2020/11/15 18:00
2000年以降ガールズ・グループの勢力が衰退し、昨今ではK-POP勢に独占されつつあるが、2012年リリースのデビュー・アルバム『DNA』から前作『LM5』(2018年)まで、5作連続でUKアルバム・チャートTOP5入りしたリトル・ミックスは、活動休止も低迷することもなく走り続けている。
2011年に英オーディション番組『Xファクター』で番組初のグループ優勝を飾り、同年発表のデビュー曲「キャノンボール」がUKシングル・チャート1位を獲得。前述のデビュー・アルバム『DNA』は、米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で最高4位をマークし、2013年の2ndアルバム『サルート』も6位と2作連続で全米TOP10入りした。
デビュー9年目となる2020年現在もその人気は健在で、本作『コンフェティ』からの先行シングル「ブレイク・アップ・ソング」が9位、「スウィート・メロディー」は8位といずれもUKシングル・チャート上位にランクインしている。2010年代ではフィフス・ハーモニーが同ガールズ・グループとしてブレイクしたが、今やソロが中心となりグループの活動は停滞したままとなっている。出ては消えを繰り返すガールズ・グループの中で、リトル・ミックスの息の長さは異例といえよう。
その先行シングル「ブレイク・アップ・ソング」は、前作『LM5』にソングライター、ゲストとしても参加したカミーユによるプロデュース曲。80年代フレイヴァ―を漂わすスピード感あるシンセ・ポップで、ロックダウン中に自宅で撮影したミュージック・ビデオでも、それぞれ当時のファッションを再現したビジュアルでパフォーマンスしている。
一方「スウィート・メロディー」は、イギリスのソングライターMNEKとタイラ・パークスが手掛けたダンスホール風のアップ・チューン。 黒一色のセクシーな衣装でダンスを繰り広げるMV含め「ブレイク・アップ・ソング」とは対照にクールな仕上がりとなった。コテコテのダンス・ポップからブラック・ミュージックまで、ジャンルの枠を超えてパフォーマンスできる柔軟性は、良い意味で統一性のないリトル・ミックスの強みといえる。MNEKとタイラ・パークスは、プロモーション・シングルとして発表した「ノット・ア・ポップ・ソング」も担当した。
TOP10入りは逃したが、同UKチャートで15位を記録したディスコ調の「ホリデイ」も、前2曲とはまた違う魅力がある。キュートなメロディ・ライン、ファルセットによるソフトなコーラス、マーメイドをイメージした衣装で揺らぐMVいずれも女子力高く、アイドルに回帰した(?)一面も覗かせた。キャリア9年目にして、ここまでブレないグループも珍しい。
かと思えば、プロダクション・チームTMSがプロデュースしたタイトル曲「コンフェティ」では、トラップにも通ずるヘヴィなビートで“攻め”の姿勢をみせる。この曲や、シアラをイメージしたという「グローヴス・アップ」、マイケル・ブーブレの「スウェイ」をサンプリングしたラテン・フレイバーの「ランデヴー」、壮大なバラード曲「マイ・ラヴ・ウォント・レット・ユー・ダウン」~「ブリーズ」あたりは、30歳を目前とした今の彼女等だからこそ表現できる色気や説得力がある。
とはいえ、年相応にすっかり落ち着いたということでもなく、大胆にセックス・アピールを強調した「ナッシング・バット・マイ・フィーリングス」、伸びやかなボーカルを聴かせるロック調の「ハピネス」、傷心を前向きに払拭する軽快なアップ・チューン「ア・メス (ハッピー・4・ユー)」、K-POP路線のエレクトロ・ポップ「イフ・ユー・ウォント・マイ・ラヴ」など、非アダルト嗜好のナンバーもバランス良く配置されていて、初期の作品を支持するファンもガッカリさせない充実ぶり。
本作は、前述の『LM5』から2年ぶり、通算6枚目のスタジオ・アルバム。来年でデビュー10周年を迎えるリトル・ミックスだが、10年で6枚のアルバムを順調にリリースし、チャートでも上位に食い込む活躍を未だ続けている。5Hのように個々の活躍にも期待したいが、グループとしての意地を貫いてほしいという気もする。2020年代、30代をむかえる彼女たちの今後には、どんなサプライズがあるのだろう。
Text: 本家 一成
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