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2021/02/18 15:00

米ニューヨークのアリーナやスタジアム、10%のキャパシティで営業再開へ

 現地時間2021年2月10日、米ニューヨーク州アンドリュー・クオモ知事が、同州にあるアリーナやスタジアムの観客数を収容人員の10%に制限することで営業再開を許可する発表を行った。これを受け、米ニューヨーク市にある主要なアリーナは、来週からのスポーツ・イベント再開に向けて準備を進めている。
 
 「私たちはすべての人がワクチンを接種するまで、(アリーナやスタジアムの)閉鎖を続けることはできません。経済的、心理的、感情的な代償は計り知れないものになります」とクオモ知事は、先週規定変更を発表する際に述べた。
 
 米ブルックリンのバークレイズ・センターと米マンハッタンのマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)ではコンサートの開催が予定されていないため、この新しい規定はスポーツ・イベントにまず適用される。2月23日から、両アリーナではホーム・ゲームの開催を再開する。2,000人のファンが参加可能となり、アリーナ全体に社会的距離を確保した1人2席分のポッドが用意される。州の新しいガイドラインでは、ワクチンの接種が完了していても、イベントの72時間前のPCR検査で陰性である証拠を提示するよう、チケット購入者に義務付けている。
 
 すべての来場者は体温検査を受け、華氏100.4度(摂氏38度)以下である必要がある。また、指定された席での飲食中を除き、常にマスクの着用が義務付けられている。飲食物を含む会場内での購入に現金は使用できず、クレジットカードやApple Pay、Google Payなどのモバイル決済システムを利用しなければならない。
 
 また、MSGの関係者は、イベントの12時間前にアリーナのスマートフォン・アプリを使った健康調査に応じることをファンに依頼しており、バークレイズ・センターとMSGの従業員は定期的に検査を受けることになっている。
 
 MSGスポーツのCEO兼MSG社長のアンドリュー・ルストガルテンは、米ビルボードへの声明で、「ニックスとレンジャーズの試合を皮切りに、ようやくファンを迎えられること、そしてニューヨーク市にとって重要なステップの一部になれることに興奮しています」と述べた。「現在は入場者数が限られていますが、州や保健当局と共に作成した慎重な運営上の安全対策で、最も安全で楽しめる環境を作ることに注力します」と続けた。
 
 1試合につき約2,000枚のチケットしか用意できないため、MSGとバークレイズ・センターは、シーズン・チケット・ホルダーとスイート・ルームのメンバーに優先的にチケットを提供する。バークレイズ・センターでの最初のイベントは2月23日で、ホーム・チームのブルックリン・ネッツがサクラメント・キングスと対戦する。MSGでは同じく2月23日に、ニューヨーク・ニックスがゴールデンステート・ウォリアーズと対戦する。
 
 MSGでは試合開始の90分前に開場し、来場者は座席位置に基づいて特定の入場口が割り当てられる。チケットは2席分のポッドで販売され、1つにつき50ドル(約5,300円)からとなる。それぞれのポッドは社会的距離が保たれている。
 
 米ライブ・ネイションCEOのマイケル・ラピーノはクオモ知事を支持するメッセージをTwitterに投稿し、「ニューヨーク市にて開催されるライブ・イベントでアーティストとファンが再び繋がることができるのは素晴らしいことです。最初の一歩を踏み出してくれてありがとう@NYCGovCuomo。@LiveNationは安全な復活に向けて、より多くの段階で協力できることを楽しみにしています」と述べた。
 
 この度発表された、米ニューヨークにて計画されている再開は、コンサートが1年近く閉鎖された後、世界中が縮小されたキャパシティでの再開の許可が下りるの待つ中で決定した。先週、AEGが管理する英ロンドンのO2アリーナでは、2月27日に開催予定だったスクイーズのキャパシティを減らしたコンサートが再度延期となった。バンドのグレン・ティルブルックとクリス・ディフォードは声明で「現在のイギリスでのロックダウン」を理由に、ロックダウンの状況下でAEGプレゼンツとSJMコンサートがプロモーションするコンサートを実行するのは不可能だと述べた。
 
 今月初め、マネージャーのランディー・フィリップスは、米ビルボードに「2021年にツアーやフェスティバルを行うことが現実的だと思っている人は正気ではない。まともな考えではない」と説明した。「ワクチン接種やワクチンの普及が遅いということだけではないです。これは経済の問題です。街中を運転すると、店には、“空き”の看板がたくさんあり、閉業したレストランもたくさんあります。これらのビジネスはいつ戻ってくるのでしょうか?これらの仕事はいつ戻るのでしょうか?」と続けた。
 
 エージェントのデニス・アーファは、この考えに同意しており、大規模なツアーを全国的に実施するには、少なくとも85~90%のチケットが売れないと採算が合わないと米ビルボードに語った。「2022年1月にツアーをするには、6月までにほとんどの人が免疫を持っている必要がある。そうすれば、遅くとも10月か11月までには状況は以前のように戻るだろう。つまり、NBAやNHL、スポーツ・チームは最大のキャパシティで稼働できることになる。それが現実だ」と続けた。
 
 新規制は、米ニューヨーク州の全てのアリーナとスタジアムで適用される。しかし、同州オールバニーのタイム・ユニオン・センターやロチェスターのブルー・クロス・アリーナといった主要なアリーナは5月までイベントが予定されていない。