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The Sketchbook 『Sketchbook』インタビュー
チャンスを手にした若者が、1年で築いた繋がり
昨年行われたアニメ『SKET DANCE』のオーディションで、1300名の応募者の中からファンに選ばれた3人からなる新星バンド The Sketchbook(ザ・スケッチブック)。あれから約1年、遂に1stアルバムを完成させた彼らが“どんどん自立していきたい”と語る未来とは。
デビュー1年で見えてきた景色
--デビューから1年ほど経過しました。
多田宏:The Sketchbook以前にもメンバーそれぞれバンド活動は行っていたんですけど、バンドが変わるとライブの勝手は変わってくるから、本当にイチから築き上げていく感じで、やっと土台ができてきたかなって。ライブも最初は凄く苦戦していたんですけど、最近はお客さんと一体感を感じられるかって所まで考えられるようになってきたのは成長だと思います。
渡邊悠:バンドの在り方として演奏をスキル高くパフォーマンスしたいっていう気持ちは当然あるんですけど、3人の和気あいあい感っていうのもライブで出したいと思ってます。ライブハウスの空間でみんなが一体になれるようなライブにしていきたいって意識が芽生えてきました。
多田宏:あの、悠さんの答えを聞いてる途中でちょっと笑ってましたよね?(笑)
--……特典DVD(※1)の渡邊さんとは全然違って、何だか凄く真面目だったもので(笑)。あの雰囲気は良いと思いますよ。ライブや取材の時も、どんどん出していって欲しいです。
多田宏:それこそアコースティックライブの時とかは、和気あいあい感というかアットホームな雰囲気を出しているので、差別化を図る意味でもライブではキリッとした要素に重きを置いている所はありますね。
小原莉子:The Sketchbookとしての在り方とか、このバンドのメンバーとしての立ち振る舞いは苦戦していた部分があるんですよ。音を伝えるだけじゃなくて、視覚的に見せ方というか。
--では、デビュー前に想像していた未来と、実際に4枚のシングルをリリースした今感じる現実とでギャップを感じる所は?
渡邊悠:もの凄く良い意味でのギャップがありますね。オーディション合格の通知を受けてこの3人でやらせてもらえる形になった訳ですけど、最初はアニメ『SKET DANCE』のオープニングを歌う所までしか決まっていない状態(※2)だったんですよ。
でも、気付けば1年の間にシングル4枚が出せてアルバムまでリリースすることができた。昨今の音楽業界から言ったらもの凄いことじゃないですか! デビュー前に抱いていた希望と不安は今も変わらないんですけど、努力したり諦めずに頑張ることが実を結ぶのは真理なんだって実感として得られたことは大きいです。--思えばデビュータイミングで“着うた(R)と着うたフル(R)のDL数と、ファンからのメッセージ数が、共に1万を超えないと即解散”という試練を課せられていたバンドですしね。
渡邊悠:そうです(笑)。あの段階で解散もあり得た訳ですし!
小原莉子:私が相手のことを知らなくても、知らない誰かが私のことを知ってくれている。相手から見た私をTwitterとかブログのコメントから知る機会ができて、自分では分からなかった第三者からの私を知ることができるのは勉強になりますね。
僕たちが生まれた原点は『SKET DANCE』
--そうした活動を経て、遂に1stアルバム『Sketchbook』がリリースされました。本作は3人の1年の活動を集約するばかりでなく、アニメ『SKET DANCE』との繋がりを集約した作品にもなっています。
多田宏:僕たちが生まれた原点は『SKET DANCE』ですよね。原作者である篠原健太さんへの感謝はもちろん、応援してくれる皆さんへの感謝の気持ちを全面に出して次に繋げたい。だから『SKET DANCE』に関わる全ての人たちと一緒に作るっていうのは、アルバム制作に入る当初から思っていたことです。
--そんな1枚のオープニングが1stシングル曲「道」から新曲「覚醒」といきなり凄い2曲が続きますが、「覚醒」では渡邊さんのドラムが大暴れしてます。
渡邊悠:いきなりぶっ飛ばしちゃいますよね! ここぞとばかりに調子に乗っちゃいました(笑)。
多田宏:“「道」は一番人気が高い曲なのかな”って思いますし、自分たちも好きな曲調なんですよね。こういう曲をもっと欲しいと思っていた所で、今回tatsuoさん(※3)が書き下ろしてくれたのが「覚醒」だった。聴いた瞬間からみんなのテンションが上がったし、デモを聴いた瞬間に「キターーーーー! これ! これが優勝!」って(笑)。
--「道」からの1年で3人がどれだけ成長したかも聴き取れるんですよね。特に多田さんは歌声が変わりました。
多田宏:この1年、パワフルなサウンドに負けない歌い方とか自分なりにも研究していたので、今回のアルバムリリースタイミングでは出せるモノを全部出そうと思って。1年の経験を歌に乗せられたんじゃないかなって自信を持って言える気がします。
--一方、M-05「ウォーターカラー」は原作者の篠原健太さんが作詞を手掛けていますが、韻の踏み方が伏線を貼る漫画家ならではという感じがして、とても新鮮な曲です。
多田宏:僕とは全然違いますよね。韻の部分は歌っていて気持ち良いし、かっこよく聴こえるニュアンスを掴んでらっしゃいますよね。篠原先生は今回初めて作詞にチャレンジして下さったんですけど、歌入れのために割符みたいなモノまで用意してくれたのですんなり歌えましたし。
今まではストレートな歌詞がメインだったんですけど、情景を描き出すというか一ひねりされている感じがあるんですよね。先生が書いてくれたこともそうですけど、アルバムにおける良いアクセントになっていると思います。“作曲者 渡邊悠”の処女作
--原作ファンでもある渡邊さんは篠原さんの詞をどう分析しますか?
