Special
倉木麻衣『Mai Kuraki BEST 151A -LOVE & HOPE-』インタビュー
「もう一回絶対戻ってきてね。約束だよ!」涙が溢れました
--前回のインタビュー大好評でした。「音楽シーンにおけるタモリさんや黒柳徹子さんの位置に?」という切り口を面白がってもらえたみたいで(笑)。
倉木麻衣:タモリさんや黒柳徹子さんの番組を観る度に思い出します。あのインタビューのこと(笑)。--今回は15周年記念ベストアルバム『Mai Kuraki BEST 151A -LOVE & HOPE-』タイミングのインタビューなんですが、どんな心持ちで15周年の日々を送っている感じですか?
倉木麻衣:15年間歌手としての活動を続けてこれたっていうことは、私自身も奇跡みたいだなと本当に思っていて。前回もお話しましたけど、ちょうど『Wake me up』をリリースしている時期にスランプを迎えて歌えなくなっちゃって。その頃の自分を振り返ると、今こうしてまた音楽に没頭できて、ライブも楽しく廻らせて頂いているのは、本当に応援してくれているみんなのおかげだなって感じます。あと、私は下積みがなくデビューして急にブレイクしてしまった感じなので、15年間ずっと勉強でしたし、みんなに育ててもらった倉木麻衣だなって。みんなから自信をもらえた。それに対して新しい自分を音楽でどんどん見せていきたいと思うようになって、その想いが最近やっと形に出来てきたかなって思います。--その15年間を詰め込んだものが今作であると。
倉木麻衣:今回のベストは発表してきた曲を振り返りながら作ったんですけど、自分の曲って“LOVE”と“HOPE”をすごく大事にして作ってきたなって再確認して。愛と希望を表現してきた。だからそれをストレートにタイトルにしたくて。それで“LOVE”盤にはバラード曲、“HOPE”盤にはアップテンポの応援ソングを収録させて頂いて。でも曲を選ぶのが本当に難しくて! 何を核にして選曲しようか悩んだんですけど、私はライブでみんなと一体感や絆を作ってきた曲を改めて聴いてもらいたいなと思ったんです。このアルバムを通してみんなにも思い出と共に15年間を振り返ってもらいたくて。あとは今の倉木麻衣も感じて頂きたいので、新曲も収録して。15年前に発表した曲から今現在の倉木麻衣の音楽まで触れることによって、この先にも期待してもらいたいです。--他にも今年はアニバーサリー企画目白押しですが、8月には約5年振りとなる台湾公演を実現。こちらはいかがでした?
倉木麻衣:前回ライブさせてもらったときに「もう一回絶対戻ってきてね。約束だよ!」ってみんなと誓ったんですよ。それで実際に待っていてくれていて、なかなか実現できずにいたから申し訳ないと思っていたんです。でも今回行くことができて、しかも普段ライブであまり歌わないような曲たちも熱く歌ってくれて、さらにダブルアンコールも来まして! 「本当にありがとう!」って名残惜しくステージを後にしたんですけど、Mai.Kコールが起こったんですよ! そこで「chance for you」を歌ったらみんな合唱してくれて。いやぁ~、本当に感動して涙が溢れました。--それだけ台湾でも愛されてるんですね。
倉木麻衣:あと、日本から来てくれたファンの方と台湾のファンの方が友達になっていたりして、自分を通して交流の輪が広がっていくのはすごく嬉しかったです。カンボジア支援活動からインスパイアされて制作した「STAND BY YOU」を台湾で大人気のA-FUさんとコラボレーションしたんですけど、それでソーシャル活動の輪が広がっていく実感もありましたし、とても有意義な台湾公演になりました。--自分が生まれ育ってない国でもそれだけ倉木麻衣の音楽が愛されているというのは、純粋に嬉しいもの?
倉木麻衣:そうですね。言葉が分からなくても音を聴いて好きになってもらってるところもあるし、言葉を超えるもの、国と国の壁を超えるものがあるんだな。音楽にはそういう力があるんだなって。言葉は分からないけど、気持ちは通じ合える。それをすごく体感してきたので。自分の曲を聴いて元気が出たとか、そういうメッセージも頂くんですけど、やっぱりすごく嬉しいです。--ボランティア活動も含め、倉木さんは海外でのアクションが多いですけど、やはりその国々によって倉木麻衣の音楽、ライブの反応は違うもの?
