やっぱり歌いたい気持ちはずっとありました

▲JY 『最後のサヨナラ』MUSIC VIDEO-unveil edit- (Short Ver.)

－－今年の春にメジャーデビューしましたが、1stシングル『最後のサヨナラ』では当初、JY＝知英であることを隠していました。

JY:毎日ドキドキしてました！ 出演させていただいたドラマ『ヒガンバナ～警視庁捜査七課～』を撮影していたころ、自分の写真集の発売イベントなどでファンの方と会う機会があって、「JYって知英ちゃんだよね？」って訊かれることも多かったんですよ。でも、その時はもう笑うしかなくて、ごまかしながら活動してました（笑）。隠していたことは申し訳なかったと思っていますが、その分、たくさん興味を持っていただきましたし、ある意味楽しかったところもありましたね。

私は元々歌手としてデビューしたので、やっぱり歌いたい気持ちはずっとありました。こうしてソロでデビューすることは簡単ではなかったのですが、皆さんにサプライズを届けたいという思いがあったので、最初は謎のアーティストとして出させていただけることに自分もワクワクしていましたね。

－－初めてJYとしてファンの皆さんの前で歌った時の感想は？

JY:幸せでした！ みんなの前で歌った時は「また歌えた！」っていう気持ちが溢れて思わず涙が出てきちゃって。「こんなに待ってくれてたんだ……」って、マイクを持って皆さんの前に立てていることが信じられない思いでした。

－－そういう経験によって生まれた覚悟というのは？

JY:JYというアーティストはバラードでデビューしましたけど、『ヒガンバナ～警視庁捜査七課～』のオープニングに起用していただいた「RADIO」は全英語詞でまったく違うジャンルだったんですね。私自身、色んな音楽を聴いているので、JYは色んな幅の音楽を歌えるアーティストにしたいって、スタッフさんと一緒に決めました。

歌詞を表現することも、役を演じきることも、何かを演じるという部分は一緒

▲JY 『RADIO』MUSIC VIDEO (Short Ver.)

－－確かに「Radio」はミュージックビデオも印象的で、幻想的な雰囲気の「最後のサヨナラ」とはまったく違うアプローチでした。では、そんなJYというアーティストの一番の特徴を自ら挙げるとしたら？

JY:まだ探っている途中なんですけど、“JY＝このジャンル”みたいにはならずに楽しんでもらいたいんですよね。皆さんに一番期待して欲しいのは、“次は何をするんだろう？” “こういうのもできるんだ！”ってところですね。

－－俳優業とミュージシャン業で意識的に変えている部分はありますか？

JY:歌詞を表現することも、役を演じきることも、何かを演じるという部分は一緒だと思うので、スイッチを入れ替えたりはないですね。ただ、女優の時は自分を捨てて役になりきらなければいけないと思っていて、ミュージシャンの時はJYに何かをプラスしてもっと良いものを作らなければって感覚ですね。両方を楽しんでます！

－－そして今回、ニューシングル『好きな人がいること』をリリースしましたが、本作はドラマ『好きな人がいること』の主題歌に起用されています。日本を代表するドラマ枠である月9の主題歌というのは、JYさんにとっても大きなことだったのでは？

JY:月9の主題歌になったことを教えてもらえたのが一番最後だったんですよ（笑）。周囲のスタッフさんは全員知っていたんですよね。今回の歌詞は私も書いたのに、レコーディングも全部終わったところで……。もちろんラブストーリーで女性を応援する曲っていうキーワードは前々から教えてもらえていたんですけど、“もっと早く言ってよ！”って（笑）。ただ、その分プレッシャー無く書けたと思います。

