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Milestones 2015 ~節目を迎えるアーティストたち~
新しい年の幕開けから早くも1か月。当然のことだが、今年も多くのバンドやアーティストが“節目の年”を迎えることになる。ここでは、2015年がアニバーサリー・イヤーとなるロック界のレジェンド達をピックアップしてみたい。
結成50周年
グレイトフル・デッド / スコーピオンズ
近年、バンド結成50周年を記念した大きな動きとして記憶に新しいのは、いずれも2012年に結成50周年を迎えたローリング・ストーンズ、ビーチ・ボーイズの米・英ロックの大御所2バンドだろう。記念ツアーにフェス出演、映画の公開、限定再結成に新譜のリリースと、往年のファンはもちろん若い世代にも“50年”の歴史が証明する圧倒的な貫禄と現役感を見せつけてくれた彼らだが、今年、結成50周年を迎え、にわかにその周囲が騒がしくなっているのが、グレイトフル・デッドだ。
1960年代のアメリカのヒッピー文化、カウンターカルチャーの象徴として“バンド”という枠を超えて崇拝・敬愛され、今も世界中に熱狂的ファン=デッド・ヘッズを抱えるグレイトフル・デッド。バンドを知らない世代でも、彼らのロゴマークやマスコットのテディ・ベア=デッド・ベアの存在を知っている人は多いかもしれない。
▲ 「Fare Thee Well」 Celebrating 50 years of the Grateful Dead
1995年にバンドのリーダー、ジェリー・ガルシアの死をもってその活動に幕を閉じた彼らが、なんと2015年夏に限定復活することが新年早々発表されたのだ。これまでにも「ザ・デッド」として残されたメンバーがライブを行うことはあったが、今回はグレイトフル・デッドとして、ミッキー・ハート、ビル・クルーツマン、フィル・レッシュ、ボブ・ウェアの“コア・4(フォー)”と言われるメンバーが集結。ジェリー・ガルシアの死の直前、1995年7月に最後のコンサートを行ったシカゴのソルジャー・フィールドにて、7月に3夜連続公演を行う予定となっている。このメンバーでのコンサートは、これが最後になるだろうとバンド自身が語っているだけに、全世界からデッド・ヘッズたちが大挙する歴史的コンサートとなるだろう。
また、50周年を記念しマーティン・スコセッシ製作総指揮によるバンドの公式ドキュメンタリー映画が製作中であることもすでに発表されている。ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」、「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」、「ジョージ・ハリスン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」など、これまでに数々のロック・ドキュメンタリーを手掛けてきたスコセッシが、彼らの50年におよぶ歴史と秘蔵映像の数々をどのように料理し、作品としてまとめあげるのか、その続報を楽しみに待ちたい。デッド50周年にまつわる最新情報は、バンド公式の50周年記念サイト(http://www.dead50.net/)から入手できる。
そして今も現役で活動し、結成50周年という大きな節目を迎えたのがドイツを代表するハード・ロック・バンドのスコーピオンズだ。数々のメンバーチェンジや活動終了宣言など紆余曲折ありながらも、半世紀にわたりハード・ロック界の“重鎮”としての存在を守り続けてきた彼ら。未だ現役であることを証明すべく、50周年を記念したニューアルバム『祝杯の蠍団~リターン・トゥ・フォエヴァー』を2月23日にリリース予定となっている。
結成40周年
アイアン・メイデン
▲ 「Iron Maiden En Vivo」 (Trailer)
続いて、結成40周年の節目となるのが、1980年代初頭に英国に旋風を巻き起こしたNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)を代表するバンドであり1980年代から1990年代初頭におけるヘヴィ・メタル・ブームの立役者アイアン・メイデン。こちらも数々のメンバーチェンジや再加入などを繰り返しながら、休止することなく現在までレコードセールスはトータルで8500万枚以上、世界で最も成功しているヘヴィメタル・バンドとして精力的に活動を続けている。近年はすっかりメンバーも固定、ボーカルのブルース・ディッキンソン自らが操縦するチャーター機でメンバーはもちろんバンドのキャラクター“エディ”を引き連れワールドツアーを敢行し、日本にもコンスタントに来日を果たしてくれている。
結成40周年を記念した大きな動きは今のところ発表されていないが、先日ラスベガスで開催された「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」にエディが登場し、日本の音響機器メーカーONKYOとのコラボによるオリジナル・ヘッドホンのプロジェクト『Maiden Audio』が進行中であることが発表された。詳細は特設サイト(http://maidenaudio.com/)にて今後明らかになる模様だ。
結成30周年
ガンズ・アンド・ローゼズ
▲ 「Sweet Child O' Mine」 (Live)
