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クイーン 来日記念特集&伝説的パフォーマンスをプレイバック
フレディ・マーキュリーが逝去してから25年、そして生誕75年を迎える2016年。クイーンの来日公演が決定した。しかも、31年ぶりとなる日本武道館公演は、往年のファンにとってなによりも嬉しいニュースだろう。フレディ亡き後、新たにアダム・ランバートをヴォーカリストに迎えたニュー・ヴァージョンのクイーンではあるが、現在でも世界中のスタジアムを沸かせるスーパー・バンドであることに変わりはないのだ。
では、クイーンとはどういうバンドだったのか。ここで少しおさらいしておこう。もともとは、ギターのブライアン・メイと、ドラムスのロジャー・テイラーが組んでいたスマイルというバンドが母体だといわれている。彼らは1969年にシングル・デビューしているが、ヒットには至っていない。そのバンドのヴォーカリストが脱退に伴い、加入したのがフレディ・マーキュリーである。そして、オーディションで選ばれたベーシストのジョン・ディーコンが加入したのが1971年のこと。ちょうど45年前に、類を見ない4人組が結成されたのだ。
TOP Photo: Redferns & WireImage
1973年にファースト・アルバム『Queen / 戦慄の王女』でデビューしたクイーンは、当初酷評され商業的にも成功とは言い難い結果となった。しかし、翌1974年の『Queen II / クイーンII』がセールスを伸ばし、サード・アルバム『Sheer Heart Attack / シアー・ハート・アタック』(1974年)からの先行シングル「Killer Queen / キラー・クイーン」のヒットでトップ・アーティストの地位を固め、1975年にリリースされた名曲「Bohemian Rhapsody / ボヘミアン・ラプソディー」及び、最高傑作とされる名盤『A Night At The Opera / オペラ座の夜』で、ついに世界最高のロック・バンドとして君臨することとなった。
クイーンの特徴は多数あるが、まず挙げられるのが個性的な楽曲群だろう。初期はハードロックやグラムロックの影響が色濃いロックンロールが中心だったが、徐々に「キラー・クイーン」や「ボヘミアン・ラプソディー」に代表されるようなコーラスワークを主体にしたシアトリカルな楽曲が増えていった。「Somebody To Love / 愛にすべてを」や「We Are The Champions / 伝説のチャンピオン」、「Bicycle Race / バイシクル・レース」などは、これらの延長線上といえる。しかし、新しいサウンドを取り入れることにも積極的で、ドラムスとハンドクラップのシンプルなリズムで歌われる「We Will Rock You / ウィ・ウィル・ロック・ユー」、ロカビリー風の軽快なロックンロール「Crazy Little Thing Called Love / 愛という名の欲望」、ダークなディスコ・サウンドを導入した「Another One Bites The Dust / 地獄へ道連れ」などが大ヒットしたこともあり、特定のジャンルに縛られない魅力を持っているのも確かだ。
そして、メンバーそれぞれの個性が際立っていることも、クイーンが成功した要因だろう。特にサウンドの要となるのは、ブライアン・メイが弾くエレクトリック・ギター。ピックの代わりに6ペンス・コインを使用し、シンセサイザーのようにエフェクトされた独特の音色を重ねていく手法で、多くのギター・キッズをとりこにした。また、ジョン・ディーコンのファンキーかつタイトなベース・プレイや、相反するように派手なドラミングで沸かせるロジャー・テイラーとのコンビもユニークだ。もちろん、フレディ・マーキュリーのヴォーカル・パフォーマンスは言うまでもない。レザーやタイツを身に着けた衣装からマイクスタンドの使い方まで、後続のヴォーカリストに多大な影響を与えた。
加えて、彼らメンバーがそれぞれヴォーカルを取れるだけでなく、ソングライターとしての能力が高いことも重要だ。メインはフレディだが、「Fat Bottomed Girls / ファット・ボトムド・ガールズ」や「I Want It All / アイ・ウォント・イット・オール」はブライアン、「You're My Best Friend / マイ・ベスト・フレンド」や「I Want To Break Free / ブレイク・フリー (自由への旅立ち)」はジョン、「Radio Ga Ga / RADIO GA GA」や「A Kind Of Magic / カインド・オブ・マジック」はロジャーと、それぞれがクイーンとしての大ヒット曲を書いているというのは、他のバンドでは見られない傾向だろう。
