2020/01/20 20:00
2019年10月20日よりスタートしたKOTORIの全国ツアー【REVIVAL TOUR】のファイナル公演が2020年1月10日に東京・マイナビBLITZ赤坂で開催された。
2019年9月にリリースされた2ndフルアルバム『REVIVAL』を引っさげての【REVIVAL TOUR】は全国22か所で開催され、その内の21か所はゲストアーティストを迎えての公演となった。そして、本ツアーで初めてのワンマンであり、ソールドアウトとなった今回のファイナル公演。スタート前には、幕がステージに垂れ下がっていた。
会場が暗くなると、幕には「KOTORI」や「2020.1.10」などの白い文字が青を基調とした背景トーンと共に照らされた。そしてその文字が消え、4人のKOTORIの黒く動く影が白い幕に映しだされると、1曲目「YELLOW」に突入した。そこでも幕は上がっておらず、4人の動く黒い影が映し出されているだけのシンプルなものだった。シンプルがゆえに、4人のバンド然としたパワフルな構図が明確に伝わり、これからの期待感を煽る。そして幕が上がると「ライジング」を披露し、その後も次々と楽曲を投下。会場を熱くしていった。
様々なフェスや複数アーティストによる合同ライブでKOTORIのライブを見たことがある人にとって彼らのライブと言えば、例えば「1995」や「トーキョーナイトダイブ」「EVERGREEN」「RED」「ジャズマスター」「素晴らしい世界」などといった楽曲を畳みかけ、熱狂に向かわせるものを想像するだろう。確かに、本公演にもそのようなシーンはあった。先ほど挙げた楽曲と『REVIVAL』に収録されている楽曲を織り交ぜ、公演の前半と後半では彼らの真骨頂とも言える盛り上がりを見せつけていた。しかし、今回の公演は本ツアー初めての単独であり、ファイナル公演である。そして、映像と文字が映し出される幕、スタートしても幕が上がらないステージを見ていると、期待感と共に、今日は“いつもの”熱狂だけではないだろうなということをうっすら予感せざるを得なかった。
その予感は、「Eve Of the revival」から「彗星」のパートで確信に変わる。ステージの後ろに幕が下がり、水・光・星・生命などを連想させる映像が映し出されていく。明らかにテンションの違うパートとなり、オーディエンスがダイブしたり手を挙げたりすることはない。他のパートがみんなで聴くところだとするならば、このパートは一人で聴くところなのかもしれない。私たちがワンルームで・街で・仕事場で一人の感覚を覚えるように、誰かと一緒にいても一人の感覚を覚えるように、スピーカーやイヤフォンでKOTORIの楽曲を聴いてる時のように、明瞭なイメージを持ったデザインが幕に映しだされながら披露された「雨のあと」のトランペットの音色や「彗星」の言葉を聴いている時も一人だ。
一人になることは決して悪いことではない。一人だから出来ること、一人だからなれる感情がある。一人の時間があるからこそ、伝えたい話が生まれ、みんなでいる時間も楽しくなる。横山優也(Vo, G)は過去のインタビューで、普段はあまり遊ばず、ただ家にいると言っていた。あくまで過去のインタビューであり、ライブレポートにその内容を入れるのは早計かもしれないが、そのような時間がKOTORIの楽曲やライブが単純な熱狂で済まない理由を生み出しているのだろうとふと思った。
「彗星」以降、KOTORIのライブは“いつもの”熱狂に戻っていく。そこは紛れもなくみんなの場所だ。一人ひとりがみんなの感情に紛れ込んだまま、自分の感情も外に出していくコミュニケーションがそこにはあり、その中に“いつもの”KOTORIがいた。よくKOTORIのライブで横山が言う言葉に「勝手に付いてきて!」があると思う。今回の公演でも言っていた。自分のファン各人の個を強く尊重しているように捉えられる言葉だ。みんなでいるときを愛し、一人のときも愛する。日々の中で変化していく個人を愛する。そんな人たちが集まって行われるライブのステージにKOTORIがいる。本編最後、そしてアンコールの最後でも披露された「遠き山に陽は落ちて」で繰り出される「今日はもう帰ろう」の言葉が、妙な説得力を持って聴こえた公演だった。
また、本公演では下北沢でサーキットイベント【TORI ROCK FESTIVAL 2020】を6月21日に開催することを発表した。2019年にも開催した本イベントは、ライブハウス会場が昨年から1つ増え、5会場で行われることになる。
Text by Akihiro Ota
Photo by MASANORI FUJIKAWA
◎公演情報
【KOTORI REVIVAL TOUR FINAL ONEMAN】
2020年1月10日(金)
東京・マイナビBLITZ赤坂
<セットリスト>
1. YELLOW
2. ライジング
3. 1995
4. unity
5. 涙があふれそう
6. シャンプー
7. Blue
8. EVERGREEN
9. トーキョーナイトダイブ
10. オリオン
11. 海
12. ラブソング
13. ラッキーストライク
14. ドラマ
15. ファーストインパクト
16. Eve Of the revival
17. REVIVAL
18. 雨のあと
19. 彗星
20. RED
21. 高鳴る胸に鐘を鳴らせ
22. ジャズマスター
23. さよなら
24. 素晴らしい世界
25. Dive into your Dreams
26. 羽
27. 遠き山に陽は落ちて
-Encore-
1. 4号線
2. 19歳
3. 遠き山に陽は落ちて
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