阪・梅田Zeela ※男性限定ライブ
OPEN 16:30 / START 17:00
・7月21日(土)北海道・DUCE
OPEN 16:30 / START 17:00
・7月28日(土)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
OPEN 16:15 / START 17:00
・8月05日(日)東京・渋谷WWW X
OPEN 16:15 / START 17:00
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:杉岡祐樹
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