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加藤和樹『春恋/夢追人』インタビュー
歌手デビュー10周年を迎えた加藤和樹。メモリアルイヤー&移籍第一弾シングル『春恋/夢追人』が、4月20日 テイチク・インペリアルレコードより発売になった。今回のインタビュー後、熊本県中心に発生した地震を受けて、彼は今作のアーティスト収益の一部と、加藤和樹通販ではオリジナルグッズの売り上げ、ライブ会場ではチャリティーステッカーの売り上げ全額を寄付。ライブ会場にも募金箱を設置し、募金を呼びかけると発表した。
その行動原理もよく伺える、加藤和樹が音楽活動や芸能活動を10年間続けられた、そしてこれからも続けていこうとする理由。このインタビュー記事からぜひ感じ取ってほしい。
「これじゃインタビューにならないよ」って思われていたと思う
--役者でもあり、音楽アーティストでもあり、様々な表現をされている加藤和樹さん。自身ではどんな存在だなと思っているんでしょうか?
加藤和樹:「何者なの?」って自分でも思います(笑)。実際、応援してくれている方たちも「役者なの? 音楽なの?」って聞いてきますし、最近は声のお仕事もやらせてもらっているので「声優になったの?」とも言われるんですけど、根本にあるのは音楽、アーティスト。でも結局は1人の表現者だと思ってます。音楽、芝居、声優はもちろん、写真を撮ったり、SNSで何かを発信したり、こうしてインタビューで語らせて頂く事も表現だと思っているので、「あ、いろいろやってるアーティストなんだね」って思ってもらえればと思いますし、その活動の一部でも興味を持ってくれたお客さんがいたとして、その人の視野が広がるきっかけになれれば良いなと思ってます。--そうした様々な表現をする事になったきっかけは何だったんですか?
加藤和樹:元々は【ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト】というものがきっかけで、地元の名古屋から上京してきて。最初は何の目標も無いまま生活してましたけど、そういう一人の人間が音楽と出逢って変わったんですよね。自分の音楽を通じて「こういう風に聴いてください。こういう風に感じてください」ということではなくて、聴いてくれた人が何かその人なりの受け止め方をして、一歩前に進めるきっかけになればいいなって。自分自身が音楽で変わったから、音に言葉を乗せて届けたい気持ちが強かったんです。--その自分を変えた音楽というのは、具体的にどんなものだったんですか?
【加藤和樹】 去りゆく君へ / PV(Short Ver.)
--ヴィジョンは生まれたけど、具体的な方法が分からなかったんですね。
加藤和樹:そんなときに今のマネージャーと出逢って、人前で歌ったこともないし、レッスンを受けたこともなかったんですけど、ミュージカル【テニスの王子様】の話を頂いたので、そこで度胸試しというか、人前で歌うということを経験しようと思ってオーディションを受けたんです。それで無事出演させて頂くことになり、自分をお客さんに知ってもらえるきっかけになった。そこが僕のスタートラインですね。--初舞台のことは今でも覚えてますか?
加藤和樹:鮮明に覚えてますね。最初の登場シーンが、ベンチの裏にスタンバイして、そこが割れて登場する形だったんですよ。その裏にいるときの緊張感とか、実際に大勢の人の前に立つっていうことが少なからず気持ち良かったんです。生身の人間がそこで歌をうたって、お芝居をして、その感覚がすごく好きだったんですよね。でも、そののちにライブをやれることになるんですけど、その感覚はミュージカルとは全く違うものでした。--どう違ったんでしょう?
