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2020/08/07

米ライブ・ネイション、収益が前年同期比98%減

 新型コロナウイルスのパンデミックにより世界中のコンサートが中止となったことで、米大手プロモーターのライブ・ネイションの損失が数億ドルになることがわかった。2020年第2四半期の純利益は7410万ドル(約7億8000万円)で、4億3190万ドル(約455億8000万円)の調整後の営業損失を計上している。

 コンサート部門の1億4180万ドル(約149億7000万円)の収益は、2019年第2四半期の26億4000万ドル(約2680億2000万円)から95%減少した。チケット発券部門は8700万ドル(約91億8000万円)の赤字で、スポンサーと広告収入の1840万ドル(約19億4000万円)により、米ライブ・ネイションの純利益は7410万ドル(約7億8000万円)となり、前年同期の31億6000万ドル(約3334億4000万円)から98%減少した。

 2020年上半期までの収益は14億4000万ドル(約1519億1000万円)で、前年同期比で71%の減少だった。6月までの調整後営業利益は、2019年上半期の営業利益が3億1930万ドル(約336億8000万円)に対し、4億3190万ドル(約455億6000万円)だった。

 2020年第2四半期の合計は、米ライブ・ネイションのコンサートとチケット発券の数字により明らかで、昨年の第2四半期のコンサート数が7213に対し、2020年同期は24公演しかなかった。北米のコンサートは、2019年第2四半期の集客1584万人に対し、2020年同期は8000人のみであった。同社はヨーロッパではまだ良い結果を残しており、昨年の3309回のコンサートから131回に減少に止まっている。

 米ライブ・ネイションにとって重要となる流動性は2020年6月末で27億ドル(約2849億8000万円)で、18億ドル(約1899億9000万円)のフリーキャッシュと9億6600万ドル(約1019億6000万円)の債務返済能力となる。今後12か月間に実施されなかった公演の収益である9億4130万ドル(約993億5000万円)の前受収益は、必要に応じて追加の流動資金を提供できる。

 パンデミックの早い段階で、全ての世界ツアーが禁止された後、米ライブ・ネイションはすぐに最悪のシナリオに備えた準備に積極的であった。長期的なコンサートの閉鎖を乗り越えるために、同社は12億ドル(約1267億円)の紙幣売却、既存の融資枠に1億3000万ドル(約137億3000万円)の追加、債務契約の一時的な変更で流動性を大幅に増加した。それでも、この規模の会社を経営するには資金が必要で、同社は毎月約1億2500万ドル(約132億円)の現金を消費している。

 米ライブ・ネイションは、メキシコのプロモーターOCESAの4億8000万ドル(約506億8000万円)の買収計画を破棄している。同社によると、コスト削減策(一時帰休、解雇、請負業者の使用減少、ライブ・ネイションとチケットマスター全役員の給与削減)は、今年約11億ドル(約1161億円)を節約することで流動性を助けている。

 財政危機に直面した米ライブ・ネイションは、2020年に14憶ドル(約1477億7000万円)の現金流出を削減し、これには8億ドル(約844億6000万円)のコスト削減、会場維持等の設備投資の削減、買収活動の減少、アーティストやチケット・クライアントへの前金支払いの減少が含まれる。

 新型コロナウイルスの死者数は、現在米国で1日あたり1000人を超えているが、米ライブ・ネイションはワクチンの開発と治療の進歩に「良い意味で驚いている」ようだ。一部のマーケットは他よりもうまくいっているが、米ライブ・ネイションの最大のマーケットである北米では、感染者や死者を減らすことに各国に遅れをとっているが、同社はコンサートが2021年に大規模に戻ると信じている。ジョー・ベルヒトルト社長は、「大規模に」というのは「四半期で数千のコンサートを実施し、数千万のファンが集まる」ことを意味すると説明した。

 コンサートは3月に禁止され、アーティストは自宅でこれまでにないほど長い時間を過ごしている。同社CEOのマイケル・ラピーノは、頻繁にアーティストとやり取りする中で、アーティストがアイデアに満ち、演奏することを熱望していると明かした。これらのアーティストとの会話を通じて「ツアーに出て、新しい音楽を演奏したいというアーティストによるクリエイティブな後押しは、このビジネスがこれまで以上に強いものになる」とラピーノは確信している。米ライブ・ネイションが通常規模にいつ戻るかの予測はなかったが、「2021年および2022年は記録的な年になるだろう」と述べた。

 蓄積した現金、負債と与信枠で、米ライブ・ネイションにはパンデミック収束を待つ余裕がある。7月25日に物議を醸したザ・チェインスモーカーズの公演に対して、ラピーノは皮肉を込めて「我々はハンプトンでDJセットをする予定はありません」と言い、第1四半期からのメイン・テーマである「私たちは長くプレーをし、安全にプレーするつもりです」と述べた。