Special
MINMI 『Natural』 インタビュー
PAGE1
--つい先日、トリニダードのカニバールでライブをやってきたみたいですね。
MINMI:想像以上に大きなショーだったんですけど、行ってみて初めてショーの大きさとかを知ったんですよ。で、初めての海外ライブで、自分的には心の準備が出来てないまま現地に着いてしまったんですけど、もう少し規模が小さいか、前座、フロントアクト的な存在でステージに立つと思っていたら、アメリカとかジャマイカのアーティストの中で日本代表みたいな扱い、それこそ出番的にトリのひとつ前とかのライブだったんですよ。それで、お客さんは3万人近くいて。そういう規模だったり責任の重要さを現地に着いてから知ったんですよ(笑)。もう到着した次の日にはライブだったんですけど、何とか期待に応えられるショーをしようと思って。私が初めての海外でのライブとか、そういうのは私の事情であってお客さんには関係ないし、それだけ歓迎してもらってる分、応えたいなと思ったんですよね。そうしてベストを尽くしたんですけど、やってみたら意外に日本のオーディエンスと変わらないっていうか、拙い英語で歌とMCをしたんですけど、それでもすごくこっちの気持ちを分かってくれて、反応してくれてるのが分かったし、向こうの気持ちもキャッチすることができて、すごく楽しかったですね。
--最初は何がなんだかだったけども(笑)。
MINMI:着いたときはそうだったんですけど(笑)、ステージに立つときにはある程度緊張も抜けて、リラックスもしてて、楽しめましたね。
--元々どういう経緯でそのカーニバルのステージに立つことになったんですか?
MINMI:hemo&MOOFIREっていう、日本のレゲエをやってるMCとセレクターの女の子がいて、彼女たちが結構向こうでも活動してるんですけど、私が『サマータイム!!』を作るときに曲のアドバイスとか、リミックスを一緒にやってもらったりしてて、出来上がった直後にその『サマータイム!!』は向こうの現地のいろんな人たちに聴かせてくれてたみたいで。それでソカという音楽の中で一番スーパースター的なマシェル・モンターノさんという方がいるんですけど、彼が『サマータイム!!』をすごく気に入ってくれて、それで招待してくれたんですよ。
--トリニダードでも『サマータイム!!』は有名な曲になってたりするの?
MINMI:私を招待するにあたってかどうか分からないんですけど、私がトリニダードに行ったら『サマータイム!!』が実際に現地のテレビとか街中ですごく流れてて、街を歩いてたら「ミンミ、ミンミ」って声を掛けられるぐらいの状態で、それにすごく驚いたんですけど。私の曲を向こうの人たちに楽しんでもらえてたみたいで。
--自分の楽曲が国境を越えた場所で愛されてるっていうのは、どんな気分だったりします?
MINMI:すごく嬉しいし、特にレゲエ、ソカもそうですけど、ヒップホップでもR&Bでも、やっぱり元々ブラックミュージックとかに憧れているところがあって、本場の現地の人とかに説明不要で受け入れられたっていうのは、すごく自信にも繋がりましたし。めちゃくちゃ嬉しいですね。
--それだけ評価されたら毎回カーニバルがある度に行くようですね。
MINMI:そうですね(笑)。行きたいです!
--トリニダードのカーニバルで感じた空気とか熱みたいなものは、今後MINMIさんの音楽活動に大きな影響を及ぼしていきそうですか?
MINMI:早くも及ぼしてるんじゃないですかね。今回のアルバムが完成して、次にやりたいことっていうのがすごくいっぱい自分の中に生まれてきてるので。ライブもそうだし、曲作り的にもあるし。
--あと、MINMIさんといえば、最近は【西麻布伝説】というマンスリーイベントのプロデュースもされてるわけですが、そういうところでもその辺の風みたいなものを入れ込んでいったりは?
MINMI:向こうで他のアーティストたちのステージを観て影響を受けた部分もあるので、その【西麻布伝説】でのライブでも少なからず、そういった要素は入れられるんじゃないかなと思います。
--ちなみにその【西麻布伝説】と題したイベントなんですが、これはそもそもどういった経緯で始まったものなんでしょう?