加藤和樹:やはり自分自身としてステージに立つということ。芝居をしているときは役という仮面をかぶってる訳じゃないですか。なので、そんなに恥ずかしくもないし、やるべきことも分かってる。ただ、アーティストとして渋谷のO-WESTで初ライブをしたときは緊張しすぎて、もうそのライブのことをほとんど覚えてない。今でもライブは緊張するし、開演前になるとトイレがすごく近くなるんですよ(笑)。でも当時は緊張に加えて「怖い」という想いもあったんです。「上手くMCが出来なかったらどうしよう?」とか「歌詞が飛んだらどうしよう?」とか「声がひっくり返ったらどうしよう?」とか不安材料があり過ぎて、人前でひとりで喋る経験がなかったからMCで何を話すかもノートに書いてたんです。だからMCというよりはスピーチに近い。でもそうしないと喋れなかったんですよね。--今の堂々とした立ち振る舞いからは想像がつきません(笑)。
加藤和樹:お客さんに「がんばれー」とか何かひとつ声をかけられるだけで、その瞬間に頭まっしろになってました(笑)。今言おうとしていたことを忘れちゃって、「あ、ごめんなさい。次の曲行きます」みたいな。だからすごく歯切れの悪いライブをしていたと思いますし、それを悔しく感じてました。壁にぶち当たってる感が最初の頃はありましたね。--それをぶち破れたきっかけは?
加藤和樹:ひとつは、2周年のときにやった武道館でのライブです。それまで人との関わり合いとか、人前で喋る事も含めてあまり得意ではなかったんですね。どちらかと言うと人見知りだし、こういうインタビューとかもすごく苦手で何を喋っていいか分からない。聞かれたことに対して一言二言しか答えられない。--インタビュアー泣かせのパターンですね。
【加藤和樹】 「Chain Of Love」(中国語Ver.)北京ライブ映像
- ……あったんですよね、一度歌を辞めるかどうか?っていう時期が
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リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:外林健太
……あったんですよね、一度歌を辞めるかどうか?っていう時期が
--その気付きによって変われたと。
加藤和樹:それからは砕けるというか、ひとつ鍵から解放されたような感覚になって、それまで「これは引かれるんじゃないか?」とか「ひょっとしたらキライになってしまうかもしれない」と思っていた部分も受け入れてもらえるようになって、そこに喜びや有り難さを感じたんです。だからこそ「ファンのみんなにももっといろいろぶつけてほしいな」と思ってるし……--ちなみに「これは引かれるんじゃないか?」と思っていた要素とは?
加藤和樹:自分も男なので……MCで下ネタを言うとか(笑)。--(笑)
加藤和樹:あとはお客さんにツッコむとかね、「ごめん、今、俺が喋ってるから黙って!」とかそういう何気ない普段のやりとりが出来るようになった。最初はそれさえも出来てなかったんですけど、「目の前にいる人たちは敵じゃない」と気付けてからは緩んだ自分も見せられるようになったんです。応援してくれる人たちも最初は「初めてライブに行く」みたいな人が多かったし、どういう風にライブを観ていいか分からないところもあったと思うんですけど、そこは僕らで作っていくものだから。「他のアーティストがこうしてたらからウチもやらなきゃ」とかそういうことではなくて、今、自分たちがいるこの空間を楽しめばいい。その空気は大事にしたいし、自分はステージに立つ表現者ではあるけれど、みんなとの距離を縮めるということがすごく大事なんだなって思いました。--それによって今のファンとの関係性が出来上がったんですね。
加藤和樹:それはリリースイベントでの握手会も大きかったですね。先ほど話したように人見知りだったので、最初は何を話していいか分からないし、「握手会やります」と言われる度に「うーん……」ってなってたんですけど、今はみんなが自分に笑いかけてくれることがすごく嬉しくて。あと、以前は自分の笑顔が大嫌いだったんですよ。--なんでですか?
加藤和樹:なんか気持ち悪くて。なので、撮影のときもなるべく笑わないようにしてました。自分の笑顔の写真を見るのが落ち込むぐらいイヤだったんですよ。硬すぎて。でもファンの人が「笑ってる和樹さんがすごく好きです」って言ってくれて……そうやってみんなから与えてもらえるのがすごく多くて、それで「笑ってもいいんだな。そんなに悪くないんだな」って思えるようになってからはよく笑うようになったし。だからファンの方との交流ってすごく大事なんですよね。直接声を聞く、温もりを感じる、それが自分にどれだけの影響を与えてるか? っていうことがすごく身に沁みました。--そうした苦悩の時期を超え、今現在はライブにしても楽曲を発信していくことにしても、音楽活動に対してどんな感覚でいるんですか?
