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ライジング・サン・ロック・フェスティヴァル 2015 特集レポート
今年で17回目を迎えた【RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO】が8月14日(金)、15日(土)に北海道・石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージで開催。安全地帯、地球デビュー30周年を迎えた聖飢魔II、イベントの大トリを務めた10-FEETら、豪華アーティストが北の大地で熱演を繰り広げた。
DAY1. 8月14日
悪天候が予想されたていたが、嘘のように快晴が広がった石狩の空。最大規模を誇る〈SUN STAGE〉に登場したKANA-BOONは、「ないものねだり」「フルドライブ」など、強烈なダンスロック・ナンバーで数万のオーディエンスを熱狂させ、イベントの開幕を盛大に告げる。
一方、〈RED STAR FIELD〉には、1999年、記念すべき第一回目の大トリを務め、2008年には再結成初ライブで出演するなど、【RSR】に所縁があるサニーデイ・サービスがトップバッターで登場。曽我部恵一(Vo,Gt)の柔らかなボーカルと深みのあるアンサンブルが織りなす「恋におちたら」、「青春狂走曲」など、代表曲をフィールドに落とし込み、心地よい高揚感を沸かせてみせた。
続くのは、2015年いっぱいで解散することを発表しているPE’Z。彼らは最後の【RSR】のステージを満喫するかのようにアグレッシブなプレイで、イベント序盤からオーディエンスを白熱させる。
〈RAINBOW SHANGRI-LA〉では、同じく2015年をもって無期限の活動休止を発表しているthe telephonesがとびっきりのディスコ・ナンバーを連発。
PE’Z、the telephonesといった強い個性をもった2組が唯一無二のサウンドを鳴らし、そのパフォーマンスに触発されるかのように各ステージでも多彩なアクトが進行していく。
北海道出身の5人組女性バンド、Drop's のステージで幕開けた〈def garage〉。中盤に登場した水曜日のカンパネラは場外からド派手に登場し、北海道の地名を羅列する「シャクシャイン」を歌唱するなど、地元からの参加者たちの心もしっかり掴むアクトを展開。
さらに、Dr.DOWNERの猪股ヨウスケ(Ba)とASIAN KUNG-FU GENERATIONの伊地知潔(Dr)を中心に結成された話題のインスト・バンドPHONO TONESも、その存在感を遺憾無く発揮した。
〈EARTH TENT〉には、BIGMAMA、WHITE ASH、androp、KEYTALKら次世代を担うロック・バンドが出演。その中、今話題沸騰中の細美武士の新バンド、MONOEYESがイベント中盤にオン・ステージ。細美(Vo,Gt)は、自身が初めて出演した夏フェスが【RSR】だと語り、そのイベントに想いを注ぎ込むかのように「My Instant Song」をはじめ、1stアルバム『A Mirage In The Sun』の収録曲をほぼフルセットで演奏し、詰めかけたオーディエンスを熱狂の先まで導いてくれた。
そして、1日目の〈SUN STAGE〉を締めくくったASIAN KUNG-FU GENERATIONは珠玉のセットリストを構築。最新アルバムのリード曲「Easter / 復活祭」はもちろん、「ソラニン」「ループ&ループ」「リライト」、アンコールでは「遥か彼方」など、真摯に王道ロックを貫き進む彼らのパフォーマンスは、その場にいた全オーディエンスの心を強く撃ったことだろう。
“for CAMPERS”
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのステージが終わり、23時からは、2日間通し入場券を持った参加者のみ観覧できる夜間の部「for CAMPERS」のステージが開始。シアターブルック with SOIL & "PIMP" SESSIONS、KIRINJI、今年再結成を果たしたREBECCAからNOKKOと土橋安騎夫らが、アダルティックな夜を演出していく。
さらに〈RED STAR FIELD〉には、SCOOBIE DOがオリジナルバンドFRIDAY NIGHT FEVERSを従え、一夜限りのスペシャル・セッション“FRIDAY NIGHT SESSION”を開催。SCOOBIE DO&FRIDAY NIGHT FEVERSがバックバンドを務め、谷川正憲 (UNCHAIN)、ROY(THE BAWDIES)、永積タカシ(ハナレグミ)、福原美穂、池田貴史(レキシ)ら豪華ゲスト陣が入れ替わり立ち代わりでブラックミュージックの名曲をカバーし、本編ラストには出演者たちにより西城秀樹の「YOUNG MAN」を披露。アンコールではスペシャルゲストのつのだ☆ひろが、代表曲「メリージェーン」を熱唱するなど、大熱狂の中、1日目の全行程が終了した。
DAY2. 8月15日
2日目、小雨が降ったり止んだりする不安定な気候の中、クリープハイプ、キュウソネコカミら人気絶頂の2組が熱のこもったアクトで〈SUN STAGE〉、〈EARTH TENT〉のトップバッターをしっかりと務めてみせれば、クラムボンは、突如降り注いだスコールも演出の一部に感じてしまうほどの趣のあるパフォーマンスで〈RED STAR FIELD〉を美しく彩っていく。
来年結成20周年アニバーサリーイヤーを迎えるRIZEは、「日本刀」「カミナリ」など、鋭く研ぎすまされた鉄板ナンバーはもちろん、青空に爽快に響いた「heiwa」も披露。ライブ中には、JESSE(Vo,Gt)が客席深くまで突入し狂喜乱舞させたり、オーディエンスの一人をステージに招き、共に歌い上げるなど、ステージ上と客席の垣根を取っ払う彼ららしいパフォーマンスをみせてくれた。
