Special
Shuya Okino from KYOTO JAZZ SEXTET Digging “UNITY” playlist
2015年にKyoto Jazz Massiveの沖野修也が始動させたアコースティック・ジャズ・ユニット、KYOTO JAZZ SEXTET。6月にスピリチュアル・ジャズとヒップ・ホップ、さらには和ジャズにも翼を拡張した意欲的な2ndアルバム『UNITY』をリリースし、8月にリリース・ライブを控える沖野修也氏にインタビューを敢行した。1960年代のブルーノートの新主流派モード・ジャズを核にしながらも、単なる懐古趣味にとどまらず、それをモチーフにして“ジャズの現在”を表現することをコンセプトにしたKYOTO JAZZ SEXTETを率いる同氏に、全編オリジナル曲を収録した『UNITY』制作時にインスパイアされた楽曲をセレクトしてもらった。
UNITYに秘められたエッセンスを紐解くプレイリスト
01. Little Sun Flower - Freddie Hubbard
KYOTO JAZZ SEXTETは60年代新主流派の現代化を出発点にしたグループですが、僕個人的に70年代フュージョンのファンでもあるので、やはりその両方を繋ぐ存在としてFreddie Hubbardからの影響は大きいと思います。アルバムの冒頭を飾るPeaceful Windは特に彼から学んだ事が反映されているかもしれません。
02. Maiden Voyage - Herbie Hancock
今回50歳で初めてジャズの作曲に取り組んだのですが、常に自分に言い聞かせたことは、シンプルにして印象的なテーマを作ることでした。Maiden Voyageは新主流派という枠組みを超えたジャズの名曲。Harbieのように・・・とは恐れ多いのですが、世に出す以上は常に彼の事を意識しました。頂上を見上げる感覚。
03. Truth - Kamasi Washington
同時代のジャズという意味では決して無視できないのがこのKamasi Washington。誰も彼とKJSを比べたりしないとは思いますが、かつてPharoah SandersとSleep Walkerの共演をプロデュースした僕としては、彼よりも早く現行のSpiritual Jazzに取り組んだ自負もあります。いつか対バンしたいですね(笑)。
04. Into The Sun - Sleep Walker
『UNITY』に収録した「Song For Unity」はズバリ、日本を代表する現行Spiritual Jazzバンド、Sleep Walkerが今も存続していたら・・・という想いで書いた曲です。現在活動休止中の作曲家、吉澤はじめさんに敬意を表し、彼の音楽シーンへの復帰を祈ってこの曲を作ったのです。影響も何も、モロ直系の作品。
05. ソーラン・ブシ B.H. - Billy Harper
新作に取り組むにあたり、ヒップ・ホップのビートを取り入れた新主流派の現代化を基調に、Spiritual Jazzと和ジャズの両翼に音楽性を拡げるイメージがありました。Billy Harperはアメリカのジャズ・ミュージシャンですが、日本制作で民謡のカバーをした彼の作品は参考になりました。既に3枚目の構想を練っているのですが、よりこの方向に進むかもしれません。
06. Song Of Happiness - McCoy Tyner
新主流派からSpiritual Jazzに翼を拡げる際に、その進化のモデルとなったのがMcCoy Tyner。偉大な作曲家でもあります。楽曲「Ancient Future」には彼の壮大な世界観に少しでも近付きたいという野心も込められています。60年代から70年代にかけて、ディープ且つダンサブルな楽曲を量産した彼は僕のヒーロー。
07. Revelation - Hannibal Marvin Peterson
同じ「Ancient Future」でトランペットの類家心平に僕はHannibalのように吹いて欲しいとリクエストしました。彼が尊敬するのはマイルス・デイビスなんですけどね…。時代を象徴するダンス・ビートに鬼気迫るインプロビゼーションを導入するのはHannibalの手法を引用したと言っても過言ではありません。
08. Still In Love - Shuya Okino
KJS初のボーカル曲にNavasha Dayaを起用したのは、僕のソロで彼女とジャズの相性が抜群にいいということを発見したからでした。通常プロジェクトごとに歌い手を使い分ける僕が、敢えてそのタブーを破りスライド投入してまでもNavashaを抜擢したのはそういう理由があったからです。Still In Loveの KJS remixを作ってもいいかもしれません。
09. Mother Of The Future - Norman Conners
Navasha Dayaをフィーチャーした「Love Light」は、Norman Connersの「Mother Of Future」のような高速ダンス・ジャズを作ってみたい!という純粋な動機からでした。正直、エレクトリック・ベースの方が弾き易いかなと思いつつ、小泉克人に敢えてウッド・ベースを強要したという逸話もあります。
10. Teru - Wayne Shorter
僕はDJなのでどうしてもダンサブルな曲を作ってしまいがちなんです。でも、『UNITY』では一念発起して人生初のバラードにも挑戦。Wayne Shorterの「Teru」を聴いて作った訳ではありませんが、こういう曲を聴く度にやはりバラードはいいなと思います。栗原健の表現力に大いに助けられました。
11. Cape Vaden Blues - Horace Silver
『UNITY』にはストレート・アヘッドなジャズも必要だと思い、「Rising」を収録。ピアノの平戸祐介とドラムの天倉正敬が前作以上に噛み合った事に僕も驚かされました。Cape Vaden Bluesを下敷きにはしていませんが、DJの時に続けてかけてみたいなと思っています。この曲のグルーヴはダンス・ジャズの象徴でもあります。
12. You've Got To Have Freedom - Pharoah Sanders
ご子息Tomoki Sandersがアルバムで2曲も参加しているのでお父さんの作品の影響を受けていない訳がありません!僕は楽譜が読めないので、コード進行の類似性が指摘されても、無意識的に引用したとしか説明できないんですよね。むしろ彼のスピリットの方に感化されているんじゃないですかね。僕が最も好きなジャズ・ナンバーはこれです。
公演情報
Kyoto Jazz Sextet
『Unity』 Special Live 2017
ビルボードライブ東京:2017/8/7(月)
>>公演詳細はこちら
【MEMBER】
類家心平 / Shinpei Ruike(Trumpet)
栗原健 / Ken Kurihara(Tenor Saxophone)
平戸祐介 / Yusuke Hirado(Piano)
小泉 P 克人 / Yoshihito "P" Koizumi(Bass)
天倉正敬 / Masanori Amakura(Drums)
沖野修也 / Shuya Okino(vision)
【GUEST】
タブ・ゾンビ / Tabuzombie(Trumpet)
Tomoki Sanders(Tenor Saxophone)
Navasha Daya(Vocal)
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