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バーシア 来日記念特集
ジャズ、ラテン、ボサノヴァなどを絶妙にブレンドしたスタイリッシュなサウンドとクリアーな美声で、90年代の女性ヴォーカル・ブームを代表する歌姫、バーシアが2015年1月に。マット・ビアンコのメンバーとして、そしてソロとして数々のヒット曲を残してきたバーシア。ファン待望の来日公演を前に、彼女の魅力を音楽ライターの中田利樹氏が語る。
音楽ライターの中田利樹です。僕の専門分野AOR=Adult Oriented Rockは圧倒的に男の世界で、女性アーティストは1割にも満たないのが現状です。それ故、「好きな女性シンガーは?」と訊かれてもそれほど名前は出てこないのですが、1980年代、デヴィッド・フォスターと仕事をした時のオリヴィア・ニュートン・ジョンは別格で、また、2000年代以降はインコグニートでお馴染みのメイザ、そして、フィンランドのジャニータのアルバムにノックアウトされました。ジャンルは微妙に異なれど、皆、とても洗練されている、という共通点があり、曲にもアレンジにも抜群のセンスが溢れています。流行り廃りに左右されない作品なので、今後もずっと聴き続けると思うのですが、その3人と共にずっと僕の歌姫であり続けるのが、そう、この人バーシアです。
▲ 「Half A Minute」 / Matt Bianco
彼女の存在を知ったのはマット・ビアンコのメンバーとして、が最初ですから、丁度30年が経過したことになります。当時の僕は東京、御茶の水にあるレコード店でバイトをしていて、いろいろな音楽を学んでいる時期でした。大好きなAORは下火になっていましたが、その一方で、スクリッティ・ポリッティ他、英国から出てくるアーティストに新鮮な感動を覚え、マット・ビアンコやシャーデーの登場にもまさに胸を躍らせていました。今振り返ってみると、万人受けするスタイリッシュなポップスとして愛聴したのではなく、ニュー・ウェイヴの流れの中から登場したどこか硬派でアーティスティックな姿勢に魅了された気がします。
▲ 「Cruising for Bruising」 / Basia
クールでジャジー、そしてエキゾティックなシャーデーも大好きでしたが、声の質や歌の表情、そして、ボッさだったりラテン・ムードを漂わすマット・ビアンコ=バーシアの世界にはさらにやられ、1987年に発表したバーシアのソロ作『Time And Tide』を聴いた時、漸く、全てを投げ出せる女性シンガーに出会った、と確信出来ました。そして1988年10月、J-WAVEが開局した時、僕はそこの番組制作に携わり、以後、様々な洋楽と出会うわけですが、彼女以上に惹き付けられた女性アーティストには未だに会っていません。それほど特別な存在です。
彼女のライヴを観たのは、1994年の3作目『The Sweetest Illusion』に合わせたツアーで来日したのが初めてでしたが、その歌の上手さに吃驚しました。そして、ステージングが実に楽しくエンターテインメント性に溢れていたことも忘れられません。あと、とても人懐っこい感じがまた良いんです。スタイリッシュな音楽をやっていると、性格もちょっぴりお高いのかな…等と思いがちですが、いえいえ、彼女は本当にまろやかな人で、特に、ここ最近のちょっぴり膨よかになられたルックスと合わせて、なんとも言えない可愛らしさがオーディエンスに伝わることでしょう。
プライヴェートな問題もあってか、一時期は音楽業界を離れていたようですが、2000年代前半、マット・ビアンコに復帰してアルバム発表&来日公演を行なってからは非常に元気で、2009年に15年ぶりのスタジオ録音盤『It’s That Girl Again』をリリースし、日本でのクラブ・ギグも実現。ここビルボードライヴでも、2013年5月以来二度目となる公演が1月末に行なわれます。バックにはマット・ビアンコ時代からのパートナー、ダニー・ホワイト(キーボード)ももちろん同行。今回も、初恋の人に再会するようなワクワク気分で足を運ぶつもりです。
来日公演情報
Basia
Billboard Live Tour 2015
ビルボードライブ東京:2015/1/27(火)~1/28(水)
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ大阪:2015/1/30(金)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
※1/27(火) 1stステージは、団体予約により、一部の自由席/メンバーズシートを予めリザーブしておりますのでご理解とご了承の程、お願い申し上げます。
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Text: 中田利樹
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