MINMI:そもそもは湘南乃風に「一緒にレギュラーイベントをしないか?」と誘われたんですよ。それで「いいよ」って私が答えて、走り出した感じですね。そのときには、すでに西麻布でやることとイベントのタイトルが【西麻布伝説】っていうのも決まっていて。で、私、その名前の大きさに「大それた名前だな」と思って、「Groovin'Night」とか、そういうんじゃなくて「伝説!?」って(笑)。そこから「名は体を表していかなくちゃ」と思って、関わっていく毎に、ライブをしていく毎に「後に残るものをしていかなくちゃ」っていう気持ちが出てきて。
--それでMINMIさんの『西麻布伝説』という楽曲が生まれるわけですね。
MINMI:そうですね!はい。
--【西麻布伝説】は毎回どんなコンセプトでやられていたりするんですか?
MINMI:西麻布という場所を選んだのも、わりと対象が大人の世代向けにしようってことで選んだんですよ。で、同じ世代の人たちで、その場所、空間を利用してもらって、交流できる場所だったり、遊べる場所だったり、仕事に対してのやる気みたいなものが上がる場所になってほしいなと思って。カッコイイ大人になりたい人たちがそこに集うような場所に。他のイベントは結構10代の子たちだったり、ヒップホップとかレゲエが好きな子に向けて行われるものが多いので、【西麻布伝説】はそうじゃなくて、夢を持った大人の人たちなら誰でも歓迎、逆にお子様はお断りみたいな(笑)。で、そういう交流を通して大きな仕事とか、次の夢にみんなが繋がっていくような場所にしたいなと思ってます。
--どんな雰囲気だったりするんですか?
MINMI:他のイベントだと、自分たちの居場所がなかったりするときがあったり、わりと若い子に負けて遊べないとか、ちょっとくつろいで音楽を楽しんだり、踊ったりっていうことができなかったりするので、逆に【西麻布伝説】はそういう場所であることをすごく大切にしてるんですよ。3月からVIPルームも広くして、私のスタッフだったり、湘南乃風のスタッフだったり、またこういうところで知り合った別のお仕事をしているような人たちも本当に気軽に遊びに来てもらえるようにして、なんか、知らないうちに輪が広がるような感じにしようと思って。結構そこの空間作りを大事にしてる。
--うるさ過ぎず、大人っぽい空気も出しつつ。
MINMI:そうですね。ただフロアとVIPルームは離れてるので、フロアではもちろん熱くライブだったり、DJプレイをしてて。で、二階ではゆっくり飲みながら話したりできるようにしていて。
Interviewer:平賀哲雄
PAGE2
--ちなみにMINMIさんもデビュー前からクラブではよく遊ばれていて?
MINMI:はい、もちろん!
--そこが自分の音楽的ルーツになってると言っても過言ではない?
MINMI:音楽っていう意味で言うと、もう幼い頃から好きで、クラブに行く前から好きだったんですけど、多分ダンスミュージックっていうものに深く自分を繋げてくれたのはクラブですね。
--ダンスミュージックといっても幅広いですけど、その頃から何でも聴くような感じだったんですか?
MINMI:何でも聴いてましたけど、その時代時代によって、ハウスを聴いてるときもあれば、R&B聴いてるときもあって。で、レゲエに会ってみたいな。
--レゲエとの出逢いは、自分をアーティストにする決定的な大きな出来事だった?
MINMI:大きいんじゃないでしょうかね。どれも大きいは大きいですけど、他の音楽はすごく音楽として通過してきて大きな影響を私に与えてるんですけど、レゲエに関しては、自分の考え方とか、そういうバイブスに対してだったり、もっと内面的な部分にすごくポジティブな影響を与えられたことが多いです。
--そのレゲエがMINMIさんの音楽性の基盤にはなっていると思うんですけど、これまでの作品を聴く限り、いわゆるジャンル的なカテゴリーを超越したところでMINMIさんは音楽を作ってきたのかなと思うんですが、自分ではどう思います?
