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GARNET CROW 『今宵エデンの片隅で』インタビュー
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--今回こうしてお会いしてインタビューさせていただくのは初めてなので、新曲についてのお話を聞かせていただく前にGARNET CROWの歴史についてもお話を聞かせていただきたいんですけど、まずGARNET CROW結成の経緯を教えてもらってもいいですか?
中村由利:みんな同じスタジオに偶然出入りしていて、そこで意気投合して「やってみようか」って感じになって始まりました。
--メンバーそれぞれ最初の印象とかって覚えてます?
中村由利:古井さんは「背大きいな」(笑)。岡本っちは当時ボンバーヘアーだったのでそれが一番印象に残って、AZUKIさんはほんわかしたイメージで、そのイメージは今でも変わってないですね。なんか見た目の印象しか言えなくて、すみません(笑)。
--それまで中村さんはどんな音楽活動を?
中村由利:実は音楽を本格的にやり出したのは、GARNET CROWに入ってからなんですよ。もちろんそれまでも趣味で曲を作ったりとかはしていたんですけど、あくまで趣味止まりだったんで、仕事というか、本格的にいろいろ考えながら曲を作り出したのは、本当にみんなに出会ってからで。で、本格的に歌うのもGARNET CROWが初めてで。
--ちなみに中村さんが音楽に目覚めたキッカケって何だったんですか?
中村由利:小さい頃からクラシックをよく聴いてて、クラシックピアノをやってたんですよ。その頃から常に自分のそばには音楽がある環境だったので、自然に入っていきましたね。常に家で音楽が流れているような家庭でもあったので、もう当たり前のように音楽は好きになってましたね。
--そんな中村さんがGARNET CROWの面々と出会って、プロとして音楽に向き合っていくようになるわけですが、デビュー当時の自身の心境とかって覚えていたりしますか?
中村由利:がむしゃら、必死って感じだったと思いますね。すべてが初めてのことだったし、しかもデビュー当時は、自分たちが受け入れられるかどうかも分からなかったので、そういう反応とかもすごく気にしていたし。あとデビュー曲を出したばかりの頃は、男の子によく間違えられましたね(笑)。歌声がアルト域の声なので、私。だからその低い声を聴いて「男の子だと思ってました」「女の子だったんですね」みたいな(笑)。なんかよく間違われてましたね。「中性的で女の子っぽくない声だ」というのはよく言われました。
--そのデビューから早くも昨年、5周年を迎えられたわけですが、やっぱり成長、進化はこの5年で顕著に感じてますか?
中村由利:去年の秋にベストアルバム『Best』を編集する作業のときに、デビュー当時から5年間分の曲を並べて聴いてチョイスしていったので、そのときにやっぱりいろいろ感じましたね。ただ古さは感じなくて、今でもデビュー当時のアルバムとかをすんなり受け入れられたので、自分たちがやってきたことって間違ってなかったのかなって。「常に聴いてくれる人のスタンダードになる曲を作り続けていきたい」っていうのがGARNET CROWがずっと持ってるポリシーなので、それを曲げずにやってこれたんだなとは思いましたね。後から聴いて「これ、全然ダサくて聴けない」とか(笑)、そういう曲はなかったので。そこで初めて自信になったというか、そういうことに気付くことができましたね。普段はなかなかね、後ろは振り向かないんで、何年間かに一回こういう機会があるといいのかなって思いました。
--またその5周年のタイミングで、大阪中央公会堂で2DAYSライブを行ったそうですが、どんな内容のライブだったんですか?
中村由利:それはもう完全に招待制でやらせていただいたんですけど、そういったプレミアムライブに相応しい、重厚感のある、歴史に重みのある場所だったので「それに飲み込まれないようなステージにしなくっちゃ」ってことで、通常のライブとはちょっと違う、ちょっとドレスアップしたというか、豪華絢爛な感じの(笑)ライブになったんじゃないかなと自分たちでは思ってるんですけど。演出や衣装なんかも含めてトータル的に豪華な感じでやらせてもらいましたね。おかげで良い緊張感も生まれて、すごく気持ち良かったです。選曲もベスト中心で。
--そして2006年に入ってGARNET CROW、ノンストップでリリースを重ね、今までにも増して精力的に音楽活動を行っている印象があるんですが、これはメンバー一同、創作意欲が湧きまくっている現れでもあったりするんですかね?
中村由利:制作スタンスはこの5年間、全く変わってなくって、楽曲を常に作り続けて、ある程度溜まってくると、アルバムに編集したりとか、「これはシングルで切ろう」とか、そういう持ち札からカードを切っていくような感じでやっているので、そこは6年目の今も変わらないんですよ。ただ去年がベストアルバムをリリースしただけで、オリジナルアルバムが出せていなかったので、その分やっぱり制作期間が長く取れていて、楽曲が結構溜まってきてるんですよね。その中で、いろいろと決まっていったって感じなんです。なので今回3ヶ月連続でリリースすることになったんですけど、それも偶然の結果で、『夢・花火』をリリースした段階では、3ヶ月連続リリースなんて決まってなくて。でもアニメ「メルヘヴン」のテーマ曲に『今宵エデンの片隅で』が決まったり、またそれと同時期に去年ぐらいからあった『まぼろし』が番組スタッフの方の耳に止まって、その曲をドラマ「新・科捜研の女」の主題歌として使っていただけることになったので、シングルとしてリリースすることが決まったりして。で、それを全部照らし合わせてみたら「3ヶ月連続じゃん」っていう感じだったんですよね(笑)。私たちもビックリしてるんですけど(笑)。
Interviewer:平賀哲雄
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--その3ヶ月連続リリースの2枚目と3枚目に重点を置いてお話を聞かせていただきたいんですが、まず2枚目の『今宵エデンの片隅で』。この曲はまず「メルヘヴン」というアニメの話がありつつ作られた曲とのことですが、どういった世界観を重要視されたんでしょうか?