倉木麻衣:熱い想いというものはどこの国も一緒なんですけれども、表現の仕方が違いますね。海外は開放的な人が多い。日本の方は遠慮したり、例えば「この場所で待っててください」って言うと必ずそこで整列して待っていてくれる。特に私のファンは礼儀正しい方が多いので。でも中国の体育館でライブしたときは、観客席は一応あったんですけど、私が出てきた瞬間にみんなステージの方へ詰め掛けてきちゃって(笑)。海外はラフなんですかね? 取材を受ける場所も普通にファンの人が入ってこれちゃったりして!--凄いですね。今、この部屋にファンが入ってきちゃうってことでしょ(笑)。
倉木麻衣:わりとハプニングが多いです(笑)。なので海外へ行くと度胸というか、自信がつきます。知らない土地で初めてライブさせて頂く訳ですから。でもお客さんはどこの国も一貫して熱いです。--まだ行ったことないところでライブしてみたい国や地域ってありますか?
倉木麻衣:ヨーロッパでまだライブしたことがないのでやってみたいです。あと、ロシアでシンフォニックの録音をしたんですけど、そのオーケストラと共に各地を廻ってみたいなとも思いました。海外のオーケストラって凄いんですよね。ちゃんと海外らしいサウンドの作り方、表現の仕方なんですよ。ロシアの方に弾いて頂くと、グルーヴがちゃんとロシアになるんです。なので、いろんな国の現地の方の演奏でライブしてみたいなって。リリース情報
Mai Kuraki BEST 151A -LOVE & HOPE-
- 2014/11/12
- 初回盤A [VNCM-9024/5(2CD+DVD)]
- 定価:4200円(tax in.)
- 初回盤A の詳細・購入はこちらから>>
- 初回盤B の詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤 の詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
マイケル・ジャクソンやマータイさんの影響/ざわちんの影響?
--シンプルな想いとして、自分の歌や音楽を世界中に届けたい気持ちは強い?
倉木麻衣:支え合うことの大切さとか、ひとつのアクションによって世界中が笑顔になったり、元気になったりする。そういうものを発信できる環境が整ってる場所に私はいると思うので。なので、そういった想いを世界に発信していけたらいいなと思ってます。音楽を通じて。--ソーシャル活動に精力的だったアーティストと言えば、マイケル・ジャクソンもまた象徴的でしたが、彼のアクションにはどんな印象を持たれていますか?
倉木麻衣:先駆けというか、物凄い影響力を持っていましたよね。私がマイケルを知ったのは小さいときだったんですけど、子供ながらに世界平和を訴える想いとか感じられていたので。世界平和のことを歌ってるんだけど、ひとりひとりの心の再生みたいなものも大事にして伝えていた方なので、それは凄いことだなと思ってました。あと、影響を受けたと言えば、マータイさん(ワンガリ・マータイ/ノーベル賞受賞者)っていう「もったいない」を提唱された女性環境保護活動家の方。生前に対談させて頂いたことがあるんですけど、「倉木さんは音楽で影響を与えられる方なので、ぜひ環境に対してのメッセージを発信していってください」って言われたんですよ。それで生まれたのが『Diamond Wave』なんですけど、それがいろんな場所でソーシャル活動をするようになったきっかけなんです。--そんな世界中で活動している倉木麻衣ですが、ここ日本での活動ももちろん積極的で。今をときめくものまねメイクファンタジスタ ざわちんと共演。あれはなかなか衝撃的で笑ってしまいました。
倉木麻衣:ざわちんさんのツイッターに「倉木麻衣のメイクをして下さい」っていうリクエストが来たらしいんですね。それがきっかけで、私が今年の夏に廻っていたライブハウスツアーの東京公演にざわちんさんが遊びに来て下さったんですよ。そこで初めてお会いしたんですが、数cmぐらいの至近距離でずっと私の顔を見ていて(笑)。メイクのラーニング作業をしていたと思うんですけど、私の顔ってモノマネするのは難しいみたいで「難しいから、ずっと見させて下さい」って。で、ラゾーナ川崎でイベントしたときに私のメイクをして、同じ衣装で来てくれたんですけど、もうビックリするぐらいそっくりで! その影響を受けまして『LINE倉木麻衣なりきりコンテスト』を実施して……--え、その影響なの?