苦労したからこそ、素敵な曲ができた

▲ JY【初出し写真①】

－－「好きな人がいること」はCDに先んじて配信されましたが、iTunesやレコチョクなどのチャートで計12冠を獲得する快挙もありました。

JY:それはドラマのおかげだと思います。もちろん良い曲だと思いますけど……、今もまだ信じられないくらい、心の底から嬉しいです。

－－前作のカップリング「さよなら私の少女」でも作詞にクレジットされていましたが、日本語の歌詞を書くのは難しい？

JY:日本語で書いたことが無いので、「さよなら私の少女」の時は最初に韓国語で書いて、そこから日本語に変えました。でも今回は（作曲を担当した）山本加津彦さんが一緒に参加してくださったので、ひとりで悩んだりはしなかったですね。最初はドラマと違う感じの歌詞もあったんですけど、山本さんがうまくコントロールしてくれました（笑）。

－－初のレギュラー番組 TOKYO FM『知英の季節』でお話しされていましたが、本作はけっこう難産だったみたいですね。

JY:大変でした！ 曲を初めて聴いた時から“これは良い曲だ！ がんばりたい！”って思ったので、自分の欲張りで何度も歌い直しをさせてもらいましたし、うまくいかなくて泣いてしまったり……。私は何故か悔しいと涙が出てくるんですよ、すごい負けず嫌いなので（笑）。

「好きな人がいること」は明るい曲調だから、かわいらしい声にしすぎると子どもっぽくなってしまうんです。どうやったら歌詞を伝えられるのか、何回も何回もやり直しました。歌詞もつめ込まれている曲だから、ニュアンスまでちゃんとに聴こえるようにしなければいけなくて、身体に馴染むまで何度も練習しましたね。そうやって苦労したからこそ、素敵な曲ができたと思っています。

－－たしかに歌声がかわいすぎると歌詞の雰囲気と合わなくなってしまう難しさがあります。

JY:私は今22歳なんですけど、もう子どもじゃないけど大人でもないっていう歳じゃないですか（笑）。KARAの末っ子だったイメージから脱却して、新しい歌声で表現していかなければいけないと思っていて。もっともっとうまく歌わなきゃ、っていう欲が強かったので、時間をかけさせてもらいました。

恋愛だけじゃなく人生を歌うような歌詞

－－でも、そこまでこだわり抜いたからこその楽曲になったと思います。先日ラジオで通常盤のカップリングに収録されている「好きな人がいること-Piano Slow Edit-」を生歌で披露していましたが、素晴らしい歌声でしたよ。

JY:この曲のレコーディングも、山本さんが突然ピアノを持ってきて「やってみようか？」って、急に歌わされたんですよ！（笑） しかも歌ってみたら「これはドラマでも使えそうだ」って、実際に劇中で使用していただきました。この曲の歌詞って実は切ないので、スロウバージョンにピッタリなんですよね。

－－たしかに歌詞は仰っている通り、ポップな曲調に対して切ない内容が特徴になっています。

JY:日本で活動してきた中での大変だったこととかを山本さんと色々話していたら、恋愛だけじゃなく人生を歌うような歌詞になりました。

－－JYさんが歌う“何度も何度もやり直せばいいよね”という歌詞は感動的です。

JY:何度も何度もやり直すことって本当に大変だし、すごい努力がいることですから、こうやって明るいメロディで歌っているけど深い意味が入っている曲なんです。皆さんにぜひ共感してもらいたいですね。

私、実はそんなにダンスが得意じゃないんですよ（笑）

▲JY 『好きな人がいること』Music Video Short Ver.

