2019/12/03
細野晴臣、デビュー50周年を締めくくるライブが11月30日、12月1日に東京国際フォーラム ホールAで開催された。
1日目はおなじみのバンドを従え、「50周年特別公演」と銘打たれたライブ。1曲目は「銀河鉄道の夜 エンド・テーマ」からというなんとも幻想的な始まりとなった。そして曲の後半で、細野がそろりそろりとステージに登場すると、会場は割れんばかりの拍手の波に包まれた。近年のライブの中心を占めている古き良きアメリカ音楽のカバー、自身の曲のブギアレンジなどをはじめとしてデビュー当初から、近年の作品まで実にバランスのよい選曲。細野ワールド全開のグッドミュージックが満載のステージだ。途中、ミラーボールの登場とともに「Angel On My Shoulder」「I’m A Fool To Care」の2曲が演奏された“チークタイム”、さらに注目の女性シンガーソングライターReiがゲスト参加した「Pistol Packin’ Mama」などの趣向も凝らされ、あっという間の至福のステージだった。
50周年にもわたるキャリアの中で、じつにさまざまなジャンルの音楽を縦横無尽に繰り広げてきた細野だが、こうやって改めてライブで聴くとやはり大きなひとつの筋が通っているように感じられる。ドキュメンタリー映画『No Smoking』では、「自分がつくる音楽なんかはいまはどうでもいい。昔のいい音楽を残していきたいという思いが一番」と語っている。「自分がつくる音楽なんかは」のくだりはもちろん謙遜だろうが、細野が「残していくべきと思っている音楽」の粋がそこにはあったように感じられる。
迎えた2日目は、趣向をガラッと変え、音楽バラエティーショー『イエローマジックショー3』が開催。今までに、NHKで2回放送されて人気を博した細野を中心とした音楽バラエティ番組『イエローマジックショー』の3回目を、今回は生のステージでやろうという企画で、1日目と同様、とても特別な夜となった。細野に加え、高橋幸宏、宮沢りえ、水原希子、安部勇磨(never young beach)が出演し、星野源も映像で参加した「家族コント」。清水ミチコ、清水イチロウ姉弟によるものまねコーナー、さらに、ロッチ、水原佑果、豊崎愛生、小山田圭吾、U-zhaan、Little Glee Monsterといった面々も加わった学園コントなど、盛りだくさんの内容の間に、細野バンドによる演奏が入るのだから、これ以上ないエンターテイメントだ。
そしてなんと言っても、ハイライトは細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一の3人によるコーナー。コント「噛み合わない会話」では、坂本龍一が映像で出演し、その映像に合わせて3人が文字通り噛み合わない会話を繰り広げる様子が、爆笑を誘った。そして、その後は坂本の演奏映像に合わせて、細野、高橋が今度はバッチリ噛み合った演奏を披露すると会場のボルテージは最高潮となった。
細野晴臣50周年を記念した豪華な祝宴は、こうして2日間にわたって行われ大盛況のうちに幕を閉じた。この2日間を始め、今年行われたさまざまな50周年関連の催し物を通して、改めて、細野晴臣という偉大なミュージシャンの魅力があらゆる角度から浮き彫りになった2019年。1日目のMCで、高齢であることを自虐的に語りながらも最後には「実は元気です」と力強く言っていた細野。まだまだ、日本音楽界のため、いや世界音楽界のために精力的に活動してくれることを期待したい。
◎公演情報【細野晴臣 50周年記念特別公演】
2019年11月30日(土)
東京国際フォーラム ホールA
出演:細野晴臣/高田漣(Gt)/ 伊賀航(B)/ 伊藤大地(Drs)/ 野村卓史(Key)
※本公演は、WOWOWにて2020/1/2 18時より放送予定
【細野晴臣 イエローマジックショー3】
2019年12月1日(日)
東京国際フォーラム ホールA
出演:細野晴臣/
安部勇磨(never young beach) / 伊賀航 / 伊藤大地 / 小山田圭吾 / 清水ミチコ / 清水イチロウ / ジョイマン / 高田漣 / 高橋幸宏 / 豊崎愛生 / 野村卓史 / ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)/ 水原希子 / 水原佑果 / 宮沢りえ / U-zhaan / Little Glee Monster / ロッチ
※50音順
映像出演 坂本龍一 / 星野源
声の出演 ナイツ
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