一方、若手ロックバンドたちも負けてはいない。フレデリックは一度聴いたら忘れることはできない必殺ダンス・ナンバー「オドループ」、さらに新曲「フューチャーアイスクリーム」も披露し魅惑のダンスホールを展開。
続く04 Limited Sazabysも「monolith」「swim」など、メロディックなアッパー・チューンを休む暇なく投下。エネルギッシュなアクトで〈def garage〉からオーディエンスが溢れ返るほどの熱狂を作り出してみせた。
そして、今回の【RSR2015】で一際話題を集めた2組が登場。〈EARTH TENT〉には、地球デビュー30周年を期に再復活した聖飢魔IIが降臨。悲鳴にもにた大歓声が響き渡る中、「魔王凱旋」とともに棺の中からデーモン閣下が復活を遂げ“ミサ”がスタート。デーモン閣下は名台詞「お前も蝋人形にしてやろうか」を惜しげもなく言い放ち、「蝋人形の館」「BRAND NEW SONG」など、5年前に初出場した時の衝撃を、自身らで再び更新する強烈なインパクトを【RSR】に歴史を叩き込んだに違いない。
〈SUN STAGE〉には、安全地帯がオン・ステージ。オープニングは安全地帯の曲をマッシュアップしたDJプレイから、この日のためのシークレットゲストとして20年ぶりに再結成したC.C.ガールズから、青田典子と藤原理恵がダンサーとしてパフォーマンスを行うサプライズを経て、遂に姿をみせた玉置浩二。彼はフィールド中を包み込むように「じれったい」「悲しみにさよなら」を歌い上げてくれた。さらに、ステージを捌けてしまった彼らに、まだまだ物足りないと言わんばかりのオーディエンスの呼び声が届いたのか、一人で再登場した玉置浩二は、ステージ下のお立ち台に場所を移し「田園」「夏の終わりのハーモニー」を弾き語りで披露。ファン感涙のパフォーマンスを終え、満面の笑みを浮かべながら颯爽とステージを後にしていった。
安全地帯のステージを終え、全ステージひと時の休憩時間を挟み、いよいよ2日目も後半戦へ。Perfume、グループ魂らが各ステージを盛り上げる中、東京スカパラダイスオーケストラのステージには、【RSR】でもおなじみの日本屈指のドラマー中村達也、急遽出演が決まったクリープハイプともコラボ。躍動的でパワフルな演奏はもちろん、ライブ直前で予定していたセットリストを全て変更したという柔軟性もベテランならではであった。
さらに、会場の最深部に位置する〈BOHEMIAN GARDEN〉では、“MY LIFE IS MY MESSAGE”と題したスペシャルステージがスタート。山口洋(HEATWAVE)をはじめ、山田将司(THE BACK HORN)、和田唱(TRICERATOPS)、仲井戸“CHABO”麗市が出演。各々のソロパフォーマンスはもちろん、山口と山田、和田と仲井戸が共演したりと、本イベントならではのコラボレーションは優しいハーモニーを生みだし、集ったオーディエンスを陶酔させてみせる。
15日のラストには、ホリエアツシ(Syn)、日向秀和(Ba,Gt)、井澤惇(Ba)、大喜多崇規(Dr)ら、錚々たるテクニシャンを擁するスーパー・インスト・バンド、FULLARMORが登場。ホリエと日向を中心に始まる緩いMCは相変わらずだが、演奏にはいれば、本イベントが初披露となった新曲も披露するなど、卓越した演奏スキルが光る、レアリティーの高いパフォーマンスをみせてくれた。
16日の0時を迎え、クライマックスに突入したイベントは、降谷建志、a flood of circleらが各ステージのラストを飾る中、〈def garage〉にはtricotが登場。
〈def garage〉に出演するアーティストは、通常であれば持ち時間は30分のところ、1時間用意されたtricotは「E」「庭」など、最新アルバム『AND』のナンバーから、変拍子サウンドを核とする彼女たちの楽曲の中でも、一番シンプルでノリやすいと中嶋イッキュウ(Vo,Gt)が語ったサマーチューン「スーパーサマー」もドロップ。その激しいプレイ・スタイルはオーディエンスの聴覚だけでなく視覚をも釘付けにし、ワンマンライブ宛らの熱狂と盛り上がりに包まれた。
そして、各ステージが幕を下ろしていく中、ついに大トリの10-FEETが〈SUN STAGE〉に登場する。
空には雲が掛かり、真夏とはいえ、少し肌寒い北の大地でも、スタートの「JUNGLES」を皮切りに、「super stomper」「1sec.」とライブ鉄板チューンの応酬で畳み掛けるようにライブを展開し、オーディエンスのボルテージは最高潮。そのまま本編ラストの「goes on」まで熱演を繰り広げた10-FEETは、アンコール1曲目で、まだタイトル未定の新曲を披露するサプライズを。続く「RIVER」では、先ほどステージを終えたばかりのKjこと降谷建志を呼び込み、アジテーターとして会場を奮起させる場面も描き出し、ラストの「CHERRY BLOSSOM」で朝日が垣間見える空に無数のタオルが舞い上がり、【RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO】は大団円の中、幕を閉じたのであった。
Photo:
清水隆利(10-FEET)
古渓一道(KANA-BOON)
小川舞(安全地帯)
釘野孝宏(聖飢魔II)
原田直樹(シアターブルック with SOIL & "PIMP" SESSIONS、FRIDAY NIGHT SESSION)
n-foto RSR team(風景写真)
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