2010/05/07
JACK JOHNSONを理解するには、サンタバーバラにあるカリフォルニア大学での学生時代にさかのぼることが役に立つ。彼は映像を専攻する学生だった。もっぱらサーフィンのビデオに焦点を合わせていたものの、彼も多くの映像学生と同様に普通の人が気にもしないような細部に注意を向けていた。細かいことを気にして夜眠れなくなるようなところが彼にもあるのだ。
JOHNSONが最近死にかけたカモメの音に執着していることも、これで説明できるのではないだろうか。
6/1に発表される新作『TO THE SEA』には「PICTURES OF PEOPLE TAKING PICTURES」という曲が入っている。この曲のレコーディングではTHE BEATLESが「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」で使ったメロトロンが使われている。
「弾きながらコントロール・ルームを見たら、みんなが笑ってるんだ。すごくおかしな音がするからさ。Bの音がおかしいんだけど、それに慣れちゃったからそのまま入れることにした。そういうのっていつもむずかしい選択だけど、ミックスでよく聞こえればいいのさ。これには死にかけたカモメの音も入っているんだよ」
そんな細かいこだわりは、彼がぶっきらぼうにみえても完璧主義者だからだろうか。
「いい加減な完璧主義者にならなれるかな? こういうことをやり続けているのは、僕がいろんなことをその場でうまく処理できるからなんだよ。すべてが思った通りに完成する必要はないんだ。とにかく最終的にうまいこと終わればいいんだよ」
JOHNSONの5作目のスタジオ・アルバム『TO THE
SEA』は、長年のファンを喜ばせるに違いない。彼の曲は甘すぎることなくフックが効いているし、歌詞は賢くてロマンティックだし、全体のヴァイブはきわめて効果的だ。しかし何より重要なのは、彼の神秘性が商業的になることなく相変わらず残っていることなのだ。彼は仕掛けに頼らずに、この作品をいつもながらのやり方、つまりツアーをやることでプロモートしようとしている。
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