MINMI:私の中ではそれが超越なのか、それが潜ってるのかは分からないですけど(笑)、音楽を作る上でジャンルっていうのは意識していなくて、ジャンルって作った後に周りが評価して付ける名前だと思っているんですよ。だから、そこにハメて作りたくないっていうのがあるんですね。そこにハメちゃうと、新しいものは生まれないし、トップ・オブ・レゲエも作れないし、トップ・オブ・R&Bも作れない。レゲエを作ろう、R&Bを作ろうっていう前に、自分のフィーリングの気持ち良い部分とか、表現したい部分を大事にしてますね。
--今回のアルバム『Natural』は、ファースト、セカンドに比べて、今言っていたようなスタイルの最たる形というか、MINMIさんにとってすごく理想的な内容になってるんじゃないのかなと思ったんですけど。
MINMI:そんな気がしますね。
--ちなみに今回のアルバムを『Natural』というタイトルにしようと思ったのは?
MINMI:これは話すと長くなるんですけど(笑)。
--お願いします(笑)。
MINMI:眠たくなりますよ(笑)?
--大丈夫です。目キラキラさせて聞いてますから。
MINMI:あのですね、『imagine』(2004年3月にリリースされたセカンドアルバム)を作っていた頃に、ジャマイカでラスタマンていう、自然崇拝思考みたいな文化があるんですけど、そういうミュージシャンに出逢って、こっちの素性を全然知らなかったんですけど、一緒に徹夜をしたり、他の仲間を呼んで私の作業をすごく手伝ってくれたんですよ。しかもビジネスじゃなくて。で、私とか、日本人の仲間は、これだけ良くしてもらったらお金をどれだけ後で請求されるのかなって(笑)。見返りをどうすればいいのか不安で、そういう話を彼にしたら、「これは自分にとってすごくナチュラルにしてることだ」って言われて、「全然有り難いと思われようとも思っていない」っていう話になって、すごく私たちは感動して、「なんていい人なんだ!」ってなったんですよ。ただ逆に彼からしたら、これを自然に感じられないこと自体、ナチュラルじゃないと言ってて。“自分が望む自然のままでいれば、人に対してパワーを与えることができるんだよ”って。ナチュラルでいることによってゆとりが出来て、自分はもちろん、人に対しても優しくなれるんだってその時に思いました。私はきっと自然に湧き出てくるものよりも「こうしてあげたら喜ぶかな」とか「ここではこうしておいた方がいいかな」って思うことの方が多いから、そんな風に見返りも求めずそういうことが言えるって素敵だなと思って。それが“Natural”という言葉との出逢いで、そこからその“Natural”っていう言葉を大事にしてるんですけど、海外で音楽制作とかやってすごく良い演奏ができたときに「すごく“Natural”な部分が出た」って言ったり、すごくいいものを“Natural”って言うんですよ。スペシャルなものって言うんじゃなくて。で、そういう発想がすごく好きで、ずっとこの2年ぐらい“Natural”がキーワードで、私も他人に対してもそうだし、自分のことでも、ライブでも、自分の“Natural”な気持ちでやろうというか、まず感性に従おうというか。
--そうなってからいろんな考えが変わっていったわけですか?
MINMI:そうなんです。例えば、前はライブで「120%出したい」っていう気持ちがあったりしたんですけど、今は“Natural”にやろうって。それがイコール自分のできるベストに繋がるんじゃないかって。そこで“Natural”に出来なかったら、プレッシャーが強くなりすぎてしまったり、よく見せようと思いすぎてしまったりするんですけど、“Natural”に自分のできることをやろうと思ってやると楽しめるし、ベストも尽くせるし。ただそれって自分本位なんで、それに対してすごく良いと思ってる人と、そうじゃないと思う人はいると思うんですよ。だけど私にとってはすごく意味が大きくて、そのトリニダードのときも、いろんなプレッシャーよりも、そこに立ってることはすごく自然だっていう気持ちの方が強かったんですね。すごくスペシャルなことなんですけど、でもやっぱりそういう環境を与えてもらったことは自然な流れであって、私は自然に音楽を感じて、自然に歌えばいいやと思って。そこでそういう思考がなかったら、もうちょっと肩に力が入ってしまったとは思うんですよね。「アウェーだし」とか、余計なことを考えてたと思うんですよ。
--極端に言うと、普通に生活してても気持ち良く過ごせたりします?“Natural”という言葉に出逢ってから。
MINMI:そうですね。もちろん“Natural”でいられないときもありますけど、それを大事にしようと思った今の方が前より自然体というか。一番仲の良い友達といるときって良い部分も悪い部分もさらけ出すことができるじゃないですか。それって、多分私の一番良い部分が出せるんだけど、不自然なときって、自分が怖いと思ってる人とかといるときって、萎縮して自分をフル発揮できないじゃないですか。でも“Natural”でいることが一番良いと思ってからは、良くも悪くも自分を上手く出せるようになったんじゃないかなって。例えば、こういうインタビューも嫌いだったんですよ(笑)。なんか、初対面の人に自分を語るのってちょっと抵抗あるじゃないですか。でもそれも、前よりも普通に、そんなに距離を感じずにできるようになって。
Interviewer:平賀哲雄
PAGE3
--そんな今のMINMIさんがそのまま表現されたアルバム『Natural』が完成したわけですが、今日はそのアルバムの収録曲についてもお話を聞かせてください。で、まず『西麻布伝説』。この曲は先ほどお話を伺ったイベント【西麻布伝説】のテーマソング的な意味合いで最初から作られたんですか?
