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2020/05/07

<インタビュー>「君の瞳に恋してる」をサンプリングしたTikTok発の新たなヒット「ily」を手がけたサーフ・メサとは?

 現在20歳のプロデューサー、サーフ・メサ(本名: ポウェル・アギレ)による「ily (i love you baby)[feat. Emilee]」が、近年主流となったTikTok発の新たなヴァイラル・ヒットとなっている。

 1976年にリリースされたフランキー・ヴァリによる不朽の名曲「君の瞳に恋してる」(原題: Can't Take My Eyes Off You)のカヴァーをサンプリングした同曲は、誰もが知る「I Love You Baby~」という歌詞、エミリー・フラッドのリラックスした歌声とドリーミーなプロダクションがもたらす絶妙なバランス感、そして20歳らしいフレッシュな解釈が各国のリスナーの心を掴んでいる。

 元々サーフ・メサが、TikTokで見つけたエミリーによる20秒ほどのカヴァーをリミックスしたことで誕生したこの曲は、エミリーの60万人のフォロワーを通して話題となり、Shazamなどの音楽認識アプリを通じて発見するリスナーも後を絶たない。今年2月末の正式リリース以降、YouTube再生回数は1120万回以上を記録し、曲を使ったTikTok動画も多数アップロードされている。

 夏に向けてさらなるヒットを予感させる「ily (i love you baby)」の制作背景やインスピレーション、SNSとの付き合い方や日本への想いについてサーフ・メサが語ってくれた。

ーまず、音楽の道を志したきっかけについて教えてください。
サーフ・メサ:音楽は僕の一部なんだ。ひいおじいちゃんは、自身のジャズ・バンドでウエスタン・スイングを演奏していて、お父さんはジャズ・バンドでサックスとヴォーカルを担当している。僕は、幼少時家にあったピアノの鍵盤を適当に押していた時から楽器に触れていたよ。

 音楽制作に関しては、小学3年生の時、兄にFruity Loops Studioを家族のパソコンにダウンロードしてもらったことから始まった。ちょうどその頃、スクリレックスが世界一かっこいいEPをリリースして、僕はダブステップに出会ったんだ。YouTubeでダブステップのあの“ワブワブ”したサウンドを再現する方法を調べながらヘビーなドラムを加えたりしたよ。

 高校2年生くらいで音楽と真剣に向き合うようになって、自分のポテンシャルやスキルを追求するために一般受けするサウンドを探したんだ。空き時間は全て音楽に費やした。夜中の2時にパンツ一丁で「Rip Tide」をギターで独学したり、やっと優しいサウンドのメロディーができてヒット曲を作ったと確信したり。こういった経験を思い出すと、何も比べ物にならないくらい心が温まるんだ。

ー楽曲制作に関するスキルは、どうやって身に着けたのですか?
サーフ・メサ:音楽制作はカジュアルな趣味だったよ、高校に入るまでね。高校生の時は良い音楽を作ることばかり考えていたから、授業もあまり集中していなかった。それに昔はパーティーや薬物の使用で、より深いサウンドを追求していたからね。今はもう薬物とは手を切って、2年間シラフで音楽と向き合っているよ。

ーアーティスト名のサーフ・メサに込めた意味は?
サーフ・メサ:高校生の時、『Counter-Strike: Global Offensive (カウンター・ストライク:グローバル・オフェンシブ)』というFPSのオンライン・ゲームがすごく好きだったんだ。一時はプロゲーマーになろうとも思っていたくらい。サーフ・メサは、そのゲーム内のマップの一つで、僕がゲームに費やした何千もの時間を心に留めておくために付けた名前だよ。

ー「ily」が世界中で大ヒットしていますが、今後どんなプロデューサーになることを目指していますか?憧れの存在などはいますか?
サーフ・メサ:僕が憧れるプロデューサーはポップ・エレクトロニック系だとザ・チェインスモーカーズ、トロピカル・フレッシュ系だとカイゴ。いつか彼らと同じスタジオでコラボしてみたいと思う。

ーエミリー・フラッドが歌う「Can’t Take My Eyes Off You」をTikTokで聴いた時、どんな気持ちになりましたか?
サーフ・メサ:初めて聴いた時、彼女の声がすごく印象的だった。彼女はあの有名な曲に若々しいフレッシュな雰囲気を与えることができたのだからね。

ー「ily」の楽曲のこだわりや、制作秘話について教えてください。
サーフ・メサ:「ily」の制作は、まるでバターの様にスムーズに進んだよ。一日で一気に作り終わって、明け方5時にSoundCloudにアップロードしたんだ。

ー心地良いメロディを制作するにあたり、インスピレーション源となっていることは?
サーフ・メサ:コードによって曲の雰囲気はガラッと変わるから、コード進行を決めてから好きなプラック音やプリセットのリードからいろいろなメロディーで遊んでみるんだ。

ー自宅隔離中の「おうち時間」の過ごし方は?
サーフ・メサ:自分の部屋とかワークスペースの模様替えかな。新鮮な気持ちを持てるしインスピレーションも湧いてくる。あとはやっぱり音楽の制作やサンプリング音源の整理をしているよ。

ー楽曲制作以外の趣味や特技はありますか?
サーフ・メサ:DJをすることが大好き。でも音楽以外だったら、友達とビデオ・ゲームで遊ぶことかな。

ー最近ヘビロテしている楽曲や、アーティストは?
サーフ・メサ:最近はLoud Luxuryをずっと聴いているよ。ハウス・ミュージックの新しい解釈の仕方がすごいイケてる人たちなんだ。

ーSNSのプロフィールに「改善(Japanese meaning: Improvement)」と記入されていますが、日本のカルチャーに興味はありますか?また、来日したら訪れたいスポットはありますか?
サーフ・メサ:僕は日本の美術や文化が大好きだよ。この「改善」という言葉を使って、何事にも常に向上心を持ち続けることを意識しているんだ。何かを十回目にやる時は初回よりはるかに効率的に進む。努力を惜しまない!いつか日本に足を運びたいと思うよ。来日する機会があれば、ハイキングやお寺参りもしてみたいな。

◎リリース情報
配信シングル「ily (i love you baby)[feat. Emilee]」
サーフ・メサ
https://umj.lnk.to/ily

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