渡邊悠:『SKET DANCE』からイメージすると分かりやすくてストレートで明快な言葉選びをする方なのかなって思ってたんですよ。でも、いざ歌詞を読んでみるとこの世界観! 叙景的な詞でしたし、トップの漫画家さんというのは頭の中に描いたイメージを表現するのが本当に上手なんだなって。
--また、新曲M-09「traveler」は『SKET DANCE』修学旅行編の挿入歌に起用されました。
小原莉子:“修学旅行編”には三角関係を予感させるような雰囲気もあったので、もうちょっと大人しい感じかと思ったらもの凄くパーティソングでビックリしました(笑)。基本的にアップテンポでノリが良い曲だったので、明るく元気に弾こうと心がけました!
--そして次の新曲はM-12「ドロップ」ですが……
渡邊悠:(食い入るような目線で)…………
--……この曲は渡邊さんが初めて作曲を
渡邊悠:(食い気味に)そうなんですよ! ありがとうございます!
--もの凄く言わされた感じがするんですけど(笑)、それにしても本当に良いメロディじゃないですか!?
渡邊悠:ありがとうございます、本当に自信作です! このアルバムは『SKET DANCE』に関わる全ての人々と一緒に作る作品ということでメンバーも作曲することになって、今回は僕が名乗りを上げさせていただきました。 『SKET DANCE』には“ドロップ”という友情を描いた話があるんですけど、そこからインスピレーションを受けて試行錯誤しながら作りました。宏くんの詞と相まってThe Sketchbookのイメージに沿った楽曲になりました。
--メロディラインには柔らかさがあって、ファルセットも効果的に使われてます。
多田宏:歌う時も悠さんがつきっきりだったので細かいニュアンスとかを相談できたんですが、レコーディングスタジオのブースの外にプロデューサーさんがいて、担当スタッフの方々がいて、渡邊悠がいる(笑)。作曲者として自分の子どものように心配している様子が見て取れたし、「だいじょうぶかしら? 良い子に育つかしら?」って思っているのが凄く伝わってきたので、いつもと違う気合いが入りました。
小原莉子:ギターソロを考える時も、それこそ“悠くんをガッカリさせちゃいけない!”ってドキドキしてました(笑)。あーでもないこーでもないって本当に試行錯誤しながら、でも自分も納得できるモノにしなければいけないしって!
渡邊悠:商品として世に出る楽曲で“作曲者 渡邊悠”として出させてもらえる。自分が作った土台の上に宏くんの歌詞や歌、莉子ちゃんのギター、tatsuoさんのアレンジやディレクションと、みんなが魂を込めていく。そうして完成した楽曲を聴いた時の感動たるや! 本当に涙が出そうなくらい嬉しくて、これ以上ない経験でした。
The Sketchbook全員で踏み出していく未来
--そして最後の1曲M-13「未来へ」も新曲ですが、これは3人で歌ってるんですよね?
多田宏:そうですね。
--最初はそれを知らなかったので、莉子さんのパートになった時に「多田さんって凄い声出せるんだな……」って一瞬ビビりましたよ。
多田宏:アッハッハッハッハ! そこまでの声色は持ってないです(笑)。「未来へ」は応援してくれるファンの皆さんからメッセージを募集して、それを元に3人で歌詞を書くことに初めて挑戦した楽曲なんです。アルバムのコンセプトである“みんなで作る”を考えた時に、The Sketchbook3人で歌う1曲があるのも良いんじゃないかなって。
--結果、1年の活動を通して3人がやってきたことをしっかり提示できた作品になりましたね。
多田宏:元々、アニメ『SKET DANCE』のシーンに沿った楽曲が多いから、色んな曲調というか良い意味でジャンルに捕われていない作品になったと思います。これが今のThe Sketchbookの形なのかなって思っています。
--そして今後は、アニメ『SKET DANCE』という枠を超える活動というのも楽しみにしています。
多田宏:「ドロップ」が初めてということもあって、The Sketchbookとして楽曲を作ることはまだまだ出来ていない部分があります。だからこれからは“作詞作曲:The Sketchbook”という形。全員で作るThe Sketchbookの全員で踏み出していく未来を出していけたらと思っています!
渡邊悠:3人で持ち寄りつつ、スタジオで合わせつつ、3人でできる唯一無二の音楽性を模索していきたいです。そして、バンド The Sketchbookとしてどんどん自立していきたいですね!
The Sketchbook 「道」MusicVideo
Sketchbook
2012/07/25 RELEASE
AVCA-49752 ¥ 4,180(税込)
Disc01
- 01.道
- 02.覚醒
- 03.Colors
- 04.Message
- 05.ウォーターカラー
- 06.キヲク
- 07.HERO
- 08.Birthday
- 09.traveler
- 10.Funny Bunny
- 11.クローバー
- 12.ドロップ
- 13.未来へ
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