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浜野謙太、ファンクを語る ~積み重ねる。踊る。それが世代をこえていく~

奥深きプログレッシヴロックの世界

 8月にやってくるのがファンク/ディスコの新旧精鋭が勢揃いする[ビルボード・ジャパン]とサマーソニックがコラボレートした真夏のパーティー!俳優として、そしてシーン屈指のファンク・バンド「在日ファンク」として活躍する浜野謙太さんにファンク・ミュージックとの出会いとその魅力を語っていただきました。

◎Billboard JAPAN Party特設サイト
◎Billboard JAPAN x SUMMER SONIC 2015【Billboard JAPAN Party!】特集

ファンクへの入り口

ジャケ写
▲『ブルース・ブラザーズ』

 僕にとってのファンクへの入り口は、高校生のときに見た映画の『ブルース・ブラザーズ』。在日ファンクのベーシストで高校の同級生だった村上啓太が持っていたビデオを見たのがきっかけでした。牧師役のジェームス・ブラウンが教会で歌い出す有名なシーンがありますけど、衝撃を受けたというより「あ、音楽ってこういうものなんだ」って自然と思えたんですね。まさに映画の中のジョン・ベルーシと同じ状態。学内の有志を集めて、映画の中でJBとクワイアが歌った「オールド・ランドマーク」を学校の合唱祭で演奏したりしちゃって(笑)。言い出しっぺだったこともあって僕がJB役でしたね。

「James Brown - The Old Landmark」
▲James Brown - The Old Landmark

 でも、すぐにファンクバンドを始めたわけじゃないんです。大学に入った頃は、当時流行りのスカバンドをやっていて阿佐ヶ谷のアピカというライブハウスに出てたんですよ。そこの従業員が組んでいたのがディスコやファンクの曲を演奏する「東京ホームランセンター」というバンド。「ワイルド・チェリー」「ザッツ・ザ・ウェイ」「ジャングル・ブギー」なんかを演奏するんですけど、これがかっこいい、というかなんか凄い。衣装もオリジナルで作っちゃって、それこそスライ・ストーンの凄いヤツ、みたいな(笑)。

 そのバンドと対バンすると、僕たちの友だちがみんなそっちにやられちゃう。「あ、ファンクって世代を超えてかっこいいんだ」って気づかされましたね。「よし、いつかファンクバンドをやろう」って仲間と話し始めて、そこから在日ファンクが生まれました。日本語のオリジナルを作ってしっかりやろうという思いを持ったのは、ジェームス・ブラウンが亡くなったときだったので2006年の末のことです。

 JBは、映像も見まくりましたけど、70年代のパリのライブ映像を手に入れたときが衝撃。思っていたより動きも音も速いんですよ。8ビートなんだけど、リズムの中にいろんな音符や休符が隠れていて、実は「速い」んですね。音源で聴いているだけじゃ気づけなかったことがどんどんわかった。これがグルーヴの秘密なのか! 誰も教えてくれなかったじゃないか! って(笑)。

「OSAKA MONAURAIL」
▲OSAKA MONAURAIL - (SHE'S A) RIPTIDE

もうひとつ、ファンクバンドのオーサカ=モノレールのライブに出会ったのも大きな体験でした。JBを研究し尽くしている彼らのライブは、いわゆるロックを通してファンクを見ているのとは全く違う感覚。あ、ファンクってこういうものなんだって、ある意味でそこでまたジェームス・ブラウンに出会ったという感じでしたね。

 「それって何だろう、ファンクって何だろう」とずっと考え続けているんですけど、現時点での結論からいえば「わからないのがファンク」なんじゃないかと。JBの曲でも、それが明るい曲なのか暗い曲なのか、楽しいのか苦しいのか、社会派なのか社会派じゃないのか、わからないというか、それを全部内包しているじゃないですか。つまり「わからない」状態をこれでもかと積み上げていって、最後の最後で「凄いことになる」のがファンクなんじゃないかって。



ファンクは「自分の中の思い込みや常識を崩すこと」

「爆弾こわいPV/在日ファンク」
▲爆弾こわいPV/在日ファンク

 在日ファンクのライブでも、ダンスのキメにこだわったり、舞台装置を豪華にしたりしてみたことがあるんですけど、それにメンバーが萎縮しちゃってちっとも演奏がよくなかったんですよ。そこで気づいたんですね。ポップスやロックのバンドだったらバーンと派手に一曲目からぶちかますわけですけど、在日ファンクはリラックスした状態で、積み上げて積み上げていくのが理想なのかもしれない。JBのライブ音源でも曲が10分あるとしたら8分のあたりで最高の瞬間が来ることが多いし、しかもほとんどメドレーでMCとかないよねって(笑)。

「根にもってます / 在日ファンク」
▲James Brown "Soul Power" live in Kinshasa Zaire, 1974.9

 そういう意味でも、ファンクは「自分の中の思い込みや常識を崩すこと」なのかもしれないですね。演奏する側からすると自分の中にあるライブのイメージを崩していくことかもしれない。単純そうで単純じゃないリフを延々と積み重ねていくことで、規格外、想定外の「最高の8分」が待っている。まだその域には達していないんですけど、在日ファンクも「8分あたりが最高」のバンドになりたいですね。
ファンクが持っている、そんな「クリエイティヴィティー」に憧れているんです。

Photo: Kazuhiko Shibata


浜野謙太 1981年生まれ、神奈川県横浜市出身。ミュージシャンとして6月に解散ライブを行ったSAKEROCKのトロンボーンを担当。在日ファンクではリーダー&ヴォーカルを務める。最新作は1stシングル『ぜいたく』(日本コロムビア)。俳優としても映画『婚前特急』『体脂肪計タニタの社員食堂』、TVドラマ『モテキ』『ノーコン・キッド』『仮面ライダードライブ』などに出演し、世代を超えた人気を博している。7月STARTのドラマ『ナポレオンの村』にも出演。

在日ファンク「ぜいたく」

ぜいたく

2015/05/06 RELEASE
COCA-17013 ¥ 1,980(税込)

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Disc01
  1. 01.わからん
  2. 02.ぜいたく
  3. 03.「笑うな」ツアーオンパレード2014

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