2012/11/10
デビュー10周年となるノラ・ジョーンズが11月8日(木)日本武道館で来日公演を開催した。ジャパンツアーとしては7年ぶり3度目となる。2010年にプロモーション来日を行っていたが、彼女の姿を拝むことができたのは幸運なファンだけだったので待望の来日だ。今回もちろんチケットはすぐさま完売し、東京で追加公演も急遽行われることになった。
オープニング・アクトはジム・キャンピロンゴ。サンフランシスコの音楽シーンでは知らない人がいないほど有名で長く活躍してきたギタリストだ。ノラ・ジョーンズのファンにはリトル・ウィリーズのギタリストとして知られる存在となった。19時より少し前にステージにジムがドラムとベースを引き連れ登場。長身の彼が着ている黒いロングコートにテレキャスターが映える。軽い会釈の後、19時ジャストで演奏をスタート。あまりに時間ぴったりに始まったので多くの観客が慌てて席に着いていた。その彼のギター・プレイは流石「テレキャスターの達人」と言われるだけあり、恐ろしく巧い。ブリッジの弦を弾くなど時折トリッキーに攻めてくるが、ルーツ・ミュジックをバックグラウンドとしたサウンドは一貫して芯が通っている。その音色は色鮮やかにブルージーで、アダルトな魅力をたっぷり聴かせてくれる。リズム隊の繰り出すグルーヴとテレキャスターの唸るよなメロディーが一体化し、観客を圧倒していた。リチャード・トンプソンやバディ・ミラーのようなギターが好きな人には堪らないだろうなと考えていたら25分ほどの短い演奏で、あっと言う間に終了してしまった。
転換が行われ、先程の真っ黒だったステージの背景は一変し、ステージの上から折り鶴のようなオブジェが無数に吊られており、日本武道館の天井の国旗とマッチしている。20時前。いよいよ客席の照明が落ちると客席からはどよめきが起こる。そして、もったいつけることもなく、リラックスした様子でバンドメンバーと現れた彼女が登場。バンドはドラム、ベース、ギター、キーボードという編成だ。ピアノの前に座ると笑顔で「コンバンワ!How Are You?」と一言、日本語になると声のキーが上がるのがとってもキュートだ。歓声が静まると演奏がスタート。軽快でさっくりとした印象だが、手加減無し歌われる曲たちは素朴で絶品で、素朴。彼女も自身のライブという構えではなく、ピアノ、エレキギター、エレキピアノと演奏する楽器を変えて器用にこなし、バンドのメンバーの一員といった様子。その雰囲気がより楽曲の一体感を高め、観客との距離を縮めていく。もちろん新旧の作品から様々な楽曲が披露されるが、観客が一番求めていたであろう「Don't Know Why」はピアノの弾き語りで歌われ、音楽の化身がそこにいるかのような歌声に会場中が魅了されていた。スタンディング・オベーションで迎えたアンコールではメンバーが中央に立てられた1本のマイクに寄り添い、アコースティックな楽器で披露するという粋な演出。彼女は呼吸して、水を飲むように音楽と戯れていた。
Photo:シャノン・ヒギンス
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