2020/08/21 12:00
『トイ・ストーリー4』や『リメンバー・ミー』など数多くの感動作を作り出してきたディズニー&ピクサーの最新作『2分の1の魔法』が公開スタートした。本作は、かつて魔法に満ちていたが、科学や技術の進歩によって魔法が消えかけた世界を舞台に、亡くなった父親が残した魔法の杖で体半分の足だけが蘇ってしまった父親を完全に復活させるため奮闘する兄弟の冒険と成長を描く。何をやっても上手くいかず、自分に自信を持てない主人公イアンの声を志尊淳、イアンの兄で陽気な魔法オタクのバーリーの声を城田優が担当している。
互いに「優くん」「淳ちゃん」と呼び合う2人はイアンとバーリー同様、実生活でも兄弟のように仲が良い。「年は10個離れているんです」という志尊に対し、「学年差は9コ! ここ大事なんだから!」とすばやいツッコミを入れる城田、そして「そうだったね、ごめんなさーい(笑)」と軽くあしらう志尊のやり取りを見て、年齢差を感じさせない仲の良さは瞬時にこちらにも伝わってきた。2014年に2人が初めて会った時のことを鮮明に覚えているという城田は「初めて会ったのはD-BOYSのイベントで、その時は軽く挨拶をした程度だったんですけど、打ち上げで古顔だけが残るなか、最後まで淳ちゃんが残っていたんです。淳ちゃんは当時、戦隊モノをやっていて、翌朝も撮影で早いはずなのに『こんな先輩と話せる機会はないので、もう少しお話させてください』って言ってくれて、『なんていい子なんだ!』って思いまして、もう、おじさんの心は鷲掴みにされました(笑)。翌年にドラマで先生と生徒役で共演したのをきっかけに親交が始まり、今ではリアル弟のようにかわいがってます」と思い返す。
志尊も「今、プライベートで一番会っている人です。色んなことを相談させてもらって、本当のお兄ちゃんみたい。“ビジネス仲良し”ではなく、僕たちは本当に普段から仲良しなんです(笑)。むしろ皆さんに見せている姿はまだまだで、普段の僕らはこんなもんじゃないです(笑)」と重ねる。そんな志尊に「相談されたら相談に乗りたい、助けたいって思いますし、たとえ全員が彼を否定しても、誰が何と言おうと僕は味方でありたいです。交友関係が広いって言われますけど、僕が全てをさらけ出している人はほんの数人しかいなくて、淳ちゃんはその中の一人。家族同然に思っています」と城田から愛のある言葉がかけられると、志尊は「嬉しい! これ太文字で書いてくださいね(笑)!」と目を輝かせた。
今作で志尊は『バンブルビー』(2019)に続いて日本語版声優に挑戦。「自分の声がコンプレックスだった」と言う志尊だが、内気で自分に自信がないイアン役を演じる今作ではそれを武器にしたそうだ。「(自分の声は)弱そうとか頼りなさそう、貧弱な感じがあるなって思っていたのですが、今回それを強みに活かせると思ったんです。監督からも『志尊くんのこの声が良いと思ってイアン役をお願いしているから、声を作らないでほしい』って言われました。『ありのままの僕で感情の緩急を付けてほしい』というご要望があったので、声の出し方で特に意識したことはなく、それよりも気持ち優先でやらせていただきました。でも、イアンがどんどんたくましくなっていって、アクションシーンもあったので、そういう部分は普段と違う発声をしました。」
城田は俳優に加えて、歌手活動やミュージカルにも数多く出演するなど、もともとその美声には評判がある。実写版『シンデレラ』(2015)では、キット王子の日本語版声優として見事な歌唱を披露したが、今作では魔法が好き過ぎて、行き過ぎてしまうオタク系キャラを演じている。「魔法に対するバーリーの思いが溢れるシーンやふざけるシーンではキャラクターを立たせるといいますか、呪文を唱えたり、(愛車の)グウィネヴィアのことを話したりするところで、キャラクターっぽさと、人間っぽさのちょうどいいバランスを監督と作っていきました。何よりも感情が一番大切だったので、本当に心から楽しんでやりました。セリフの量が多くて、リアクションも大きかったので、バランスやニュアンスを取るのが大変だったのですが、すごく楽しめました」と苦労した分、自身も楽しんで演じたことを明かしてくれた。本作では「いつも聞いている優くんの声じゃなくてビックリしました」と話す志尊の言葉通り、普段の城田の声から想像できないような野太く、そしてユーモアたっぷりの演技が楽しめるが、「(誰がやっているのか)分からないっていうのは、ありがたいですね。ジャングルポケットさんと試写で偶然一緒になったことがあって、帰り際に『なんでいるの?』って訊かれたので、『僕がバーリーの声をやってるんですよ』って言ったら驚かれていて、その反応が嬉しかったです。2人の凸凹コンビっぷりが絶妙にバランスよく出ていて、手前みそですけど、作品を観て本当にいいなと思いました」と、作品の完成度の高さに自信を見せた。
5年ぶりの共演は、別々でレコーディングをする機会が多かったものの、息がピッタリ合った2人の掛け合いには脱帽する。「『こうしよう』という相談はゼロでした! バーリーが小さくなるシーンがあるのですが、それが優くんにしか見えなくて、普段から優くんがバーリーみたいな感じだから、何度もその感覚を思い出したおかげで救われました(笑)。逆に優くんじゃなかったら、できなかったかもしれません。一緒にレコーディングする機会がなかったけど、うまくハマったよね」(志尊)、「兄弟を演じるための距離感はもともとバッチリだったからね。本当にバランスが良くて、僕は自信を持って『大丈夫です、失望させません』と言いきれます」(城田)と、両者ともその出来に太鼓判を押す。自他ともに認める2人の演技と、涙を誘う感動が詰まったディズニー&ピクサー最新作『2分の1の魔法』は、ぜひ劇場で。
Interviewed and photographed by Mariko Ikitake
◎公開情報
『2分の1の魔法』
全国公開中
監督:ダン・スキャンロン
字幕版キャスト:トム・ホランド、クリス・プラット
日本語版キャスト:志尊淳、城田優
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2020 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
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