MINMI:この曲はシングル曲である前にそのイベントを更に楽しくするために「フロアを盛り上げる曲を作ろう」って、夏頃にそのイベントのスタッフとの会議で約束したんです。で、冬に【西麻布伝説】の一周年があって、そのときに聴いてもらって、自分の周りのスタッフとかお客さんが結構楽しんでくれていたので、それをそのまま「シングルにしちゃおっか」というノリで。
--いわゆる王道クラブミュージックの気持ち良いところを詰め込んだ一曲だなと、感じたんですが。
MINMI:それはこの曲を作る一番の目的が、レゲエ、ヒップホップ、クラブミュージックに精通してない人もハイになるというか、踊りたくなるようにするということだったので。
--続いて『FRIENDS』という楽曲についてお話を聞かせていただきたいんですが、このアンセム的ナンバー、どういった経緯で作ることになったんでしょうか?
MINMI:この曲は、スマトラ沖地震とか新潟県中越地震が起きた頃に、私と湘南乃風で、曲でそういった震災者の人たちに対して「手を差し伸べよう」というメッセージを作ろうってなったんですよ。今までの曲っていうのは、わりと夢を与えるというか、勇気を与えたりする曲ではあったんですけど、弱ってる人たちに向けては作ってないなと思って。強くあるために「立ち上がれ」的な曲がすごく多いなって。だけど、何もかも失ってしまった人に対して、「何かをしてあげよう」という気持ちとか、慈しみの気持ちを自分たちが歌うことによって、自分たちの音楽に影響されてくれているファンに、ただ強いんじゃなくて、そういう優しい気持ちっていうのを恥ずかしがらずに持ってほしいなっていうのもあって。それで、どうせならみんなの力を借りようと思って、同じ舞台によく立つアーティストを誘って作った曲ですね。
--そうしてみんなの歌声が入って完成したものを聴いたときは、感動しました?
MINMI:一番感動的だったのは【HIGHEST MOUNTAIN】っていうレゲエフェスティバルで、みんなで一緒にこの曲を歌ったときですね。この曲は、最初はみんなのスケジュールがタイトだから私と湘南乃風で先陣を切っていろいろ考えて、そこにみんなに乗ってきてもらおうと思って、歌詞面でもメロディ面でもある程度作ってから「参加してほしい」って言ったんですけど、みんな「やるんだったら一緒に一から作りたい」って言ってくれて。それで最初の会議があって、それからそれぞれの活動がある中で、地方で一緒になったときにホテルのロビーで会議したりして、ゼロから一緒にこの人数で作ったんですね。だからすごくそれも感動的だったし、それで最後にライブをしたときにまたすごく感動して。
--音楽の純粋な良さみたいなものを改めて感じた瞬間になったんじゃないですか?
MINMI:そうですね。なんか、歌詞にある通り、参加してくれたアーティストの気持ちがすごく有り難いと思ったし、「嘘はないな、この歌に」って。すごくそう思いました。
--続いて、5曲目の『Are yu ready』なんですが、この曲には印象を?