加藤和樹:自分が思ったことや感じたことを曲や歌詞に乗せて、それに共感してもらえるのがすごく嬉しいです。ライブにしてもMCはその場でのお客さんとのノリで作っていこうと思うし、それはニコニコ生放送の番組で喋ったりする仕事にもすごく生きてるし、対応力もついてきたなって思います。かつてライブの中で一番キライだったMCが好きになってますからね、最近喋りすぎてライブの尺がどんどん取られてる(笑)。今はお客さんと喋るのがすごく楽しいんですよね。それは自分でも驚きだなって思います。地元でライブをやったときに観に来てくれた友達は「加藤さんってあんなに喋る人だっけ?」って言ってました。--そんな変化を重ねながらアーティストデビュー10周年を迎えた訳ですが、音楽活動を10年間続けてこれたことに対してはどんな感慨を持たれていますか?
加藤和樹:支えてくれている人たちがいるからステージに立てている。それはここ最近、本当に身に沁みてる部分です。昔は「自分ひとりで何とかしなきゃ」とか「やるのは自分だから、他の人たちは自分の気持ちなんて分からないよ」って思ったりもしていたんですけど、そんな俺を「しょうがねぇから背中押してやるか」って支えてくれたチームがいるっていうのは本当に有り難いし、何をやっても受け止めてくれる訳ではないですけど(笑)、時には厳しい事を言ってくれるファンがいることも含めて、そんなみんなの為に何が出来るかということを考えたいと思うし、そうじゃないと続けられないと思ってます。最初の3,4年は先ほど話した武道館も含めて“立たせてもらっていた”という想いが強くて、もちろんソレは今でも変わらないところはあるんですけど、やっぱりみんながいなきゃ自分は何にも出来ないし、でも力を貸してもらう為には自分に「歌がうたいたい」「ステージに立ちたい」っていう想いがなければいけない。……あったんですよね、一度歌を辞めるかどうか?っていう時期が。個人的に「俺はもう無理だ」「一回ライブを辞めたほうがいいんじゃないか」って思ってしまったんです。裏側ではいろいろ思うこともあったし……でも歌をうたう場所を無くしたくないという想いも同時にあって。何でかって言うと、みんなへ感謝の気持ちを返せるとしたらステージパフォーマンスや歌を届けていくことしかなかったから。そういう意味では、支えてくれている人たちへの感謝の気持ちがあったから10年間続けることが出来たのかなって思います。--今現在の自身のパフォーマンススタイルに影響を与えたアーティストはいますか?
加藤和樹:B'zの稲葉浩志さん。元々好きだったんですけど、自分が音楽をやるようになってから一番影響を受けた人です。あとは、吉川晃司さん。吉川さんも以前から片手バク転をやられていますけど、自分も体は動くほうなので、音楽をやることになったときにスタッフから「バク転は出来るのか?」って聞かれて「バク転は出来ませんが、バク宙は出来ます」って答えたら、ライブの最後にバク宙することをススメられてやるようになったんです。あと、吉川さんはシンバルキックも格好良いなと思うんですけど、僕がそこまでやっちゃうともろパクりになっちゃうので……--あれは吉川さんの専売特許ですもんね(笑)。
加藤和樹:でもそういう先輩の方々のパフォーマンスを観て影響を受けることは多いですね。稲葉さんや吉川さんのようには出来なくても、少しでも近づけるように、今出来る最大限のパフォーマンスをやってきたし、ファンとして聴いてきたL'Arc~en~Cielのライブ映像を観ながら「あ、こういう要素を自分にも取り入れることが出来たら面白そう」って思ったり、あとは先程も話したザ・ベイビースターズの田中明仁さんが書く曲にもすごく影響を受けて「僕もこういう柔らかいバラードを書きたいな」と思ったり、難しいことは何も言ってないんだけど、そこからちゃんと物語を感じられるものを僕も作っていきたいと思ってるし、そういう表現においての影響はいろんな方から受けてます。--また、役者としての経験が音楽活動に生きることも多々あるのでは?
