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the music of agnès b. -アニエスベーの音楽-

answer インタビュー

 1975年のブランド設立から今日に至るまで、ファッションと音楽を結びつけてきたファッションブランド、アニエスベー。ここ日本でも80年代後半から90年代にかけて「渋谷系」のファッションアイテムの一つとして音楽と強く結びつき、以後も現在に至るまでジャンルを問わずさまざまな形で音楽とファッションを発信し続けている。今回は、アニエスベーの音楽担当者にメールインタビューを実施。これまで関わったプロジェクトや衣装提供をしたアーティスト、以前話題となったken yokoyamaのインストアライブ、そして3月からスタートする「I love flowers!!キャンペーン」の開催を記念して行われるイベイーのインストア・ライブに至るまで、アニエスベーと音楽の関わりを紐解いていく。

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一番反響が大きかったのはDavid Bowie

──アニエスベーが最初にかかわった音楽プロジェクトはなんですか?

answer: 一番初めにアニエスベーが関わったプロジェクトは、アーティストへの衣装提供です。 その中でも、印象的なのは80年代中盤にチェット・ベーカーへ衣装提供をしたことです。それ以降関わった音楽プロジェクトは数えきれないほどです。

──最初のプロジェクトから現在に至るまでどのような形で音楽に携わってきたのでしょうか?

answer: アニエスベーにとってCDやレコードは、アート作品と同じで、彼女自身の直感で選んでいます。全体的に見ると小規模でインディペンデントなフランスのレーベルやアーティストをサポートすることが多いですね。

──社内に音楽専門のチームがあるのでしょうか?

answer: アニエスベーはフランスで初めて音楽部署をもうけ音楽担当者が会社に常駐している珍しいケースです。2002/2003年からヤン・ル・マレクが音楽アイデンティティの責任者として現在もアニエスベーラジオ、全世界の店舗音楽開発、アルバム制作などによるブランドの音楽的方向性を決めています。その他には音楽フェスの企画、CDの共同プロダクションなども行っています。

──アニエスベーがこれまで衣装提供したアーティストを国内外問わず教えてください。

answer: David Bowie、Kim Fowley、Tom Waits、John Grant、Josh T.Person、Jeff Barret、Dominque A、Stuart Staples、Air、Jeanne Added、Baxter Dury、Koudlam、Nick Talbot、Thurston Moore、Kim Gordon、Au Revoir Simone、Rone、Zombie Zombie、Oxmo Puccino、Ibeyi etc... 挙げたらキリがないですね。

──その中で、国内外を問わず、反響の大きかったアーティストや印象深いアーティストはいますか?

answer: Haendl、Vivaldi、Mink Deville、The Clashなどはアニエスベーの中で一番のインスピレーションになっているアーティスト達です。一番反響が大きかったのはDavid Bowieではないでしょうか。

──90年代はボーダーシャツやベレー帽が「渋谷系」のアイテムの一つとして人気となりますが、当時の状況はどんな感じだったのですか?また、そのような現象を起こした理由はなんだったと思いますか?

answer: 日本のいわゆる「DCブランド」全盛期を経て、80年代後半にかけ、もう少しリラックスした誰もが着られる日常着、シンプルだけれど洗練されたエスプリが感じられる「フレンチ・カジュアル」というジャンルをアニエスベーが確立しました。

──コレクションのランウェイに使用する音楽はどんな基準で選ばれているのですか?

answer: 昔からアニエスベーはショーやシーズンによってそれぞれ適した音楽をHugues Reip氏と選んできた。 アニエスベー自身が新しく出会ったアーティストたちも、彼と共にショーに合うように展開している。

──店舗でも音楽(CD)を取り扱っていらっしゃいますが、セレクトする基準はなんでしょうか?

answer: 基本的にCDやレコードの販売は、それらのプロモーション目的で行っており、アニエスベーのショップは、アニエスベーがサポートするアーティストやバンドを発信する場所にしています。

──いまおすすめのアーティストを教えてください。

answer: Hypothetical Prophet、Bernard Szajnerのデビュー・アルバムの再訂版『Around the world with』制作協力や、Teenage Menopause recordsから出るheimatのデビュー・アルバムの制作協力をしました。また、去年LPを共同制作したEssaie pasがDFA recordsと契約をしたり、1月22日に出たTindersticksのアルバムやMotmosのアルバムに協賛しました。先月パリで行われたHommeのファッションショーでポストカードレコードを配布したThee Stranted HorseのアルバムがTalitres recordsからリリースが決定しています。