そして、彼らの最大の武器は、なんといっても大規模なライヴだ。70年代から80年代にかけて様々な伝説を作ったが、なかでも語り草になっているのが1985年に行われた「ライヴ・エイド」でのパフォーマンスだろう。アフリカ難民救済を目的に史上最大のチャリティー・コンサートといわれたこのビッグ・イベントは、当時の大スターが軒並み出演したが、その中でクイーンは出演者中最多の6曲を披露し、最高のライヴを見せつけたのだ。この模様は、世界各国に衛星生中継も行われ、日本でもリアルタイムで観ていたファンは多いことだろう。当時はメンバー内の亀裂もあり、解散寸前だったと言われていたが、このライヴをきっかけに見事に復活した。
その他にも、数々の名演とされているライヴが存在する。1975年の初来日時における日本武道館公演はもちろん、大ブレイク直後のハマースミス・オデオンでのクリスマス公演(1975年)、アルバム『The Game / ザ・ゲーム』の大ヒットで勢いに乗りまくっていた時期のワールド・ツアー(1981年)、ウッドストックの入場者数をを軽く更新したといわれるブラジルで行われたロック・イン・リオ(1985年)、そして、アルバム『A Kind Of Magic / カインド・オブ・マジック』を引っさげた実質上のラスト・ツアーの最終日程であり、2日間で15万人という驚異的な観客を動員した英国のウェンブリー・スタジアム(1986年)。いずれも映像に収められて記録に残っているだけでなく、伝説として人々の記憶に深く刻み込まれているのだ。
1991年にフレディ・マーキュリーが45歳の若さで逝去し、クイーンの歴史は終わったかに見えた。しかし、音楽業界自体を引退したジョン・ディーコンを除いたオリジナル・メンバーのブライアン・メイとロジャー・テイラーは、その火を絶やさないように活動を続けている。一時期はフリーのヴォーカリスト、ポール・ロジャースが参加していた時期もあるが、現在はフレディとは親子ほど年齢差のあるアダム・ランバートがフロントに立っている。思わずフレディと重ね合わせてしまうかもしれないが、クイーンは不死鳥のごとく新たに生まれ代わったのであり、今現在のクイーンもまたクイーンでしかないのだ。そして、デビューして45年経った今もなお、往年と変わらず最強のライヴ・バンドであることを、実際に体感しようではないか。
公演情報
クイーン+アダム・ランバート LIVE IN TOKYO 2016
2016年9月22日(木・祝)~23日(金)
日本武道館 / 開演19:00
S席 16,500円 / A席 14,500円 / B席 12,500円 / SS席 40,000円 (グッズ付き)
ブライアン・メイ:「何と素晴らしい機会だろう。45年間以上も世界各地をツアーしてきた今、アジアで全く新しい地に降り立つことになった。クイーンはアダムと活動することで新しいエネルギーと生命力を得た。各地の皆さんの笑顔が見られるのを楽しみにしているよ」
ロジャー・テイラー:「アジアの素晴らしい各都市に、クイーンとして訪れるのが本当に楽しみだ」
アダム・ランバート:「近頃はアジアに訪れる機会があったので、クイーンとの公演でアジアを再訪できることにワクワクしている。記憶に残るショウを皆さんにお届けするよ」
INFO: http://queen-lambert-japantour.com
関連リンク
Text: 栗本斉
クイーンによる伝説的パフォーマンスをプレイバック
「炎のロックン・ロール」 1974年 / Rainbow
「ホワイト・クイーン」 1975年 / A Night At The Odeon - Hammersmith
「プレイ・ザ・ゲーム」 1981年 / Montreal
「ボヘミアン・ラプソディー」 1985年 / Live Aid
「地獄へ道連れ」 1985年 / Japan
「ウィ・ウィル・ロック・ユー」 1985年 / Rock In Rio
「RADIO GA GA」 1986年 / Wembley Stadium
「ドント・ストップ・ミー・ナウ」 w/ アダム・ランバート 2016年 / Rock In Rio
公演情報
クイーン+アダム・ランバート LIVE IN TOKYO 2016
2016年9月22日(木・祝)~23日(金)
日本武道館 / 開演19:00
S席 16,500円 / A席 14,500円 / B席 12,500円 / SS席 40,000円 (グッズ付き)
ブライアン・メイ:「何と素晴らしい機会だろう。45年間以上も世界各地をツアーしてきた今、アジアで全く新しい地に降り立つことになった。クイーンはアダムと活動することで新しいエネルギーと生命力を得た。各地の皆さんの笑顔が見られるのを楽しみにしているよ」
ロジャー・テイラー:「アジアの素晴らしい各都市に、クイーンとして訪れるのが本当に楽しみだ」
アダム・ランバート:「近頃はアジアに訪れる機会があったので、クイーンとの公演でアジアを再訪できることにワクワクしている。記憶に残るショウを皆さんにお届けするよ」
INFO: http://queen-lambert-japantour.com
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Text: 栗本斉
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