加藤和樹:仰るとおりですごくあります。役者は誰かの人生の一部を演じる訳じゃないですか。例えば全く違う職業だったり、性格だったりする人に成りきる。それが詞の世界観に生きたりとか、それで物語を作ってみたりとか、自分の中にはない感情も表現できるようになるから、そこで得るインスピレーションを曲作りに反映させることはよくあります。実際に自分が演じた役の気持ちになって曲や詞を書くこともありますし、自分が出演した作品のテーマや世界観を曲にすることもありますし、そこは「あ、役者をやってて良かったな」って思うところですね。自分の強みになってると思います。もちろん役者と音楽活動の両立はスケジュール的に大変だったりしますけど、どちらの表現もお互いに良い作用を生んでくれるので、このスタイルは大事にしたいです。リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:外林健太
いつかまた武道館でライブをやりたいと思ってる
--今回のシングル『春恋/夢追人』もそうしたスタイルで活動する加藤和樹ならではの作品だと思うんですが、自身では仕上がりにどんな印象を持たれていますか?
加藤和樹:「春恋」は恋愛の歌で、恋愛に対して立ち止まってる人が背中を押してもらえるような優しい曲。「恋の処方箋」と言ってるんですけど、切ない曲でもありながら前に向かって進める。僕が歌詞を書いた「夢追人」もアプローチは違えど「あきらめんなよ」と背中を押す曲です。こちらは自分自身に言い聞かせているところもあるんですけど、どちらの曲も前向きな作品に仕上がったなと感じてます。--今の話を聞いていても思ったんですが、対誰かに向けて表現をしていく。その姿勢はずっと加藤さんの中で一貫されてますよね?
加藤和樹:そうですね。それが自分の生きていく道だと思うし……もちろん自分の為でもあるんですよ。やっぱり人間誰しも自分が可愛いし、いざとなったときに自分の命を守る生き物だと思うけど、この仕事をしている以上は誰かの為に表現していきたい。それが結果的に自分の為になる、そう思ってるんですよね。とは言え、昔はもっとワガママだったと思います(笑)。でも人の為に何が出来るだろう?って最近はよく考えるし、それはこの先もずっと変わらないかな。--ちなみに、今作収録の「春恋」を皮切りに春夏秋冬の恋の歌をうたっていくそうですが、どんな想いがあってそういったアプローチをしようと思ったんでしょうか?
加藤和樹:やっぱり新しいものを打ち出していかなくちゃいけない。というところで、今回テイチクさんのインペリアルレコードに移籍して、その第一弾シングルを打ち出すにあたって、連動性があるもの、物語性があるものを作りたかったんですよね。それはお客さんにとっても「次はどんな曲が来るんだろう?」っていうワクワク感にもなると思うし、それらが繋がることでひとつの物語が完結する。もちろん自分もやってて楽しいと思うし、1作1作渾身のものを作っていくことは重要なんですけど、その1作が次の1作を生み出すモチベーションにもなるんですよね。やっぱり挑戦はし続けたいなと思うし、自分のモットーは「やればできる」なので、これは「夢追人」の中でも書いてるんですけど、「それ、絶対辞めておいたほうがいいよ」「無理だ」って言われたり笑われたりしても「やってみなくちゃ分かんないじゃん」って思う。たとえ誰に非難されようとも自分の道を進むことが大事だと思うし、それで結果的に間違ったとしても「ごめんなさい、自分が間違ってました」って認めればいいだけだから。失敗しないとそれが失敗とも気付けないし、やってみたいことはやる。そこは貫き通したいなって思ってます。--また、「春恋」はPVでも新しいアプローチを取り入れているんですよね?
加藤和樹:これまでのPVは、自分のリップシンクはもちろんドラマパートにも結構絡んでいたんですけど、今回は、シンガーソングライターのCHIHIROさんの作詞作曲で女性が主役の物語なので、PVも女性をメインの物語にしたいってお願いしたんですね。そしたら女優の佐々木もよこさんがすごく素晴らしいキャラクターで曲の世界観を表現してくれたので、その映像含めてひとつの物語が完結する感じも楽しんでほしいなって思います。--女性目線の歌をうたうこと自体には、どんな感覚になったりしましたか?
