Billboard JAPAN


NEWS

2020/05/02

ロングタームは計算済?! YOASOBIの新しいヒットの仕方

 今週のHot100では、YOASOBIの「夜に駆ける」が、遂ニトップ10位内にまで上昇してきた(【表1】)。YOASOBIは、小説を音楽・映像で具現化するというコンセプトのユニットで、ボカロPとして実績のあるAyaseとヴォーカルのikuraで構成されている。この曲はデビュー曲だが、動画が公開されたのが2019年の11月16日、ダウンロードとストリーミングでリリースされたのは12月15日と随分前になる。しかも、そのタイミングではHot100にはランクインしていない。

 ただ、早々にSpotifyのバイラルチャートで1位になるという結果を出しており、動画再生数も2ヶ月で200万回を突破。また、1月中旬にはセカンド・シングル「あの夢をなぞって」をリリースと、話題には事欠かない状況を作り続けてきた。2月以降はメディアでの露出も増えさらにSpotify以外のApple MusicやLINE MUSICなどでもチャートの上位にランクインするなど結果が出始めた。同時に動画再生数も上がっており、ストリーミング、YouTube、メディア露出が上手く連動していった。その結果、3/30付で初めて76位Hot100にランクイン。そのまま急角度で上位に達している。

 チャートの特徴は、多少ダウンロードやツイッターのつぶやき数などはあるとはいえ、もっとも大きな要素はストリーミングと動画再生数だ。Spotifyを筆頭に各サービスでの成果がじわじわと広がり始めたのと、様々な露出を行って話題を発信し続けてきたことは非常に大きい。まさに粘り勝ちといってもいいだろう。先日YouTubeの再生回数は1000万回を突破し、それもまた今後のチャートに影響してくることだろう。

 Official髭男dismやあいみょんもストリーミングでのヒットは少し時間がかかったわけで、リリースタイミングで一気に売るフィジカルとはまた違うやり方だ。このことを理解するだけでも、YOASOBIのような楽曲をヒットさせるヒントになるはず。そういた意味においても、今後どこまで上昇するか非常に楽しみな一曲である。Text:栗本斉

◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。

ACCESS RANKING

アクセスランキング

  1. 1

    Snow Man、プーマのキャンペーンビジュアル&ムービーに登場

  2. 2

    【ビルボード】INI「WMDA (Where My Drums At)」が総合首位、ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」は3位に

  3. 3

    【ビルボード】Snow Man『RAYS』総合アルバム首位 、SEVENTEEN/竹内まりやが続く

  4. 4

    ホロライブから新メンバー5名デビュー、1stシングル発表&ポップアップイベント開催決定

  5. 5

    【ビルボード】Creepy Nuts「オトノケ」がDLソング首位獲得 ポルノグラフィティ/INIが続く

HOT IMAGES

注目の画像