2020/03/23
ピクサー映画史上もっとも泣ける作品として呼び声高い『2分の1の魔法』が、実はピクサーでは異例の制作手法が取られ、最初から主人公イアンと兄バーリーが迎える結末が決まっていたという。
ピクサー映画では数名のストーリーチームがアイデアを出し、ストーリーを作り上げていく手法を取っている。映画の核となる部分は何なのか? どういうメッセージを伝えるべきか? そうしたことを数年かけてアイデアを練り、誰もが共感して感動できるストーリーを作っていくのだ。そのため『トイ・ストーリー4』や『リメンバー・ミー』など今までのピクサー映画では、ストーリーを順番に制作することが多く、最初に結末が決まっていることはあまりなかった。
しかし本作はダン・スキャンロン監督の個人的な経験や家族の関係性が物語の核になっていたため、監督にとっての“家族の絆”を感じられる結末が最初に決まったのだ。ストーリーアーティストのケルシー・マンは「この物語は監督が父親を亡くしたことをどう乗り越えたのか? それによって何を学んだのか? そんな経験を振り返ることから始まったんだ。その答えが感動を呼ぶ結末に描かれているんだよ。だからピクサーでは珍しいが、最初に結末が決まっていた。あの結末につながるには、どういう風に物語を始めるべきかをとても悩んだよ」と振り返り、結末ありきで逆算してストーリーを作っていったことを明かしている。
しかしダン監督は個人的な経験を描くことについて「この映画を制作する前に別のアイデアがあったから、個人的な家族の話を描くことになるとは思っていなかったんだ」と意外な言葉を口にしている。実はピクサーの社員同士で過去の経験を話す機会があり、ダン監督は父親を亡くしたことを話したところ、意外と多くの人が同じような経験をしており、共感してくれる人が多かったという。それから「大切な人を亡くした経験は、どんな人でも共感できるストーリーになるのではないか?」と考え、本作が制作されることになったそうだ。
ダン監督は「ピクサーの仲間に、僕が1歳の頃に父親を亡くしたことや兄弟について話したんだ。父親ではなくても大切な人を亡くした経験は誰にでもあるはずだし、その経験を映画にしたら感動的な物語になるんじゃないかと思い、そこから本作が生まれていった。他のピクサー作品と同じくとても内面的なことを描いているからこそ、みんなが共感できるストーリーになったと思う」と誕生秘話を告白。そんな監督の家族への思いが詰まった本作のピクサー史上最も衝撃的な感動の結末とは? ますます期待が高まる本作を見逃せないだろう。
◎公開情報
『2分の1の魔法』
近日公開
監督:ダン・スキャンロン
字幕版キャスト:トム・ホランド、クリス・プラット
日本語版キャスト:志尊淳、城田優
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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