──2014年に、青山店でKen Yokoyamaのインストアライブを行いましたが、この企画はどこから出てきたのでしょうか?

answer: 2014年春夏は70年台のPUNKシーンを撮影していた写真家シーラ・ロック(Sheila Rock)の写真からインスパイアされたPUNKをテーマにしたコレクションがテーマでした。 シーラ・ロックの撮影したアーティストはThe ClashやSiouxsie & the BansheesなどをはじめとしたPUNKROCK界のヒーロー達でした。

Ken Yokoyamaにライブをしていただいたのは日本のパンクロック界のヒーローは誰かと考えたときに Hi-Standard/Ken Yokoyamaとして日本のPUNK ROCKシーンに大きな影響力をもつ JAPANESE PUNK ROCK HEROとしてライブをしていただきました。その前日に行ったプレスレセプションには日本のPUNKイベントのパイオニアLONDON NITEオーガナイザーの 大貫憲章氏とのシーラ・ロックの対談など、 当時のパンクシーンを知る、日本のPUNKシーンには欠かせない方々にご参加いただきました。

──そのインストア・ライブではダイブやモッシュなど、アニエスベーの店舗とは思えない盛り上がりを見せてましたが、その時の状況を教えてください。社内的に問題になったりしなかったのでしょうか・・・?

answer: PUNK=Youth Cultureということで、通常の店舗では見られない熱気が感じられるイベントとなり 青山店でのイベントの歴史になりました。天井にクラウドサーフのお客様によって足あとが付きましたが(今は消えています。) ブティックでそんなことが起こせるのも、アニエスベーくらいではないかと思います。

──3月からI love flowers!!キャンペーンを開催されますが、キャンペーンのコンセプト、内容について教えて頂けますでしょうか?

answer: デザイナーのアニエスベーが日常や旅先で撮影した花の写真を転写したフォトプリントシリーズや、フラワープリントやフラワーモチーフのアイテムにフィーチャーしたコレクションを展開します。 アニエスベーが愛する花と、彼女のライフワークのひとつ写真という、 アニエスベーのライフスタイルが感じられる、春らしいコレクションです。

──キャンペーンを記念して双子デュオ、イベイーのインストアイベントを行いますが、どのような内容となるのでしょうか?

answer: 15分を2回に分けて、計30分のアコースティックライブです。 プレスをご招待するイベントですが、抽選にあたったかたはお越しになれるスペシャルナイトです。

CV

──? パリ・コレクションの時、イベイーはデビューしたてだったと思いますが、起用するきっかけはなんだったのでしょうか?アニエスベーさん本人がチョイスされたのですか?

answer: アニエスベーとBeggar's Banquetというレーベルは10年以上の付き合いで、以前にもコラボレーションを行ってきましたが、レーベルの社長のJean Phillipe Allineがアニエスベーの依頼に応じてあのショーのためにIbeyiを推薦してくれ、アニエスベー本人もとても気に入ったのがきっかけです。

──コレクションの時のイベイーに対する反響はどのようなものでしたか?

answer: 全体的にオーディエンスの反応はとても良く、二人がショーのオープニングをアカペラで歌いながら登場したのが感動的でした。そのパリコレにご来場いただいていた日本のプレスからも評判がとても高かったです。

@ibeyi2 アニエス撮影中 #ibeyi #agnesb #agnesb

agnes b. Tokyoさん(@agnesb_tokyo)が投稿した動画 -

──今注目しているアーティストや、今後キャンペーンに起用してみたいアーティストはいますか?

answer: 現在Rough Tradeと彼らのパリのショップそしてアニエスベーの40周年を記念したパートナーシップを今年の4月に行われるパリ・レコード・ストア・デイに向けて考えています。 同時に3月18日にリリース予定のPhoebe Killder and the siftのアルバム発売プロモーションを計画中です。 また、開催19回目のles Femmes s'en melentの告知サポートも検討しています。このフェスは以前からアニエスベーがサポートしてきたMansfield. Tyaなどが出演予定。

──アニエスベーはアパレル以外にも音楽、映画、アートにコミットしてきていますが、積極的に関わっている理由はなんでしょうか?

answer: 1976年~ずっと音楽と関わりを持っていた、アニエスベーが音楽に絶大な興味を持っていたから。

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