MINMI:この曲は秋冬に作っていて、すごく燃えたぎる熱さのある曲なんですけど、サウンド的にも津軽三味線を入れてたりして、“大和魂”的な熱さを自分では感じていて。ちょうど寒くなるんだけど“冬の日本海”“玄界灘”みたいな(笑)。そういう熱さのある曲だなと思ってますね。で、この曲に関しては、リズムを私とJuniorっていう昔からの仲間と作ったんですけど、これが結構ジャマイカで好評で、このリズムでジャマイカ人をプロデュースして、向こうで7インチを切ったりしたんですけど、どっかでジャパニーズミュージックの格好良い部分が世界に届いて「かっこええやろ?」っていうのを示したいっていう気持ちがこの曲で芽生えた気がしますね。
--そして、めちゃくちゃユニークなナンバー『YO WELL feat.湘南乃風』と『真珠ノ涙 feat.KENTY-GROSS』。前者は湘南乃風との寸劇が入っていたり、後者は現代版『三年目の浮気』的なテイストも感じさせてくれたりしましたが。
MINMI:『YO WELL』に関しては、アルバム『imagine』でも『EVERYDAY』という曲で湘南乃風と同じように物語風な曲をやっていて、そのときに「三枚目なテイストをガンガン出そう」というテーマがあって、それの続編的な感じですね。それと「ダビンチ・コート」っていう本を読んでて、トリックが入ってるんですけど、ちょっとそういうトリックみたいなものも入れて、楽しんでもらえる曲にしようと思って。で、その寸劇に関しては、わりとみんなアドリブで(笑)。イントロの部分でボイシングルームにみんな入って、何かやらなければいけないっていう、「もう回ってます」みたいな感じで(笑)。やるしかない感じでやりました。みんな探り探りだったんですけど、初めにお話の説明をするSHOCK EYEだけが妙に上手くてですね、みんなそのプレッシャーで「どうしよう?」みたいな(笑)。一人一モノマネしなきゃいけないみたいな状況になって(笑)。それはもうオマケ的に入れたって感じなんですけど。
--『真珠ノ涙feat.KENTY-GROSS』に関しては?
MINMI:このKENTY-GROSSっていうMCが最近ヤバイ、良い意味でヤバイんですよ。日常の些細なことを面白く歌える人で、一緒にライブなんかもよくやってるんですけど、ステージに立ったときのやり取りでお客さんを楽しませているのを見てて、そのときからなんとくなく『三年目の浮気』みたいな曲を作ろうとは話していて。で、今回速攻で制作しました。
Interviewer:平賀哲雄
PAGE4
--続いて『紫陽花』。ちょっとレトロチックなテイストも入った曲ですが。
MINMI:この曲は本当に紫陽花がすごく綺麗に咲いてる季節に書いて、私、雨がめっちゃ好きなんですよ、こんな晴れ好きそうに見えて、実は陰湿なんで(笑)、『紫陽花』は気に入ってたんですけど、わけあって完成させられないでいたんですよ。これを完成させられるトラックメイカーも見つからなくて。で、2,3年越しなんですけど、ヒップホップっていう調理方じゃなくて他の形でこの曲を完成できないかなと思って、生の演奏をする人に頼んでみて。そこからアレンジの方向性を変えて、そのまま上がったものにリリックを乗せて。
--結構長いストーリーがこの曲の完成に至るまでにはあったわけですね。
MINMI:そうですね。私の中では淡い藤色みたいなイメージで、すごく私の中の梅雨の華やかさみたいなものを感じさせる曲なので、雨好きの方にはぜひ(笑)!
--続いて、9曲目『superstitious』ですが、この曲は今井了介と一緒に手掛けられているナンバーですけど、どんなイメージを膨らませながらお二人で作っていった感じなんですか?
MINMI:この曲も実は古い曲で、デビューアルバムのときに作っていた曲なんですよ。で、トラックとかメロディに関しては、ある程度今井さんのプロデュースで進んでいて、私は歌詞を考えて、そんな感じで一緒に作っていきましたね。“superstitious”っていうのは、ジンクスとかおまじないみたいな意味なんですけど、自分が恋愛してるときの、いろんなジンクスをかけてしまう気持ちをそのまま歌詞にしてて。
--実際にMINMIさんのジンクスが綴られてる感じなんですか?