倉木麻衣:その影響なんです(笑)。みんなも“なりきりMai.K”をやってみましょう!みたいな感じで。あと、最近マスクしてると「あれ、ざわちんさんですか?」って言われます(笑)。--倉木麻衣がザッツタレントさんとお仕事するのって珍しいと思うんですけど、実際はテレビ好きだったり、ミーハーだったりもするんですか?
倉木麻衣:ミーハー(笑)。今もテレビを観ますし、実は小さい頃はテレビっ子だったんですよ。アニメから流れてきたテーマソングを一緒に歌ったりして。最近も好きな番組は録画して休みの日に観てます。--倉木さんってこうして実際にお会いすると人懐っこいし、トークも面白いじゃないですか。テレビ番組のMCやるのもアリかもしれませんよ。『徹子の部屋』ならぬ『倉木の部屋』。
倉木麻衣:ハハハ! デビューしたての頃は、CSで『Mai-K TV』という番組を持たせて頂いていたんですよ。それはゆるい感じで、ただ自分の好きな音楽を紹介していた番組なんですけど(笑)。またそういった機会があればやってみたい気持ちはあります。いろんな人をゲストに迎えたりして。--15周年を迎えてもまだまだ面白い展開が期待できる倉木麻衣ですが、15周年の記念碑的ベストアルバム『Mai Kuraki BEST 151A -LOVE & HOPE-』は、どんな人に聴いてもらいたいなと思いますか?
倉木麻衣:ニュースを観てるといろんなところで問題が起きてるじゃないですか。孤独を感じている人たちもたくさんいるし、イジメ問題もありますし。それでも将来を見つめている、夢に向かって頑張っている人たちにとって、そこへ到達する為のモチベーションを上げるアルバムにしてもらえたらなと思います。頑張っている人たちに日々聴いてほしい。--LOVE & HOPEを歌い続けていくのって大変じゃないですか。自分がどんなにしんどくても愛と希望を掲げ続けるのって。それでもなんで倉木麻衣は歌い続けたんですかね?
倉木麻衣:自分自身負けそうなとき。自分の歌がうたえなくなったり、歌に喜びが見出せなくなってしまったとき。それは本来のあるべき姿を見失っている時期でもあるじゃないですか。でもそういうときこそ逆に音楽によって奮い立たせてもらったりするんですよね。正しく音楽の力。だから「Wake me up」は自分自身を鼓舞させる曲になりましたし。音楽に私も救われてる。あと、どうしても体が疲れてくると精神にも影響を与えるじゃないですか。「あ、もう無理かも」って思っちゃうときって必ずある。そういうときにみんなの応援メッセージとか読んで「自分はひとりじゃないんだな」って感じると強くなれるんですよね。それをまた音楽でメッセージしていきたいなって思いますし、すべて音楽に繋がってるんです。音楽の力によって歌い続けてるんだと思います。--音楽を歌い続けることで世界は良くなる。良い方向に向かうと信じてる?
倉木麻衣:信じてます。だって、音楽によって救われたというお手紙を頂いて、そういう人たちがライブにも来てくれてるし。だから「音楽って凄い力があるな」って思うし、そこに疑う余地はないです。リリース情報
Mai Kuraki BEST 151A -LOVE & HOPE-
- 2014/11/12
- 初回盤A [VNCM-9024/5(2CD+DVD)]
- 定価:4200円(tax in.)
- 初回盤A の詳細・購入はこちらから>>
- 初回盤B の詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤 の詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
デビュー曲「Love, Day After Tomorrow」=師匠を超える為に
--今作の制作で、改めて自分の歴史に触れてどんなことを感じたりしました?
倉木麻衣:「成長したな」って思いました。いろんな楽曲を歌ってきたんですけど、私の曲って難しかったりもするんですね。メロディーのギミックが凄かったりして。でもそういった楽曲も歌いこなしていく中で、コーラスワークとか聴いていると「このときは苦労したけど、今だったらこういう風に簡単に出来ちゃう」と思ったり(笑)。そういう意味で成長を感じる。あと、歌詞の世界観かなぁ。今はひとつ殻を破って書けてる感覚はあります。かつては比喩を多用していたんですけど、今は口語調というか、より自分のリアルな気持ちを表現できるようになっている。--例えば、デビュー曲「Love, Day After Tomorrow」と最新曲「DYNAMITE」を比較すると、どんなことを感じますか?