－－また、ミュージックビデオはあの蜷川実花さんが手がけていて、蜷川さんらしい色使いのシーンと抜けるような青空のシーンのギャップが面白い内容になっています。

JY:実花さんとは撮影のお仕事などでご一緒したことはあったのですが、映像は初めてだったのですごく楽しみにしてたんですよ。やっぱり蜷川さんだなって思ったのは、撮影現場では普通に綺麗だなーと思っていたものが、映像になると色使いや流れが歌詞にマッチしていて、さすがですよね！ 現場で細かい小道具まで全てご自身でチェックされている姿を見て、本当にアーティストだなって感動しました。ピンク色の部屋のシーンから撮影がスタートして、部屋に入った瞬間から「わ、実花さんの世界観だ！」って！

実花さんは色々指示を出してくれますし、判断が早い方なんですよ。それに「私は好きだけど知英はどう？」って訊いてくれるので楽しく撮影できました。スーパーマーケットのシーンも普通のお店だったのに、映像になると素敵な色味になるのが本当に驚きで！

－－個人的にはJYさんが踊っているシーンが印象的でした。

JY:私、実はそんなにダンスが得意じゃないんですよ（笑）。もちろん昔はステージのために何か月も練習して完璧に踊れるようにしていましたけど、デビュー当時から自信が無いところではあって……。今回の曲ではスタッフさんたちから「絶対に踊って欲しい！」ってリクエストをいただいて、最初は「あんまり踊らなくていいよ」って言われたんですけど、実際に踊ってみると物足りなくなっちゃって結局自分でフリを考えてすごい踊っちゃいました（笑）。

－－また、本作はカップリングも面白くて、「Hello Mr.」では知英さんが“Mr.”と歌っていることに感動してしまいました。

JY:アハハハハ！ 私も最初はビックリしました！（笑） この曲はライブとかでもみんなで歌えるんじゃないかなって思います。

山口百恵さんの曲を絶対にカバーしたかった

▲ JY【初出し写真②】

－－さらにカップリングには山口百恵さんのカバー「夢先案内人」も収録されています。

JY:JYのデビューが決まった時に、日本の歌謡の歴史を知りたくて色々調べていたら、山口百恵さんをオススメしてもらったんですよ。それで映像を観てみたら本当に衝撃で、かっこいい曲が多いのに「夢先案内人」のような大人のかわいさもあって、歌詞も本当に素晴らしい。山口百恵さんの曲を絶対にカバーしたかったので、今回選ばせていただきました。

－－山口百恵さんの一番の魅力は？

JY:もちろん歌も素敵なんですけど、昔のテレビ番組に出演しているDVDを観たら百恵さんが歌っている時のオーラがすごいなって。ただ歌っているだけじゃなくて、ちゃんと演じている部分とか目つき、かっこよさが心に響きました。

－－ご自身もステージに立つ上で、演じて歌うことはありますか？

JY:今までは無かったんですけど、百恵さんの映像を観て、「ステージの上でこんな風に演じていいんだ！」っていう驚きがあって。お客さんと一緒に楽しんで歌うことを一番大切にしてきましたし、それはこれからも変わらないんですけど、私だけを観に来てくれたお客さんにスペシャルな姿を見せたい思いがあるので、これからもっと勉強して色んなステージをできるようになりたいです。 ステージの上でマイクひとつを持って歌っている百恵さんのオーラは本当に素晴らしくて、派手なことをしなくてもみんなに伝えられるアーティストになりたい！って、ちょっとでも近づけるようになりたいと思いました。

－－では、最後にJYというアーティストの夢、野望を教えてください。

JY:ひとつのジャンルにとらわれることなく色々やりたい気持ちがあるんですけど、世の中には歌がうまい人がたくさんいらっしゃるじゃないですか。そういう方々に比べるとまだまだ足りないし努力しなければいけないんですけど、ちゃんとに皆さんに伝えられる曲を作っていきたいなって気持ちです。

「好きな人がいること」は皆さんを応援したい気持ちで書いた曲なので、今後も共感してもらえる曲を作っていきたいと思いますし、アルバムとかも早く出したいです！ 作詞も難しいですけど挑戦して、自分の経験とか色んなことを書いて伝えたいなって。ライブも早くやりたいです！

－－最後に訊くのも何ですが、ライブの時は踊ってくれますか？（笑）

JY:それを期待して観に来てくださる方もいると思うので、踊らなきゃ！（笑）