MINMI:それは入ってますね(笑)。今は消えてますけどね、そのジンクスは。そのときそのときでジンクスが変わるから、この詞を見ると「この頃、こういうジンクスあった!」って私は思い出すんですけど(笑)。
--続いて『ココフレ~Coconuts Flavor'97~』ですが。
MINMI:これは97年に書いた曲ですね。
--正にそのままなんですね。この曲を今形にして世に出そうと思ったのは?
MINMI:デビューする前に大阪のクラブで歌ってた曲なんですけど、ずっと大阪のファンの人たちのあいだで「ココフレ、聴きたい」っていうのがあって、それが耳に届いてて。ずっと封印してたんですよ、自分の中では。なんか、そのときの気持ちがそのまんま過ぎて、一年後、二年後はギャップがありすぎて、歌う気になれなくて。で、去年『サマータイム!!』のカップリングとして収録したんですけど、そのときは過去の曲として再度歌える気持ちになってたので、それで今回のアルバムにも入れました。
--続いて『アイラ』。これまた素敵なメッセージソングになってますけど。
MINMI:『アイラ』っていうのは“アイランド”の略なんですよ。私、都会っ子だったんで、そんなに自然が綺麗なところに住んでなかったので、あんまり自然の偉大さとか感じて育ったわけじゃないんですけど、だんだん大人になって、そういうものにパワーをもらうのを感じるようになって。で、そういう自然が与えてくれるパワーみたいなものは、どんなときも側にあるっていうのを、自分も忘れたくないし、自分の好きな人にも思い出してほしいし、いろんな現実的なことしか見えなくなりがちだけど、偉大な自然の力が自分たちを守ってくれているというのを感じてほしいっていう。特にジャマイカとかアメリカに行って思うのが、トリニダードもそうなんですけど、自然の恩恵を受けて生きてることを知ってる人が多くいて、で、日本も昔は山に神様が宿ってるとか、川が生きてるとか、そういう発想だったじゃないですか。そんなのはおとぎ話ぐらいにしか子供のときは聞いてなたったんですけど、でもそういう自然のパワーを今更ながら感じるし、それに対する感謝の気持ちを思い出すと、自分ももっとポジティブな気持ちになれるなぁと思って。
--そしてラスト、タイトルトラックの『Natural』なんですけど、この曲にはどんな想いを?
MINMI:さっきお話しした“Natural”という言葉と出逢ってから今日までの気持ちを曲にしたんですけど、この曲を聴いた人の中の何人かでもいいので、その人自身の良さみたいなものを出せるキッカケになればいいなと思って。“全員には届かなくても一人の人に濃く伝わったらいいな”っていう気持ちで作りました。
--ラスタマンからMINMIさんが教わったように、“Natural”の意味が聴いてくれる人に伝わったら素敵ですよね。そんな有意義なニューアルバム『Natural』のリリース後はどんな展開が予定されているんでしょうか?
MINMI:次のシングルが4月にリリースされて、そこから私はまた海外に行くんですが、海外から帰ってくる5月,6月辺りからライブツアーがスタートして。で、夏はいろんな各地のイベントに参加してって感じですね。
--では、最後に読者の皆さんにメッセージを。
MINMI:このアルバムもぜひ爆音でお楽しみください(笑)。
Interviewer:平賀哲雄
Natural
2006/03/29 RELEASE
VICL-61914 ¥ 3,190(税込)
Disc01
- 01.Intro
- 02.西麻布伝説
- 03.サマータイム!!
- 04.FRIENDS
- 05.Are yu ready
- 06.YO WELL feat.湘南乃風
- 07.真珠ノ涙 feat.KENTY-GROSS
- 08.紫陽花
- 09.Superstitious
- 10.ココフレ~Coconuts Flavor‘97~
- 11.interlude
- 12.アイラ
- 13.Natural
- 14.Are yu ready“夕陽丘mix” [Bonus Track]
- 15.FRIENDS Natural remix [Bonus Track]
- 16.(エンハンスド)「サマータイム!!」「FRIENDS」「西麻布伝説」ミュージッククリップ収録!
関連商品