今年30周年を迎えるバンドには、あえてガンズ・アンド・ローゼズをピックアップしてみたい。今から30年前の1985年にアクセル・ローズ、イジー・ストラドリン、ダフ・マッケイガン、スラッシュ、スティーヴン・アドラーによるオリジナル・ラインナップが完成、翌1986年から怒濤の快進撃をスタートさせたガンズ。これまでに全世界で1億以上のセールスを誇るモンスター・バンドながら、ご存知の通りアクセル・ローズの破天荒な振る舞いにより、他メンバーとの確執・不仲が修復不可能なと状態なり90年代にバンドは大崩壊。アクセルに愛想を尽かす形で他のオリジナル・メンバーはすでに全員が脱退しているが、熱狂的なファンに支えられ、バンドとしてなんとか今年、30年の節目を迎えることになった。
こちらもアニバーサリーを記念した動きは特に発表されていないが、デビュー・アルバム『アペタイト・フォー・ディストラクション』の発売25周年を記念して行われた2012年11月のラスベガス公演を完全収録したDVD/Blu-rayが昨年12月にリリースされている。ファンならずとも、いつの日かオリジナル・メンバーが一堂に会する光景を拝みたいところではあるが…節目の年とはいえ、それが現実になることは今のところまずないだろう。10年後、いや20年後の楽しみにとっておこう。
生誕80年
エルヴィス・プレスリー
続いてはバンドではなく個人にスポットライトを当ててみよう。1977年に42歳の若さでにこの世を去った“キング・オブ・ロックンロール”エルヴィス・プレスリーがあくまで存命ならば…という仮定の話にはなるが、1月8日に80歳のバースデーを迎えた。レコードの推定売り上げ枚数は30億枚を誇るエルヴィスの生誕80周年を記念した動きがすでにいくつか発表されている。
エルヴィスが1960-1965年に発表したアルバム15作品、全180曲を収録した『The Complete '60s Albums Collection Vol. 1』が、iTunes Storeで1月28日に発売。続いて、その偉大なる音楽の足跡をCD10枚と萩原健太による特別書き下ろし本でまとめた日本独自企画『ELVIS!ELVIS!ELVIS!~The Ultimate Collection of Elvis Presley~』が通販限定販売されるとのこと。ソニー・ミュージックはこの他にも、この1年を通してエルヴィスの生誕80年を祝うべく様々な企画を行う予定とのこと。公式サイト(http://www.sonymusic.co.jp/artist/elvispresley/)をこまめにチェックしよう。
生誕70年
エリック・クラプトン
▲ 「プレーンズ、トレインズ&エリック~ジャパン・ツアー 2014」
3月30日に70歳のバースデーを迎えるのは、エリック・クラプトン。長距離移動の負担の大きさから「ツアー引退発言」も飛び出したが、それでも2013年~14年にかけて『オールド・ソック』『ザ・ブリーズ~J.J.ケイルに捧ぐ』と1年強で2枚のニューアルバムを発表するなど、音楽活動への情熱と探究心は今もまったく失ってはいない。昨年の日本公演や、シンガポール、ドバイ、バーレーンでの公演を収録した映像作品『プレーンズ、トレインズ&エリック~ ジャパン・ツアー 2014』も昨年10月に劇場公開&DVDリリース、これまでに200回以上の来日公演を行ってきたクラプトン。もう一度、いや、何度でも日本の地で泣きのギターを響かせてくれることを願いたい。
ほかにも、ニール・ヤング、ロッド・スチュワート、ブライアン・フェリー、ブロンディのデボラ・ハリー、元クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルのジョン・フォガティなど、今も精力的に音楽活動を続けているロック・レジェンドたちが続々と今年70歳を迎える。
生誕60年
エドワード・ヴァン・ヘイレン
1月26日に60歳の還暦を迎えたのが、ヴァン・ヘイレンのリーダー&ギタリスト“エディ”ことエドワード・ヴァン・ヘイレンだ。2000年に癌が発覚して以降、体調不良に悩まされることが多いエディ。2011年には癌が再発し、治療を受けていたことが明らかになり、世界中のファンを心配させたが、2012年にはヴァン・ヘイレンにとって約14年ぶりとなる新作『ア・ディファレント・カインド・オブ・トゥルース』をリリース。来日公演も決定していたが、またしてもエディの体調が悪化し延期に。今度は大腸憩室炎の手術を受けたというエディだが、翌2013年の6月に約15年ぶり、デイヴィッド・リー・ロスをヴォーカルに迎えた編成ではなんと33年ぶりとなる来日公演を実現させてくれた。満面の笑顔でギターをプレイするエディの姿に勇気づけられたという往年のファンは少なくない。ちなみに現ヴァン・ヘイレンでベースを務める息子のウルフギャングはまだ23歳である。
ほかには、元ザ・クラッシュのミック・ジョーンズとポール・シムノン、元ピストルズのスティーヴ・ジョーンズらロンドン・パンクの雄たちが今年、続々と還暦を迎える。
ベスト・オブ・グレイトフル・デッド
2014/09/24 RELEASE
WPCR-16025/6 ¥ 1,980(税込)
Disc01
- 01.ニュー・ニュー・ミングルウッド・ブルース
- 02.コズミック・チャーリー
- 03.トラッキン
- 04.ブラック・ピーター
- 05.ボーン・クロス・アイド (MONO)
- 06.さざ波
- 07.ドゥーイン・ザット・ラグ
- 08.ダーク・スター
- 09.ハイ・タイム
- 10.ニュー・スピードウェイ・ブギ
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