加藤和樹:聴く人が「あんた、男じゃん」って思わないようにしなきゃなって(笑)。でもCHIHIROさんから上がってきた曲を初めて聴いたときにすごく共感したんですよ。男性もこの歌詞のようになることってあるし、むしろ男のほうが前の恋愛を引きずったりするから、「逆にこれは男が聴いたほうがいいんじゃないか?」って思うぐらいだったんですよ。なので、性別は違えど恋愛で抱える悩みっていうのは一緒だし、だったらこの曲に対して生まれた感情をそのまま歌にすればいいんだって思って。結構泣きそうになりながら歌いましたよ。--ということは、加藤さん自身にもこの曲のような女々しさがある?
加藤和樹:そりゃありますよ、男って女々しいもんじゃないですか。1,2年引きずったりすることもあるし、だからこの曲のサビを歌ってたら泣きそうになって声が震えちゃって(笑)。自分では忘れようと思ってるのに忘れられないことってあるじゃないですか。忘れてたつもりでもふとしたことで思い出したりとか。だから「すっげぇ分かる」って思いながら歌わせてもらいました。--そういった歌におけるエモーションは「夢追人」も負けてないと思うのですが、10周年のタイミングでこのテーマを歌おうと思ったのは何故なんでしょう?
加藤和樹:原点回帰と言いますか、僕は「初心を忘れない」ということを念頭に持っておきたいんですよね。それは人に感謝することだったりとか、人の為に生きるということもそうだし。で、その根本にあるのは夢を諦めない心だったりとか、チャレンジ精神だったりする。僕も30歳を越えて、同じ仕事をしている人たちが芸能界を辞めたり、今の仕事を辞めて新しい何かを探したいんだけどまだ悩んでいたり、そういう話を聞く機会が多くなってきたんですよね。でも自分が変わらずこの仕事を続けてこれたのは、自分にはやりたい歌、音楽というものがあって、やっぱり目標があるし、いつかまた武道館でライブをやりたいと思ってる。今はまだ全然その道の途中だと思ってるし、やっぱり諦められない。じゃあ、何をするかって言ったら、走り続けるしかない。自分のそういう姿を見て、仲間たちはもちろん、応援してくれている人たちにとっても「あ、自分ももっと頑張ろう」って思うきっかけにしてほしいなって。だからもう一度改めて「自分の想いはここにある」っていうものを書きたかったんです。今だからこそ、っていうのはありましたね。--表現者・加藤和樹。この10周年の先、どんなアーティストで在りたいと思いますか?
加藤和樹:うーん……変わらないことですかね? もちろん変化し続けることは表現者にとってすごく大切なことなんですけど、根本にある人間・加藤和樹というものは変えたくない。人としての部分が変わってしまったらお終いだと思っているので。人は成長していくし、年齢も重ねていくし、このあいだまで18歳の高校生で、現場では「若いね」って言われていたのに逆に「若いね」って言うようになっていたりとか、いろいろ思うところはあるんですけど(笑)、根本は変えずに、その上で表現者としてのスキルをどんどん上げていきたい。伝えたいことはその都度変わっていくものだし、東日本大震災があったときに「自分はこんなことをやっていていいのかな?」と迷ったし……でも自分で「これしかない、これをやるしかないんだ」と思って、そのとき届けたい想いを届けたら「救われました」っていう言葉をもらったりして、「あ、やってていいんだ」って改めて思えたし、だから「人の為に何が出来るか?」ということをとことんこの先も考えながら、自分の表現をしていきたいなって思ってます。--その表現の先でどんな未来へ辿り着きたいと思いますか?
加藤和樹:これはいつも言ってることなんですけど、生きていることです。生きて歌えていれば万々歳かな。あたりまえのことをあたりまえって思わない。いつ死ぬかなんて誰にも分からないし、10年後のことなんて今の時点では分からないし、もちろん未来を描いて目標を立てることはすごく大事なんですけど、例えば「全都道府県でライブやる為にはあと何年かかるか?」みたいなことも見据えて活動していかなくちゃいけないけど、とにかく健康で歌をうたい続けられる状態を自分で維持していくことが目標かなって思いますね。それをずっと意識していることはすごく難しいことだけど、「いくつもの奇跡が重なって今の自分がある」ってことを感じながら生きていきたいです。Interviewer:平賀哲雄 Photo:外林健太
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