倉木麻衣 「Love, Day After Tomorrow」
--「Love, Day After Tomorrow」師匠(笑)。でもたしかにこの師匠がいなかったら、この倉木麻衣の15年はないですからね。
倉木麻衣:そうなんですよ。いろんな場面で欠かさずに、もう皆勤賞なんじゃないかと思うぐらい歌ってきた曲でもあるので。デビュー当時はここまで大きい存在になるとは思ってなかったんですけど、年月を重ねていく中で「こんなにも多くの方に聴いていただいて、認められた曲なんだな」って思うようになりました。--その師匠を超える為に作った「DYNAMITE」はどんな曲なんでしょう?
倉木麻衣:「DYNAMITE」で何を爆発させるのかと言うと、自分の中に眠っている情熱、エネルギー。人生は一度きりしかないから、今それを爆発させて何にでもぶつかっていくことが大事だよっていう。8月にリリースした「無敵なハート」は自分の弱さに負けない気持ちを持とうという歌で、そこで倉木麻衣はもう無敵になったんだから、次は「DYNAMITE」でエネルギーを爆発させて頑張っていくぞっていう。「Love, Day After Tomorrow」のエネルギッシュな情熱を今の私が「DYNAMITE」で継いでいく。この先の倉木麻衣を期待してもらえる1曲になったらなと思ってます。--あと、今作のアートワークは、1stアルバム『delicious way』のモノクロジャケットを今の倉木麻衣が再現したものになってます。これ、今の写真のほうが幼くなってません?
倉木麻衣:本当ですか(笑)?--「変わらないねー」はあっても「幼くなったねー」パターンはなかなかないですよ、倉木さん。
倉木麻衣:ないですよね! でもそんな風に言ってもらったのは初めてかも。「女性アーティストが15年前と同じジャケットって凄い勇気要りますよね?」とか言われていたので(笑)。今回このジャケットになんでチャレンジしてみたかと言うと、1stアルバム『delicious way』の気持ちを思い返したかったのと、みんなも当時のことを思い出したりできるかなと思って。軌跡を辿って頂くという意味では、こういうことをやっても面白いのかなと思ったんです。『delicious way』のジャケットは、学校から帰ってきて、この服に着替えて、自分でパパパッ!って髪の毛とかセットして、メイクもせずにそのままスタジオへ向かって「じゃあ、撮影です。パチッ」って撮ったものが使われてるんですよ。その頃の自分の気持ちを思い返しながら、今回のジャケット撮影には臨みました。--当時の写真からは警戒心やヒリヒリしたもの、背伸びしようとしている面も感じられますが、今回の写真はとても穏やかですよね。
倉木麻衣:そうかもしれない。当時は「早く大人になりたい」「周りに負けたくない」みたいな強がりがあったので。でも今はいろんな人と繋がることができて、みんなから自信をもらって歌っているのもあって、安心感みたいなものも感じている。だからこういう表情になったのかな。--15年前の倉木麻衣に会えるとしたらどんなことを伝えたい?
倉木麻衣:Let It Beですね。成せばなる、何事も。「それを信じてやってきて大丈夫だよ」っていうことを伝えたい。当時は初めて挑戦することがたくさんあって、不安だらけで。学生との二足のわらじを履いていたので、めちゃめちゃ大変だったんです。でもやればできる。それを言ってあげたいなって思います。あと、逆に私はこのときの自分からパワーをもらっているので、感謝したいです。--では、この15年を走り続けてきた今の自分をどう評価したいですか?
倉木麻衣:評価……自分自身への評価はないかなぁ。今までいろんな賞を頂いたんですけど、それは自分が頑張ってきた部分もあるかもしれないけど、周りでサポートしてくださっているスタッフの方だったり、ファンのみんなが育ててきてくれたことによって頂けた賞だと思ってるので。それは素直に嬉しいと思います。あとは、ひとつひとつの楽曲をみんなが受け止めてくれたことに対して「やってきてよかった」って思いますね。そこに悔いはないです。--この先の倉木麻衣はどうなっていくんでしょうね。
倉木麻衣:私もそれはすごく楽しみにしています。今回のアルバムタイトルじゃないんですけど、一期一会によってこの先も創られていくと思うので、それを私自身も楽しみながら進んでいきたい。 Interviewer:平賀哲雄リリース情報
Mai Kuraki BEST 151A -LOVE & HOPE-
- 2014/11/12
- 初回盤A [VNCM-9024/5(2CD+DVD)]
- 定価:4200円(tax in.)
- 初回盤A の詳細・購入はこちらから>>
- 初回盤B の詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤 の詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
関連商品