中村由利:「メルヘヴン」がファンタジックな冒険モノで、夢のあるストーリーだったので、それはしっかり頭に置きつつ、私たちの曲の中で『二人のロケット』(3rd Single)っていう曲があるんですけど、その曲のようなメジャー感のある明るい曲というテーマを頂いたので、それも頭に置いて作りましたね。あと、この曲を作ったのが6月ぐらいなんですけど、ちょうどその当時レコーディングしていた曲が比較的暗い内容のモノが続いてて、自分の中でも「そろそろ明るい曲が欲しいな」って思っていたんですよね。そんなときに舞い込んできたお話だったので「明るい曲を書こう!」と思っていくつか書いた内の一曲が『今宵エデンの片隅で』なんですけど、底抜けに明るくて、メジャー感を前に前に出した曲になったと思います。
--そんな『今宵エデンの片隅で』、実際に歌ってみていかがでした?
中村由利:結構ノリのある曲でもあったので、ライブ感みたいなモノを大事にしつつ、楽しんで歌えましたね。なのでそういう楽しさが聴いてくれる人に伝わったらいいなと思うんですけどね。あと6月に書いたばかりなので、すごく新鮮でした。短い期間の中で仕上げたので、すごくエネルギーが凝縮されている感じがして。そういう勢いみたいなモノが一番感じられる曲なんじゃないかなと思います。
--カップリングの曲についても触れていきたいんですが、『失われた物語』。この曲はどんな世界観を膨らませながら作っていった曲なんですか?
中村由利:これは元々あった曲からこのシングル用にチョイスしたんですけど、『今宵エデンの片隅で』との相性が良いと思ってて。クールダウンできる曲というか、メロウでグルーヴィーな楽曲でちょっと大人っぽいというか、オシャレな感じで。あと歌詞が“ですます調”になってるんですけど、“ですます調”の言葉って私自身が好きなんで、そういった意味でも結構気に入ってる曲というか、個人的にも好きな曲ですね。サウンドのオシャレ感と日本語の美しさみたいなモノが絡み合った綺麗な、艶のある曲に仕上がったと思います。
--そして3曲目の『nonsence』。この曲にはどんな印象や感想を?
中村由利:これこそ本当に楽しんで聴いてもらえればそれでいい感じの曲ですね。コーラスにギターの岡本っちに入ってもらって一緒に歌ってるんですけど、そこはちょっと面白い聴きどころ。サビが英語詞になってるのがGARNET CROWとしては珍しいんですけど、そこをリードボーカル一本で立てるんじゃなくて、コーラス調にしてるんですよ。洋楽のサウンドアプローチ的なことをしているので、そこはチェックしてもらいたいですね。
--そんな3曲入りのニューシングル『今宵エデンの片隅で』リリースから僅か1ヶ月足らずで次なるニューシングル『まぼろし』がリリースされるわけですが、この曲にはかなりの手応えを感じているんじゃないですか?これこそGARNET CROWならではの名曲という感じがしたんですが。
中村由利:この曲は作ったときから本当に気に入ってて、次のアルバムをまとめるポジションの曲でもあったんですけど、それを純粋に評価していただいて、気に入っていただいて、番組の主題歌として使っていただけるというのは、やっぱり自分たちの自信のある曲だったので、とっても嬉しいですね。評価してもらいたいところで評価されたのがすごく嬉しくて、こういった音楽をやってて良かったなって思いました。他にも候補曲がいくつかあった中から選んでいただけたので、自分たちの思いが通じた気がしましたね。自信にすごくなりました。
--GARNET CROWのファンとかファンじゃないとか関係なく、独り立ちできる力を持った曲ですよね。
中村由利:そう思います。でもまさかシングルになるとは思ってなかったんですよ(笑)。アルバムの中心になる曲になるとは思ってたんですけど。
--ちなみに今アルバムの話が少し出ましたが、ニューアルバムの構想は出来上がってる感じではあるんですか?
中村由利:そうですね。曲も揃ってきましたし、あとは諸々のまとめ作業に入りつつある段階なので。今回のアルバムは、もう今の段階でかなり手応えは感じてます。早く聴いてもらいたいなって感じですね。
--では、3ヶ月連続リリース以降は、もうそこに向けて突っ走っていくだけというか?
中村由利:そうですね。
--楽しみにしています。あとこの手の質問はもしかしたらデビュー5周年のタイミングでよくされたかもしれないんですが、デビューからの5年がGARNET CROWの土台を作った5年だとしたら、今年から始まったこの先の10周年に向けての5年間はどんな5年間にしていきたいですか?
中村由利:やっと土台が出来たんで、次は耕す段階かなって思ってます。地盤がやっと出来て、これから一生懸命耕して耕して、種を蒔ける段階に向かっていこうと思っている時期ですね、今は。
--それでは、最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
中村由利:「夏が似合わないGARNET CROW」って言われてきたんですけど、今年はなぜか似合わない夏に(笑)おもいっきりリリースして、「今年はGARNET CROWの夏」と言われるようにアルバムまで頑張っていきたいと思いますので、ぜひ楽しみにしててください!
Interviewer:平賀哲雄
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