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丈青×黒田卓也 対談インタビュー

 丈青と黒田卓也という、現代のジャズ・シーンを代表するミュージシャン同士の対談が実現した。J.A.Mとしてアルバム『Silent Notes』をリリースするピアニストの丈青。一方、昨年アルバム『Zigzagger』をリリースしたトランペッターの黒田卓也。その両者が5月と6月に自身のリーダー・プロジェクトでビルボードライブのステージに立つ。今回は、そんな二人に対談インタビューを実施。『Jazz The New Chapter』シリーズの柳樂光隆氏に当日の進行をつとめて貰った。オフィシャルな場では初という二人の対話に、ぜひ注目して欲しい。

お互いの第一印象
黒田「明らかに常軌を逸している人」/丈青「ファンキーな日本人」

--まず二人は面識はあるんですか?

丈青:あるよ。セッションはね。

黒田:リキッドルームで一回。あと、(六本木)アルフィーで一緒に吹かせてもらったことがありますね。

丈青:あとさ、六本木でわけわかんないセッションしたことあったよね。

黒田:ありましたね。

丈青:あと、レコーディングでさ、俺の母親の。

黒田:ありましたね。その時はまだ知り合いじゃなかったですよね。その頃、丈青のお母さんがNYでレコーディングしてて、それに参加したんですよ。

丈青:ジーン・レイクとか、カール・カーターとか、向こうのミュージシャンの中に彼がいて。ほとんど会話もせずにね。でも、すごく覚えているよ。

黒田:15年くらい前ですかね、最初の最初はそれでしたね。

丈青:お互いまだ20代だったよね。

--お互いどういう印象でしたか。

黒田:その時はまだNYに慣れてない頃だったし、ただ演奏して終わったって感じ。ちゃんと話すようになったのは、ホセ・ジェイムズとリキッドルームでやった時だから、7年くらい前ですかね。もちろん、一方的には知ってましたけどね。

丈青:俺も最近だね。ホセとやっているのをビルボードに見に行ったりとか。

--プレイヤーとしての丈青さんは、どういう印象ですか?

黒田:ソイルでぱっと見て、すごいなと。ホセにずっと言われてたんですよ、「お前、ソイル知ってるか」と。その頃、僕はもうNYに住んでいたので、日本のことは全然知らなくて、ホセが「観たほうがいい、日本で一番キているやつらだから」と。で、YouTubeでぱっと見たら、明らかに常軌を逸している人がいて(笑)。プレイヤーとしてだれがぶっ飛んでるかといったら、丈青さんだったと思うんですよね。

--たしかに丈青さんはパンチありますよね。ちなみに元々ソイルって最初はピアニストが違う人だったんですよね。

丈青:ソイルは13年前にメジャーデビューしたんですけど、その前は違う人だったんですよ。メジャーデビューするときに、トランペットのタブから電話がかかってきて。よく覚えてますけどね。「フェラーリ乗りたくない?」とかふざけた電話がかかってきて。

黒田:いいなぁ、時代を感じるなぁ(笑)

丈青:こいつ何言ってんのかな?と思って、とりあえずリハに行ったら、単純に面白いなと思って。

--ソイルの丈青さんのデビューの話は僕もかなり聞きましたよ。(メジャーデビューする前から)知ってた人もライブに行ってみたら、ピアノがやばいやつに変わっててびっくりしたってのが伝説みたいになってますよね。

丈青:スガダイロー君も弾いたことあるらしいですよ、メジャーデビュー前にね。

--では、丈青さんの黒田さんに対するイメージを聴かせてもらってもいいですか?

丈青:簡単に言うと、ファンキーだよね。ファンキーな日本人。それって言葉にするとあれだけど、異質だよね。ステージにいる感じとかも。黒田君の凄いなと思うのは、作曲能力。みんなそう思っているだろうけど、いろんな曲を聴くと、アイデアとか、人選とかもいいし、特に作曲が素敵だなと思う。ホセの時はサイドマンだから分からなかったけど、黒田君のアルバムを聴くと、そこがすごく出てるから、前作『ライジング・サン』が出た時はすごく聴いたよね。

黒田:「ピリ・ピリ」って曲が好きだって言ってくれて。あれいいねって。

丈青:ドラムから始まるよね。あれは超かっこいいよ。曲は全部いいんだけど、あれは特に好きだったね。黒田君はアメリカにいるし、当たり前だけど、アメリカの音楽のマナーとかもちゃんとしてて、リテラシーもすごく高いから、それを日本に持って来てくれてるって感じがするよね。俺もそうだけど、後続に対して育てようっていう気持ちもあるのも伝わるし、頼もしいんですよね。

--黒田さんは国内の若手と積極的に演奏してますよね。ものんくるだったり、石若駿だったり。

黒田:その辺は音楽性で選んだ結果ですけどね。でも、上手な人だけじゃなくて、もっと交わらないと、とは思ってますね。

--でも、若い才能を黒田さんみたいな立場の人がフックアップしていくって意味もあるし、一緒に演奏することも意味があるわけじゃないですか。丈青さんだって、最近、あるベーシストに「一緒に演奏したい」って電話したって話を聞きましたよ。

丈青:サチモスのHSUかな?うんうん、隼太ね。いいベースがいるんだよね。サチモスって知らない?

黒田:最近よく名前聞きますよ。

丈青:そこのベースなんだけど、すごくいいんだよね。彼とは絶対一緒に演奏したいなと思っているよ。すごい伸びしろがあるし、どんなスピーカーで聴いても、彼のベースは一拍が長いから聴こえてくるんだよね。

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