2020/07/13 11:00
2020年7月13日付のHot 100では、上位2曲が新曲という久々に大波乱のチャートとなった。2位に入ってきたのは、NiziUの「Make you happy」(【表1】)。NiziUはこの曲だけでなく、14位に「Baby I'm a star」、15位に「Boom Boom Boom」、19位に「虹の向こうへ」と、なんと4曲がトップ20にチャートインするという快挙。デビューにしてこの結果はすごいとしかいいようがない。
ご存知の通り、NiziUはオーディションから生まれたグループだ。韓国のJYPエンターテイメントとソニーミュージックによる共同プロジェクトで、オーディションや合宿トレーニングの様子はHuluやYouTubeで配信されたほか、地上波のテレビでも放送。メディアを使った戦略によって話題が高まり、本来は今年の秋にデビュー予定だったが、6月30日にプレデビューのミニ・アルバム『Make you happy』が急遽リリースされた。チャートに入ったこれらの楽曲は、実際にオーディションで歌われた楽曲ということもあるので、チャートインするのは当然と言える。Asayanなどに始まる数々のオーディション番組を懐かしく思い出す方も多いことだろう。
ただ、NiziUはSNSを巧みに利用して話題性を作ったことが、これまでと違う大きなポイントだ。Twitterでは番組配信の度に視聴者の間で話題となり、YouTubeでは歌やダンスを真似る動画も多数アップされた。加えて、TikTokで公式アカウントを開設し、著名人も巻き込んだ動画の展開を行ったことでさらに拡散されることになった。こういった露出展開に呼応するように、音楽ストリーミング・サービスでは軒並み1位を獲得するなど、総合的な連鎖が起こっている。この勢いはおそらく一過性でなくしばらく続くだろうし、話題を作って鮮度を保っていけば、さらなるロングヒットにもつながるだろう。
こういったメディアやSNSをかけ合わせた戦略は、一見新鮮なようだが実は非常にオーソドックスなもの。押さえるべきことをしっかりと押さえて、ヒットにつなげた好例なのである。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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